発売日: 1986年10月20日
ジャンル: ポップロック、シンセポップ
Frankie Goes to Hollywoodのセカンドアルバム『Liverpool』は、1986年にリリースされ、彼らの音楽キャリアにおける転換点となった作品である。デビューアルバム『Welcome to the Pleasuredome』の爆発的成功からわずか2年後にリリースされたこの作品は、よりロックに寄ったアプローチとバンドとしての一体感を強調している。
プロデューサーには、トレヴァー・ホーンに代わりスティーヴ・リプソンが起用され、サウンドは前作のシンセポップの華やかさから、ギターとリズムセクションを前面に押し出したロック寄りのスタイルへと変化している。歌詞には、内省的なテーマや社会的メッセージが込められており、より成熟した一面を見せている。しかし、アルバム全体を通じて実験的なエッジは減少しており、商業的には前作ほどの成功には至らなかった。
『Liverpool』は、バンドが新しい方向性を模索した作品であり、シンプルで力強いサウンドと深みのある歌詞が特徴のアルバムである。
1. Warriors of the Wasteland
アルバムの幕開けを飾る力強いロックナンバーで、荒廃した未来を描いた歌詞が印象的。ギターリフとホリー・ジョンソンの情熱的なボーカルが楽曲を引き立てている。
2. Rage Hard
シングルとしてリリースされたキャッチーな楽曲で、力強いリフとエネルギッシュなリズムが特徴。挑戦的な歌詞とシンセサウンドが融合し、アルバムを象徴する一曲となっている。
3. Kill the Pain
内省的な雰囲気を持つミッドテンポの楽曲。感情的な歌詞がホリー・ジョンソンのボーカルで力強く表現されており、バンドの成熟が感じられる。
4. Maximum Joy
タイトルの通り明るく前向きなメッセージを持つ楽曲で、アルバムの中でも特に軽快なトーンを持つ。シンプルな構成ながらも高揚感を与える。
5. Watching the Wildlife
ダンサブルなリズムが特徴の楽曲で、自然と人間社会の対比を描いた歌詞が興味深い。キャッチーなメロディが耳に残る。
6. Lunar Bay
スペーシーなサウンドが印象的な楽曲で、実験的なアレンジがバンドの音楽的冒険心を感じさせる。シンセとギターの絡み合いが楽曲に奥行きを与えている。
7. For Heaven’s Sake
バンドのロマンティックな一面を描いたバラードで、穏やかなメロディと柔らかなボーカルが印象的。感情的な深みが感じられる楽曲。
8. Is Anybody Out There?
アルバムを締めくくる壮大なバラードで、孤独感と希望をテーマにした歌詞が胸に響く。シンプルなピアノとホリーのボーカルが、楽曲の感情的な力を際立たせている。
アルバム総評
『Liverpool』は、Frankie Goes to Hollywoodがポップロックへの方向転換を試みたアルバムであり、前作『Welcome to the Pleasuredome』とは異なる、よりシンプルで内省的な一面が見られる。商業的にはデビュー作ほどの成功を収められなかったものの、力強いメッセージと成熟したサウンドが特徴的な作品だ。このアルバムは、バンドが音楽的な冒険を継続しながらも、より地に足の着いたアプローチを模索した一枚と言える。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Songs from the Big Chair by Tears for Fears
シリアスなテーマとドラマチックなサウンドが特徴で、『Liverpool』と共鳴する一枚。
Scoundrel Days by A-ha
より成熟したサウンドと深い歌詞が、『Liverpool』のリスナーにも響く作品。
The Colour of Spring by Talk Talk
ポップとアートの間を探求するアプローチが、『Liverpool』と共通する。
The Lexicon of Love by ABC
洗練されたサウンドと感情豊かな歌詞が、『Liverpool』のファンにおすすめ。
True by Spandau Ballet
バンドのロマンティックな側面が感じられる一枚で、ポップロックのエッセンスが楽しめる。
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