発売日: 2013年4月30日
ジャンル: ダンスパンク、ファンク、インディーロック
Thr!!!er(読み方は「Thriller」)は、!!! (Chk Chk Chk)の5作目のアルバムであり、バンドのポップセンスと実験精神がさらに進化した一枚である。タイトルは、マイケル・ジャクソンのThrillerを意識し、最高傑作を作り上げるという野心を込めたものだ。ダンスフロア向けのエネルギッシュな楽曲と、バンドの多様な音楽性が見事に融合し、ファンク、ディスコ、エレクトロニカの要素を散りばめながらも、よりコンパクトで洗練されたサウンドを展開している。
プロデュースにはジム・イーノ(Spoon)が参加し、タイトなリズムセクションとクリアなミックスが特徴的。!!!の従来のファンにはもちろん、初めて聴くリスナーにも親しみやすい仕上がりとなっている。
トラック解説
1. Even When the Water’s Cold
ファンキーなベースラインとカッティングギターが楽曲をリードするアップビートなトラック。日常のストレスと、それを乗り越える軽快さを描写した歌詞が共感を呼ぶ。
2. Get That Rhythm Right
複雑なリズムとループするベースが印象的なトラック。ダンスフロアを意識したエネルギーが満載で、シンセサウンドが楽曲に躍動感を加えている。
3. One Girl/One Boy
アルバムの中でも特にキャッチーなトラックで、デュエット形式のボーカルが新鮮。ディスコの影響が色濃く、サビのメロディが耳に残るポップな楽曲。
4. Fine Fine Fine
軽快なテンポと心地よいシンセサウンドが特徴のトラック。歌詞には楽観的なメッセージが込められており、アルバム全体の中でリラックスした雰囲気を提供している。
5. Slyd
エレクトロニカの要素が強いトラックで、ボーカルサンプルやリズムの切り替えが楽曲を盛り上げる。クラブシーンにも馴染むスタイリッシュな一曲。
6. Californiyeah
アルバムの中で特にエネルギッシュなトラック。!!!らしいカラフルなファンクサウンドが全開で、歌詞にはカリフォルニアの自由な空気感が描かれている。
7. Except Death
重厚なベースとミステリアスなシンセサウンドが楽曲に深みを与える。ダークな雰囲気の中に、リズムセクションの緊張感が光る一曲。
8. Careful
ゆったりとしたリズムと浮遊感のあるメロディが特徴。控えめなアレンジが楽曲に感情的な深みを加えている。
9. Station (Meet Me at the)
アルバムを締めくくるファンキーで爽やかなトラック。躍動感のあるリズムセクションとキャッチーなフックが、最後までリスナーを踊らせる。
アルバム総評
Thr!!!erは、!!! (Chk Chk Chk)の洗練された音楽性とポップセンスが光る作品であり、これまでの実験的なサウンドを保ちながらも、より明確なメロディとダンスフロアへの親和性を高めている。特に「One Girl/One Boy」や「Slyd」のようなトラックは、バンドの多様なスタイルとキャッチーな要素が絶妙に融合しており、リスナーを飽きさせない。
プロデューサーのジム・イーノの貢献も大きく、サウンド全体がタイトでクリアにまとめられている点が印象的だ。本作は、バンドの既存のファンだけでなく、ダンスミュージック初心者にもおすすめできる作品となっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
LCD Soundsystem – This Is Happening
ファンクとダンスの要素を取り入れたスタイリッシュなサウンドが共通。
Hot Chip – In Our Heads
キャッチーでポップなメロディとダンサブルなビートが、Thr!!!erと響き合う。
The Rapture – Pieces of the People We Love
ディスコとパンクの融合が見事で、!!!のファンにも刺さる内容。
Friendly Fires – Pala
トロピカルな要素とファンキーなリズムが、Thr!!!erの明るいエネルギーに似ている。
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