アルバムレビュー:Road to Rouen by Supergrass

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

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発売日: 2005年8月15日
ジャンル: オルタナティヴ・ロックアート・ロック、サイケデリック・ロック


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2. 概要

『Road to Rouen』は、イギリスのロック・バンド Supergrass が2005年に発表した5作目のスタジオ・アルバムである。
Life on Other Planets』のカラフルなグラム/パワー・ポップ路線から一転し、うねりのある長尺曲と、メランコリックで静かな楽曲が中心の“夜のアルバム”へと舵を切った作品なのだ。

タイトルは、フランス北部ノルマンディー地方の都市ルーアン(Rouen)へ向かう道という文字通りの意味に加え、Ramones のアルバム『Road to Ruin』の言葉遊びともされている。
実際にバンドは、ルーアン近郊の田舎にある納屋を改装した Studio St. Mard でレコーディングを行っており、アルバム名は“その場所へ向かう道のり”と“自分たちのキャリアの曲がり角”を同時に示していると言える。

制作時期のバンドは、決して順風満帆ではなかった。
ドラマー Danny Goffey はタブロイド紙に私生活を追われ、Gaz と Rob Coombes の兄弟は母親を亡くすなど、メンバーそれぞれが個人的な喪失やスキャンダルに直面していた。
ベーシストの Mick Quinn は、「“Alright”のような陽気なポップ・ソングをもう一度作る気分にはなれなかった」と語っている。

そうした状況の中で生まれた『Road to Rouen』は、あえてフック過多なブリットポップ的手法から距離を取り、
長めのジャム、オーケストレーション、ルーズなグルーヴを取り入れた“オルタナ寄りのアート・ロック”へと踏み込んでいる。
オープニングの「Tales of Endurance (Parts 4, 5 & 6)」から9分近い組曲を置く構成は、ポップ・ヒットを狙うというより、“アルバム全体のムード”を優先した選択である。

同時に、この変化は“意図的な大人化”としても語られる。
The Guardian は本作を“アドレナリンを犠牲にして質感を手に入れた、熟成したソフト・ロック”と評し、
Paste は“おどけたムードをさらに脱ぎ捨てながらも、音楽自体はこれまでと同じくらいエネルギッシュだ”と書いた。

商業的には、UKアルバム・チャート9位を記録し、前作に続きトップ10入りを達成する一方で、シングルはチャート的な成功からやや距離を置いた。
リード曲「St. Petersburg」は全英22位、「Low C」は52位、3枚目のシングル「Fin」に至ってはトップ100入りを逃している。
Metacritic でのスコアは73点と“概ね好意的”で、批評家からは“静かな傑作”と“バンドの最も地味な作品”という相反する評価が並んだ。

結果として『Road to Rouen』は、ブリットポップ世代のバンドが30代に突入し、
パーティー感覚のギター・ロックから、喪失や家族、自己省察をテーマにした音楽へと歩みを進めていく、その“中間点”を記録した作品として位置づけられる。
派手さは薄れても、“夜にヘッドフォンで聴くアルバム”として静かに効いてくる一枚なのだ。


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3. 全曲レビュー

1曲目:Tales of Endurance (Parts 4, 5 & 6)

オープニングを飾るのは、約9分に及ぶ大曲「Tales of Endurance (Parts 4, 5 & 6)」。
タイトルからして冗談めかしつつ、いきなり“パート4から始まる”物語という構造が、時間の途中から突然投げ込まれたような感覚を生む。

アコースティック・ギターとストリングスが静かに立ち上がる冒頭から、ミドル・テンポのバンド・サウンドへ、さらにサイケデリックなブレイクを経て、再び高揚する終盤へ――と、
楽曲は三部構成のように表情を変えていく。
後半ではギターのリフが重なり、ドラムがタイトに刻み始めるが、そこにもかつての“はしゃぎ倒す Supergrass”ではなく、“抑えた熱”が感じられる。

歌詞の中には“これは商業的な自殺かもしれない”といった趣旨のラインがあり、
Mick Quinn はインタビューで「実際に、シングル向きの明るい曲をやれる心境ではなかった」と語っている。
自分たちのキャリアにとってリスキーであることを自覚しながら、それでもこの曲を一曲目に置くという決断が、アルバム全体の“覚悟”を象徴していると言える。


2曲目:St. Petersburg

リード・シングルとなった「St. Petersburg」は、ストリングスと淡い鍵盤が静かに揺れるバラードである。
1曲目の長大なサイケ・スイートから一気に音数を減らし、ガラス細工のような繊細なサウンドに切り替えることで、“静かな第二幕”が始まる。

歌詞は、タイトルの都市名こそ具体的だが、内容は遠距離の孤独や感情的な距離を描いた抽象度の高いラブソングとして読める。
凍てつく街のイメージと、言葉にできない寂しさが、淡々としたメロディに染み込んでいる。

Supergrass らしい“跳ねるポップさ”はほとんど鳴りを潜めているが、その代わりに、
「失われつつあるものを静かに見つめる視線」がアルバムの中心に据えられたことをここで示している。
シングル曲としては決して派手ではないが、作品全体のムード・ボードのような曲だといえる。


3曲目:Sad Girl

「Sad Girl」は、タイトル通り“悲しげな女の子”の姿を描く、ミディアム・テンポのロック・ナンバーである。
アコギとエレキがタイトに絡み、リズムは比較的軽快だが、メロディラインにはうっすらとブルーズの翳りが差し込んでいる。

歌詞は、表面的には恋愛のすれ違いのようにも聞こえるが、その背後には“感情をうまく表現できない人”へのさりげない共感が流れている。
感情のアップダウンが激しい相手に翻弄されるというより、むしろその不安定さを理解しようとする視線がある。

『Road to Rouen』全体の中で見ると、この曲は比較的“古いSupergrass”の名残をとどめる部分でもあり、
前作までのポップさと、本作のメランコリックなトーンをつなぐ橋渡しのような位置づけになっている。


4曲目:Roxy

「Roxy」は、ジャジーなコードとスウィング気味のリズムが特徴的な楽曲である。
タイトルから当然 Roxy Music を連想させるが、直接的なオマージュというより、“洒落た夜のポップス”というイメージを借りている印象だ。

ギターはクリーンで、ピアノとともにルーズなグルーヴを作る。
そこにやや気怠いボーカルが乗ることで、“酔いの残る夜更けのバー”のような情景が浮かぶ。

歌詞のディテールはあいまいだが、一人のキャラクター“Roxy”を軸に、
逃げ場所としての夜、都会の片隅で続く小さなドラマをスケッチしているようにも読める。
アルバム全体の中でも、もっとも“ムード重視”のトラックであり、サウンドの幅を広げる役割を果たしている。


5曲目:Coffee in the Pot

1分台のインスト(+ささやき程度の声)である「Coffee in the Pot」は、本作で最も異色のトラックかもしれない。
スウィングするドラムと、ややラテン風のギターとホーンが絡み合い、60年代のテレビ番組のテーマ曲のような軽妙さを醸し出している。

映画のワンシーンのように、ふっと現れてすぐに去っていくこの曲は、“深刻さに沈みきらない”という意味でアルバムのバランスを取っている。
周囲の楽曲がどれも感情の重さを抱えているぶん、ここで一度軽いインストを挟むことで、後半のタイトル曲以降へ耳をリセットしてくれるのだ。

わざわざ単独トラックとして配置されているあたりに、Supergrass らしいユーモアと編集感覚が垣間見える。


6曲目:Road to Rouen

アルバムのタイトル曲「Road to Rouen」は、70年代ファンク〜スワンプ・ロックの影響を感じさせるグルーヴィーな曲である。
Space City Rock はこの曲を“70年代風のファンキーなロックで、よりタフで自信に満ちている”と評している。

うねるようなベースラインと、ボトルネック気味のギター、ドラムの抜き差しが印象的で、
そこに Gaz の少しソウルフルな歌唱が乗ることで、バンドの“渋い大人のロック”モードが前面に出てくる。

歌詞は、物理的な旅路と内面的な旅路を重ね合わせた内容であり、“どこか遠くへ向かう車内”と“自分の人生の軌道修正”が二重写しになっているように読める。
フランスの田舎で録音したアルバムの中で、もっとも“長距離ドライブ”の匂いがする一曲でもある。


7曲目:Kick in the Teeth

「Kick in the Teeth」は、タイトル曲と並ぶ、アルバム後半のエネルギー源である。
Pitchfork も、タイトル曲と本作を“アルバムのエネルギーが再び高まる後半のペア”として取り上げている。

テンポは速めで、ギター・リフもSupergrassらしい切れ味を見せるが、サウンド全体は以前よりも引き締まっており、
“若さに任せた暴走”ではなく、“怒りをコントロールしながら前に進む”ような感触がある。

歌詞における“歯にキックを食らう”というイメージは、文字通りの暴力というより、
ショックな出来事や精神的ダメージを比喩的に表現したものだろう。
個人的な問題とバンドのキャリア上のプレッシャー、その両方が込められた曲として聴くことができる。


8曲目:Low C

「Low C」は、アコースティック・ギターとストリングスを中心にした、繊細なバラードである。
シングルとしてもリリースされ、穏やかなメロディとややシュールなMVが印象に残る曲だ。

タイトルの“Low C”は、音楽用語の「低いド」の意味と、“テンションの低さ”を表す言葉遊びとしても解釈できる。
実際、歌詞には気分の落ち込みや、日常の些細な不安がにじんでおり、それを丁寧に包み込むようなストリングス・アレンジが施されている。

構成自体はシンプルだが、演奏のダイナミクスがきわめて細やかで、
AllMusic が評した “暖かくトリッピーな深夜のムード” を象徴する一曲と言える。


9曲目:Fin

ラストの「Fin」は、タイトル通り“終幕”を告げるような楽曲である。
アコースティック・ギターとパーカッション、控えめなオーケストレーションが、映画のエンドロールのように静かに流れていく。

歌詞は、別れや区切りを思わせるフレーズで満たされているが、絶望的というよりも、“受け入れること”に重心が置かれている。
バンド自身の“ある時期の終わり”を暗示しているようにも感じられ、
前作までのポップ路線と、これから先に向かうであろう新しい方向性の間に、そっと幕を引く役割を担っている。

アルバム全体の長さは35分程度とコンパクトだが、この曲によって“短いが濃密な旅が終わった”という感覚がしっかり残る。
静けさと余韻のコントロールに、成熟したバンドの手つきがはっきりと表れている。


4. 総評

『Road to Rouen』は、Supergrass が自らの“陽性のイメージ”から距離を取り、
喪失や不安、成熟といったテーマに正面から向き合った転換点のアルバムである。
“ブリットポップの悪ガキ”といったキャッチフレーズを脱ぎ捨て、30代のロック・バンドとしての次のフェーズへ進むための通過儀礼と言ってよい。

サウンド面での大きな変化は、まず“テンションのピークを曲単位ではなくアルバム単位で設計している”点だろう。
オープニングの長尺組曲から、中盤のジャジー/スウィング調、インスト・ブレイク、そして後半のグルーヴィーなタイトル曲と「Kick in the Teeth」、
最後の静かな幕引きまで、35分という短さの中に緩急が巧妙に配置されている。

録音環境も、その変化を後押ししている。
バンドはそれまで慣れ親しんだ Sawmills Studio を離れ、フランス・ノルマンディー地方の納屋を改装した Studio St. Mard に拠点を移した。
田舎の空気と簡素な機材環境の中で、ミュージシャンとしての集中力を取り戻したと語っており、
実際、The Strange Ones のサイトによれば、彼らはスタジオ脇の古い井戸をリバーブ室代わりに使うなど、ローテクな工夫で独特の残響を生み出している。

こうした“手作りの音響設計”が、AllMusic の言う“暖かくトリッピーな深夜の雰囲気”を支えている。
派手なエフェクトや過剰なレイヤーではなく、
ドラムの残響やギターのにじみ具合、ストリングスの距離感といった要素が、ヘッドフォンで聴くとじわじわ効いてくる。

歌詞の面では、個人的な喪失とメディアからのプレッシャーが色濃く反映されている。
“商業的自殺”をほのめかすオープニングや、感情の消耗を描いたバラード群は、
ただの“落ち着いた大人ロック”ではなく、“うまく笑えない時期に、それでもバンドを続けること”をテーマにしているように読める。

同時代のUKギター・バンドと比較すると、その位置づけはさらに鮮明になる。
Radiohead が『Kid A』『Hail to the Thief』でロックの構造そのものを解体し、
Blur が Damon Albarn のソロワーク的方向へと広がっていたのに対し、Supergrass は“あくまでロック・バンドのフォーマットの中で”変化を試みている。
テンションは下げつつも、ベースとドラムのグルーヴは生々しく、ギターは必要な場所でしっかり鳴っている。

そうした意味で、『Road to Rouen』は“ポスト・ブリットポップ期のオルタナ・ロック”というタグがふさわしい。
派手なシングル・ヒットは生まれなかったものの、Metacritic での73点というスコアや、Paste、AllMusic などによる高評価が示すように、
このアルバムは“派手さよりも深みを買われた作品”として静かに評価を積み上げている。

一方で、Pitchfork のように“Supergrass のアルバムの中では最もワクワクしない”と評したメディアもあり、
その“地味さ”が長らく賛否の分かれ目になってきた。
しかし、リスナーの側が年齢を重ねるにつれて、このアルバムのメランコリックな落ち着きや、抑えた感情の振幅を好むようになっていく、という再評価の動きも見られる。

キャリア全体で見れば、『Road to Rouen』は、後の『Diamond Hoo Ha』で再びロック色を強める前に置かれた“内省の谷”のような作品である。
このアルバムで一度テンションを落とし、自分たちの土台を掘り下げたからこそ、
その後の活動停止や再結成期を含め、Supergrass は単なる懐メロ・バンドではなく、“成熟したギター・バンド”として生き延びることができたとも考えられる。

今、2020年代の耳で聴くと、『Road to Rouen』はむしろ最初から“ヘッドフォン・リスニング向きのアルバム”として設計されていたように感じられる。
自分の生活や年齢に重ね合わせながら、静かな部屋で一曲ずつ噛みしめるとき、このアルバムはようやく本領を発揮する。
“別の惑星へ逃げる”ポップさを持った『Life on Other Planets』に対し、
『Road to Rouen』は“現実の夜道をとぼとぼ歩きながら、それでもどこかへ向かっている”ような作品なのだ。


5. おすすめアルバム(5枚)

  1. Life on Other Planets / Supergrass(2002)
    直前作にあたる4作目。宇宙や70年代ロックへの憧憬をポップに再構成したアルバムで、『Road to Rouen』とのギャップが非常に分かりやすい。
    両作を聴き比べることで、Supergrass がどのように“夜側”へと重心を移していったかが見えてくる。
  2. Diamond Hoo Ha / Supergrass(2008)
    『Road to Rouen』の後にリリースされた6作目。
    湿り気を帯びた本作から一転し、グラム〜ガレージ色の強いロック・アルバムへと回帰しており、“谷”から再び上昇していくバンドの推進力を感じられる。
  3. The Bends / Radiohead(1995)
    ストレートなロック・フォーマットを保ちながら、メランコリーと内省を深めた中期の代表作。
    ギター・ロックの枠の中で“成熟”を描くという点で、『Road to Rouen』と共通点が多い。
  4. Figure 8 / Elliott Smith(2000)
    厚みのあるバンド・サウンドと、内省的なソングライティングを結びつけた作品。
    穏やかなメロディと暗いテーマの共存、夜に似合う音像など、『Road to Rouen』のリスナーにフィットしやすい一枚である。
  5. Sea Change / Beck(2002)
    パーティー/サンプリング志向から一気に内省的フォークへと振れた“転換点のアルバム”。
    “明るいイメージのアーティストが個人的な喪失を抱え、静かな作品を作る”という構図が、『Road to Rouen』とよく似ている。

6. 制作の裏側

『Road to Rouen』の制作は、まず“スタジオ選び”から従来と大きく異なっていた。
バンドは長年拠点としてきたコーンウォールの Sawmills Studio を離れ、フランス・ノルマンディー地方の農村にある納屋を自ら改装し、Studio St. Mard と名付けて録音を行った。
この“自前のスタジオを一から作る”という行為自体が、バンドにとって一つの再出発だったと言える。

スタジオは決して最新鋭ではなく、機材も必要最低限。
その代わり、周囲には広い畑と静かな森があるだけで、タブロイド紙や都市の喧騒からは遠く離れていた。
Mick Quinn はインタビューで、「田舎にいるからといってボーッとしていたわけではなく、むしろかなり集中していた」と語っている。

音作りの面では、スタジオ敷地内にあった古い井戸をリバーブ用の“天然エコー室”として活用したエピソードがよく知られている。
楽器の音を井戸に向かって鳴らし、その反響をマイクで拾うことで、デジタルでは得られない独特の残響を手に入れたのだという。
アルバム全体に漂う“少し遠くで鳴っているような”空気感は、こうしたローテクな工夫の産物なのである。

制作中のバンドは、前述の通り、プライベートでも厳しい状況に置かれていた。
母親の死や、ドラマーのスキャンダル報道、バンドとしての将来への不安。
それらをそのまま歌詞に書くのではなく、“テンションを落としたサウンド”や“遠回しな比喩”に変換することが、彼らにとってのサバイバル方法だったと言える。

インタビューで Mick は、このアルバムを“かなりメランコリックで、ここ数年の個人的なアップダウンを反映した作品”と表現している。
スタジオという閉じた空間の中で、彼らは外界の騒音から距離を取り、
その代わりに“自分たちの内側のノイズ”と向き合うことになった――
『Road to Rouen』の音には、その静かな葛藤の跡がくっきりと刻まれている。


8. ファンや評論家の反応

リリース当時、『Road to Rouen』は批評家から概ね好意的に受け止められた。
Metacritic の集計では、22件のレビューで73点を獲得し、AllMusic は4.5/5という高評価をつけている。
AllMusic は“トーンのコントロールに長けた、小さな傑作”“中年化したわけでも、自己陶酔でもない成熟”と評し、
MusicOMH も“Supergrass が本来持っていた魅力を失わないまま、うまく成熟してみせたアルバム”と称賛した。

一方で、Pitchfork は“Supergrass の作品の中で最もエキサイティングではないアルバム”とやや辛口に評価しつつも、
タイトル曲や「Kick in the Teeth」などの“遅れて訪れるハイライト”については高く評価している。
彼らにとって本作は、瞬発力よりも“じわじわ効いてくるグルーヴ”を優先したため、第一印象では派手さに欠けたのだろう。

ファンの反応も二分された。
“ポップで速いSupergrass”を愛していたリスナーの中には、本作を“地味な方向転換”と受け止める向きもあったが、
Metacritic のユーザースコアは8.7と非常に高く、繰り返し聴くうちに評価を上げたリスナーが多かったことがうかがえる。

近年では、再結成ライヴやアニバーサリー企画の中で、『Road to Rouen』収録曲がセットリストに組み込まれることも増え、
“成長したリスナーにとってのフェイヴァリット”として語られることが多くなっている。
2025年には20周年記念盤のリリースも予定されており、デモやライヴ音源を通じて、この時期のSupergrassが再評価される土壌が整いつつある。


10. ビジュアルとアートワーク

『Road to Rouen』のジャケットは、A16高速道路をまたぐフランス・ルフォー近郊の牛用歩道橋を、10秒の長時間露光で撮影した写真を用いている。
闇の中を走り抜ける車のライトが光の軌跡となり、トンネルのアーチとともに、どこまでも続く夜のロードムービーのようなイメージを形作っている。

撮影を手がけたのは、ベーシストの Mick Quinn とデザイナーの Paul Wilson。
スタジオがあるルーアン近郊へ向かう実際の道路がモチーフになっており、アルバム・タイトルの“Road”と“Rouen”が、視覚的にも具体化されている。
深いグリーンとオレンジのコントラストは、音楽の“夜のムード”と“内側にくすぶる熱”をそのまま視覚化したようでもある。

内ジャケットには、Studio St. Mard のライヴ・ルームに組まれたキーボードとドラムの写真が使われている。
機材が所狭しと並ぶというより、広い納屋の空間にぽつんとセットが置かれているような構図で、
“世界の片隅で静かに鳴っている音楽”というイメージを補強している。

アートワーク全体を見渡すと、『Road to Rouen』は視覚面でも“スピードよりも移動そのもの”“派手な都市よりも、夜の郊外”というテーマを徹底している。
それは、90年代ブリットポップ的なカラフルさから距離を置き、
2000年代以降の“成熟したギター・バンド”として、自分たちの居場所を再定義しようとした Supergrass の姿勢そのものであるように思える。


参考文献

  • Wikipedia “Road to Rouen” (作品概要、録音場所、チャート成績、批評家の評価、アートワークの詳細)
  • Metacritic “Road To Rouen by Supergrass” (メタスコア、ユーザースコア、リリース情報)
  • Treble Zine “Supergrass: Road to Rouen” (アルバムのトーンと楽曲評)
  • Lollipop Magazine “Supergrass – Road to Rouen – Interview” (作品の“脱ポップ”と成熟についてのバンドの証言)
  • The Strange Ones – Supergrass Site (スタジオや井戸リバーブなど制作裏話、楽曲ごとの解説)
  • Space City Rock “Supergrass, Road to Rouen” (タイトル曲や「Kick in the Teeth」に関する評価)
  • Pitchfork “Supergrass: Road to Rouen Album Review” (批評的評価、後半曲に対するコメント)
  • The Independent “Supergrass: Bringing in the harvest” (“commercial suicide”発言や制作背景)
  • PopMatters “Supergrass: Road to Rouen” (作品全体の印象とサウンド分析)
  • The Guardian “Supergrass | Music” (ライヴ評を通したアルバムの“成熟したソフト・ロック”としての位置づけ)
  • Sound Analysis “Great Album Art: Supergrass – Road to Rouen” (ジャケット写真の撮影方法とコンセプト)
  • 各種再評価記事・インタビュー(20周年を見据えた再検証、ヘッドフォン向きアルバムという評価)
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