
発売日: 2003年9月9日
ジャンル: ガレージロック、ロックンロール、パワーポップ
原点回帰を果たした20年ぶりのスタジオアルバム
The Romanticsの61/49は、彼らにとって1985年のRhythm Romance以来、実に18年ぶりとなるオリジナルアルバムである。本作は、バンドが80年代のポップ志向から脱却し、デビュー当時のロックンロールのエネルギーとガレージロックの荒々しさを取り戻した作品となっている。
タイトルの61/49は、ブルースの起源として有名なミシシッピ州の交差点(Highway 61とHighway 49)を指しており、バンドがロックンロールのルーツに立ち返るという意志を示している。このアルバムでは、シンプルでストレートなギターサウンドと、ダイナミックなリズムセクションが際立ち、The Romanticsの原点とも言える60年代のガレージロックの影響が色濃く表れている。
全曲レビュー
- Devil in Me
- 荒々しいギターリフとグルーヴ感のあるドラムが特徴のオープニングトラック。初期のThe Romanticsを彷彿とさせるシンプルなロックンロール。
- 61/49
- アルバムタイトル曲。ブルースロック的なテイストが強く、ルーツミュージックへの敬意が感じられる。シンコペーションの効いたリズムが印象的。
- New Kinda Pain
- キャッチーなメロディと荒々しいギターが融合した、パワーポップ色の強い楽曲。サビのコーラスワークが特に耳に残る。
- Make It Alright
- シンプルながらも力強いロックンロールナンバー。ストレートなコード進行と分厚いギターサウンドが特徴的。
- Been So Long
- 軽快なビートに乗せた爽快なロックチューン。ギターのリフが心地よく、ライブ向けのエネルギッシュな楽曲。
- Bigger Picture
- これまでのThe Romanticsの中では珍しい、ミドルテンポの楽曲。ブルージーなギターとエモーショナルなボーカルが際立つ。
- My Heart Goes Out
- 明るくポップな要素を持つナンバーで、デビュー当時のパワーポップ的な側面を思い起こさせる。メロディのフックが魅力的。
- Out of My Mind (Into My Head)
- リフ主体の疾走感あふれる楽曲。パンキッシュな勢いを感じさせるギターが印象的。
- I’m Hip
- 軽快なリズムとシンプルなコード進行が特徴。ロックンロールの楽しさが詰まったナンバー。
- Paint the Sky
- アルバムのラストを飾るミドルテンポの楽曲。少しメランコリックな雰囲気があり、バンドの成熟した一面が垣間見える。
総評
61/49は、The Romanticsの原点回帰を強く打ち出した作品であり、80年代のポップロック路線とは一線を画す、ガレージロックやブルースロックの影響を前面に出したアルバムである。ギター中心のシンプルなアレンジとストレートなロックンロールサウンドが魅力的であり、80年代のヒット曲「Talking in Your Sleep」のような洗練されたポップソングとは異なる、より荒削りなバンドの姿が楽しめる。
このアルバムは、The Romanticsの初期作品や、60年代のガレージロックの影響を受けた音楽が好きなリスナーにとって、非常に魅力的な作品となるだろう。
おすすめアルバム
- The Stooges – The Stooges (1969)
- ガレージロックの元祖とも言える作品。The Romanticsの初期衝動を感じさせるローファイなエネルギーと共通点がある。
- The Rolling Stones – Exile on Main St. (1972)
- ルーツロックやブルースの影響が強いアルバム。61/49と同じく、シンプルなロックンロールの魅力が詰まっている。
- The White Stripes – White Blood Cells (2001)
- ミニマルな編成ながらも、ガレージロックの荒々しさを最大限に生かした作品。The Romanticsの新たな方向性と重なる部分がある。
- Cheap Trick – Rockford (2006)
- 70年代から活躍するバンドのルーツ回帰的な作品。パワーポップとロックンロールのバランスが取れたサウンドが魅力。
- The Kinks – Low Budget (1979)
- ブリティッシュ・インヴェイジョンの影響を受けたロックンロール作品。The Romanticsのルーツに近いサウンドを持つ。
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