発売日: 1981年7月11日
ジャンル: ハードロック、ヘヴィメタル
Def Leppardの2ndアルバム『High ‘n’ Dry』は、彼らのキャリアを大きく飛躍させた作品であり、バンドのハードロック的なサウンドにキャッチーなメロディを融合させた点が特徴だ。プロデューサーのマット・ラングが手掛けた音作りは、シンプルながらも力強いギターリフとクリーンなボーカルを生かした洗練された仕上がりとなっている。彼らの次作『Pyromania』での商業的成功に繋がる重要なステップとして位置づけられ、1980年代のハードロック/メタルシーンにおけるDef Leppardのスタイルを確立した。
各曲ごとの解説:
- Let It Go
アルバムのオープニングを飾るこの曲は、鋭いギターリフとキャッチーなサビが特徴で、リスナーを一気に引き込む。歌詞は「自由を求める」というテーマに焦点を当てており、反抗的な精神が前面に出ている。フィル・コリンによる鮮烈なギターソロが印象的で、メロディアスかつエネルギッシュな一曲。 - Another Hit and Run
重厚なギターリフと力強いドラムのビートが引き立つ曲。歌詞は恋愛の裏切りや感情のすれ違いをテーマにしており、ダークな雰囲気を漂わせている。バンド特有のダイナミックなサウンドと厚みのあるコーラスが、曲全体にスタジアムロック的なスケールを持たせている。 - High ‘n’ Dry (Saturday Night)
タイトル曲であり、アルバムの中核をなす楽曲。失恋や孤独感がテーマでありながらも、パーティー感あふれるリズムとパンチの効いたギターが相反する感情を表現している。ボーカルのジョー・エリオットが、特にサビで感情的なパフォーマンスを披露しており、聴き応えのある一曲。 - Bringing On the Heartbreak
バンド初の大ヒット曲ともいえるバラード。この曲では、哀愁漂うメロディと情感豊かな歌詞が際立ち、シンプルなギターラインが曲のエモーショナルな部分を強調している。後半の盛り上がりも見逃せない、アルバムのハイライトの一つ。 - Switch 625
前曲の「Bringing On the Heartbreak」と直結するインストゥルメンタル。リズムセクションとギターが絶妙に絡み合い、シンプルながらも展開に富んだアレンジが特徴的だ。特に、フィル・コリンのソロパートが際立ち、ライブでのパフォーマンス映えするナンバー。 - You Got Me Runnin’
エネルギッシュで軽快なリズムが続く、アップテンポなナンバー。若さや情熱をテーマにした歌詞と共に、スピーディーな展開が曲全体に活気を与えている。エリオットのボーカルが楽曲の勢いにぴったり合っており、バンドのスピリットを象徴する一曲。 - Lady Strange
よりハードなサウンドと、独特のメロディラインが印象的なこの曲は、怪しい魅力を放つ歌詞がテーマ。ギターリフの存在感が強く、バンドの持つ重厚なロックスタイルを存分に感じさせる。 - On Through the Night
アルバムの中でも最も疾走感のある楽曲。ギターのリフが鋭く、リズムも強烈。歌詞はバンドのツアー生活を反映しており、疲れ知らずの勢いを表現している。ライブでも定番の楽曲だ。 - Mirror, Mirror (Look Into My Eyes)
ミッドテンポの曲で、自己反省や自己認識をテーマにした歌詞が特徴的だ。ギターリフが重厚で、内省的な歌詞と力強いサウンドが対比的に響く。メロディアスなギターソロが、楽曲に独特の哀愁を加えている。 - No No No
アルバムを締めくくる曲で、怒りや不満が炸裂するエネルギッシュなナンバー。速いテンポと叫ぶようなボーカルが印象的で、ハードロックの荒々しさを存分に感じさせる。エレクトリックなギターソロが楽曲を強烈に盛り上げる。
アルバム総評:
『High ‘n’ Dry』は、Def Leppardが彼らのサウンドを洗練し、メロディックな要素とハードロックのエッジを融合させた重要なアルバムだ。特に「Bringing On the Heartbreak」の成功によって、バンドは世界的な注目を集めるようになり、この後の彼らの商業的成功を予感させる出来となっている。全体として、荒々しさとポップさのバランスが見事に取れた一作であり、80年代のハードロック・メタルシーンにおいて重要な役割を果たした。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Pyromania by Def Leppard
『High ‘n’ Dry』の次作で、よりキャッチーでポップなサウンドに進化した作品。特に「Photograph」や「Rock of Ages」などのヒット曲を収録し、バンドの商業的成功を決定づけたアルバムだ。 - Back in Black by AC/DC
同時期にリリースされた、ハードロックの代名詞的アルバム。シンプルなギターリフとパワフルなボーカルが共通点であり、Def Leppardファンにも好まれるスタイルを持っている。 - British Steel by Judas Priest
よりメタル色の強いサウンドだが、キャッチーなメロディと疾走感は『High ‘n’ Dry』と共通する要素が多い。特に「Breaking the Law」などは同じハードロックの愛好者に響くだろう。 - Heaven and Hell by Black Sabbath
よりダークでヘヴィな雰囲気を持ちながらも、メロディの面ではDef Leppardに近い部分もある。ロニー・ジェイムス・ディオの力強いボーカルが特に印象的。 - Slide It In by Whitesnake
メロディックなロックとハードなサウンドを融合させたアルバムで、『High ‘n’ Dry』のファンには特に魅力的だろう。デヴィッド・カヴァデールのソウルフルなボーカルが際立つ作品。
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