Something Else by Sex Pistols(1979)楽曲解説

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

楽曲の概要

「Something Else」は、Sex Pistols名義で1979年に発表された楽曲で、Eddie Cochranが1959年に発表したロックンロール曲「Somethin’ Else」のカバーである。オリジナルの作者はSharon SheeleyとEddie Cochranの兄Bob Cochran。Sex Pistols版ではSid Viciousがリード・ボーカルを担当しており、Johnny RottenことJohn Lydonが脱退した後の、バンド末期の混乱した状況から生まれた録音である。1979年2月に英国でシングルとして発売され、全英シングル・チャート3位を記録した。

このバージョンは、Sex Pistolsの正式なバンド活動の中心から生まれた作品というより、1978年の映画企画『The Great Rock ‘n’ Roll Swindle』と深く結びついている。同作のサウンドトラック・アルバムにも収録され、Viciousが歌う「C’mon Everybody」と並んで、1950年代のEddie Cochran作品をパンクの荒々しい音へ置き換えた録音となった。演奏時間は2分台と短く、オリジナルのロックンロールが持つ若者の欲望を、より乱暴で切迫したサウンドへ変えている。

歌詞の概要

歌詞の語り手は、欲しいものを手に入れられない若者である。まず目を奪われるのは魅力的な女性だが、自分には相手にされない。さらに欲しい車を見つけても、それを買う金がない。恋愛と消費という二つの欲望が並べられ、どちらも「欲しいが、自分には届かない」という同じ問題にぶつかる。そこで語り手は諦めるのではなく、働いて金を貯め、自分の力で状況を変えようとする。

この筋書きは1950年代のアメリカのティーンエイジャー文化に強く結びついている。車は単なる移動手段ではなく、自由、独立、恋愛、社会的な格好よさをまとめて象徴する存在だった。最後に語り手が望んだ車を手にすると、それまで自分を相手にしなかった周囲の視線まで変わる。題名の「Somethin’ Else」は、目を見張るほど素晴らしいものを指す当時の口語表現であり、憧れの女性と車の両方に重なる。

Sex Pistols版でも基本的な物語は変わらない。しかしSid Viciousが歌うことで、努力して欲しいものを手に入れるという比較的健全な青春物語より、「今ここにないものを強引に欲しがる」衝動の方が前面に出る。歌詞そのものよりも、歌い方と演奏によって人物像が変わったカバーである。

制作背景・時代背景

この曲を理解するには、録音時点でSex Pistolsが事実上崩壊していたことが重要である。バンドは1978年1月、初のアメリカ・ツアー最終公演となったサンフランシスコのWinterland Ballroom公演を最後にJohn Lydonが離脱した。その後もマネージャーMalcolm McLarenを中心に「Sex Pistols」という名前は使用され、映画『The Great Rock ‘n’ Roll Swindle』とその音楽制作が続けられたが、『Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols』を作った4人組としての活動とは性格が大きく異なる。

Sid ViciousはもともとSex Pistolsのベーシストとして加入した人物だが、この時期にはボーカリストとして「My Way」やEddie Cochranの「C’mon Everybody」「Somethin’ Else」を録音した。「Something Else」の録音では、Viciousがボーカルを担当した一方、演奏にはSteve JonesとPaul Cookが参加している。つまり、Viciousの荒い声を、Sex Pistolsの中でも演奏力の安定していたJonesとCookが支える形である。

Eddie Cochranを選んだことも、パンクと1950年代ロックンロールの距離を考えると自然である。英国パンクは音響的には当時のプログレッシブ・ロックや大規模なスタジアム・ロックへの反発として語られやすいが、その簡潔さや反抗的な若者像には初期ロックンロールとの接点があった。Cochranの曲は短く、ギター中心で、若者の欲望や苛立ちを直接扱う。「Something Else」は、1959年のティーンエイジャー向けロックンロールを1970年代末のパンクへ変換しやすい素材だったのである。

歌詞の抜粋と和訳

この曲では長い歌詞を引用しなくても、タイトルの「Somethin’ Else」という表現を押さえることで内容を理解しやすい。

Somethin’ else

和訳:こいつはすごい/とびきりだ

ここでの「something else」は単純な「何か別のもの」ではなく、強い感嘆を表す口語表現である。語り手にとって憧れの女性や車は、自分の現在の生活から少し離れた「とびきりのもの」である。その距離を努力によって縮めていくのがオリジナルの物語だが、Sex Pistols版ではViciousの歌唱によって、憧れよりも欲望の荒々しさが強調される。

サウンドと歌詞の考察

Sex Pistols版「Something Else」で最も分かりやすい変化は、1950年代ロックンロールの軽快さが、1970年代パンクの重量と歪みに置き換えられていることである。Eddie Cochranのオリジナルではギターとリズムが比較的軽く跳ね、歌詞にある車や恋愛への憧れが若々しい楽しさとして聞こえる。Sex Pistols版ではSteve Jonesのギターが太く歪み、コードを大きな塊として押し出すため、同じ曲でもずっと攻撃的になる。

Jonesのギターは複雑な装飾を増やすのではなく、シンプルなコードとリフを厚い音で鳴らす。ここには『Never Mind the Bollocks』でも重要だったSex Pistolsの方法が残っている。パンクはしばしば「演奏が下手な音楽」と単純化されるが、JonesとPaul Cookのコンビはむしろ非常にタイトである。Cookが一定のビートを強く刻み、その上でJonesのギターがほとんどリズム楽器のように働くことで、曲は短い時間を一直線に走る。

Sid Viciousのボーカルは、その整った演奏とは対照的だ。John Lydonの歌唱には、単語の発音やアクセントを意図的に歪ませながら歌詞の皮肉を伝える独特のコントロールがあった。それに対してViciousは、より粗く、叫びに近い声で曲を押し切る。「Something Else」ではこの未整理な声が欠点であると同時に、カバーの性格を決定している。歌詞の主人公が計画的に働いて欲しいものを買う人物というより、欲望をその場で吐き出す人物のように変わるからだ。

この変化は、歌詞が作られた1959年と録音された1970年代末との違いにも重なる。オリジナルには、働いて貯金し、車を購入することで若者が少しずつ社会の中で自由を得るという戦後アメリカ的な物語がある。Sex Pistols版ではその筋書き自体は残っているものの、演奏には秩序立った成長の感覚がほとんどない。ギター、ドラム、ボーカルが最初から高いエネルギーで鳴るため、「努力していつか手に入れる」という時間の流れより、「欲しい」という瞬間的な衝動が支配的になる。

Paul Cookのドラムも、この変換に大きく貢献している。ロックンロール特有のスウィング感を強調するより、拍を明確に押し出して曲を直線的にする。そのため身体の揺れ方も変わる。Eddie Cochran版が腰を左右に動かすようなロックンロールだとすれば、Sex Pistols版は前方へ身体をぶつけていくような感覚に近い。曲の骨格は1950年代のままなのに、リズムの重心を変えることで1979年の音になっている。

それでも、オリジナルのメロディとコード進行が簡潔だからこそ、パンクへの変換は無理なく成立する。ここから分かるのは、1950年代ロックンロールと1970年代パンクが完全に断絶した音楽ではないということだ。短い演奏時間、ギター中心の編成、覚えやすいフック、若者の欲望を直接語る歌詞という基本設計には多くの共通点がある。Sex Pistols版はCochranの曲を壊して別物にするというより、その内部にもともとあった荒々しさを増幅している。

一方で、この録音を『Never Mind the Bollocks』期のSex Pistolsと同じ意味で捉えるのは難しい。John Lydonが歌っておらず、バンドはすでに分裂していたからである。1976〜77年のSex Pistolsでは、Lydonの歌詞と声が英国社会への嫌悪や皮肉を明確にしていた。「Something Else」にはその政治的・社会的な切れ味はなく、むしろViciousという人物のイメージを前面に出したロックンロールになっている。

その意味で「Something Else」は、Sex Pistolsの終盤が持つ奇妙さをよく示す曲でもある。バンドが崩壊した後に、1950年代の曲をカバーし、それがSex Pistols名義のヒット・シングルになる。反体制的なパンク・バンドとして登場した存在が、最後にはロックンロールの古典そのものを演奏していたのである。しかしそれは単純な後退ではない。Eddie Cochranの曲を聴けば、パンクが破壊しようとしたロックの歴史と、パンク自身が受け継いだロックンロールの衝動が、実はかなり近い場所にあったことが分かる。

さらに、この曲はSid Viciousという人物が後世に与えたパンクのイメージとも切り離せない。技術的な完成度より態度や外見、自己破壊性によって象徴化されたViciousが、古典的なロックンロールを歌うことで、曲の主人公まで危険な人物に聞こえてしまう。実際の歌詞は車を欲しがる若者の比較的無邪気な物語なのに、声とバンドの音だけで意味の温度が変わる。「Something Else」は、カバーとは歌詞やメロディを変えなくても、演奏者の人格と音色によって別の作品になり得ることを分かりやすく示している。

この曲が好きな人におすすめの曲 5曲

「C’mon Everybody」 by Sex Pistols

同じくSid Viciousが歌ったEddie Cochranのカバー。「Something Else」と対になるような録音で、50年代ロックンロールをSteve JonesとPaul Cookの重いパンク演奏へ変換する方法をさらに直接的に確認できる。

「Somethin’ Else」 by Eddie Cochran

1959年のオリジナル。軽快なギターと若々しいボーカルによって、車と恋愛への憧れを描く。Sex Pistols版と聴き比べれば、同じメロディと歌詞が演奏の重さだけでどれほど違って聞こえるかが分かる。

「My Way」 by Sid Vicious

Frank Sinatraで広く知られる曲をViciousが大胆に崩したカバー。前半のぎこちない歌唱から爆発的なパンクへ変化し、「Something Else」以上に、既存のスタンダードを人物像そのものによって乗っ取る感覚が強い。

「Brand New Cadillac」 by The Clash

Vince Taylorのロックンロール曲をThe Clashが1979年の『London Calling』でカバーしたもの。初期ロックンロールと英国パンクの距離の近さを示すという点で、「Something Else」と非常に比較しやすい録音である。

「Something Else」 by The Move

Eddie Cochran作品を英国のロック・バンドが取り上げた別の例。Sex Pistolsより前の世代が50年代ロックンロールをどう受け継いだかを知ることで、パンクによるカバーの荒々しさがよりはっきり見えてくる。

まとめ

Sex Pistols版「Something Else」は、Eddie Cochranの1959年の青春ロックンロールを、約20年後のパンクの音圧とSid Viciousの人格によって塗り替えたカバーである。歌詞は車や恋愛への憧れと、それを手に入れようとする若者の物語のままだが、Steve Jonesの太いギター、Paul Cookの直線的なドラム、Viciousの荒い声によって、努力の物語より欲望の瞬発力が前面に出る。John Lydon脱退後の録音であるため、Sex Pistolsの中心的作品とは性格が異なる一方、50年代ロックンロールと70年代パンクが共有していた簡潔さ、反抗性、若者の衝動をむしろ鮮明にする。バンド崩壊期の特殊な録音でありながら、パンクがどこから来た音楽なのかを意外な形で示す一曲である。

参照元

  • Official Charts Company「Sex Pistols」
  • Universal Music『The Great Rock ‘n’ Roll Swindle』
  • AllMusic『The Great Rock ‘n’ Roll Swindle』
  • Discogs「Sex Pistols – Something Else」
  • Songwriters Hall of Fame「Sharon Sheeley」

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