発売日: 1996年6月4日
ジャンル: ハードロック、オルタナティブロック
Metallicaの6作目となる『Load』は、バンドがこれまでのスラッシュメタルのスタイルから離れ、ハードロックやオルタナティブロック、さらにはサザンロックの要素を取り入れた意欲作である。このアルバムは、前作『Metallica（ブラックアルバム）』でのシンプルで重厚な方向性をさらに押し進め、実験的なアプローチを採用している。Metallicaのトレードマークだった長髪を切り落としたビジュアルの変化も含め、ファンにとっては驚きと挑戦を伴う作品となった。
プロデューサーには引き続きボブ・ロックを迎え、クリアで洗練されたサウンドが特徴的だ。ギターリフやボーカルには、ブルースやサザンロックの影響が感じられ、ヘヴィメタルの枠を超えた広がりを見せている。歌詞はこれまで以上に内省的で、ジェームズ・ヘットフィールドの個人的な感情や葛藤が色濃く反映されている。
『Load』は、Metallicaの新しいフェーズを象徴する作品であり、賛否両論を呼びつつも、商業的な成功を収めたアルバムである。
1. Ain’t My Bitch
アルバムの幕開けを飾るロックンロール的な楽曲で、ブルージーなギターリフとキャッチーなコーラスが特徴的。軽快なテンポと挑発的な歌詞が、アルバム全体の雰囲気を予感させる。
2. 2 x 4
ヘヴィでグルーヴ感あふれる楽曲で、スライドギターを使用したアレンジがサザンロックの影響を感じさせる。ヘットフィールドの力強いボーカルが楽曲を引き締めている。
3. The House Jack Built
陰鬱でメランコリックなトラックで、依存症や自己破壊をテーマにした歌詞が印象的。トークボックスを使用したギターサウンドが独特の雰囲気を作り出している。
4. Until It Sleeps
内省的な歌詞とエモーショナルなボーカルが光るバラードで、ヘットフィールドの母親の死からインスピレーションを得た内容。クリーントーンのギターとダイナミックなアレンジが美しく調和している。
5. King Nothing
商業的に成功したシングル曲で、野心や空虚さをテーマにした歌詞が特徴的。力強いリフとキャッチーなメロディが、聴き手の心を掴む。
6. Hero of the Day
メロディックで感情的な楽曲で、アルバムの中でも特に親しみやすい一曲。静かなパートと激しいパートのコントラストがドラマチックな雰囲気を生み出している。
7. Bleeding Me
8分を超える大作で、アルバムの中でも最も内省的で感情的な楽曲の一つ。スローなテンポとヘヴィなアレンジが、楽曲に深い陰影を与えている。
8. Cure
ブルースの影響が色濃く出た楽曲で、軽快なグルーヴが特徴。歌詞には精神的な癒しへの探求が描かれている。
9. Poor Twisted Me
シンプルでミッドテンポの楽曲で、ブルージーなギターリフが印象的。軽快ながらもダークな雰囲気が漂う。
10. Wasting My Hate
力強いボーカルとリフが印象的なトラックで、怒りと解放がテーマになっている。アップテンポの展開がアルバムにエネルギーを加えている。
11. Mama Said
Metallicaの中でも特に異色なカントリーテイストのバラードで、ヘットフィールドの母親への思いが歌詞に込められている。アコースティックギターが中心のアレンジが新鮮だ。
12. Thorn Within
ダークで重厚な楽曲で、自己嫌悪や内面的な葛藤をテーマにしている。リフの繰り返しが楽曲に緊張感を与えている。
13. Ronnie
カントリーとブルースの要素を取り入れた軽快な楽曲で、社会的なテーマを扱った歌詞が特徴的。
14. The Outlaw Torn
アルバムを締めくくる壮大な10分にわたる楽曲で、ヘットフィールドの個人的な感情が色濃く反映されている。ヘヴィなリフとエモーショナルなギターソロが、アルバム全体を締めくくるにふさわしい。
アルバム総評
『Load』は、Metallicaが音楽的な方向性を大胆に転換したアルバムであり、彼らの幅広い音楽的ルーツを探ることができる作品である。スラッシュメタルから離れたことで賛否両論を呼んだものの、ブルースやロック、カントリーの要素を取り入れた実験的な楽曲群は、Metallicaの新たな魅力を示している。商業的成功を収めながらも、彼らのクリエイティブな挑戦が感じられる一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Superunknown by Soundgarden
オルタナティブロックとヘヴィなリフが融合した作品で、『Load』の雰囲気を感じられる。
Ten by Pearl Jam
内省的な歌詞とメロディアスなロックが魅力的で、『Load』の感情的な側面と共鳴する。
Southern Harmony and Musical Companion by The Black Crowes
ブルースロックとハードロックの融合が光るアルバムで、『Load』の音楽的ルーツを探ることができる。
Badmotorfinger by Soundgarden
ヘヴィでありながらも実験的な要素が強く、『Load』のリスナーにおすすめ。
Vs. by Pearl Jam
キャッチーでありながらも深い歌詞と多様な音楽性を持つアルバムで、『Load』の多面的な魅力と共通点がある。
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