
発売日: 2022年5月13日
ジャンル: エレクトロポップ、オルタナティブ・ポップ、フューチャーベース
リフレッシュされたサウンドで描く新たなフェーズ
The Chainsmokersの4thアルバムSo Far So Goodは、彼らにとって約3年ぶりのフルアルバムであり、ポップとエレクトロの境界線を曖昧にする独自のスタイルをさらに発展させた作品である。前作Sick Boy(2018年)やWorld War Joy(2019年)では、ダークなテーマやヒップホップ、ロック的な要素を取り入れる実験が見られたが、本作ではより洗練されたポップサウンドに回帰しつつ、メロディックでリラックスした雰囲気が強調されている。
リードシングル「High」では、名声と恋愛の狭間で揺れ動く感情をテーマにしつつ、軽快なビートとシンセサウンドで仕上げられ、The Chainsmokersらしいキャッチーな楽曲に仕上がっている。一方で、アルバム全体としては「派手なEDMドロップ」を抑え、よりインディー・ポップ的なアプローチが見られるのが特徴的だ。
全曲レビュー
- Riptide
- シンセポップとオルタナティブ要素を融合した、アルバムの幕開けにふさわしい楽曲。
- アップビートなリズムとキャッチーなメロディが印象的で、ポジティブな雰囲気が漂う。
- High
- アルバムのリードシングルで、キャッチーなフックとリズミカルなギターリフが特徴的。
- 歌詞では、複雑な恋愛と自己認識の葛藤が描かれている。
- iPad
- イントロのエレクトロニックなサウンドとエモーショナルなボーカルが印象的な楽曲。
- 「High」と同様に、現代の恋愛とSNSにまつわる感情がテーマ。
- Maradona
- シンプルなビートとエレクトロニックなシンセが際立つトラック。
- 軽快なメロディが心地よく、ドライブにも最適な一曲。
- Solo Mission
- 内省的な歌詞と、ミッドテンポのビートが特徴的な楽曲。
- クラブ向けのサウンドではなく、リスニングに適した洗練されたプロダクション。
- Something Different
- The Chainsmokersの従来のスタイルとは少し異なる、オルタナティブ・ポップ寄りの楽曲。
- アコースティックギターの要素も取り入れられ、温かみのあるサウンド。
- I Love U
- 80年代のシンセポップの影響を感じさせるメロディックな楽曲。
- ロマンティックな歌詞とレトロなプロダクションが特徴。
- If You’re Serious
- ゆったりとしたテンポで、メロウな雰囲気を持つナンバー。
- The Chainsmokersの新たな一面を見せる楽曲のひとつ。
- Channel 1
- 実験的なエレクトロニック・サウンドが際立つインストゥルメンタル的な楽曲。
- アルバムの中でもユニークなトラックのひとつ。
- Testing
- アップビートなリズムとシンセの層が心地よい楽曲。
- ポジティブなメロディが印象的で、アルバム全体の流れを支える。
- In Too Deep
- メロウな雰囲気のある楽曲で、シンプルなプロダクションがボーカルを際立たせる。
- 夜のドライブやリラックスしたシチュエーションにぴったりのサウンド。
- I Hope You Change Your Mind
- アルバムのラストを飾る、感情的なバラード。
- ピアノとエレクトロニックなアレンジが美しく、アルバムを締めくくるのにふさわしい。
総評
So Far So Goodは、The ChainsmokersがEDMプロデューサーとしての枠を超え、よりポップで洗練されたサウンドへと進化したアルバムである。
特に、これまでの「ダンスフロア向けのビッグドロップ」から脱却し、シンプルでメロディアスな楽曲を中心に構成されている点が印象的だ。オルタナティブ・ポップやインディー・ポップの影響も強く、「High」や「iPad」などは、ポップロック的な要素も感じられる。
一方で、このアルバムが持つミッドテンポで落ち着いた雰囲気は、初期のEDMサウンドを期待していたファンにとっては少し物足りなく感じるかもしれない。しかし、The Chainsmokersは常に進化を続けており、本作は彼らがポップミュージックのフィールドで長く活躍するための重要なステップとも言える。
今後、彼らがこのスタイルをさらに発展させるのか、それとも再びダンスミュージックに回帰するのか、非常に興味深い。
おすすめアルバム
- Lauv – how i’m feeling (2020)
- シンプルでエモーショナルなポップサウンドが特徴。The Chainsmokersの新しいスタイルに近い。
- Kygo – Golden Hour (2020)
- メロディックでリラックスしたエレクトロサウンドが楽しめる作品。
- Jon Bellion – Glory Sound Prep (2018)
- ポップとエレクトロニックを融合させたアルバムで、The Chainsmokersの近年のサウンドに近い。
- ODESZA – A Moment Apart (2017)
- エレクトロニックとアンビエントポップが融合した作品。The Chainsmokersのメロウな楽曲が好きな人におすすめ。
- Zedd – True Colors (2015)
- シンセポップとEDMのバランスが取れたアルバムで、The Chainsmokersのポップ志向と共通点がある。
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- シンセポップとEDMのバランスが取れたアルバムで、The Chainsmokersのポップ志向と共通点がある。
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