発売日: 1996年3月19日
ジャンル: テクノ / プログレッシブハウス / エレクトロニカ
「Second Toughest in the Infants」は、Underworldがその音楽的な成熟を見せつけた2作目のスタジオアルバム(第2期として)であり、1990年代のエレクトロニックミュージックを代表する傑作だ。本作は、前作「Dubnobasswithmyheadman」のエネルギッシュなスタイルを引き継ぎつつも、さらに複雑で実験的なアプローチが加えられ、リスナーを没入させる深い音楽体験を提供している。
アルバム全体が、緻密に構築されたサウンドスケープと詩的な歌詞で構成されており、クラブ向けのダンスビートとアンビエントな雰囲気が絶妙に融合している。「Born Slippy .NUXX」の大ヒットもあり、Underworldの名は世界中に広まったが、それ以上にアルバム全体の芸術性が光る作品だ。
各トラック解説
1. Juanita: Kiteless: To Dream of Love
16分を超える壮大なオープニングトラック。ドライブ感のあるビート、流れるようなシンセサウンド、詩的なボーカルが三部構成で展開され、リスナーを深い音楽体験に引き込む。
2. Banstyle / Sappys Curry
10分以上にわたる実験的なトラック。リラックスしたダブ調のリズムとジャジーな要素が融合し、Underworldの多彩な音楽性を感じさせる。
3. Confusion the Waitress
複雑なリズムパターンとメロディが絡み合う、エネルギッシュなトラック。繰り返されるフレーズがトランス状態を誘発し、クラブでの体験を彷彿とさせる。
4. Rowla
ミニマルテクノの要素を取り入れたインストゥルメンタル。硬質なビートとシンプルながらも引き込まれる構成が特徴で、ダンスフロア向けのトラックとしても秀逸。
5. Pearl’s Girl
アルバムを代表するトラックの一つ。鋭いビートと緊張感のあるメロディが特徴で、カール・ハイドの詩的なボーカルが楽曲に独特の深みを与えている。
6. Air Towel
柔らかいサウンドスケープと複雑なビートが特徴のトラック。アンビエントとハウスの要素が絶妙に融合し、静かに心を揺さぶる一曲。
7. Blueski
アコースティックギターが印象的な短いトラック。アルバムの中では珍しく、ミニマルなアプローチが光る。
8. Stagger
アルバムの締めくくりにふさわしいメランコリックなトラック。重厚なビートと叙情的なメロディが絡み合い、静かに感情を揺さぶる。
アルバム総評
「Second Toughest in the Infants」は、Underworldが音楽的にさらに進化したことを示す作品であり、クラブミュージックとアートの垣根を取り払う野心的なアルバムだ。長尺で複雑な構成のトラックが多いものの、その緻密なサウンドスケープとリズムの巧妙さにより、聴き手を飽きさせない。特に「Juanita: Kiteless: To Dream of Love」や「Pearl’s Girl」は、Underworldの音楽の革新性を象徴する名曲であり、アルバム全体を聴き通すことで一つの芸術作品としての完成度を感じることができる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Dubnobasswithmyheadman by Underworld
Underworld第2期の出発点となるアルバムで、「Second Toughest in the Infants」と対になる作品。
Leftism by Leftfield
ダブとテクノが融合した名作で、Underworldファンにおすすめの一枚。
Selected Ambient Works 85–92 by Aphex Twin
緻密なサウンドスケープが好きなリスナーに響く、アンビエントテクノの金字塔。
Dig Your Own Hole by The Chemical Brothers
エネルギッシュなビートとサイケデリックな要素が、「Pearl’s Girl」のファンに特におすすめ。
Music for the Jilted Generation by The Prodigy
ダークで鋭いサウンドが特徴で、Underworldのエネルギーを求めるリスナーにぴったり。
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