
発売日: 2013年11月19日
ジャンル: オルタナティヴ・ロック、アートロック、プログレッシブ・ロック
- A Perfect Circleの軌跡をたどるベスト盤
- 収録曲レビュー(通常盤)
- 1. The Hollow (Mer de Noms, 2000)
- 2. Judith (Mer de Noms, 2000)
- 3. Orestes (Mer de Noms, 2000)
- 4. 3 Libras (Mer de Noms, 2000)
- 5. Weak and Powerless (Thirteenth Step, 2003)
- 6. The Noose (Thirteenth Step, 2003)
- 7. The Outsider (Thirteenth Step, 2003)
- 8. Blue (Thirteenth Step, 2003)
- 9. When the Levee Breaks (eMOTIVe, 2004)
- 10. Imagine (eMOTIVe, 2004)
- 11. Counting Bodies Like Sheep to the Rhythm of the War Drums (eMOTIVe, 2004)
- 12. Passive (eMOTIVe, 2004)
- 13. By and Down (新曲, 2013)
- デラックスエディション追加収録曲
- 総評
- おすすめアルバム
A Perfect Circleの軌跡をたどるベスト盤
2013年にリリースされたThree Sixtyは、A Perfect Circleのキャリアを総括するベストアルバムであり、過去のアルバムからの代表曲に加え、新曲By and Downを収録している。本作は、バンドの音楽性の進化と多様性を振り返る絶好の入門編であり、ダークでエモーショナルなサウンドが一貫していることを示している。
ベストアルバムとしての編集方針も興味深く、単なるシングルの寄せ集めではなく、バンドの音楽的な流れを重視した選曲となっている。
また、本作には通常盤とデラックスエディションの2バージョンがあり、後者には追加の楽曲が収録されている。
収録曲レビュー(通常盤)
1. The Hollow (Mer de Noms, 2000)
A Perfect Circleの象徴的なオープニングナンバー。キーナンの静と動を行き来するヴォーカルと、ハワーデルの流麗なギターが印象的な楽曲。
2. Judith (Mer de Noms, 2000)
バンドの最も有名な楽曲の一つ。攻撃的なギターと宗教への批判的な歌詞が融合し、強烈なインパクトを与える。
3. Orestes (Mer de Noms, 2000)
ギリシャ神話に由来するタイトルを持ち、内省的で美しいメロディが特徴的な楽曲。
4. 3 Libras (Mer de Noms, 2000)
ヴァイオリンの旋律が幻想的なバラード。誤解や孤独をテーマにした歌詞が、キーナンの切ないヴォーカルによって際立つ。
5. Weak and Powerless (Thirteenth Step, 2003)
ダークでメロディアスなナンバー。依存症における無力感をテーマにした歌詞が印象的で、バンドの代表曲のひとつ。
6. The Noose (Thirteenth Step, 2003)
静かなギターアルペジオと美しいメロディが際立つ楽曲。中毒からの回復と、その後の傲慢さをテーマにしている。
7. The Outsider (Thirteenth Step, 2003)
本作で最もアグレッシブな楽曲のひとつ。自己破壊的な行動を外部から冷徹に見つめる視点を持つ。
8. Blue (Thirteenth Step, 2003)
比較的ポップなアレンジが施された楽曲で、メロディアスなギターと軽快なリズムが特徴的。
9. When the Levee Breaks (eMOTIVe, 2004)
レッド・ツェッペリン版で有名なブルース曲のカバー。スローテンポでドローン的なアレンジが施され、終末的な雰囲気を醸し出している。
10. Imagine (eMOTIVe, 2004)
ジョン・レノンの名曲を、ダークで不吉な雰囲気に変えたカバー。原曲の理想主義的なメッセージを反転させたような解釈が興味深い。
11. Counting Bodies Like Sheep to the Rhythm of the War Drums (eMOTIVe, 2004)
前作Thirteenth StepのPetをリミックスし、インダストリアルなビートを強調したバージョン。戦争プロパガンダを象徴するような不気味なサウンドスケープが広がる。
12. Passive (eMOTIVe, 2004)
元々はキーナンの別プロジェクトTapewormの楽曲。静と動のコントラストが際立つ楽曲で、感情の爆発が印象的。
13. By and Down (新曲, 2013)
本作唯一の新曲であり、A Perfect Circleの復活を告げる楽曲。静謐なピアノと美しいメロディが、バンドの新たな方向性を示唆している。
デラックスエディション追加収録曲
14. Rose (Mer de Noms, 2000)
内省的な雰囲気が漂う楽曲。
15. Ashes to Ashes (Live, originally by David Bowie)
デヴィッド・ボウイのカバー曲のライブバージョン。
16. Gravity (Thirteenth Step, 2003)
アルバムのラストを飾る静謐な楽曲。
総評
Three Sixtyは、A Perfect Circleのキャリアを象徴する楽曲を網羅したベストアルバムであり、バンドの進化と多様な音楽性を一度に体感できる作品となっている。特に、初期のヘヴィなオルタナティヴ・ロックから、Thirteenth Stepのメロディアスなアプローチ、eMOTIVeの政治的なカバー曲まで、バンドの変遷が明確に表れている点が興味深い。
新曲By and Downは、A Perfect Circleの新たな音楽性を示唆する楽曲であり、のちのEat the Elephantへと続く布石となった。
本作は、A Perfect Circleを初めて聴く人にとっての入門編として最適な一枚であり、バンドの代表曲をまとめて楽しむことができる。特に、Toolのファンやオルタナティヴ・ロックを深く掘り下げたいリスナーにおすすめだ。
おすすめアルバム
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Tool – Lateralus(2001)
メイナード・ジェームス・キーナンのもう一つのバンド。プログレッシブな要素が際立つ。 -
Nine Inch Nails – The Downward Spiral(1994)
インダストリアル・ロックの名盤で、A Perfect Circleにも影響を与えた。 -
Deftones – White Pony(2000)
叙情的なメロディとヘヴィなギターが融合した作品。 -
Porcupine Tree – Fear of a Blank Planet(2007)
プログレッシブ・ロックとオルタナティヴの融合。 -
Failure – Fantastic Planet(1996)
A Perfect Circleの音楽性に影響を与えたバンドの代表作。
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