
発売日:1981年3月16日
ジャンル:ロック、ニュー・ウェイヴ、ポップ・ロック、アート・ロック、ブリティッシュ・ロック
概要
The Whoの『Face Dances』は、バンド史において非常に重要な転換点に位置するアルバムである。1978年にKeith Moonが死去した後、The Whoが初めて発表したスタジオ・アルバムであり、新ドラマーとしてKenney Jonesを迎えた最初の作品でもある。The Whoといえば、Roger Daltreyの力強いヴォーカル、Pete Townshendの激しいギターと知的なソングライティング、John Entwistleの超人的なベース、Keith Moonの爆発的なドラムが一体となった、1960年代から1970年代を代表する英国ロック・バンドである。そのため、Moon不在のThe Whoがどのような音を鳴らすのかは、当時のリスナーにとって大きな関心事だった。
『Face Dances』は、その問いに対して、過去のThe Whoを完全に再現するのではなく、1980年代初頭の時代感覚に合わせて音を整理し直した作品である。プロデューサーにはBill Szymczykが起用され、サウンドは1970年代の荒々しい重量感よりも、明るく、タイトで、ラジオ向きの輪郭を持つものになっている。Keith Moon期のThe Whoにあった予測不能な暴発感は大きく後退し、その代わりに、よりコンパクトな曲作り、明快なメロディ、ニュー・ウェイヴ以後の硬質なポップ感覚が前面に出ている。
The Whoの長いキャリアを振り返ると、『Face Dances』はしばしば賛否が分かれる作品である。『Tommy』『Who’s Next』『Quadrophenia』のような巨大な構想や、1970年代初頭の爆発的な演奏を期待すると、本作は軽く、控えめに感じられるかもしれない。しかし、本作には別の魅力がある。それは、巨大なロック・バンドが、時代の変化とメンバーの喪失を受け入れながら、自分たちの音を再定義しようとする姿である。The Whoはここで、かつての破壊的な若者のバンドではなく、中年期に入ったロック・バンドとして、社会、愛、孤独、音楽業界、自己認識を見つめている。
アルバム・タイトルの『Face Dances』は、直訳すれば「顔が踊る」といった意味になる。これは表情、仮面、人格、社会的な振る舞い、メディア上のイメージを連想させる。1980年代初頭は、MTVの登場を目前に控え、ロックにおいて視覚的イメージがますます重要になっていく時代だった。The Whoは1960年代からロック・オペラやコンセプト性を通じて、自己演出に長けたバンドだったが、本作ではその演劇性がより日常的で、皮肉な形へ変わっている。大きな物語よりも、個々の顔、表情、態度、関係のずれが主題になっている。
Pete Townshendのソングライティングは、本作でも中心にある。彼は1970年代を通じて、若者文化、精神的探求、ロック・スターの孤独、社会との断絶を描いてきた。『Face Dances』では、その視線がやや個人的で皮肉な方向へ向かう。曲には、名声や音楽業界への疲労、愛情関係の不安、自己破壊的な衝動、そして大人になったロック・ミュージシャンの居心地の悪さが表れている。Townshendの歌詞は、かつてのような大規模な物語構造ではなく、短い曲の中に鋭い観察と自嘲を込めるものになっている。
Roger Daltreyのヴォーカルも、本作では少し異なる役割を担う。1970年代の彼は、Townshendの書く巨大なドラマを肉体的な声で表現する存在だった。しかし『Face Dances』では、曲の多くがよりポップで、時に神経質なニュアンスを持つため、Daltreyは力任せに歌うのではなく、曲ごとの表情に合わせて歌を調整している。彼の声は依然として強いが、アルバム全体は以前ほど大仰ではない。これはThe Whoが新しい時代に向けて音量ではなく、質感や表情で勝負しようとした結果ともいえる。
Keith Moonの後任となったKenney Jonesのドラムは、本作を語るうえで避けて通れない。JonesはSmall FacesやFacesで知られる堅実なドラマーであり、Moonとはまったく異なるスタイルを持つ。Moonのドラムは曲の中で暴れ回り、メロディと衝突しながら独自の生命を持っていた。一方、Jonesのドラムはよりタイトで安定しており、曲を支える役割に徹している。この変化により、The Whoの音楽から混沌は薄れたが、同時に1980年代的な明快さと整理されたグルーヴが生まれた。『Face Dances』は、このドラマー交代によるバンドの性格変化が最もはっきり表れた作品である。
全曲レビュー
1. You Better You Bet
アルバム冒頭の「You Better You Bet」は、『Face Dances』を代表する楽曲であり、The Whoの1980年代における最大のヒットの一つである。明快なピアノのイントロ、親しみやすいメロディ、Daltreyの力強いヴォーカル、Townshendらしい皮肉と愛情が混ざった歌詞が結びつき、アルバムの入口として非常に完成度が高い。
音楽的には、1970年代The Whoの轟音ロックというより、洗練されたポップ・ロックとして構成されている。ギターはもちろん重要だが、曲全体を牽引するのはピアノとリズムの軽快さである。Kenney Jonesのドラムは安定しており、Keith Moon時代のような暴走感はない。その分、曲はラジオ向きに引き締まり、1981年のロック・シングルとして機能する音になっている。
歌詞は、恋愛の歌でありながら、Townshendらしい屈折がある。語り手は相手への執着や欲望を歌いながら、同時に自分の不安定さや滑稽さも露呈している。特にロックンロールや過去の音楽への言及は、恋愛と音楽的記憶が混ざり合うTownshend特有の書き方である。愛の歌であると同時に、ロック世代の記憶が恋愛感情の中に入り込んでいる。
「You Better You Bet」は、The Whoが1980年代にもなおポップ・ソングとしての強度を持っていたことを示す重要曲である。巨大なコンセプトに頼らず、単独の曲として強い魅力を放っている点で、本作の中核を成している。
2. Don’t Let Go the Coat
「Don’t Let Go the Coat」は、アルバムの中でも特に象徴的で、Townshendの精神的な関心が表れた曲である。タイトルの「コートを手放すな」という言葉は、非常に奇妙で、比喩的に響く。これは保護、信仰、導き、人生の支えとなるものを手放さないという意味に解釈できる。
音楽的には、明るく軽快なポップ・ロック調で、メロディも親しみやすい。だが、その明るさの背後には、不安や依存の感覚がある。The Whoの音楽では、しばしば明るい曲調の中に深い精神的な問いが隠されている。この曲もその例であり、表面上は穏やかだが、歌詞の奥には何かにすがろうとする切実さがある。
TownshendはMeher Babaへの信仰から大きな影響を受けており、この曲も精神的な導きや信頼の問題と結びつけて聴くことができる。コートは、単なる衣服ではなく、寒さや孤独から身を守るもの、あるいは人生の混乱の中で自分を保つための象徴である。手放してしまえば、自分を守るものを失う。
「Don’t Let Go the Coat」は、『Face Dances』の中で、The Whoの大人びた精神性を示す曲である。激しいロックではないが、Townshendの内面的な不安と信仰への希求が、柔らかなポップ・サウンドの中に込められている。
3. Cache Cache
「Cache Cache」は、タイトルからして少し謎めいた楽曲である。“cache-cache”はフランス語で「かくれんぼ」を意味し、隠れること、見つかること、逃げること、遊びと恐怖の境界を連想させる。The Whoの文脈では、これは単なる遊戯ではなく、自己を隠すこと、社会から逃げること、正体を見られることへの不安として響く。
音楽的には、比較的軽妙で、リズムも弾むような感覚がある。しかし、曲の雰囲気にはどこか落ち着かなさがある。Daltreyの歌唱は明るく押し出すだけではなく、歌詞の奇妙なユーモアと不安を含んでいる。Townshendの曲らしく、ポップでありながら、完全には安心できない。
歌詞では、隠れることや逃げることが中心にある。これは音楽業界や名声から逃れたいロック・スターの感覚とも読めるし、個人が社会の視線から身を隠す心理とも読める。1970年代のThe Whoが巨大なステージで自分たちを拡大していった後、本作ではむしろ「見られること」への疲労が強くなっている。
「Cache Cache」は、アルバムの中でユーモラスでありながら不安定な色を持つ曲である。『Face Dances』というタイトルが示す顔や仮面のテーマとも関係し、表に出る顔と隠された自己の問題を軽快なロックで描いている。
4. The Quiet One
「The Quiet One」は、John Entwistle作の楽曲であり、アルバムの中でも特に重く、ハードな性格を持つ。EntwistleはThe Whoにおいて、しばしば皮肉で黒いユーモアを持つ曲を書き、またベース・プレイヤーとしては非常に派手で攻撃的な演奏を行った。タイトルの「静かな者」は、実際には静かではない人物、あるいは表面上は控えめでも内側に強烈な力を持つ人物を示している。
音楽的には、ギターとベースの圧力が強く、アルバムの中で最も伝統的なハード・ロック寄りの曲の一つである。Entwistleのベースは相変わらず存在感が大きく、曲の推進力を支配している。Kenney Jonesのドラムも、ここでは比較的力強く、曲に硬い骨格を与えている。
歌詞は、Entwistle自身のバンド内での立ち位置とも重ねて聴ける。彼はThe Whoの中で比較的寡黙な存在に見られがちだったが、演奏面では非常に強烈な個性を持っていた。「The Quiet One」は、その矛盾を自嘲的に歌っているようにも響く。静かな者ほど、実は内側に大きな音を抱えている。
この曲は、『Face Dances』の中で重要なアクセントである。アルバム全体がポップ寄りに整理される中で、The Who本来の重さとEntwistleの個性を思い出させる。Daltreyの歌唱も力強く、アルバムにハードな輪郭を与えている。
5. Did You Steal My Money
「Did You Steal My Money」は、タイトルからして非常に直接的で、疑念と皮肉に満ちた曲である。「お前は俺の金を盗んだのか」という問いは、個人的な裏切り、音楽業界への不信、金銭をめぐる人間関係の歪みを連想させる。The Whoのような巨大なバンドにとって、成功と金は避けられないテーマだった。
音楽的には、リズムにややファンキーな感覚があり、The Whoの中では少し変則的な曲である。ギターの刻みやヴォーカルの言い回しには、緊張感と皮肉がある。曲は大きく盛り上がるというより、問い詰めるように進む。この反復的な感覚が、疑念のしつこさをよく表している。
歌詞では、金を盗まれたのか、誰が信用できるのかという問いが続く。これは単なる金銭トラブルではなく、成功したロック・バンドが周囲に対して抱く不信感の表れでもある。名声が大きくなればなるほど、周囲の人間関係には金や契約が入り込み、信頼は曖昧になる。Townshendはそれをユーモラスに、しかし苦く描いている。
「Did You Steal My Money」は、本作の中で最もシニカルな楽曲の一つである。The Whoが1980年代に入り、ロックの理想主義だけではなく、ビジネスとしての現実を意識せざるを得なかったことを感じさせる。
6. How Can You Do It Alone
「How Can You Do It Alone」は、孤独と自立、そして他者との関係をテーマにした曲である。タイトルは「どうして一人でそれができるのか」と問いかけており、個人主義への疑問、孤立への不安、あるいは誰かに頼ることの必要性を示している。
音楽的には、比較的シンプルなロック・ナンバーであり、Daltreyのヴォーカルが曲を引っ張る。リズムは軽快だが、歌詞にはやや重いテーマがある。The Whoは初期から、若者の孤独や社会との断絶を描いてきたが、本作ではその孤独が若者の反抗ではなく、大人の生活の中にある問題として表れる。
歌詞では、一人で生きること、あるいは一人で何かを抱え込むことへの疑問が歌われる。Townshendはしばしば、自立した個人でありたいという願望と、他者や信仰に支えられたいという欲求の間で揺れる。この曲にも、その矛盾がある。孤独は自由でもあるが、同時に限界でもある。
「How Can You Do It Alone」は、The Whoの大きなテーマである「個人と共同体」の問題を、1980年代的なコンパクトなロック・ソングとして扱った曲である。派手な名曲ではないが、アルバムの内面的な流れを支える重要なトラックである。
7. Daily Records
「Daily Records」は、音楽を聴く日常、レコードと個人の生活、そしてポップ・ミュージックが人間の感情をどのように支えるかをテーマにした楽曲である。The Whoはロックそのものについて歌うことの多いバンドであり、Townshendは音楽が個人の救済や自己認識にどう関わるかを繰り返し描いてきた。この曲もその系譜にある。
音楽的には、明るくポップなメロディが印象的で、本作の中でも特に親しみやすい曲の一つである。ギターとキーボードのバランスがよく、サウンドは軽やかに整えられている。The Whoの激しさよりも、Townshendのポップ・ソングライターとしての力が前面に出ている。
歌詞では、日々のレコードが生活に入り込み、感情や記憶を形作る様子が描かれる。これはロック・ファンにとって非常に身近なテーマである。レコードは単なる商品ではなく、日常の一部であり、自分の気分や人生の節目と結びつく。Townshendはそのことをよく理解している。
「Daily Records」は、『Face Dances』の中で最も温かい曲の一つである。The Whoが巨大なステージのバンドであると同時に、聴き手の部屋の中で鳴るレコードのバンドでもあることを思い出させる。音楽への愛と自嘲が混ざった、Townshendらしい楽曲である。
8. You
「You」は、John Entwistle作の楽曲であり、『Face Dances』後半に重い緊張を与える曲である。タイトルは非常にシンプルだが、その分だけ直接的な対峙の感覚がある。誰かに向かって「君」と呼びかけることは、親密さであると同時に、非難や怒りの表明にもなりうる。
音楽的には、暗く重いロック・サウンドが特徴で、Entwistleのベースが強い存在感を持つ。アルバム全体の明るいポップ感覚とは異なり、この曲には不穏さと圧力がある。Daltreyのヴォーカルも力強く、曲にドラマを与えている。
歌詞では、相手への怒りや不信が強く感じられる。Entwistleの曲には、しばしば冷笑的で刺々しい視線があり、この曲でも人間関係の暗い側面が描かれている。Townshendの曲が精神的な問いや自嘲へ向かうのに対し、Entwistleの曲はより直接的で、時に攻撃的である。
「You」は、アルバムの中でThe Whoの重い側面を担う楽曲である。ポップに整理された『Face Dances』の中に、Entwistleらしい黒い硬さを持ち込むことで、作品にバランスを与えている。
9. Another Tricky Day
アルバムを締めくくる「Another Tricky Day」は、『Face Dances』の終曲として非常に重要な楽曲である。タイトルは「また厄介な一日」という意味であり、大げさな悲劇ではなく、日々の困難、面倒、精神的な疲労を示している。これはThe Whoの後期的な成熟をよく表す言葉である。
音楽的には、ミドル・テンポの力強いロック・ナンバーであり、Daltreyのヴォーカルが非常に説得力を持つ。曲は派手に爆発するわけではないが、アルバムの最後にふさわしい粘りと広がりがある。Townshendのギターとメロディは、苦い現実を抱えながら前へ進む感覚を作っている。
歌詞では、人生は単純には解決しないが、それでも一日一日を越えていくしかないという態度が描かれる。これは若い頃のThe Whoが歌った「世代の怒り」とは違う。ここにあるのは、大人になり、喪失を経験し、ロックの理想も現実も知った後の強さである。派手な革命ではなく、厄介な日をまた生き抜くこと。それがこの曲の核心である。
「Another Tricky Day」は、『Face Dances』を非常に的確に締めくくる。アルバム全体に漂う不安、皮肉、愛、疲労、そして前へ進む意志が、この曲に集約されている。The Who後期の中でも、過小評価されがちな良曲である。
総評
『Face Dances』は、The Whoのキャリアにおいて、避けがたく「Keith Moon不在」の影を背負ったアルバムである。MoonのドラムはThe Whoの音楽において単なるリズムの役割を超え、バンド全体の爆発性そのものだった。そのため、本作が過去のThe Whoと同じエネルギーを持たないのは当然である。しかし、それを理由に本作を単なる弱い作品と見るのは早い。『Face Dances』は、The Whoが喪失と時代の変化の中で、新しいバンド像を探した作品である。
音楽的には、1970年代の巨大なコンセプト・ロックや轟音のライヴ感覚から、より整理されたポップ・ロックへ移行している。Bill Szymczykのプロデュースによって、サウンドは明るく、タイトで、ラジオ向きになっている。これはThe Whoの荒々しさを弱める一方で、Townshendのメロディ・メーカーとしての力を前面に出している。「You Better You Bet」「Daily Records」「Another Tricky Day」などは、その方向性が成功した例である。
歌詞面では、Townshendの内省と皮肉が中心にある。音楽業界、信仰、孤独、愛、金銭、不安、日常の困難。これらのテーマは、若き日のThe Whoが歌った世代的な怒りとは異なる。『Face Dances』のThe Whoは、もはや若者の代弁者ではない。むしろ、若さを失い、仲間を失い、それでもロック・バンドとして存在し続けることの難しさを歌っている。この点で、本作は非常に大人のアルバムである。
Roger Daltreyの歌唱は、本作でも強いが、以前ほど暴力的ではない。彼はTownshendの屈折した歌詞を、よりポップな形で聴き手に届ける役割を果たしている。John Entwistleは「The Quiet One」「You」でアルバムに黒く重いアクセントを加え、バンド内の多面性を維持している。Kenney Jonesのドラムは賛否の対象になりやすいが、本作の整理されたサウンドには合っている。Moonの代わりではなく、別のThe Whoを作るためのドラマーとして聴くべきである。
もちろん、本作には限界もある。『Who’s Next』や『Quadrophenia』にあった圧倒的な緊張感、演奏の危険性、アルバム全体を貫く巨大なヴィジョンはない。曲によっては軽く、The Whoとしては物足りないと感じられる部分もある。しかし、本作の価値は、過去の再現ではなく、変化の記録にある。The Whoが1981年という時代に、どう自分たちを成立させようとしたか。その試みが『Face Dances』には刻まれている。
日本のリスナーにとって本作は、The Who入門としては『Who’s Next』『Tommy』『Quadrophenia』『Live at Leeds』ほど分かりやすくないかもしれない。しかし、The Whoを1960年代から1970年代の破壊的なバンドとしてだけでなく、1980年代に入ってもなおソングライティングと自己更新を続けたバンドとして理解するには重要な一枚である。特に、後期The WhoやPete Townshendのソロ作品に関心があるリスナーには、本作の内省的なポップ感覚が興味深く響くだろう。
『Face Dances』は、The Whoの最高傑作ではない。しかし、Keith Moonの死後、バンドが自分たちの顔をもう一度作り直そうとしたアルバムである。タイトルが示すように、ここにはさまざまな表情がある。強がり、皮肉、疲労、信仰、怒り、愛情、日常の厄介さ。その顔が踊る様子を捉えた本作は、The Whoの成熟と不安を映し出す、過小評価されがちな後期作品である。
おすすめアルバム
1. The Who『Who’s Next』
1971年発表の代表作で、The Whoのロック・バンドとしての完成度が最も高い形で表れたアルバム。「Baba O’Riley」「Behind Blue Eyes」「Won’t Get Fooled Again」などを収録し、シンセサイザー、ハード・ロック、精神的なテーマが結びついている。『Face Dances』との比較によって、バンドの変化がよく分かる。
2. The Who『Who Are You』
1978年発表のアルバムで、Keith Moon在籍最後のスタジオ作。シンセサイザーを含む複雑なアレンジと、Townshendのロック産業への不安が強く表れている。『Face Dances』へ至る直前のThe Whoを理解するために重要である。
3. The Who『It’s Hard』
1982年発表の次作で、Kenney Jones参加期のThe Whoをさらに理解するために欠かせない作品。「Eminence Front」を収録し、1980年代的なサウンドとTownshendの内省がより濃く表れている。『Face Dances』と並べて聴くことで、後期The Whoの方向性が見える。
4. Pete Townshend『Empty Glass』
1980年発表のTownshendの代表的ソロ作。『Face Dances』直前の作品であり、Townshendの内面的な不安、依存、信仰、ポップ・ソングライティングが非常に強く表れている。『Face Dances』の多くのテーマを理解するために重要な関連作である。
5. The Jam『Sound Affects』
1980年発表のアルバムで、The Whoから大きな影響を受けたThe Jamが、ポストパンク/ニュー・ウェイヴ時代に英国ロックの鋭さを更新した作品である。『Face Dances』と同時代の英国ロックを考えるうえで、The Whoの影響が次世代にどう受け継がれたかを理解できる。

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