発売日: 2012年6月26日
ジャンル: ノイズロック、シューゲイザー、ポストパンク
Worshipは、A Place to Bury Strangersが2012年にリリースした3枚目のスタジオアルバムで、バンドのノイズロックの探求をさらに深めた作品である。デビュー以来、轟音とインダストリアルなエッジを特徴としてきた彼らは、Worshipで再び暗く冷たいサウンドスケープを構築し、シューゲイザーの美学とポストパンクのダークさを極限まで追求している。フロントマンのオリヴァー・アッカーマンが制作する「Death By Audio」のエフェクトペダルによるノイズは健在で、これまで以上に重厚で没入感のあるサウンドが特徴的だ。アルバム全体を貫く冷徹なエネルギーは、聴く者を暗闇に引き込み、破壊的でありながらも美しい世界観が体感できる。
各曲解説
- Alone
アルバムのオープニングトラックで、重低音とエコーがかったギターが冷たく響く。孤独と疎外感がテーマで、暗く重々しい雰囲気が一瞬でリスナーを引き込む。 - You Are the One
ダークでメロディックな曲で、歪んだギターとシンプルなビートが特徴的。愛と崩壊を描いた歌詞が、冷たくも切ない印象を残す。 - Mind Control
高速で展開するインダストリアルなナンバーで、歪んだギターと攻撃的なリズムが曲に狂気を加えている。バンドの中でも特にエネルギッシュで、ライブ映えする一曲だ。 - Worship
タイトル曲で、アルバムの中核をなす壮大な一曲。深いベースとエフェクトに覆われたギターが重なり、聴く者を暗い深淵へと引き込む。サウンドスケープが壮麗で、シューゲイザーの轟音美を堪能できる。 - Fear
ドラマチックな展開とエコーの効いたボーカルが特徴の一曲で、恐怖と不安がテーマ。緊張感が曲全体に漂い、シネマティックな雰囲気が漂う。 - Dissolved
混沌としたノイズと重いリズムが絡み合う楽曲で、曲全体に漂う不安感が印象的。アッカーマンのボーカルが神秘的なエコーに包まれ、幻想的なサウンドが広がる。 - Why I Can’t Cry Anymore
悲しみと絶望が込められた曲で、ダークなギターとシンプルなビートが冷たい美しさを表現している。静かに進むメロディが哀愁を感じさせる。 - Revenge
ノイズの洪水と切迫したボーカルが交差し、復讐への強い感情が伝わる。激しいギターリフが曲のダークな雰囲気を際立たせ、アルバムの中でも特にエネルギッシュな一曲。 - And I’m Up
比較的軽快でアップテンポなナンバーで、キャッチーなリフとミステリアスな歌詞が特徴的。シューゲイザー特有のノイズにポップな要素が加わり、聴きやすさも兼ね備えている。 - Slide
ドラマチックなフィナーレにふさわしい曲で、轟音のギターとベースが絡み合う。スローテンポで進む重厚なサウンドが、聴き手に深い余韻を残す。
アルバム総評
Worshipは、A Place to Bury Strangersがシューゲイザーとノイズロックの美学を極限まで追求し、圧倒的なサウンドと暗く冷たい雰囲気を作り出したアルバムである。ポストパンクの影響が色濃く感じられ、冷たくも官能的なエネルギーが溢れる。タイトル曲「Worship」や「Mind Control」など、激しいノイズの中にもメロディの美しさが漂い、バンドの音楽性が一層洗練されていることが感じられる。圧倒的な音圧とダークな世界観が詰まったこの作品は、フィッシュファンやノイズロック、シューゲイザー好きにとっても必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Jesus and Mary Chain – Honey’s Dead
ダークなエネルギーとメロディアスなノイズが特徴のアルバムで、A Place to Bury Strangersのファンにも強く響く作品。轟音とメロディの対比が印象的。
Swans – To Be Kind
激しい音圧とダークな世界観を持つアルバムで、壮絶なサウンドとエネルギーが共通している。没入感のあるリスニング体験が楽しめる。
My Bloody Valentine – Loveless
シューゲイザーの金字塔であり、A Place to Bury Strangersの轟音美学に影響を与えた名盤。ノイズと美しさの共存が楽しめる。
Nine Inch Nails – Pretty Hate Machine
インダストリアルとポストパンクが融合した作品で、攻撃的なサウンドと冷たいメロディが、A Place to Bury Strangersのファンにとっても魅力的。
The Soft Moon – Zeros
冷たいシンセとダークなギターが特徴のアルバムで、シューゲイザーとポストパンクの要素が楽しめる。A Place to Bury Strangersのダークな側面が好きなリスナーにおすすめ。
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