発売日: 1992年3月9日
ジャンル: オルタナティブロック、ドリームポップ、シューゲイザー
1992年にリリースされたRideの2枚目のアルバム『Going Blank Again』は、デビュー作『Nowhere』のシューゲイザー的要素を引き継ぎつつ、より明るく開放的でダイナミックな音楽性へと進化を遂げた作品だ。Alan Moulderのプロデュースによる音響的な豊かさはそのままに、楽曲の構成やメロディにポップさが加わり、聴きやすさと高い完成度を両立させている。
『Going Blank Again』は、1990年代初頭の英国ロックシーンの多様性を象徴するアルバムであり、特にその明快さとエネルギッシュなサウンドはシューゲイザーからオルタナティブロックへの進化を示している。ダンスビートやシンセサウンドを取り入れた大胆なアプローチと、バンド特有の感傷的でメランコリックな一面が融合したこの作品は、リリース当時も高い評価を受け、現在でも名盤として語り継がれている。
各曲解説
1. Leave Them All Behind
アルバムを象徴する壮大なオープニングトラック。8分を超える長尺ながら、荘厳なイントロ、疾走感のあるギターワーク、そして高揚感のあるサビが展開され、全く飽きさせない。ダンスビートと轟音ギターが見事に融合した名曲で、バンドの進化を象徴する一曲だ。
2. Twisterella
アルバムの中でも特にキャッチーでポップなトラック。軽快なリズムと甘酸っぱいメロディが特徴で、リスナーを明るい気分にさせる。タイトルは映画『The Apartment』からの引用で、歌詞も恋愛や希望をテーマにしている。
3. Not Fazed
アグレッシブなギターリフが印象的な曲。パンチの効いたリズムセクションが楽曲を支え、ダイナミックなサウンドがアルバム全体のバランスを引き締めている。
4. Chrome Waves
シンセサウンドが幻想的な雰囲気を醸し出すトラック。バンドの柔らかな一面を引き出した、ドリーミーな楽曲で、メロディアスなコーラスが耳に残る。
5. Mouse Trap
エネルギッシュでひねりの効いた一曲。ギターリフのループと高揚感のあるサビが聴きどころ。遊び心のある展開が楽しい。
6. Time of Her Time
爽やかで疾走感のあるトラック。青春の甘さと苦さが同居する歌詞と、リズミカルなギターサウンドがリスナーを引きつける。
7. Cool Your Boots
イントロの静かなアコースティックギターから始まり、徐々にダイナミックなサウンドへと展開していく楽曲。感情的な歌詞と壮大なアレンジが特徴で、アルバムの中でも特に深みのある一曲だ。
8. Making Judy Smile
アルバムの中で最もポップなナンバーの一つ。キャッチーなリフと明るい雰囲気が特徴で、他のトラックに比べて軽やかな印象を与える。
9. Time Machine
スローテンポで展開されるドラマチックな楽曲。サイケデリックな要素があり、時間を超越するような浮遊感を生み出している。
10. OX4
アルバムを締めくくる壮大なトラック。タイトルはバンドの地元オックスフォードの郵便番号から取られており、故郷への郷愁とともにアルバム全体のテーマを象徴している。徐々に盛り上がる構成が感動的だ。
アルバム総評
『Going Blank Again』は、Rideがポップな要素を大胆に取り入れつつも、彼らの持つシューゲイザーの美学を進化させた作品だ。特に「Leave Them All Behind」や「Twisterella」は、彼らの音楽的な野心と完成度の高さを象徴する名曲であり、アルバム全体を通して多様な音楽性が楽しめる。感傷的なリリックと開放感のあるサウンドが見事に融合し、聴く者を魅了する一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Nowhere by Ride
Rideのデビューアルバムで、よりシューゲイザー色が強い作品。『Going Blank Again』を気に入ったリスナーは、この原点にも注目すべきだ。
Loveless by My Bloody Valentine
シューゲイザーの代表作。圧倒的な音の洪水と美しいメロディが魅力で、Rideの初期作品との親和性が高い。
Souvlaki by Slowdive
ドリームポップとシューゲイザーを融合した傑作。感傷的で美しい音の世界が楽しめる。
Modern Life Is Rubbish by Blur
1990年代初頭の英国ロックを象徴するアルバムで、『Going Blank Again』のポップさと共通点がある。
Parklife by Blur
Blurの代表作で、ポップとオルタナティブの完璧な融合。キャッチーなメロディとエネルギッシュなサウンドが特徴。
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