
1. 歌詞の概要
“Let There Be Rock” は、アメリカのサザンロック/オルタナティブカントリーバンド Drive-By Truckers が2001年にリリースしたアルバム Southern Rock Opera に収録された楽曲であり、バンドの代表的な楽曲のひとつである。この曲は、ロックンロールへの愛と、それにまつわるノスタルジーをストレートに表現した楽曲 であり、バンドのリーダーである パターソン・フッド(Patterson Hood) の個人的な回想が歌詞に込められている。
曲名は、AC/DC の1977年のアルバム Let There Be Rock に由来しており、歌詞の中でも AC/DC への言及が見られる。この曲は、1970年代から1980年代にかけてのロックミュージックと、それを取り巻く文化 を振り返りながら、ロックが持つ自由や興奮、そしてその危険性までも描いている。
2. 歌詞のバックグラウンド
Southern Rock Opera は、Drive-By Truckers にとって最も野心的なアルバムのひとつであり、サザンロックの歴史と文化をテーマにしたコンセプトアルバム である。このアルバムでは、Lynyrd Skynyrd をはじめとする1970年代のサザンロックバンドの影響 や、彼らが抱えていた栄光と悲劇が語られている。”Let There Be Rock” は、その中でも特に個人的な視点でロックへの愛を語る楽曲 であり、パターソン・フッド自身の音楽的成長や体験が込められている。
曲の歌詞では、AC/DC や Led Zeppelin、Aerosmith などの伝説的なバンドのライブを観たかったのに行けなかったという少年時代の後悔 や、ロックミュージックが持つエネルギーに魅了された体験が描かれている。そして、最後には「俺はまだここにいて、ロックを続けている」と語り、音楽とともに生きることの喜びや誇りを表現している。
3. 歌詞の抜粋と和訳
以下に、”Let There Be Rock” の印象的な歌詞の一部を抜粋し、和訳を添える。
I never saw Lynyrd Skynyrd but I sure saw Molly Hatchet
With 38 Special and the Johnny Van Zant Band
和訳
俺は Lynyrd Skynyrd を見たことはなかったけど、Molly Hatchet は見た
38 Special と Johnny Van Zant Band と一緒にな
I never saw the Clash but I saw the Ramones
And the Pistols when they had Glen Matlock
和訳
俺は The Clash を見たことはなかったけど、Ramones は見た
それに、Sex Pistols も、グレン・マトロックがいた頃に
And I never saw Lynyrd Skynyrd but I sure saw AC/DC
With Bon Scott singing, let there be rock
和訳
俺は Lynyrd Skynyrd を見たことはなかったけど、AC/DC は見た
ボン・スコットが歌っていた “Let There Be Rock” をな
この歌詞では、ロックンロールに対する熱狂と、逃したチャンスへの後悔が入り混じった感情 が描かれている。「Lynyrd Skynyrd を見たことはなかった」というラインは、1977年の飛行機事故でバンドの主要メンバーが亡くなったことを示唆しており、当時のロックシーンの儚さを表している。一方で、「でも俺は AC/DC を見た」と歌うことで、ロックのエネルギーが受け継がれ、今も続いていることを強調している。
4. 歌詞の考察
“Let There Be Rock” は、単なる「ロックの思い出」を歌った楽曲ではなく、ロックンロールが持つ生々しいリアリティと、時代を超えた影響力を描いた作品 である。
パターソン・フッドは、この曲の中で 「自分が観たかったけれど観ることができなかったバンド」 について語りつつ、同時に 「自分が観たバンドの素晴らしさ」 も振り返っている。これは、多くのロックファンが共感できる感情であり、ライブに行くことの特別な価値や、音楽が人生に与える影響を感じさせるものになっている。
また、歌詞の中では 「俺はまだここにいる」 というフレーズが強調されており、これはロックンロールが単なる過去のものではなく、今も生き続けていることを示している。Drive-By Truckers 自身が、サザンロックの伝統を継承しながらも、新たな形でその精神を引き継いでいることを象徴するメッセージとも言える。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
- “Let There Be Rock” by AC/DC
曲名の元となった楽曲で、ロックンロールのパワーを全開にしたクラシック。 - “Free Bird” by Lynyrd Skynyrd
70年代のサザンロックの象徴的な楽曲で、Drive-By Truckers の音楽にも影響を与えた。 - “Rockin’ in the Free World” by Neil Young
ロックの持つ政治的メッセージとエネルギーを体現した楽曲。 - “Born to Run” by Bruce Springsteen
ロックンロールの自由な精神と、青春の儚さを描いた名曲。 - “Zip City” by Drive-By Truckers
バンドの代表曲のひとつで、サザンロックの叙情性が際立つ楽曲。
6. “Let There Be Rock” の影響と評価
“Let There Be Rock” は、Drive-By Truckers の中でも特にロックンロールへの愛を直接的に表現した楽曲 であり、多くのファンにとって特別な意味を持つ曲となっている。
この曲が収録された Southern Rock Opera は、バンドにとっての出世作であり、アメリカ南部のロック史と文化を描いたコンセプトアルバムとして高く評価された。特に、サザンロックの伝説的なバンド Lynyrd Skynyrd の影響を色濃く反映しつつ、現代的な視点でその精神を継承している点が特徴的である。
現在でも、この楽曲はバンドのライブセットリストに頻繁に登場し、観客との一体感を生み出すアンセムとなっている。Drive-By Truckers にとって、この曲は単なる回想ではなく、ロックンロールが持つ永遠の魅力と、そのエネルギーを次の世代へと受け継いでいく決意を示した楽曲 なのである。
コメント