発売日: 1980年7月11日
ジャンル: ニューウェーブ / シンセポップ
Viennaは、ウルトラヴォックスのキャリアを大きく変えた4作目のスタジオアルバムであり、ミッジ・ユーレを新たなリードシンガーとして迎えた初の作品である。ジョン・フォックス脱退後、バンドは新たな音楽性を模索し、クラシカルな雰囲気とシンセサイザーを駆使した独自のサウンドを完成させた。本作は、ニューウェーブとシンセポップの金字塔的作品であり、1980年代の音楽シーンを代表する重要な一枚とされている。
プロデューサーは、レックス・ロックストン（フィル・コリンズやXTCとの仕事で知られる）。壮大な音響構築とドラマチックな楽曲構成が特徴であり、特にタイトル曲Viennaの成功がアルバム全体を象徴している。このアルバムでウルトラヴォックスは、アートロックの実験精神とメロディアスなポップセンスを兼ね備えた音楽性を確立した。
各曲解説
1 Astradyne
アルバムを壮大に幕開けするインストゥルメンタル曲。約7分間の楽曲は、シンセサイザーの美しい旋律とギターのミニマルなフレーズが重なり合い、未来的でドラマチックな世界を描き出している。バンドの音楽的野心が感じられる一曲だ。
2 New Europeans
シンセサイザーが主導するリズムとキャッチーなボーカルラインが特徴的。未来的な都市生活を描いた歌詞と、力強いギターリフが楽曲にエネルギーを与えている。シンセポップの魅力が凝縮されたナンバーだ。
3 Private Lives
メロウでミステリアスな雰囲気を持つ一曲。歌詞は個人の孤独と秘密に焦点を当てており、ミッジ・ユーレの冷静で感情的なボーカルが印象的。シンプルながら深い楽曲構成がリスナーを引き込む。
4 Passing Strangers
スピーディーなリズムとメロディアスなボーカルが融合した一曲。サビのキャッチーなメロディが耳に残り、シンセサイザーのリフが楽曲を引き締めている。アルバムの中でも特に躍動感のある楽曲だ。
5 Sleepwalk
アルバムからの最初のシングルで、シンセサイザーのリズムとダークなトーンが特徴。歌詞は夢と現実の境界を描き、ミッジ・ユーレの表現力豊かなボーカルが曲の緊張感を際立たせている。シンセポップの傑作として評価される楽曲だ。
6 Mr. X
ドイツのクラウトロックの影響を色濃く感じるミステリアスなトラック。リズムマシンとシンセサイザーが絡み合い、暗く不穏な雰囲気を作り出している。歌詞はスパイを題材にしたストーリー性を持ち、バンドの実験的な一面が光る。
7 Western Promise
アジアの文化と西洋の摩擦を描いた楽曲。エキゾチックなメロディとシンセサイザーの独特のアレンジが印象的で、歌詞には社会的なメッセージが込められている。バンドの音楽的な広がりを感じさせる一曲だ。
8 Vienna
アルバムのタイトル曲であり、ウルトラヴォックスの最大のヒット曲。荘厳なシンセサイザーの旋律とミッジ・ユーレの感情的なボーカルが特徴で、クラシカルな要素を取り入れたドラマチックな構成が圧倒的な存在感を放つ。歌詞は感傷的で詩的な表現が目立ち、80年代を象徴する楽曲として広く認知されている。
9 All Stood Still
アップテンポでエネルギッシュな楽曲。アルバムを締めくくるにふさわしい勢いのある一曲で、歌詞は混乱した世界の終末を描いている。シンセサイザーのリフと力強いビートが印象的だ。
アルバム総評
Viennaは、ウルトラヴォックスが音楽的な進化を遂げ、ニューウェーブとシンセポップの代表的な存在となるきっかけを作った作品である。ミッジ・ユーレの加入によるドラマチックな楽曲構成と洗練されたメロディは、アルバム全体にわたり圧倒的な完成度を誇る。特にタイトル曲Viennaはバンドの代名詞的な存在であり、彼らのキャリアの中でも頂点に位置する一曲だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Metamatic by John Foxx
ジョン・フォックス脱退後のソロアルバムで、シンセサイザー主体の冷たい音像が共通している。
Dare by The Human League
ニューウェーブとシンセポップの傑作で、ドラマチックなサウンドとメロディアスな楽曲が特徴的。
Architecture & Morality by Orchestral Manoeuvres in the Dark (OMD)
クラシカルな雰囲気とシンセポップの融合が際立つアルバム。
Low by David Bowie
ウルトラヴォックスに影響を与えた名盤で、シンセサイザーを駆使したサウンドが特徴。
Rio by Duran Duran
同時代のニューウェーブシーンを代表する作品で、キャッチーなメロディとシンセサウンドが共通している。
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