発売日: 2015年5月5日
ジャンル: インディーロック、ガレージロック、パワーポップ
MCIIIは、Mikal Croninの3枚目のスタジオアルバムであり、彼のサウンドと表現力がさらに成長し、より壮大でドラマチックな一面を見せている作品である。このアルバムでは、クローニンがオーケストレーションやストリングス、ホーンといった楽器を取り入れ、彼のガレージロックとパワーポップに新たな深みを加えている。特に、アルバムのB面(6曲目から11曲目)は、彼の個人的な経験や過去の困難を反映したコンセプト作品となっており、シンガーソングライターとしての表現力が高まっている。
MCIIIは、クローニンのキャッチーなメロディやエネルギッシュなギターに、深みのあるリリックが重なり合い、リスナーに強い印象を残す。シングル「Made My Mind Up」や「Turn Around」など、親しみやすくも力強い楽曲が揃っており、クローニンの音楽的進化が感じられる一枚となっている。
トラックごとの解説
1. Turn Around
アルバムのオープニングを飾るエネルギッシュなポップロックトラックで、クローニンのパワフルなギターリフとキャッチーなメロディが特徴。軽やかなサウンドの中に成長と変化のテーマが込められている。
2. Made My Mind Up
クローニンの代表的な楽曲で、メロディアスなギターとシンガロングが印象的。決意や覚悟がテーマで、アップテンポなリズムがリスナーを引き込む。
3. Say
ノスタルジックでメランコリックなメロディが特徴のトラックで、クローニンの繊細な一面が感じられる。シンプルな構成ながらもリリックが心に響く。
4. Feel Like
シンセサイザーが加わった新鮮なサウンドが印象的で、クローニンが新しいサウンドへと挑戦している。アップビートなリズムとポップなメロディが耳に残る。
5. I’ve Been Loved
バラード調の楽曲で、愛や喪失感をテーマにしている。ストリングスが美しく響き、クローニンのエモーショナルなボーカルが際立つ一曲。
6. Alone
アルバムのB面(コンセプトパート)の始まりを告げるトラックで、孤独と自己探求がテーマ。クローニンの感情がストレートに表現され、深い印象を残す。
7. Gold
アップテンポでパワフルなロックナンバー。成長や内面の葛藤を描いたリリックが力強く、クローニンのエネルギッシュなサウンドが楽しめる。
8. Control
シンプルなビートとギターが際立つ楽曲で、自己制御や変化への葛藤が描かれている。緊張感が漂うサウンドが印象的。
9. Ready
激しいギターリフと疾走感のあるリズムが特徴のトラックで、覚悟と前進の意志が表れている。ロックなエッジが強い一曲。
10. Different
内省的なテーマが込められた楽曲で、ピアノが美しく響き、繊細な感情が表現されている。クローニンの成長と変化が垣間見える。
11. Circle
アルバムを締めくくるエモーショナルなバラードで、彼の過去を振り返り、癒しと自己受容がテーマとなっている。シンプルながらも感動的なフィナーレ。
アルバム総評
MCIIIは、Mikal Croninがアーティストとして新たなステージへと進化した作品であり、彼のメロディセンスとリリックの深みが際立っている。特に、アルバム後半のコンセプトパートは彼の個人的な経験が色濃く反映され、リスナーに強い共感を与える。オーケストラの要素が加わったことで、サウンドがより豊かになり、彼の音楽に新しい層が生まれている。MCIIIは、クローニンのファンにとっても、新たなリスナーにとっても楽しめる一枚であり、彼の成長を示す重要なアルバムだ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Manipulator by Ty Segall
タイ・セガールのエネルギッシュで多彩なロックサウンドが特徴で、クローニンのパワーポップ的な要素と共通点がある。
Light Up Gold by Parquet Courts
パンクとインディーロックのエッジが効いた作品で、疾走感とリリカルなサウンドが楽しめる。
Benji by Sun Kil Moon
内省的で感情的なリリックが特徴のアルバムで、クローニンのパーソナルな面が好きなリスナーにおすすめ。
Slaughterhouse by Ty Segall Band
激しいガレージロックが特徴で、クローニンとセガールのローファイなアプローチが共鳴する一枚。
Attack on Memory by Cloud Nothings
パワフルでエモーショナルなロックが楽しめるアルバムで、クローニンのダイナミックなサウンドが好きな人におすすめ。
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