Welcome to the Pleasuredome by Frankie Goes to Hollywood(1984)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

Welcome to the Pleasuredome” は、イギリスのシンセポップバンド Frankie Goes to Hollywood(フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド) が1984年にリリースしたデビューアルバム『Welcome to the Pleasuredome』のタイトルトラックであり、バンドの壮大なビジョンを象徴する楽曲 である。

この楽曲は、幻想的な快楽の世界への誘いを描きながら、消費主義や欲望の果てしなさを暗示するテーマ を持っている。タイトルの「Pleasuredome(快楽の宮殿)」は、18世紀の詩人サミュエル・テイラー・コールリッジの詩『クーブラ・カーン』に由来し、ユートピア的な幻想世界を指している

歌詞は、誘惑、官能、そして自由の世界へリスナーを引き込むような形で展開 しながらも、その裏にある人間の欲望の本質や、夢と現実の境界のあいまいさを示唆する

2. 歌詞のバックグラウンド

Frankie Goes to Hollywoodは、1980年代初頭に結成されたリヴァプール出身のバンド であり、エレクトロニック・ダンスミュージックと挑発的なイメージで一世を風靡した。「Welcome to the Pleasuredome」は、彼らのデビューアルバムの象徴的な楽曲であり、アルバムのコンセプトを凝縮した大作 となっている。

プロデューサーの トレヴァー・ホーン(Trevor Horn) は、この楽曲に大規模なオーケストレーションとシンセサイザーを駆使し、荘厳でドラマティックなサウンドを作り上げた。曲の長さは13分以上 に及び、構成も劇的な展開を見せる。

楽曲のリリース当時、Frankie Goes to Hollywoodは「Relax」や「Two Tribes」でセンセーションを巻き起こし、セクシュアリティや政治をテーマにした大胆な楽曲で注目を集めていた。「Welcome to the Pleasuredome」は、そうしたバンドのイメージを確立しながらも、より哲学的で幻想的なテーマを持つ楽曲 となっている。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に、この曲の印象的な歌詞の一部を抜粋し、日本語訳を添える。

The world is my oyster

世界は僕のオイスター(思いのままにできるもの)

Welcome to the Pleasuredome

快楽の宮殿へようこそ

Who-ha, who-ha
The jungle calls

フーハ、フーハ
ジャングルが呼んでいる

In Xanadu did Kubla Khan a stately pleasure-dome decree

ザナドゥにて、クーブラ・カーンは壮麗な快楽宮殿を築いた

The world is my oyster(世界は僕のオイスター)」は、シェイクスピアの戯曲『ウィンザーの陽気な女房たち』のセリフに由来し、世界が自由に探求できるものであることを示唆 している。また、「Xanadu(ザナドゥ)」は、『クーブラ・カーン』に登場する伝説的な宮殿を指し、幻想的な楽園のイメージ を想起させる。

この楽曲の歌詞は、リスナーを現実を超えた官能的で幻想的な世界へ誘いながら、自由と欲望の果てにあるものは何なのかを考えさせる ような構成になっている。

※ 歌詞の引用元: Genius

4. 歌詞の考察

「Welcome to the Pleasuredome」は、単なる幻想的な楽園への招待ではなく、欲望と自由のバランス、そして人間の根源的な衝動に対する問いかけを含んだ楽曲 である。

  • 「Pleasuredome(快楽宮殿)」は、果たして本当に理想郷なのか?
    • 楽曲の中では、自由と快楽が究極の幸せとして提示されるが、それが持つ危険性や儚さも暗示されている
  • 「ジャングルが呼んでいる」 というラインは、自然の衝動や本能的な欲望の象徴 として解釈できる。
  • 「世界は僕のオイスター」 という表現は、世界は無限の可能性に満ちているが、それをどう使うかは自分次第 という哲学的なメッセージを含んでいる。

この楽曲は、単なる享楽の賛美ではなく、欲望の追求の果てに何があるのかを考えさせる作品 であり、人間の本質に関する示唆を与える楽曲 となっている。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • “Relax” by Frankie Goes to Hollywood
    禁断の快楽をテーマにした、バンドの代表曲。

  • “Two Tribes” by Frankie Goes to Hollywood
    政治的なメッセージを含んだ、壮大なシンセポップトラック。
  • “Moments in Love” by Art of Noise
    シンセサウンドと幻想的な雰囲気が特徴のエレクトロニックミュージック。

  • “West End Girls” by Pet Shop Boys
    ダークで都会的なシンセポップの名曲。

  • “Blue Monday” by New Order
    1980年代のエレクトロ・ダンスミュージックを代表する一曲。

6. “Welcome to the Pleasuredome” の影響と評価

Welcome to the Pleasuredome」は、リリース後すぐに全英シングルチャートで2位を記録 し、Frankie Goes to Hollywoodの世界観を象徴する楽曲として知られるようになった。

特に、楽曲の長さ(13分以上)と壮大なサウンドスケープ は、当時のポップミュージックとしては異例のものであり、アルバム全体のコンセプトを表す作品 として高い評価を受けている。

また、この楽曲のミュージックビデオは、幻想的な映像とシュールな演出が特徴的で、バンドのビジュアル面での独創性も際立たせた

現在でも、この楽曲は1980年代のアート志向のポップミュージックの象徴 として語り継がれ、エレクトロニック・ミュージックの先駆的な作品として評価されている


Welcome to the Pleasuredome” は、幻想と現実、欲望と自由の境界を探る壮大な楽曲 であり、Frankie Goes to Hollywoodの持つアート的なセンスと哲学的な視点を象徴する作品 である。

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