
発売日:2015年4月7日
ジャンル:インディー・ロック、サイケデリック・ポップ、ソフト・ロック、ファンク、インディー・ポップ
概要
What For? は、アメリカのミュージシャン、Chaz Bearによるプロジェクト、Toro y Moiが2015年に発表したスタジオ・アルバムである。2013年の Anything in Return に続く作品であり、Toro y Moiのキャリアの中でも、特にギター・バンド的な質感、サイケデリック・ポップ、ソフト・ロック、ファンクの要素が強く表れたアルバムとして位置づけられる。
Toro y Moiは、2010年のデビュー作 Causers of This によって、Washed OutやNeon Indianと並ぶチルウェイヴの代表的アーティストとして注目された。しかし、Chaz Bearは早い段階から特定のジャンルに留まることを避け、2011年の Underneath the Pine では生演奏的なファンク、ソウル、サイケデリック・ポップへ接近し、2013年の Anything in Return ではR&B、ハウス、シンセ・ポップ、エレクトロニック・ミュージックを洗練された形で統合した。What For? はその流れの中で、電子的なプロダクションから一歩距離を取り、よりロック・バンド的な演奏感へ向かった作品である。
アルバム・タイトルの What For? は、「何のために?」という問いを意味する。これは非常にシンプルでありながら、Chaz Bearのキャリアにおける重要な感覚を示している。インディー・ミュージックの世界で注目され、チルウェイヴというジャンルの象徴の一人として語られ、さらにR&Bやダンス・ミュージックへと広がっていった彼が、ここで改めて「自分は何のために音楽を作るのか」「何のために変化し続けるのか」と問うているように聴こえる。タイトルは個人的な疑問であると同時に、2010年代半ばのインディー・アーティストが抱える、ジャンル、成功、自己表現、日常の意味への問いでもある。
音楽的には、1970年代のソフト・ロック、パワー・ポップ、サイケデリック・ポップ、ファンク、AOR、インディー・ロックの影響が感じられる。Big Star、Todd Rundgren、Steely Dan、Sly and the Family Stone、The Beatles後期、Tame Impala、The Sea and Cake、Stereolabなどを連想させる要素があるが、Toro y Moiはそれらを単なるレトロ趣味として再現しているわけではない。ヴィンテージなギター、柔らかなキーボード、軽いファンク・グルーヴ、淡いヴォーカルを、2010年代のインディー・ポップらしい軽やかな距離感でまとめている。
前作 Anything in Return がクラブ・ミュージックやR&Bのリズムを含んだ都会的な作品だったのに対し、What For? にはより日差しのあるバンド・サウンドが広がっている。ギターのカッティング、ベースのうねり、ドラムの生っぽい響き、柔らかなコーラスが中心となり、全体に開放感がある。ただし、明るく爽快なロック・アルバムというだけではない。歌詞には、自己不信、関係性の停滞、日常の空虚さ、目的の見えにくさがにじんでいる。音は明るいが、問いは消えない。この光と疑問の共存が本作の大きな特徴である。
歌詞面では、恋愛、孤独、怠惰、自己確認、時間の経過、生活の中の違和感が中心にある。Chaz Bearの歌詞は、劇的な物語や大きな社会批評を展開するものではなく、日常の中でふと浮かぶ疑問や、曖昧な関係性の感覚を短いフレーズで切り取ることが多い。本作でも、サウンドは軽やかでポップだが、その奥には「このままでいいのか」「これは何のためなのか」という不確かな問いが残る。
What For? は、Toro y Moiのディスコグラフィの中で、チルウェイヴ、ファンク、R&B、エレクトロニック・ポップとは異なる「インディー・ロック・バンドとしてのToro y Moi」を示した作品である。Chaz Bearがプロデューサーであるだけでなく、ソングライター、ギタリスト、バンド・リーダーとしての側面を強く見せたアルバムであり、彼の多面的な音楽性を理解するうえで重要な一枚である。
全曲レビュー
1. What You Want
オープニング曲「What You Want」は、アルバムの始まりにふさわしい軽快なギター・ポップである。タイトルは「君が欲しいもの」「君が望むもの」を意味し、欲望、期待、関係性の中で相手が何を求めているのかという問いを含んでいる。アルバム・タイトルの What For? と同じく、本作は問いかけから始まる作品であり、この曲はその出発点として機能している。
音楽的には、明るいギターの響きと軽やかなリズムが中心で、前作のエレクトロニックな質感からバンド・サウンドへ移行したことを明確に示している。ベースは弾むように動き、ドラムは過度に重くならず、曲に柔らかな推進力を与える。Chaz Bearのヴォーカルは、感情を大きく押し出すのではなく、少し距離を置いたトーンで歌われる。この抑制された歌唱が、明るいサウンドの中に微妙な不確かさを残している。
歌詞では、相手の望みと自分の立場のずれが描かれている。相手が何を求めているのか分からない、あるいは分かっていても応えきれないという感覚がある。これは恋愛関係だけでなく、リスナー、音楽シーン、アーティスト自身の期待関係としても解釈できる。アルバム冒頭から、明るいポップの表面の下に、目的や欲望への疑問が置かれている。
2. Buffalo
「Buffalo」は、本作の代表曲の一つであり、Toro y Moiのファンク的な側面とインディー・ロック的なギター・サウンドが自然に融合した楽曲である。タイトルの「Buffalo」は動物としてのバッファロー、地名としてのバッファロー、あるいは力強さや群れのイメージを連想させる。歌詞の意味は明確に一つへ固定されないが、曲全体には移動、押し出されるような力、どこか奇妙な開放感がある。
音楽的には、ギター・カッティングとファンキーなベースラインが印象的である。リズムは軽く跳ね、曲全体にダンスできるロックの感覚がある。Underneath the Pine で見せたファンク/ソウル志向が、ここではよりギター・ロック的な形へ変換されている。音はヴィンテージ感を持ちながらも、過度に懐古的ではなく、現代的なインディー・ポップの軽さが保たれている。
歌詞では、自分の立場や進む方向を探るような感覚がある。バッファローという言葉が持つ力強いイメージとは対照的に、ヴォーカルはどこか内向的で、完全な自信に満ちているわけではない。このギャップがToro y Moiらしい。サウンドは身体を動かすが、歌詞と声は少し考え込んでいる。アルバム序盤で本作のグルーヴとポップ性を強く印象づける楽曲である。
3. The Flight
「The Flight」は、タイトル通り飛行、逃避、移動、高さ、距離を連想させる楽曲である。本作には日常的な問いや停滞感が多く含まれているが、この曲ではそこから一時的に離れ、空中へ浮かび上がるような感覚が表れている。飛ぶことは自由である一方、地面から離れる不安も伴う。本曲はその二面性を持っている。
音楽的には、柔らかなギターとキーボードが空間を作り、リズムは軽やかに曲を運ぶ。サウンドにはサイケデリック・ポップ的な浮遊感があり、Toro y Moiが単なるファンク・ロックではなく、夢幻的な音響にも関心を持っていることが分かる。ヴォーカルは音の中に溶け、飛行中の視界のように輪郭が少し曖昧になる。
歌詞のテーマは、どこかへ行きたいという願望、現在の状況から距離を取りたい気持ちとして読める。飛行は物理的な移動であると同時に、精神的な逃避でもある。Chaz Bearの音楽において、逃避は完全な解決ではなく、状況を別の角度から見るための一時的な行為として表れることが多い。本曲は、アルバムの中に浮遊感と余白を与える重要な楽曲である。
4. Empty Nesters
「Empty Nesters」は、アルバムの中心的な楽曲の一つであり、タイトルからも分かるように「子どもが巣立った後の親」を指す言葉を用いている。ただし、Chaz Bearはこの言葉を家族生活の具体的な状況としてだけでなく、空になった場所、役割を失った人、誰かが去った後の空白としても扱っているように聴こえる。若いインディー・アーティストがこの言葉を用いることで、老い、変化、空虚さがユーモラスに反転している。
音楽的には、明るく跳ねるギター・ポップであり、非常にキャッチーである。軽快なリズム、印象的なメロディ、コーラスの開放感があり、本作の中でも特にポップな曲と言える。しかし、タイトルと歌詞が示すテーマは、明るいサウンドとは少しずれている。ここでもToro y Moiらしく、陽気な音の中に人生の空白や違和感が忍び込んでいる。
歌詞では、家、関係、役割、時間の経過が扱われていると読める。人が何かを育て、誰かを送り出し、その後に残る空間と向き合う感覚がある。これは家庭の話に限定されず、音楽的な意味でも読める。チルウェイヴという「巣」から出た後、Chaz Bearがどこへ向かうのかという問いとも重なる。明るいポップ・ソングとして聴ける一方で、本作のタイトル What For? に通じる存在論的な問いを含んだ楽曲である。
5. Ratcliff
「Ratcliff」は、アルバム中盤に置かれたインストゥルメンタル的な小品であり、Toro y Moiのサウンド構築能力を示す楽曲である。タイトルは地名や人名のようにも響くが、明確な物語を提示するというより、音の雰囲気を作るための名前として機能している。
音楽的には、サイケデリックで柔らかなキーボードとギターの響きが中心で、曲全体にスケッチのような軽さがある。明確な歌ものではない分、リズムと音色の質感が前面に出る。Toro y Moiのアルバムでは、こうした短い曲が重要な役割を持つ。楽曲と楽曲の間に空間を作り、アルバム全体を一つの流れとして聴かせるためである。
本曲は、What For? のギター・ポップ的な側面だけでなく、Chaz Bearが持つプロデューサーとしての耳を確認できる場面である。音の配置、残響、リズムの抜き差しによって、短い中にも独自の空気が生まれている。ポップ・アルバムの中の余白として、作品の立体感を高める小品である。
6. Lilly
「Lilly」は、女性名をタイトルにした楽曲であり、本作の中でも親密で柔らかな印象を持つ一曲である。人物名がタイトルに置かれることで、曲は個人的な記憶や関係性を帯びる。ただし、Toro y Moiの歌では、人物像が明確な物語として描かれるより、名前を通じて感情の焦点が示されることが多い。本曲でも、Lillyは具体的な人物であると同時に、記憶や感情の象徴として響く。
音楽的には、メロディアスで、やや甘いサイケデリック・ポップの質感がある。ギターは柔らかく、ベースはしなやかに動き、ドラムは軽く曲を支える。Chaz Bearのヴォーカルは控えめで、名前を呼ぶような距離感がある。過度に感傷的にならず、少しクールなまま親密さを表現するところがToro y Moiらしい。
歌詞では、相手への思い、過去の関係、言葉にしきれない距離が感じられる。サウンドは温かいが、そこには完全な安心ではなく、少しだけ手の届かない感覚がある。人物名を冠した曲でありながら、相手をはっきり描くのではなく、むしろ相手との距離を音楽化している。アルバム中盤で、感情的な柔らかさを与える楽曲である。
7. Spell It Out
「Spell It Out」は、「はっきり説明する」「一文字ずつ綴る」という意味を持つタイトルである。この言葉は、曖昧な感情や関係性を明確にすることへの要求を示している。本作全体には、何のために、何を望むのか、どこへ向かうのかという問いが多く含まれているが、本曲ではその曖昧さを言葉にすることがテーマになっている。
音楽的には、ファンク的なベースとリズム、軽快なギター、柔らかなキーボードが組み合わされている。曲は明るく、ダンサブルで、Toro y Moiのグルーヴ志向がよく表れている。サウンドには開放感があるが、歌詞のテーマはむしろコミュニケーションの困難である。この対比が本曲の魅力である。
歌詞では、相手に対してはっきり言ってほしい、あるいは自分自身が曖昧な感情を言語化しなければならないという感覚がある。現代的な人間関係では、多くのことがぼかされ、曖昧なまま進んでいく。本曲は、その曖昧さに対して「はっきりさせる」ことを求める。しかし、曲の軽やかさは、その要求が必ずしも深刻に解決されるわけではないことも示している。踊れるが、問いは残る楽曲である。
8. Half Dome
「Half Dome」は、ヨセミテ国立公園の有名な岩山を連想させるタイトルを持つ楽曲である。自然、巨大な地形、登山、視界の広がりといったイメージが浮かび上がる。アルバム全体が日常の問いや関係性を扱っている中で、本曲はより風景的で、自然のスケールを感じさせる。
音楽的には、ギターの響きが広がりを作り、曲全体に開放的な空気がある。サイケデリック・ロックやソフト・ロックの影響が感じられ、アルバムの中でも比較的ゆったりとした風景感を持つ。リズムは大きく走るのではなく、景色を眺めながら進むようなテンポである。
歌詞のテーマは、自然の中で自分を見つめ直すこと、日常から距離を取ることとして読める。Half Domeという巨大な岩山は、人間の小ささや時間の長さを感じさせる存在である。What For? という問いに対して、本曲は明確な答えを出すのではなく、人間の悩みを大きな風景の中に置いてみるような役割を持つ。アルバム後半に広がりをもたらす楽曲である。
9. Run Baby Run
「Run Baby Run」は、タイトルからして疾走感、逃避、衝動を持つ楽曲である。「走れ」という命令形は、恋愛の中の逃走、人生の焦り、自由への衝動として解釈できる。アルバム後半に置かれることで、ここまでの問いや停滞を振り切るような役割を担っている。
音楽的には、軽快で、ロック・バンドとしてのToro y Moiがよく表れている。ギターは明るく鳴り、リズムは曲を前へ押し出す。ファンク的な柔らかさよりも、ここではインディー・ロック的な推進力が強い。Chaz Bearのヴォーカルは相変わらず抑制されているが、曲全体には前へ進むエネルギーがある。
歌詞では、走ること、逃げること、立ち止まらずに動くことがテーマになっている。これは単なる楽観的な自由ではなく、動かなければならないという焦りにも近い。現状に留まることへの不安、関係や生活の中での閉塞感から抜け出したい気持ちが、軽快なサウンドに乗せられている。本作の終盤で、身体的なエネルギーを再び高める楽曲である。
10. Yeah Right
ラストを飾る「Yeah Right」は、皮肉と諦めを含んだタイトルを持つ楽曲である。「そうだね」「はいはい」といった意味合いを持ち、相手の言葉を受け流すようなニュアンスがある。アルバム全体が「何のために?」という問いを掲げてきたことを考えると、最後に「Yeah Right」と返すことは、答えを拒否するようでもあり、軽く受け流すようでもある。
音楽的には、穏やかで、余韻のある終曲である。派手なクライマックスではなく、少し肩の力を抜いた形でアルバムが閉じられる。ギターやキーボードは柔らかく、リズムも過度に主張しない。Chaz Bearのヴォーカルには、諦め、皮肉、軽さが混ざっている。明確な結論を出すのではなく、曖昧なまま終わるところが本作らしい。
歌詞のテーマは、相手への不信、言葉の空虚さ、納得できないまま受け流す態度として読める。日常の中で、人は多くの問いに明確な答えを出せない。何のために、何を望み、どこへ行くのか。そうした問いに対して、本曲は大きな答えを出さず、少し皮肉っぽい表情で終わる。この終わり方によって、What For? は答えのアルバムではなく、問いを残すアルバムとして完結する。
総評
What For? は、Toro y Moiのディスコグラフィの中で、特にギター・ロック、サイケデリック・ポップ、ソフト・ロックへの接近を示した重要作である。チルウェイヴの電子的な霧、Underneath the Pine のファンク/ソウル的な有機性、Anything in Return のR&B/ハウス的な都会性を経て、本作ではChaz Bearがバンド・サウンドを中心に据え、自身のソングライティングをより明確に打ち出している。
本作の魅力は、明るく軽やかな音と、内側に残る問いのバランスにある。「What You Want」「Buffalo」「Empty Nesters」「Spell It Out」などは、非常にポップで聴きやすく、ギターとリズムの感触も開放的である。しかし歌詞には、欲望の不確かさ、役割を失った空白、コミュニケーションの曖昧さ、人生の目的への疑問がにじんでいる。つまり本作は、陽気なインディー・ロックに見えながら、その中心には「何のために?」という根本的な問いがある。
音楽的には、70年代ソフト・ロックやファンク、サイケデリック・ポップへの参照が目立つ。ギターのカッティング、温かいキーボード、軽く跳ねるベース、乾いたドラムの音色は、ヴィンテージな質感を持っている。しかし、Toro y Moiはそれを過度に古典的なロックとして鳴らすのではなく、現代のインディー・ポップらしい軽さとミニマルな感覚でまとめている。過去の音楽を参照しながらも、重くならない。このバランスがChaz Bearのプロデューサーとしての強みである。
歌詞面では、Chaz Bearの控えめな視点が作品全体を支えている。彼は感情を大きく叫ぶタイプのシンガーではなく、むしろ少し離れた場所から自分の感情を観察する。そのため、本作の歌詞は強烈な告白というより、日常の中でふと浮かぶ疑問や、関係性の小さな違和感として響く。これはToro y Moiの音楽に独特の温度を与えている。冷たすぎず、熱すぎない。軽やかだが、空虚ではない。
また、本作はToro y Moiが「チルウェイヴ出身」というラベルをさらに遠ざけた作品でもある。Causers of This の時点で彼はチルウェイヴの象徴として扱われたが、What For? を聴くと、そのラベルだけでは彼の音楽を説明できないことが明らかになる。ここには、インディー・ロック・バンドとしての演奏、ファンク的なグルーヴ、パワー・ポップ的なメロディ、ソフト・ロック的な温かさがある。ジャンルを変えるというより、ジャンルごとに異なる身体感覚を試しているような作品である。
日本のリスナーにとって What For? は、Toro y Moiの中でも比較的聴きやすいアルバムの一つである。シティ・ポップ、AOR、ソフト・ロック、インディー・ポップ、サイケデリック・ポップに親しむ耳で聴くと、本作の柔らかなギターや軽快なグルーヴは非常に入りやすい。一方で、単なる爽やかなロック・アルバムではなく、歌詞や声の距離感には現代的な曖昧さがある。そこに2010年代のインディー・ミュージックらしさが表れている。
総じて What For? は、Toro y Moiが自らの音楽的変化を自然に進めた、明るくも問いに満ちたインディー・ロック作品である。チルウェイヴの霞から出発したChaz Bearが、ファンク、R&B、ハウスを経由し、ここでギター・ポップとサイケデリック・ロックの方向へ向かったことは、彼の柔軟な音楽性をよく示している。答えではなく問いを残すアルバムであり、その問いが軽快なグルーヴと柔らかなメロディの中で鳴り続ける点に、本作の独自性がある。
おすすめアルバム
1. Toro y Moi – Underneath the Pine
What For? の前段階として重要なアルバムであり、Toro y Moiがチルウェイヴからファンク、ソウル、サイケデリック・ポップへ移行した作品である。生演奏的な質感や柔らかなグルーヴは、What For? のギター・バンド的な方向性にもつながっている。
2. Toro y Moi – Anything in Return
2013年発表のアルバムで、R&B、ハウス、シンセ・ポップ、インディー・ダンスの要素を洗練された形でまとめた作品である。What For? とは音楽的な質感が異なるが、Chaz Bearがジャンルを横断しながらポップ・ソングを構築する力を理解するうえで重要である。
3. Tame Impala – Lonerism
サイケデリック・ポップ、インディー・ロック、ヴィンテージな音色を現代的なプロダクションで再構築した作品である。What For? よりも音響は濃密で内省的だが、60〜70年代的なロックの語法を現代のインディー感覚で更新する点で共通している。
4. Todd Rundgren – Something/Anything?
1970年代ソフト・ロック/パワー・ポップの重要作であり、宅録的な創作感覚と高度なソングライティングが結びついている。What For? にある柔らかなメロディ、ヴィンテージな音色、ポップと実験の中間感覚を歴史的に理解するうえで有効な作品である。
5. The Sea and Cake – Oui
軽やかなギター、ジャズ的なコード感、洗練されたインディー・ポップの質感を持つ作品であり、What For? の乾いたギター・サウンドや柔らかなリズム感と親和性が高い。ロックでありながら過度に熱くならず、洗練された距離感を保つ点で比較しやすいアルバムである。

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