発売日: 2019年9月13日
ジャンル: エクスペリメンタル・ポップ、エレクトロポップ、ハイパーポップ
『Charli』は、Charli XCXの3枚目のスタジオアルバムで、これまでのキャリアの中で最も実験的かつ個人的な作品だ。プロデューサーにはSOPHIEやA.G. Cook（PC Musicの創設者）をはじめとする先鋭的なアーティストが参加し、ハイパーポップやエクスペリメンタル・ポップの要素が色濃く反映されている。
アルバム全体にわたり、未来的なサウンドスケープと強烈なエレクトロニックビートが特徴でありながら、愛、孤独、自己表現といった普遍的なテーマが内省的に描かれている。また、Troye Sivan、Lizzo、Christine and the Queensなどの豪華なゲスト陣が参加しており、それぞれの個性がアルバムに多彩な彩りを加えている。
以下、各トラックの詳細を解説する。
1. Next Level Charli
アルバムの幕開けを飾るエネルギッシュなトラック。疾走感のあるビートと大胆な歌詞がCharliの自己肯定感を象徴しており、アルバム全体のトーンを設定している。
2. Gone (feat. Christine and the Queens)
アルバムのハイライトの一つで、自己疑念と孤独感をテーマにした楽曲。シンセサウンドとエモーショナルなボーカルが絶妙に融合しており、Christine and the Queensの参加が楽曲にさらなる深みを加えている。
3. Cross You Out (feat. Sky Ferreira)
陰鬱なムードと感情的な歌詞が際立つトラック。関係性の終焉とそれに伴う解放感を描写しており、Sky Ferreiraの個性的なボーカルが楽曲を引き立てている。
4. 1999 (feat. Troye Sivan)
ノスタルジックなテーマを持つダンサブルなポップナンバー。1990年代のポップカルチャーへのオマージュが散りばめられた歌詞とキャッチーなメロディが特徴。
5. Click (feat. Kim Petras and Tommy Cash)
攻撃的で未来的なビートが特徴のエクスペリメンタルトラック。Kim PetrasとTommy Cashの大胆なパフォーマンスが際立ち、挑発的なエネルギーが溢れている。
6. Warm (feat. HAIM)
繊細で穏やかなトラックで、HAIMのハーモニーが楽曲に温かみを加えている。愛の葛藤と複雑さを描写した歌詞が印象的。
7. Thoughts
内省的でメランコリックなトラック。都会的な孤独や自己反省をテーマにした歌詞と、ミニマルなビートが融合している。
8. Blame It on Your Love (feat. Lizzo)
軽快なダンスビートとキャッチーなサビが特徴のトラック。Lizzoのエネルギッシュなパフォーマンスが楽曲にポップなアクセントを加えている。
9. White Mercedes
エモーショナルで切ないバラード。愛と後悔をテーマにした歌詞が印象的で、Charliの感情豊かなボーカルが映える一曲。
10. Silver Cross
力強いビートと未来的なサウンドが融合したトラック。自己犠牲と愛についての歌詞がテーマとなっている。
11. I Don’t Wanna Know
シンプルで感情的なトラック。Charliの脆さと感情的な深みが前面に出ており、ミニマルなアレンジが歌詞を際立たせている。
12. Official
愛と献身をテーマにしたバラードで、アルバムの中でも特に親密な雰囲気を持つ一曲。柔らかなサウンドと優しいボーカルが心に響く。
13. Shake It (feat. Big Freedia, CupcakKe, Brooke Candy, and Pabllo Vittar)
カオスでエネルギッシュなトラック。豪華なゲスト陣による大胆で攻撃的なパフォーマンスが特徴的で、アルバムの中でも異彩を放つ一曲。
14. February 2017 (feat. Clairo and Yaeji)
繊細で内省的なトラックで、過去の恋愛や記憶に焦点を当てた歌詞が魅力的。ClairoとYaejiの参加により、楽曲に多層的なテクスチャが加わっている。
15. 2099 (feat. Troye Sivan)
アルバムの締めくくりにふさわしい未来的なトラック。攻撃的で実験的なサウンドが特徴で、Troye Sivanとの2度目のコラボレーションが光る。
アルバム総評
『Charli』は、Charli XCXがこれまでのキャリアを通じて磨き上げてきたエクスペリメンタルで革新的な音楽性が凝縮された作品だ。未来的なサウンドと感情的な深みが融合し、個々のトラックがバラエティに富みながらもアルバム全体に統一感を持たせている。特に「Gone」や「1999」のような楽曲は、ポップミュージックの新たな可能性を示すものだ。
本作は、彼女のアーティストとしての挑戦的な姿勢を示すだけでなく、ポップミュージックの枠を超えた創造性を追求した重要なアルバムとして、批評家とファンから高い評価を受けた。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
SOPHIE – Oil of Every Pearl’s Un-Insides
実験的なエレクトロポップと未来的なサウンドが、『Charli』の革新性と共通する。
Christine and the Queens – Chris
エモーショナルな歌詞とエクスペリメンタルなポップサウンドが、『Charli』の雰囲気と響き合う。
Grimes – Miss Anthropocene
ダークで未来的なポップサウンドが、『Charli』と同様の挑戦的な魅力を持つ。
Troye Sivan – Bloom
エレクトロポップの要素と感情的な歌詞が、『Charli』との親和性を感じさせる。
Lizzo – Cuz I Love You
大胆でエネルギッシュなパフォーマンスが、『Charli』のポップな側面と共鳴する。
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