発売日: 2019年3月1日
ジャンル: インディーロック、ブルース、ソウル
HozierのセカンドアルバムWasteland, Baby!は、彼のデビュー作と同じく深遠なテーマと詩的な表現が特徴だが、さらに広がりを見せる音楽的冒険を含んでいる。本作では、愛、混沌、希望といった普遍的なテーマが、美しいメロディとともに語られている。Hozierは、この作品でより洗練された音楽性を示しつつも、デビューアルバムで確立した独特のスタイルを失わないまま、より深い哲学的・感情的な領域に踏み込んでいる。
このアルバムのタイトルが示すように、現代世界の「荒廃」とその中での「希望」を探求する楽曲が多い。ゴスペル、ブルース、インディーロックの要素が巧みに融合し、Hozier特有の深く響く歌声が、壮大で感情的な旅へとリスナーを誘う。彼の音楽は、社会的メッセージを込めながらも、個人の内面に触れる親密さを持ち続けている。
トラック解説
1. Nina Cried Power (feat. Mavis Staples)
アルバムの幕開けを飾るこの曲は、ゴスペルとブルースの強烈な融合が際立つ。公民権運動を支えたアーティストたちへのオマージュとして書かれた歌詞は、魂に響くメッセージ性を持つ。Mavis Staplesのコラボレーションがこの楽曲に深みを加え、リスナーを力強い世界観へ引き込む。
2. Almost (Sweet Music)
タイトル通り、この曲は音楽への愛が溢れる一曲で、ジャズやブルースの巨匠たちへのリスペクトが随所に感じられる。軽快なメロディとHozierの柔らかい歌声が調和し、聴き心地が良いながらも、歌詞には深い感情が込められている。
3. Movement
シンプルながらも壮大なバラードで、Hozierのボーカルの美しさが際立つ一曲。愛と憧れをテーマにした歌詞は、まるでダンスのようにリズミカルで、聴く者を感情の渦へと巻き込む。
4. No Plan
軽快なギターリフが印象的なこの曲では、物事の無計画さを受け入れるというテーマが歌われている。リラックスした雰囲気ながらも、人生の流れに身を任せる哲学が感じられる。
5. Nobody
Hozierのユーモアセンスが光る楽曲で、明るいメロディとキャッチーなリズムが特徴だ。愛と自己認識についての軽妙な歌詞が、アルバム全体の中で一息つける瞬間を提供している。
6. To Noise Making (Sing)
歌うことそのものを祝福するような楽曲で、Hozierのゴスペルへの愛が溢れている。活気に満ちたコーラスが、リスナーを共鳴させ、楽しく歌いたくなる気持ちにさせる。
7. As It Was
静かで親密なこの曲は、過去への郷愁を歌っている。シンプルなアレンジがHozierの歌声を際立たせ、リスナーにじっくりと歌詞を味わう時間を与える。
8. Dinner & Diatribes
アルバムの中で最もロック色が強い一曲で、ユーモアと皮肉が混じった歌詞が印象的だ。リズムセクションが力強く、Hozierのエネルギッシュな面を楽しめる。
9. Wasteland, Baby!
アルバムを締めくくるタイトル曲は、内省的で穏やかな楽曲だ。世界の終わりをテーマにしつつも、その中で見出される美しさや愛が歌われており、アルバム全体を優しくまとめ上げている。
アルバムの魅力:愛と混沌の調和
Wasteland, Baby!では、Hozierは愛と希望を中心に据えつつ、現代社会の混沌や不安を取り上げている。アルバム全体に流れるゴスペルやブルースの影響が、聴き手に安心感を与える一方で、彼独自の視点が新鮮さを加えている。歌詞には詩的で哲学的な要素が含まれ、Hozierの音楽が単なる娯楽以上のものであることを証明している。
アルバム総評
Wasteland, Baby!は、Hozierが音楽的にも思想的にも進化を遂げたことを示す作品である。彼のソウルフルな歌声と深い歌詞は、リスナーを現実と夢の狭間に連れて行く。人生の明暗を探求し、愛と希望の力を称えるこのアルバムは、Hozierの音楽が時代を超える価値を持つことを再確認させる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
I Forget Where We Were by Ben Howard
繊細なギターと詩的な歌詞が、Hozierの音楽と共通する魅力を持つ一枚。
The Suburbs by Arcade Fire
Hozierの音楽同様、愛と社会的テーマを深く掘り下げたアルバム。
High as Hope by Florence + The Machine
ゴスペルやブルースの影響を受けた壮大なサウンドスケープが共通する。
In the Lonely Hour by Sam Smith
感情的なボーカルと普遍的なテーマが、Hozierファンにも響くだろう。
Trouble Will Find Me by The National
内省的で哲学的な歌詞と、美しいアレンジが魅力の一枚。
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