1. 歌詞の概要
- 「Lullaby」は、恐怖や不安、そして悪夢に取り憑かれた心の状態を描いた楽曲です。歌詞では、スパイダーマンという怪物的な存在が、主人公を静かに待ち受け、彼を捕らえて食べるという不気味な光景が描かれています。表面的には子守唄（Lullaby）のようなタイトルですが、歌詞の内容は恐ろしい夢や心の闇を象徴しており、眠りの中で忍び寄る恐怖に焦点が当てられています。繰り返される「spider」が、怖気を誘う存在として登場し、曲全体に不穏な空気が漂っています。
2. 歌詞のバックグラウンド
- 「Lullaby」は、The Cureの1989年のアルバム『Disintegration』に収録されており、バンドの最も象徴的な楽曲の一つです。フロントマンのロバート・スミスは、この曲のインスピレーションについて、子供の頃に父親から聞かされた恐ろしい物語が元になっていると語っています。しかし、歌詞の解釈については明確な答えを避けており、スミス自身の個人的な恐怖や、抑えられた不安が反映されているとされています。リリース当時、この曲はイギリスのシングルチャートで大ヒットし、ゴシックロックの象徴的な作品として多くのファンに支持されました。
3. 歌詞の抜粋と和訳
- 英語: “On candy stripe legs the spider man comes”
日本語: 「キャンディストライプの脚をしたスパイダーマンがやってくる」 - 英語: “Quietly he laughs and shaking his head”
日本語: 「彼は静かに笑い、頭を揺らしている」 - 英語: “And I feel like I’m being eaten by a thousand million shivering furry holes”
日本語: 「千や万の震える毛むくじゃらの穴に食べられているように感じる」
4. 歌詞の考察
- 「Lullaby」の歌詞は、非常に幻想的でありながらも恐怖心を煽るイメージで満たされています。「スパイダーマン」が象徴するものは、ロバート・スミスの個人的な恐怖や抑圧された不安、あるいは何か得体の知れないものに捕らわれてしまう感覚を表していると考えられます。また、「千や万の穴に食べられる」という表現は、自己の崩壊や無力感、そして圧倒的な恐怖感を伝えています。全体を通じて、眠りの中で繰り広げられる悪夢のような情景が描かれており、スミスのトレードマークともいえる陰鬱でメランコリックなスタイルが感じられます。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
- “A Forest” by The Cure
A Forest – The Cure
同じくミステリアスでダークな雰囲気を持つ曲で、不安感や孤独をテーマにしています。 - “Atmosphere” by Joy Division
Atmosphere – Joy Division
ゴシックロックとポストパンクの中で、暗く感情的なテーマを描いた名曲。内面の孤独や恐れが反映されています。 - “Strangelove” by Depeche Mode
Strangelove – Depeche Mode
同じくダークなエレクトロサウンドと不安定な感情を表現しており、「Lullaby」と似た雰囲気があります。
6. 特筆すべき事項
- 「Lullaby」は、The Cureにとって商業的にも大成功を収めた楽曲で、特にミュージックビデオが大きな注目を集めました。ビデオでは、ロバート・スミスが蜘蛛の巣に絡め取られた状態で歌い、曲の不気味さと不安感を視覚的に強調しています。この曲は、『Disintegration』というアルバム全体のダークで内向的なテーマとよく一致しており、バンドのゴシックロックの象徴的な作品の一つとなっています。また、「Lullaby」は様々な解釈を許す曲でもあり、リスナーによって異なる恐怖や内面の葛藤を感じ取ることができる点も特徴です。
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