発売日: 2007年1月30日
ジャンル: ジャズ、フォーク、ポップ、カントリー
Not Too Lateは、ノラ・ジョーンズが前作Feels Like Homeから3年の歳月を経てリリースした3枚目のスタジオアルバムである。このアルバムでは、より内省的で深みのある世界観が展開されており、ノラが初めて全曲の作詞・作曲に携わり、自身のプロデュースによる楽曲も多く収録している。前作までのカントリーやジャズの要素に加え、社会問題や個人的な感情を歌詞で表現するなど、より成熟したテーマが反映されている。Not Too Lateは、リスナーにとって、彼女の持つ繊細でメランコリックな感情を覗く旅となり、よりダークで心に残る作品として、新しいノラ・ジョーンズの一面を提示している。
各曲解説
- Wish I Could
切ない別れの物語を歌ったバラードで、静かなギターが伴奏を彩る。過去の愛を回想しながらも、それを受け入れられない葛藤が歌詞に込められており、ノラの柔らかなボーカルがその切なさを引き立てる。 - Sinkin’ Soon
軽快なジャズとブルースの要素が融合した楽曲で、遊び心のあるメロディが楽しい。バックにはトロンボーンが加わり、ユニークな雰囲気を演出。日常の苦悩を軽やかに表現する歌詞が印象的。 - The Sun Doesn’t Like You
明るいメロディの裏に、社会に対する憂鬱なメッセージが込められた一曲。明るさと陰鬱さのバランスが絶妙で、ノラの歌声がどこか孤独感を引き立てている。 - Until the End
ロマンチックなバラードで、愛が試練に晒されても最後まで続くことを願う切ない歌詞が特徴的。ノラの控えめなボーカルが、恋愛の複雑な感情を優しく表現している。 - Not My Friend
鋭い歌詞とシンプルなアレンジが印象的な曲で、友情の終わりや裏切りをテーマにしている。淡々と歌うノラのボーカルが、楽曲に深い余韻を残す。 - Thinking About You
アルバムのリードシングルで、失恋後も忘れられない相手への想いを歌ったラブソング。切なくも暖かみのあるメロディと、ノラのしっとりとした声が心に響く。 - Broken
儚いピアノと静かなボーカルが、切ない別れの痛みを描写している。感情を抑えた歌唱がかえって心を打つ。ピアノとストリングスのシンプルなアレンジが、曲のメランコリックな雰囲気を際立たせている。 - My Dear Country
社会的なテーマを含んだこの曲は、アメリカの政治と自国への複雑な感情を表現。カントリー調のメロディに、皮肉と憂いが込められており、ユニークなアプローチが光る一曲。 - Wake Me Up
軽やかなギターとノラのリラックスしたボーカルが心地よい一曲。誰かとの大切な時間を楽しみたいという願いが込められており、夢心地な雰囲気が広がる。 - Be My Somebody
アップテンポでカントリー風のアレンジが心地よく、シンプルながらもリズミカルな一曲。誰かに必要とされたいという想いが歌詞に込められており、ノラの楽観的な一面が感じられる。 - Little Room
短いインストゥルメンタルで、静かで幻想的なピアノが流れる。アルバム全体に流れるテーマをつなぐ小さな幕間のような役割を果たしている。 - Rosie’s Lullaby
シンプルなアレンジで、ノラの歌声が静かに物語を紡ぐ。子守歌のような優しさと悲しみが交錯する曲で、聴き手の心をそっと包み込む。 - Not Too Late
タイトル曲であり、アルバムのラストを飾る曲。温かいギターとノラの柔らかいボーカルが、希望と再生のテーマを表現している。「遅すぎることはない」というメッセージが、静かに力強く響く。
アルバム総評
Not Too Lateは、ノラ・ジョーンズのアーティストとしての成熟を感じさせる作品であり、よりパーソナルで内省的なテーマが盛り込まれている。彼女の持つ繊細なボーカルとメランコリックなサウンドは、リスナーの心に深く響き、日常の喧騒から一瞬逃避できるような空間を提供している。また、社会問題や政治的なテーマにも触れるなど、彼女の音楽がより多様な視点を持つようになったことがわかる。ノラの成長がうかがえるこのアルバムは、穏やかで美しい楽曲が詰まった、彼女の新たな一歩を示す重要な作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Feist – The Reminder
シンガーソングライターのファイストによるメランコリックなフォークポップアルバム。シンプルなメロディと切ない歌詞が特徴で、ノラ・ジョーンズのNot Too Lateのファンに響く作品。
Cat Power – The Greatest
カントリーやソウルの要素を取り入れたアルバムで、キャット・パワーのソウルフルで切ないボーカルが光る。ノラの内省的なサウンドが好きなリスナーにおすすめ。
Ray LaMontagne – Till the Sun Turns Black
レイ・ラモンターニュのダークで内省的なアルバムで、哀愁漂うメロディが印象的。ノラのシンプルなアレンジと深い歌詞に共感できるリスナーに最適。
Laura Marling – Once I Was an Eagle
イギリスのフォークシンガー、ローラ・マーリングによる作品で、豊かなストーリーテリングと感情的な歌声が魅力。ノラ・ジョーンズのファンにも強くおすすめできる。
Norah Jones – Little Broken Hearts
ノラの4作目で、ダークでエレクトロニックな要素も取り入れた作品。Not Too Lateの内省的なスタイルが好きなファンにとって、次に手に取るべきアルバム。
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