アルバムレビュー:Parallel Lines by Blondie

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1978年9月23日

ジャンル:ニューウェイヴ、パワーポップ、ポップ・ロック、ディスコ、パンク・ロック、ガール・グループ・ポップ

概要

ブロンディの3作目のスタジオ・アルバム『Parallel Lines』は、1970年代末のニューウェイヴを代表する名盤であり、パンク以後のロック・バンドがどのようにポップ・ミュージックの中心へ進出できるかを示した決定的な作品である。1976年のデビュー作『Blondie』では、ニューヨークのCBGB周辺から登場したバンドらしい荒削りなパンク/ガレージ・ロック色と、1960年代ガール・グループへの愛着が混在していた。1978年初頭の『Plastic Letters』では、よりポップな方向へ接近しつつも、まだバンドの輪郭は粗く、デボラ・ハリーのアイコン性とクリス・スタインを中心とするバンドの雑食性が完全に整理されていたわけではなかった。

『Parallel Lines』は、その混沌を一気に洗練させた作品である。プロデューサーにマイク・チャップマンを迎えたことで、ブロンディの持っていたパンクの軽さ、ガール・グループ的なメロディ、ニューウェイヴの冷たさ、ディスコのダンス性、パワーポップの明快さが、極めて高い精度でまとめられた。チャップマンはスウィートやスージー・クアトロなどを手がけた経験を持つプロデューサーであり、ブロンディの荒削りな魅力を保ちながら、ラジオで映えるポップ・ソングへ研磨する役割を果たした。本作の楽曲は短く、フックが明確で、音の配置に無駄が少ない。にもかかわらず、単なる商業的ポップにはならず、ニューヨーク・ニューウェイヴ特有のクールな距離感と皮肉が残っている。

ブロンディの中心にいるデボラ・ハリーは、本作でロック史における最も重要なフロント・パーソンの一人としての存在を確立した。彼女は単に歌が上手いヴォーカリストではなく、視覚的なアイコンであり、複数の女性像を演じ分けるパフォーマーであり、ポップ・カルチャーの記号を操作する存在だった。マリリン・モンロー的なブロンドのグラマー、ストリートのパンク感覚、ガール・グループのリード・シンガー、ディスコの冷たい歌姫、フィルム・ノワールのヒロイン。『Parallel Lines』では、それらが楽曲ごとに切り替わり、ブロンディというバンドの多面的な魅力を支えている。

アルバム・タイトルの『Parallel Lines』は、「平行線」を意味する。これは、アルバムの音楽的性格を象徴する言葉としても読める。パンクとポップ、ロックとディスコ、レトロと未来、人工性と生々しさ、女性的なイメージの消費とその操作。これらの要素は完全に融合して一つになるのではなく、平行線のように近くを走りながら交差しそうで交差しない。その緊張感が本作の魅力である。ブロンディはロックの「本物らしさ」に固執せず、表面、スタイル、引用、演技、メディア的な輝きを積極的に使った。それによって、ニューウェイヴ以降のポップが向かう方向を先取りした。

本作の最大の歴史的意義は、「Heart of Glass」によってパンク/ニューウェイヴとディスコの境界を大胆に越えたことにある。1970年代後半、ロック・ファンの中にはディスコへの強い反発も存在した。しかしブロンディは、ディスコを敵視するのではなく、都市のナイトライフ、機械的なビート、冷たい快楽として取り込んだ。「Heart of Glass」は、ロック・バンドがダンスフロアの感覚を吸収し、なおかつロックの聴衆にも訴えることができることを証明した楽曲であり、1980年代以降のダンス・ロック、シンセ・ポップ、ニューウェイヴ・ポップに大きな影響を与えた。

一方で、『Parallel Lines』は「Heart of Glass」だけのアルバムではない。「Hanging on the Telephone」はパワーポップの鋭い理想形であり、「One Way or Another」はストーカー的な執着をポップな攻撃性へ変えた名曲である。「Picture This」や「Sunday Girl」にはガール・グループ的な甘さとニューウェイヴの透明感があり、「Fade Away and Radiate」ではロキシー・ミュージックやアート・ロックにも通じる夢幻的なムードが現れる。「11:59」「Will Anything Happen?」「Just Go Away」には、初期ブロンディのパンク/ロックンロール的な勢いも残っている。

歌詞面では、恋愛、欲望、メディア、電話、写真、追跡、退屈、都市の夜、イメージの消費が重要な主題となる。ブロンディのラブソングは、単純な感情告白ではない。恋愛はしばしば、電話越しの距離、写真に閉じ込められたイメージ、一方的な視線、追いかける行為、演じられる女性像として描かれる。これは、1970年代末の都市生活やメディア環境を反映している。人は直接向き合うだけでなく、電話、写真、音楽、映像、ファッションを通じて欲望をやり取りする。『Parallel Lines』は、その新しいポップ時代の恋愛感覚を鋭く捉えたアルバムである。

キャリア上、本作はブロンディの完全なブレイク作であり、彼らをニューヨーク・パンク・シーン出身のバンドから世界的なポップ・アクトへ押し上げた。だが、その成功はバンドの本質を薄めたものではない。むしろ、ブロンディが最初から持っていた雑食性、レトロ趣味、都市的なアイロニー、デボラ・ハリーのアイコン性を、最も効率的で美しい形に結晶化した作品である。『Parallel Lines』は、パンク以後のポップ・ロックが到達した最初期の完成形の一つであり、今なお古びにくい鋭さと輝きを持っている。

全曲レビュー

1. Hanging on the Telephone

アルバム冒頭を飾る「Hanging on the Telephone」は、ブロンディのパワーポップ的な魅力を凝縮した楽曲である。もともとはThe Nervesの楽曲だが、ブロンディのバージョンでは、デボラ・ハリーの切迫した歌唱とマイク・チャップマンの引き締まったプロダクションによって、極めて完成度の高いオープニング・トラックになっている。

音楽的には、短く鋭いギター、跳ねるリズム、すぐに耳へ入るメロディが特徴である。曲はわずかな時間で一気に走り抜けるが、その中に電話越しの焦燥とポップな高揚が詰め込まれている。パンクのスピード感を持ちながら、メロディは非常に明確で、ラジオ向きのポップ性も備えている。

歌詞では、電話を通じた執着と欲望が描かれる。語り手は相手の声を求め、電話にしがみつく。ここで重要なのは、恋愛が直接的な接触ではなく、通信メディアを介して表現されている点である。電話は親密さを生むが、同時に距離も強調する。相手の声は聞こえるが、相手の身体はそこにない。この焦れったさが曲のスピードとよく結びついている。

デボラ・ハリーの歌唱は、甘さと苛立ちが同時に存在している。彼女は恋に弱っているようでもあり、相手を支配しようとしているようでもある。その曖昧さが、ブロンディの恋愛表現の魅力である。「Hanging on the Telephone」は、アルバムの幕開けとして、ポップ、パンク、メディア的な恋愛感覚を一気に提示する名曲である。

2. One Way or Another

「One Way or Another」は、ブロンディの代表曲の一つであり、執着、追跡、復讐心をキャッチーなロック・ソングへ変換した楽曲である。タイトルは「どうにかして」「何らかの方法で」という意味を持ち、語り手が相手を見つけ出すという強い意志を示す。表面的には痛快なロック・ナンバーだが、その歌詞にはストーカー的な不穏さがある。

音楽的には、ギター・リフが鋭く、リズムはタイトで、曲全体に前のめりな推進力がある。パワーポップ的な明快さと、パンク的な攻撃性が絶妙に組み合わされている。サビのフックは非常に強く、聴き手にすぐ残る。だが、その明るいフックの中に、追跡者の執念が隠れている。

歌詞では、語り手が相手を探し、見つけ、手に入れようとする。通常のラブソングでは、恋の対象への憧れや告白が中心になるが、この曲では恋愛感情が一方的な追跡へ変わっている。デボラ・ハリーはこの危険な語り手を、ユーモアと冷たさを交えて演じる。彼女の声は、怒っているようでもあり、楽しんでいるようでもある。

この曲の重要性は、女性ヴォーカルが攻撃的な視線を持つ主体として描かれている点にある。ロックの歴史では、女性はしばしば見られる対象として扱われてきた。しかし「One Way or Another」では、語り手の女性が相手を見つけ、追い、観察する側に立つ。視線の力関係が逆転している。この点で、本曲は単なるポップ・ロックのヒット曲以上の意味を持つ。

3. Picture This

「Picture This」は、ブロンディのレトロなポップ感覚とニューウェイヴの透明感が美しく結びついた楽曲である。タイトルは「これを想像して」「この写真を見て」といった意味を持ち、写真、記憶、恋愛のイメージが中心にある。『Parallel Lines』におけるメディア的な恋愛表現を象徴する曲の一つである。

音楽的には、明るいギター、滑らかなメロディ、デボラ・ハリーの柔らかいヴォーカルが中心である。曲調は甘く、ガール・グループ的なロマンティシズムを感じさせるが、サウンドは1978年のニューウェイヴらしく引き締まっている。過去のポップへの愛情と、現代的な冷たさが同居している。

歌詞では、恋人の写真を求める感覚、イメージとして相手を所有したい欲望が描かれる。写真は記憶を保存するものであると同時に、相手を固定するメディアでもある。恋愛はここで、実際の関係だけでなく、写真というイメージを通じて成立している。これはデボラ・ハリー自身がポップ・アイコンとして写真や映像によって消費される存在だったこととも響き合う。

「Picture This」は、ブロンディの甘さが最も魅力的に表れた曲の一つである。しかし、その甘さは無邪気ではない。写真に閉じ込められた恋愛、イメージを求める欲望、視覚メディアの中で作られる親密さが、軽やかなポップ・ソングの中に潜んでいる。ブロンディらしい、表面の輝きと裏側の鋭さを持つ楽曲である。

4. Fade Away and Radiate

「Fade Away and Radiate」は、本作の中でも特にアート・ロック的で、幻想的な雰囲気を持つ楽曲である。タイトルは「消え去り、放射する」といった意味を持ち、存在が薄れていきながら光を放つようなイメージを喚起する。アルバムの中で、単純なポップ・ロックから一歩離れ、より夢幻的な空間を作る曲である。

音楽的には、テンポは抑えめで、ギターやシンセサイザー的な響きが不思議な浮遊感を作る。ロバート・フリップがギターで参加しており、その鋭く持続する音色が曲にアート・ロック的な緊張を加えている。ブロンディの通常の明快なポップ性とは異なり、ここでは陰影と余白が重視されている。

歌詞では、映画、スクリーン、イメージ、消えていく存在が連想される。誰かがメディアの中で輝き、同時に現実の身体としては薄れていく。これはポップ・スターの存在そのものにも通じる。スターは光を放つが、その光は映像や写真を通じて拡散し、本人の実体とは離れていく。

デボラ・ハリーの歌唱は、ここで特に冷たく、幽霊的である。彼女は感情を強く押し出さず、むしろ遠くから光る存在のように歌う。「Fade Away and Radiate」は、ブロンディが単なるヒット・ソング職人ではなく、ポップ・イメージの不気味さや儚さを扱えるバンドだったことを示している。アルバム中盤に深い陰影を与える重要曲である。

5. Pretty Baby

「Pretty Baby」は、タイトルからも分かるように、甘く、少し挑発的なポップ・ソングである。タイトルはブルック・シールズ主演の映画『Pretty Baby』を連想させ、少女性、魅力、危うさ、視線の問題を含んでいる。ブロンディが得意とする、無垢と性的イメージの境界を揺さぶる曲である。

音楽的には、軽快で親しみやすいメロディを持ち、60年代ガール・グループ的な甘さが強く感じられる。だが、演奏は過度に懐古的ではなく、ニューウェイヴらしいタイトな質感を保っている。デボラ・ハリーの声は、可愛らしさと皮肉を同時に含み、曲に複雑な表情を与えている。

歌詞では、「可愛い子」「魅力的な存在」への呼びかけが中心となる。ここでの「baby」は、恋愛対象であると同時に、ポップ・カルチャーが消費する若さや美しさの記号でもある。ブロンディは、こうした記号を無批判に使うのではなく、少し距離を置いて演じる。そのため、曲は甘いだけでなく、どこか自己意識的に響く。

「Pretty Baby」は、本作の中でブロンディのレトロ・ポップ志向を担う楽曲である。ガール・グループの夢見るような甘さを引用しながら、1970年代末の都市的なクールさで再演している。デボラ・ハリーのペルソナが最も効果的に働くタイプの曲である。

6. I Know But I Don’t Know

「I Know But I Don’t Know」は、フランク・インファンテがリード・ヴォーカルを取る楽曲であり、アルバムの中で少し異なるロック色をもたらす。タイトルは「分かっているけれど分からない」という矛盾を含み、混乱、迷い、自己矛盾を示している。ブロンディのアルバムにおいて、デボラ・ハリーの声が圧倒的な中心であることは確かだが、この曲はバンドとしての別の側面を提示している。

音楽的には、ギター・ロック色が強く、やや荒いエネルギーを持つ。パワーポップというより、ニューウェイヴ的な硬さとロックンロール的な勢いが前に出ている。デボラ・ハリーのクールな演技性から離れることで、アルバムに少し生々しいバンド感が加わる。

歌詞では、知っているようで知らない、確信があるようで揺らいでいる状態が描かれる。これは恋愛にも、自己認識にも、都市生活の混乱にも当てはまる。ブロンディの音楽はしばしば軽快だが、その背後には「分かっているつもりでも何も確かではない」という不安がある。

「I Know But I Don’t Know」は、アルバムの中ではやや異色だが、バンドのロック的な骨格を確認させる曲である。『Parallel Lines』が完全にデボラ・ハリーのイメージだけで成立しているのではなく、ギター・バンドとしてのブロンディの力も含んでいることを示している。

7. 11:59

「11:59」は、時間に追われる感覚を持つ疾走感のある楽曲である。タイトルは午前または午後の12時直前、つまり何かが切り替わる寸前の時間を示す。あと1分で日付や状況が変わる。その切迫感が、曲全体のスピードとよく結びついている。

音楽的には、速いテンポ、力強いギター、明快なメロディが特徴である。パンクの短さとパワーポップのフックがうまく組み合わされており、アルバム後半に勢いを与える。デボラ・ハリーの歌唱も、ここでは比較的ストレートで、曲の焦燥感を押し出している。

歌詞では、時間の制限、終わりが近づく感覚、急がなければならないという心理が描かれる。1970年代末のニューウェイヴには、未来への期待と不安が同時に存在していた。この曲の「11:59」という時間は、時代の切り替わり直前にいる感覚とも読める。70年代が終わり、80年代のポップ時代が始まる直前の緊張がある。

「11:59」は、アルバムの中でブロンディのロック・バンドとしての即効性を示す曲である。大きな実験性はないが、短い時間で聴き手を引き込む力がある。『Parallel Lines』の完成度の高さは、こうしたアルバム曲にも明確なフックとテーマがある点に表れている。

8. Will Anything Happen?

「Will Anything Happen?」は、タイトル通り「何か起こるのか?」という期待と不安を扱う楽曲である。ニューウェイヴらしい落ち着かなさと、ブロンディのポップな明快さが組み合わされた曲で、アルバム後半の勢いを支える。

音楽的には、軽快なギター・ロックで、テンポは速く、曲はコンパクトに進む。リズムには急かされるような感覚があり、歌詞の「何かが起こるのか」という問いと対応している。デボラ・ハリーの声は、焦っているようでもあり、退屈しているようでもある。この二重性が曲の魅力である。

歌詞では、期待しているのに何も起こらないかもしれないという都市的な倦怠が表れる。ブロンディの音楽には、夜の街やメディアの刺激に囲まれていながら、どこか退屈している感覚がしばしばある。この曲もその延長にある。何かを待っているが、何が起こるのかは分からない。期待は高まるが、同時に空虚でもある。

「Will Anything Happen?」は、アルバムの中では大きな代表曲ではないが、ブロンディのニューウェイヴ的な精神をよく示している。未来への興奮と、何も起こらないかもしれないという冷めた感覚。その間で曲は短く走り抜ける。

9. Sunday Girl

「Sunday Girl」は、『Parallel Lines』の中でも特に美しいポップ・ソングの一つであり、ブロンディのガール・グループ的な魅力が最も洗練された形で表れた楽曲である。タイトルの「Sunday Girl」は、日曜日の少女という柔らかく、少し夢見がちなイメージを持つ。平日の現実から少し離れた、休日の淡い恋愛感覚がある。

音楽的には、明るいメロディ、軽やかなギター、甘いコーラスが特徴である。曲は非常にポップで、耳に残りやすい。しかし、デボラ・ハリーの歌声にはどこか冷たい透明感もあり、単なる甘いポップに終わらない。レトロなメロディとニューウェイヴの質感が絶妙に融合している。

歌詞では、恋愛の不安や嫉妬が、軽やかな言葉で描かれる。日曜日の少女は、純粋で可愛らしい存在のようでありながら、恋愛の中で揺れ動く人物でもある。ブロンディは、少女的なイメージを使いながら、それを単純な無垢に閉じ込めない。そこには不安、演技、少しの皮肉がある。

「Sunday Girl」は、ブロンディが60年代ポップの遺産を1970年代末のニューウェイヴとして再構築した代表例である。過去への愛情がありながら、懐古にはならない。甘く、軽く、しかし非常に洗練された名曲である。

10. Heart of Glass

「Heart of Glass」は、『Parallel Lines』最大のヒット曲であり、ブロンディのキャリアを決定づけた代表曲である。ディスコ、ニューウェイヴ、ポップ・ロックを融合したこの曲は、1970年代末の音楽的境界を大きく揺さぶった。ロック・バンドがディスコのビートを取り入れ、しかもそれを独自の冷たいポップ美学へ変換した点で、極めて重要な楽曲である。

音楽的には、四つ打ちに近いダンス・ビート、シンセサイザー、滑らかなベースライン、透明なギター、デボラ・ハリーの浮遊するヴォーカルが組み合わされる。曲にはディスコの身体性があるが、一般的なディスコの熱気とは異なり、どこか冷たく、ガラスのように硬い質感を持つ。この冷たさがタイトルの「ガラスの心」と結びついている。

歌詞では、最初は本物の愛のように思えたものが、やがて壊れやすく、欺瞞的なものだったと分かる感覚が描かれる。恋愛の失望を歌っているが、曲調は悲劇的ではなく、むしろクールで踊れる。この感情の冷却が非常にブロンディらしい。傷ついているが、泣き崩れない。失望をダンス・ミュージックへ変換する。

デボラ・ハリーの歌唱は、この曲の中心である。彼女は熱く歌い上げるのではなく、どこか無重力のように声を浮かせる。そのため、曲は官能的でありながら距離がある。ディスコの快楽とニューウェイヴの冷たさが、彼女の声を通じて一つになる。

「Heart of Glass」は、ロックとダンス・ミュージックの関係を大きく変えた曲の一つである。後のニューウェイヴ、シンセ・ポップ、ダンス・ロック、エレクトロ・ポップに与えた影響は大きい。『Parallel Lines』の中心であり、ブロンディの革新性を最も鮮やかに示す名曲である。

11. I’m Gonna Love You Too

「I’m Gonna Love You Too」は、バディ・ホリーの楽曲のカバーであり、ブロンディが1950年代ロックンロールや初期ポップの遺産をどのように自分たちのサウンドへ取り込んだかを示している。バディ・ホリーは、短く明快なメロディとロックンロールの軽快さで、後のパワーポップにも大きな影響を与えた存在であり、ブロンディとの相性は非常に良い。

音楽的には、原曲のロックンロール的な明るさを保ちながら、ニューウェイヴ的なタイトさで再構成されている。演奏は軽く、テンポも快活で、アルバム後半にレトロな楽しさを加える。デボラ・ハリーの歌唱は、可愛らしさとクールさを同時に持ち、古いロックンロールを現代的に響かせている。

歌詞は、恋愛への前向きな宣言であり、非常にシンプルである。だが、ブロンディが歌うことで、そのシンプルさには少し演技的なニュアンスが加わる。1950年代の無邪気なラブソングを、1970年代末の都市的なバンドが再演することで、過去のポップが引用として機能する。

「I’m Gonna Love You Too」は、ブロンディの音楽がパンクだけから生まれたのではなく、ロックンロール、ガール・グループ、初期ポップの記憶を深く含んでいることを示している。本作の多層的なポップ性を支える重要なカバーである。

12. Just Go Away

アルバムの最後を飾る「Just Go Away」は、ブロンディのパンク的な辛辣さが戻ってくる楽曲である。タイトルは「ただ消えて」「どこかへ行って」という拒絶の言葉であり、アルバムを甘いロマンスではなく、冷たい切断で締めくくる。ブロンディらしい、鋭く、短く、皮肉な終曲である。

音楽的には、速いテンポと荒めのギターが中心で、初期ブロンディのパンク/ガレージ色が強く出ている。アルバム全体が非常に洗練されている中で、この曲は生々しい攻撃性を残している。デボラ・ハリーの歌声も、ここでは甘さよりも苛立ちが前面に出る。

歌詞では、相手への拒絶が非常に直接的に歌われる。恋愛関係の終わり、うんざりした感情、これ以上関わりたくないという態度が明確である。『Parallel Lines』には恋愛のさまざまな形が描かれてきた。電話への執着、追跡、写真への欲望、ガラスの心、日曜日の少女。そして最後に、ただ去れという言葉が置かれる。この流れは非常にブロンディらしい。

「Just Go Away」は、アルバムの終曲として、ブロンディがどれほどポップに洗練されても、根底にはパンク的な拒絶と辛辣さが残っていることを示している。甘いメロディやディスコの快楽の後に、最後は冷たく突き放す。このバランスが『Parallel Lines』の魅力を締めくくっている。

総評

『Parallel Lines』は、ブロンディの代表作であり、1970年代末ニューウェイヴの最も完成されたアルバムの一つである。パンク・シーン出身のバンドが、レトロなポップ、パワーポップ、ディスコ、アート・ロック、ガール・グループ的な甘さを取り込み、世界的なポップ・アルバムへ到達した作品である。しかも、その過程でバンドの個性は失われていない。むしろ、本作によってブロンディの本質が最も明確になった。

本作の最大の強みは、楽曲の粒の揃い方である。「Hanging on the Telephone」「One Way or Another」「Picture This」「Sunday Girl」「Heart of Glass」といった代表曲だけでなく、「Fade Away and Radiate」「11:59」「Will Anything Happen?」「Just Go Away」などのアルバム曲にも明確な役割がある。どの曲も短く、無駄が少なく、フックがある。アルバム全体は非常に聴きやすいが、単調ではない。ロック、ディスコ、レトロ・ポップ、アート・ロックが、テンポよく並んでいる。

マイク・チャップマンのプロデュースは、本作の完成度に大きく貢献している。初期ブロンディの粗さを完全に消すのではなく、ポップとして機能する形に整理した。ギターは鋭く、ドラムはタイトで、ヴォーカルは前面に出て、コーラスは明快である。音の輪郭がはっきりしているため、現在聴いても古びにくい。1978年の作品でありながら、過剰な時代感に埋もれず、今でもシャープに響く理由は、このプロダクションの明快さにある。

デボラ・ハリーの存在は、本作の中心である。彼女は、可愛らしさ、冷たさ、怒り、欲望、退屈、皮肉、官能性を曲ごとに切り替える。しかも、それらを「自然な感情」としてだけでなく、ポップ・カルチャーの中で演じられる役割として提示する。これは、後のポップ・スターのあり方を先取りしていた。マドンナ、シンディ・ローパー、グウェン・ステファニー、カレンO、レディー・ガガなど、イメージを自覚的に操作する女性アーティストの系譜を考えるうえで、デボラ・ハリーの存在は非常に重要である。

歌詞面では、恋愛が一貫したテーマでありながら、その表現は多様である。電話越しの執着、追跡、写真への欲望、イメージの消失、日曜日の少女、ガラスの心、拒絶。恋愛は直接的な感情ではなく、メディア、視線、時間、スタイルによって媒介される。これは、1970年代末の都市的な恋愛感覚をよく反映している。ブロンディの歌詞は一見軽いが、その軽さの中に、現代的な人間関係の断片化がある。

『Parallel Lines』の歴史的な中心にあるのは、やはり「Heart of Glass」である。この曲は、ロックとディスコの境界を軽やかに越え、ニューウェイヴのバンドがダンス・ミュージックを取り込む道を開いた。ロックの純粋性を守るのではなく、都市で鳴っている音を自由に吸収する。この姿勢は、後のブロンディの『Autoamerican』におけるレゲエやラップの導入にもつながる。『Parallel Lines』は、そのクロスオーバー精神が最も完璧なバランスで表れた作品である。

日本のリスナーにとって本作は、ニューウェイヴ入門としても、パワーポップの名盤としても、女性ヴォーカル・ロックの重要作としても聴く価値がある。曲が短く、メロディが明快で、サウンドが洗練されているため、非常に聴きやすい。しかし、聴き込むほどに、レトロな引用、都市的なアイロニー、メディアへの意識、デボラ・ハリーの演技性が見えてくる。単なるヒット曲集ではなく、1970年代末のポップ・カルチャーを凝縮したアルバムである。

『Parallel Lines』は、パンクのエネルギーをポップの形式へ変換し、ニューウェイヴを世界的なポップ表現へ押し上げた作品である。鋭く、甘く、冷たく、踊れて、写真のように鮮やかで、ガラスのように壊れやすい。ブロンディというバンドの魅力が最も美しく整列した、まさに平行線の名盤である。

おすすめアルバム

1. Blondie『Eat to the Beat』

1979年発表。『Parallel Lines』の成功を受けて制作されたアルバムで、ニューウェイヴ、パワーポップ、レゲエ風味、ロックンロールがより多彩に展開されている。「Dreaming」「Atomic」「Union City Blue」などを収録し、ブロンディのポップ・バンドとしての勢いをさらに確認できる作品である。

2. Blondie『Autoamerican』

1980年発表。『Parallel Lines』で示されたジャンル越境性をさらに拡張し、レゲエ、ラップ、ジャズ、ミュージカル的要素まで取り込んだ野心作である。「The Tide Is High」「Rapture」を収録。完成度のまとまりでは『Parallel Lines』に譲るが、ブロンディの実験精神を理解するうえで重要である。

3. The Cars『The Cars』

1978年発表。ニューウェイヴ、パワーポップ、ロック、シンセサイザーの質感を洗練された形で融合したデビュー作である。ブロンディと同じく、パンク以後の鋭さをラジオ向きのポップへ変換した作品として関連性が高い。簡潔なフックと冷たいプロダクションのバランスが魅力である。

4. Talking Heads『More Songs About Buildings and Food』

1978年発表。ニューヨーク・ニューウェイヴの知的でリズミックな側面を代表する作品であり、ブロンディとは異なる方法でパンク以後のロックを再構築している。都市的な神経質さ、乾いたサウンド、ポップへの接近という点で『Parallel Lines』と同時代的な響きを持つ。

5. The Go-Go’s『Beauty and the Beat』

1981年発表。女性バンドによるニューウェイヴ/パワーポップの重要作であり、明るいメロディ、軽快なギター、ポップな即効性を持つ。ブロンディが切り開いた女性フロントのニューウェイヴ・ポップの流れを、よりカリフォルニア的で明るい形に発展させた作品として聴くことができる。

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