アルバムレビュー：High Drama by Adam Lambert

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 2023年2月24日
ジャンル: グラムロック、ポップロック、カバーアルバム

アダム・ランバートの表現力が炸裂するカバーアルバム
全曲レビュー
総評
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アダム・ランバートの表現力が炸裂するカバーアルバム

Adam Lambertの6thアルバムHigh Dramaは、彼が影響を受けた楽曲を自身のスタイルで再構築したカバーアルバムであり、彼のボーカル表現力とアーティストとしての進化を示す作品となっている。グラムロックやポップロック、エレクトロポップなど、多様なジャンルの要素を取り入れつつ、オリジナルとは異なる大胆なアレンジが施されている点が特徴的だ。

彼のシアトリカルなパフォーマンスと圧倒的な歌唱力が存分に発揮され、単なるカバーではなく、すべての楽曲が新たな命を吹き込まれたかのような仕上がりとなっている。

全曲レビュー

Holding Out for a Hero (Bonnie Tyler, 1984)
- オリジナルの壮大なロックサウンドを、モダンなエレクトロロックに大胆アレンジ。疾走感のあるビートとダークな雰囲気が、Adamのボーカルと見事にマッチしている。
Chandelier (Sia, 2014)
- Siaのヒット曲を劇的なバラードに変貌させたアレンジ。Adamのエモーショナルなボーカルが際立ち、原曲とは異なる壮大なサウンドスケープを生み出している。
Ordinary World (Duran Duran, 1993)
- 90年代の名バラードを、美しく洗練されたアコースティックアレンジで再構築。Adamの繊細な表現力が光る楽曲。
Getting Older (Billie Eilish, 2021)
- オリジナルの静謐な雰囲気を残しつつ、より劇的なボーカルとシンセアレンジが加わり、深みのある作品に仕上がっている。
I Can’t Stand the Rain (Ann Peebles, 1973)
- クラシックなソウル曲を、グルーヴィーでダークなエレクトロ・ブルースにアレンジ。Adamの低音ボーカルが冴えわたる。
West Coast (Lana Del Rey, 2014)
- 独特のテンポチェンジを持つLana Del Reyの楽曲を、よりハードなロックテイストでアレンジ。原曲のミステリアスな雰囲気を保ちつつ、よりドラマティックな展開を加えている。
Do You Really Want to Hurt Me (Culture Club, 1982)
- ボーイ・ジョージのアイコニックなバラードを、よりメランコリックで洗練されたサウンドにアレンジ。Adamのシアトリカルな歌唱が楽曲に新たな命を吹き込む。
Sex on Fire (Kings of Leon, 2008)
- 2000年代ロックのアンセムを、グラマラスなグラムロック風に再構築。ダイナミックなギターとAdamのシャウトが融合し、より情熱的な楽曲に仕上がっている。
My Attic (Pink, 2019)
- 比較的マイナーな楽曲を取り上げ、シンプルで心に響くバラードに仕上げた。Adamのボーカルが楽曲の持つエモーショナルな側面を際立たせている。
I’m a Man (The Spencer Davis Group, 1967)
- 60年代のブルースロックを現代風にアレンジ。シンセとギターが融合したエレクトロ・ロックアレンジで、エネルギッシュなサウンドが際立つ。
Mad About the Boy (Noël Coward, 1932)
- 1930年代のクラシックジャズを、スモーキーで洗練されたバラードにアレンジ。ジャジーなピアノとAdamのボーカルが魅力的に絡み合う。

総評

High Dramaは、単なるカバーアルバムにとどまらず、Adam Lambertのアーティストとしての個性と進化を示す作品となっている。彼は楽曲のオリジナルの魅力を尊重しながらも、それを自分のスタイルで完全に再構築し、全く新しい作品へと昇華している。

本作では、グラムロック、エレクトロポップ、バラード、ブルースロックといった多彩な要素が融合し、彼の音楽的な幅広さを存分に感じさせる。特に「Holding Out for a Hero」や「Sex on Fire」では、ダイナミックなロックサウンドが炸裂し、「Chandelier」や「Ordinary World」では、彼の感情表現の深さが光る。

これまでのオリジナルアルバムとは異なり、Adamのボーカルを前面に押し出した作品であり、彼のパフォーマーとしての圧倒的な実力を再確認させるアルバムとなっている。