アルバムレビュー:Memories…Do Not Open by The Chainsmokers

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2017年4月7日

ジャンル:Electropop / EDM / Dance-Pop / Future Bass / Pop

概要

Memories…Do Not Openは、アメリカのデュオThe Chainsmokersが2017年に発表したデビュー・スタジオ・アルバムである。Andrew TaggartとAlex PallからなるThe Chainsmokersは、2010年代前半のEDMブームから登場しながら、次第にフェスティバル向けのビッグルーム・サウンドよりも、歌を中心にしたエレクトロ・ポップ/ダンス・ポップへ移行した。本作は、その変化が完全なアルバム形式で提示された作品である。

The Chainsmokersのキャリアにおいて、本作以前の成功は非常に大きかった。

2014年には「#Selfie」がインターネット文化を皮肉ったノベルティ的なEDMヒットとして注目を集めたが、その後「Roses」「Don’t Let Me Down」、そしてHalseyを迎えた「Closer」によって、彼らは単なるクラブ向けプロデューサーではなく、メインストリーム・ポップの中心へ進んだ。

特に「Closer」の成功は重要である。

この曲ではAndrew Taggart自身がヴォーカルを担当し、精密な歌唱力よりも、不完全で会話に近い男性声を前へ出した。

これはEDMプロデューサーの音楽としては大きな変化だった。

DJ/プロデューサーが匿名的な立場で女性シンガーを迎えるのではなく、自分自身が物語の登場人物になる。

Memories…Do Not Openは、この方法をアルバム全体へ広げている。

タイトルの「Memories…Do Not Open」は、「記憶……開けるな」という意味を持つ。

まるで古い箱やフォルダに「開封禁止」と書かれているような言葉だ。

しかし人間は「開けるな」と言われるほど開けたくなる。

過去の恋愛。

失敗。

若さ。

別れ。

後悔。

夜。

パーティー。

忘れたい相手。

本作の歌詞は、そうした「開けない方がいい記憶」を次々に開いていく。

このアルバムでは、巨大な社会的テーマはほとんど扱われない。

中心にあるのは、20代の都市生活と人間関係だ。

誰かと付き合う。

別れる。

浮気を疑う。

夜中に連絡する。

昔の恋人を思い出す。

有名になっても孤独。

その非常に限定された世界が、逆に2010年代後半の若者文化の一つの記録になっている。

音楽的には、EDMの激しいドロップを抑え、Future Bass以後の柔らかなシンセ、短いヴォーカル・フック、ピアノ、アコースティック・ギター、トラップ的なパーカッションを多用する。

つまり「クラブで爆発する曲」より、「ストリーミングで何度も聴けるポップ」を優先した。

この方向性は当時のポップ市場と非常によく合っていた。

The ChainsmokersはEDMの音圧を捨てたわけではない。

しかし、そのエネルギーをもっと内向きにした。

広いフェスティバル会場ではなく、夜の車内。

大人数のパーティーではなく、一人で昔のメッセージを読み返す時間。

Memories…Do Not Openは、そうした個人的な空間へEDMを移したアルバムである。

全曲レビュー

1. The One

アルバムは「The One」で静かに始まる。

通常、EDMアクトのアルバムなら大きなビートやシンセで幕を開けても不思議ではない。

しかしここでは、ピアノとAndrew Taggartの声が中心だ。

この選択だけで、本作の方向性が分かる。

The Chainsmokersは「DJデュオのアルバム」を始めるのではなく、「失敗した恋愛を振り返るポップ・アルバム」を始める。

タイトルの「The One」は、「運命の相手」を意味する。

しかし歌詞では、語り手が「その人」になれなかったことへの認識が中心になる。

関係に責任を持てなかった。

タイミングを逃した。

相手が求めていた人物になれなかった。

ここには、責任を完全に外部へ押しつけない視点がある。

The Chainsmokersの歌詞はしばしば自己中心的な若者像を描くが、「The One」ではその未熟さを自覚している。

音楽的にも非常に簡素で、アルバム全体を「回想」として始める役割を持つ。

2. Break Up Every Night

前曲の内省から一転し、より軽快なポップ・ロック/エレクトロ・ポップへ進む。

タイトルは「毎晩別れる」。

関係が安定しない。

別れる。

戻る。

また別れる。

その繰り返しが描かれる。

歌詞に登場する関係は、健全な恋愛というより依存的で刺激的な関係に近い。

互いに振り回される。

しかし離れられない。

その不安定さを、曲は非常にキャッチーに扱う。

ギターの感触も強く、典型的なEDMから離れている。

2010年代後半にポップ・パンク/ポップ・ロックの語彙がエレクトロ・ポップへ再吸収されていった流れとも接続できる。

ここでは深刻な心理分析より、「壊れた関係に何度も戻る」という若さの衝動が中心。

アルバムの中でも即効性の強い一曲である。

3. Bloodstream

「Bloodstream」は、本作の中でも特に自己分析的な曲。

タイトルは「血流」。

感情や欲望が身体の中を巡るようなイメージを持つ。

歌詞では、名声、酔い、孤独、自分自身の行動に対する後悔が混ざり合う。

The Chainsmokersはこの時期、非常に急速に世界的な成功を手にした。

その成功は自由を与える。

しかし同時に、常に見られること、期待されること、派手な生活を続けることへの圧力も生む。

「Bloodstream」では、成功しているのに満たされない人物像が現れる。

Andrew Taggartのヴォーカルは技巧的には抑制されている。

しかし、この曲ではその不安定さがむしろ歌詞に合う。

完璧に歌い上げるより、「今の自分がよく分からない」と話しているような声の方が効果的だ。

ビートも低く抑えられ、内側に沈むような感覚を作る。

4. Don’t Say feat. Emily Warren

Emily Warrenを迎えた楽曲。

彼女はThe Chainsmokers作品のソングライティングやヴォーカル面で重要な協力者であり、本作でも複数曲に関わっている。

タイトルは「言わないで」。

恋愛関係の中で、言葉が信頼できなくなっている状態を描く。

謝罪。

愛情表現。

約束。

それらを何度も聞いた結果、もう言葉では信じられない。

「Don’t say you love me」といった方向の感情が中心にあり、言葉と行動の不一致が問題になる。

Emily Warrenのヴォーカルは強く、Andrew Taggartのやや平坦な声とは対照的。

彼女が入ることで、曲の感情が外側へ開く。

サウンドはFuture Bass以後の柔らかいシンセと、控えめなビートを中心に構成される。

The Chainsmokersが得意とした「感情的なポップ・ソング+電子的ドロップ」という形式を、比較的成熟した形で示す一曲である。

5. Something Just Like This – The Chainsmokers & Coldplay

Coldplayとの共同名義による、本作最大級の代表曲。

テーマは非常に分かりやすい。

スーパーヒーロー。

神話。

超人的な存在。

しかし恋愛に必要なのは、そうした完全無欠の人物ではない。

普通の人。

隣にいてくれる人。

「Something Just Like This=そういう普通のものが欲しい」。

このメッセージが中心にある。

Chris Martinの声は、この曲に非常によく合う。

Coldplayはもともと、巨大なサウンドと個人的な感情を結びつけることを得意とするバンドだった。

The Chainsmokersも、EDMの大きさを内省的な恋愛ソングへ変える方向へ進んでいた。

両者の接点は明確だ。

音楽はピアノ/ギター的なポップから始まり、コーラス後に電子的なドロップへ入る。

しかしドロップは攻撃的ではない。

むしろメロディを反復し、幸福感を拡張する。

2010年代後半の「EDMとスタジアム・ポップの融合」を象徴する楽曲である。

6. My Type feat. Emily Warren

Emily Warrenを再びフィーチャー。

タイトルは「私のタイプ」。

相手が自分の好みそのものであることを歌う。

しかし単純な恋愛の肯定ではなく、欲望と不安定さが混ざっている。

惹かれる。

分かっている。

しかし、その関係が本当に良いものかは別問題。

The Chainsmokersの恋愛曲では、「惹かれること」と「幸せになること」が一致しない場合が多い。

「My Type」もその一例である。

音楽は比較的ダーク。

低いシンセ。

タイトなビート。

Emily Warrenの声。

それらによって、明るいラブソングより夜のクラブや暗い部屋を思わせる。

本作の中でも、The Chainsmokersのエレクトロニックなルーツが比較的強く残った曲である。

7. It Won’t Kill Ya feat. Louane

フランスのシンガーLouaneを迎えた楽曲。

タイトルは「死ぬわけじゃない」。

少し大胆になってもいい。

踊ってもいい。

近づいてもいい。

そうした誘いの言葉として機能する。

人生におけるリスクを、極端に深刻に考えない。

「やってみても死にはしない」。

この軽さが曲の中心にある。

サウンドはFuture Bass/EDM寄りで、ゆっくりとしたビルドアップから大きなシンセへ進む。

Louaneの声には柔らかさがあり、トラックの電子的な冷たさを中和する。

アルバム中盤で、恋愛の不安や後悔から一度離れ、身体的な楽しさへ向かう役割を持つ。

ただし、The Chainsmokersらしく完全な多幸感にはならず、どこか夜の終わりに近い寂しさも残る。

8. Paris

本作を代表する楽曲のひとつ。

タイトルはフランスの都市「パリ」だが、ここでのParisは観光地そのものというより、「二人だけの逃避場所」の象徴として機能する。

現実から逃げる。

誰も知らない場所へ行く。

二人だけで生活する。

しかし、その夢には無責任さもある。

仕事。

家族。

社会。

現実的な問題。

それらから逃げているだけかもしれない。

この「ロマンティックな逃避」と「現実逃避」の二重性が曲の魅力である。

サウンドは非常にミニマル。

アコースティックな感触。

柔らかなシンセ。

抑えたビート。

大きなEDMドロップはない。

「Closer」以後のThe Chainsmokersが確立した、ほとんどインディー・ポップに近いダンス・ポップの代表例と言える。

都市名を使いながら、実際には「どこか遠くへ逃げたい」という普遍的な欲望を歌った一曲である。

9. Honest

タイトル通り「正直であること」を扱う。

本作の中でも重要な自己告白的楽曲。

有名になった人物が恋愛関係を維持する難しさが中心にある。

ツアー。

移動。

夜。

誘惑。

仕事。

そうした環境の中で、「自分は本当に誠実でいられるのか」と問いかける。

ここでの語り手は、自分を理想化しない。

むしろ、自分が相手を傷つける可能性を認める。

これは「The One」や「Bloodstream」とつながる。

Memories…Do Not Openの男性主人公は、しばしば未熟。

しかし、その未熟さをある程度自覚している。

「Honest」はその自己認識が最も明確な曲のひとつだ。

音楽はポップ寄りで、メロディが強い。

派手なドロップを避け、ヴォーカルと歌詞を中心にしている。

The Chainsmokersが「プロデューサー中心のEDM」から「シンガー・ソングライター型ポップ」へ近づいたことを示す重要曲である。

10. Wake Up Alone feat. Jhené Aiko

Jhené Aikoを迎えた楽曲。

タイトルは「一人で目覚める」。

夜は誰かといる。

パーティーもある。

注目もある。

しかし朝になると一人。

この「夜と朝」の対比が曲の中心にある。

Jhené Aikoは、オルタナティヴR&Bにおける静かで内省的なヴォーカルを代表する存在のひとり。

彼女の声が入ることで、曲はThe Chainsmokersの通常のダンス・ポップよりR&B寄りになる。

歌詞では、相手が自分を本当に愛しているのか、それとも自分の成功や華やかな生活を愛しているのかという疑念も感じられる。

これは有名人の孤独という、本作の別の重要テーマに接続する。

成功すると人が集まる。

しかし、その中で誰が本当に自分を見ているのか分からなくなる。

「Wake Up Alone」は、その孤独を静かに描いた曲である。

11. Young

タイトルは「若い」。

本作全体を最も直接的に要約する言葉のひとつである。

歌詞では、若かったから間違えた。

傷つけた。

感情的になった。

うまく愛せなかった。

しかし、それも若さの一部だった。

という回想が中心になる。

ここで重要なのは、若さを完全に美化しないことだ。

若さは自由。

しかし未熟。

楽しい。

しかし残酷。

間違える。

それでも、その時期は二度と戻らない。

この両面がある。

音楽は明るく、ノスタルジック。

ギターと電子音が自然に混ざる。

アルバム・タイトルの「Memories」と最も直接的に結びつく楽曲でもある。

記憶を開くなと言いながら、結局開いてしまう。

そして「あの頃は若かった」と振り返る。

本作のコンセプトを感情的にまとめる一曲である。

12. Last Day Alive feat. Florida Georgia Line

アルバム最後を飾る曲で、カントリー・デュオFlorida Georgia Lineをフィーチャー。

タイトルは「生きている最後の日」。

もし今日が最後なら、どうするか。

後悔せず生きる。

楽しむ。

愛する。

そのような非常に大きなテーマを扱う。

Florida Georgia Lineの参加は、ジャンル横断という意味で興味深い。

The ChainsmokersはEDM/ポップ。

Florida Georgia Lineはカントリー・ポップ。

しかし2010年代後半には、カントリーもEDMもストリーミング時代のポップへ接近していた。

そのため両者の共演は意外なようで、サウンド的には自然だ。

曲は大きなアンセムとして構成され、アルバムを内省だけで終わらせない。

ここまで過去を振り返ってきた。

最後に「もし今日が最後なら」という現在形へ戻る。

つまり、記憶を振り返ることの最終的な意味は、今どう生きるかを考えることにある。

その意味で、アルバムのクロージングとして機能している。

総評

Memories…Do Not Openは、The ChainsmokersがEDMブームの成功者から、ストリーミング時代のポップ・アクトへ完全に変化した作品である。

このアルバムを理解するうえで最も重要なのは、「ドロップの弱さ」ではなく、「ドロップを必要としなくなったこと」だ。

2010年代前半のEDMでは、曲の中心はしばしばドロップだった。

イントロ。

ビルドアップ。

緊張。

そして巨大なベースとシンセ。

フェスティバルの観客が跳ぶ。

この構造が基本だった。

The Chainsmokers自身も、その文化から登場した。

しかしMemories…Do Not Openでは、最も重要なのは歌である。

「Paris」。

「Honest」。

「Young」。

「The One」。

これらは、ドロップを取り除いても曲として成立する。

コード。

メロディ。

歌詞。

声。

その基礎がある。

これはThe Chainsmokersの大きな変化だった。

特にAndrew Taggartが自ら歌うようになったことは重要である。

彼の声は、圧倒的な歌唱力を持つタイプではない。

しかし、それが逆に本作の歌詞に合う。

彼が演じる人物は、

完璧ではない。

自信満々でもない。

恋愛で失敗する。

酔う。

後悔する。

言い訳する。

孤独になる。

その人物像に、完璧なヴォーカルは必要ない。

むしろ少し平坦で、会話の延長のような声の方がリアルに聞こえる。

これは2010年代後半のポップ・ヴォーカルの大きな流れとも重なる。

「上手く歌うこと」より、「身近に聞こえること」。

この美学は後のポップにも広く浸透した。

歌詞については、批判されやすい部分もある。

テーマの多くが恋愛、パーティー、若さ、名声に集中しており、社会的な広がりは小さい。

また、登場人物が自己中心的に聞こえる場面も少なくない。

しかし、それは本作の時代性でもある。

Memories…Do Not Openは、2010年代後半の若い都市型ポップ文化をかなり率直に記録している。

スマートフォン。

SNS。

夜。

移動。

有名人。

元恋人。

オンライン上に残る記憶。

物理的なアルバム写真ではなく、デジタルの記録として過去が常に残る。

この時代、人間は昔の恋人を完全に失うことが難しくなった。

写真が残る。

メッセージが残る。

投稿が残る。

位置情報。

動画。

すべてが「Memories」として保存される。

だから「Do Not Open」という言葉に現代的な意味が生まれる。

見なければいい。

でも見ることができる。

削除すればいい。

でも消せない。

この感覚は、デジタル時代の恋愛に非常によく合っている。

「Paris」や「Young」が持つノスタルジーも、この文脈で理解できる。

彼らのノスタルジーは、遠い過去ではない。

数年前。

つい最近。

しかしインターネット時代では、数年前の自分の痕跡が大量に残っている。

そのため若さが、すでに記録として客観視できる。

「Young」はまさに、その奇妙な距離を持っている。

音楽的には、Future Bassの影響が非常に大きい。

柔らかなシンセ。

切断されたヴォーカル。

深いサブベース。

大音量ではあるが攻撃的ではないドロップ。

この音は2016〜17年前後のポップ市場で急速に一般化した。

The Chainsmokersはその中心的存在のひとつだった。

ただし、本作は純粋なFuture Bassアルバムでもない。

Coldplayとのスタジアム・ポップ。

Jhené AikoとのオルタナティヴR&B。

Florida Georgia Lineとのカントリー・ポップ。

Emily Warrenとのソングライター型エレクトロ・ポップ。

複数の方向へ広がる。

このジャンルの境界の薄さも、ストリーミング時代の特徴である。

以前なら、

EDM。

ロック。

R&B。

カントリー。

は明確に別市場として扱われていた。

本作では、その境界がかなり弱い。

重要なのはジャンルではなく、「プレイリストの中で自然に流れるかどうか」。

Memories…Do Not Openは、このストリーミング時代の美学を非常によく反映している。

また、ゲストの選択もそのことを示す。

Chris Martin。

Jhené Aiko。

Louane。

Florida Georgia Line。

Emily Warren。

出自がまったく違う。

しかしアルバム全体では、The Chainsmokersのミニマルで淡い電子音によって一定の統一感が保たれる。

一方、本作には意図的な均質さもある。

テンポ。

音色。

ヴォーカルの距離。

感情の温度。

それらがかなり近い。

このため、曲ごとの差が小さいと感じられることもある。

しかし、この均質さは「夜の記憶」というアルバムの雰囲気には合っている。

突然別世界へ飛ぶのではなく、同じ人物が違う記憶を順番に開いているように聞こえる。

特に「The One」から「Bloodstream」までの序盤は、後悔と自己認識。

中盤の「Something Just Like This」「It Won’t Kill Ya」「Paris」では、恋愛と逃避。

後半の「Honest」「Wake Up Alone」「Young」では、名声、孤独、過去への回想。

最後の「Last Day Alive」で現在へ戻る。

この流れによって、アルバムには緩やかな物語性が生まれている。

Memories…Do Not Openは、The Chainsmokersの最もクラブ志向の作品ではない。

むしろ、EDMがポップへ吸収されていった歴史を記録する作品である。

大きなドロップ。

フェスティバル。

DJブース。

そこから、

歌。

恋愛。

ストリーミング。

個人的な記憶。

へ移る。

2010年代前半に世界を席巻したEDMが、そのままの形ではメインストリームに残らず、ポップの制作技法として溶け込んでいった。

Memories…Do Not Openは、その変化を最も分かりやすく示したアルバムのひとつである。

おすすめアルバム

1. The Chainsmokers – Sick Boy(2018)

次作。Memories…Do Not Openのポップ路線を引き継ぎながら、名声、自己嫌悪、SNS、現代社会への不信など、より暗いテーマへ進んだ作品。The Chainsmokersが「恋愛中心のEDMポップ」からさらに内省的な方向へ向かう過程を確認できる。

2. The Chainsmokers – Collage(2016)

本作直前のEP。「Closer」「Don’t Let Me Down」「Inside Out」などを収録し、EDMからFuture Bass/エレクトロ・ポップへ移行するThe Chainsmokersの転換点を記録している。Memories…Do Not Openの基本的なサウンドがどこから生まれたのかを理解するうえで重要である。

3. Calvin Harris – Motion(2014)

EDMとメインストリーム・ポップを大規模に融合した2010年代の代表作。The Chainsmokersよりクラブ志向が強いが、多数のゲスト・ヴォーカリストを用いてダンス・ミュージックをラジオ・ポップへ変換する方法は、本作の重要な先行例として位置づけられる。

4. Zedd – True Colors(2015)

EDMプロデューサーが、巨大なドロップだけでなく感情的なポップ・ソングへ領域を広げた作品。ヴォーカル主体の構成、明確なメロディ、電子音の柔らかさという点で、Memories…Do Not Openへつながる2010年代中盤のダンス・ポップの流れを確認できる。

5. Lauv – ~how i’m feeling~(2020)

エレクトロ・ポップ、ストリーミング時代のミニマルな制作、若者の恋愛や孤独を日記的な歌詞で描いた作品。The ChainsmokersほどEDM色は強くないが、「デジタル時代の親密さと不安を、軽い電子ポップへ落とし込む」という点でMemories…Do Not Openの延長線上にある作品である。

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