アルバムレビュー:Lifes Rich Pageant by R.E.M.

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

cover

発売日: 1986年7月28日
ジャンル: オルタナティヴロック、パワーポップ、フォークロック、カレッジロック


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概要

『Lifes Rich Pageant』は、R.E.M.が1986年に発表した4作目のスタジオ・アルバムであり、初期の霧がかった音像を抜け出し、“声と言葉”を前面に押し出した転機の作品である。
前作『Fables of the Reconstruction』の幻想的かつ内省的なトーンから一転、本作ではエネルギッシュでアグレッシブなアプローチが取られ、**“オルタナティヴ・ロックが社会と対話するフェーズ”**への入り口となった。

プロデューサーにはジョン・メレンキャンプ作品で知られるドン・ゲーマンを起用し、録音はアメリカ中西部インディアナ州の農場スタジオで行われた。
そのためサウンドには、開放的な空気と同時にアメリカーナ的な根源性が流れている。

また、マイケル・スタイプのボーカルは本作から明瞭さを増し、環境問題や政治的無関心といった社会的テーマに対して、はっきりと語りかけるようになる
『Lifes Rich Pageant』は、R.E.M.が“内にこもった美”から“外の世界との接点”へと一歩踏み出した、重要な作品なのである。


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全曲レビュー

1. Begin the Begin

アルバムのスタートにふさわしい、鋭く突き刺さるギターリフと重厚なリズム。
“始めよ、始まりを”という決意のタイトルと共に、スタイプの政治的ステートメントが響く。
抽象的な言葉の中に、何かが変わり始める鼓動がある。

2. These Days

勢いに満ちたアップテンポナンバー。
若者世代の焦燥と情熱を描きながら、“今”という瞬間の切迫感を歌い上げる。
バンドのグルーヴとコーラスワークが強く印象に残る。

3. Fall on Me

本作のハイライトにして、R.E.M.初期の代表曲。
酸性雨=環境問題を象徴に、自然破壊への静かな怒りと祈りを込めたメロディアスなバラード。
マイク・ミルズとの美しいツインボーカルが、空からの“落下”のイメージを柔らかく包み込む。

4. Cuyahoga

オハイオ州の“燃える川”=カヤホガ川をモチーフに、アメリカ史と自然破壊への批判を詩的に展開。
「川を再び泳げるようにしよう」というリフレインは、喪失と再生の寓話として深く響く。

5. Hyena

リズミカルなベースラインと不安を煽るリフが特徴的な、ひねくれたポップチューン。
ハイエナ=捕食者的社会への風刺とも読める寓意的な内容。
スタイプのヴォーカルが跳ねるように響く。

6. Underneath the Bunker

わずか1分半の奇妙なインストゥルメンタル。
東欧風のアコーディオンとギターで、アルバム中に異国感とユーモアを差し込む一瞬の“休息”。

7. The Flowers of Guatemala

美しいメロディに隠された、グアテマラ内戦とアメリカの外交政策への批判。
スタイプの声は淡々としていながら、そこには世界の痛みを静かに見つめる視線がある。
音の透明感とメッセージの重さのギャップが胸に刺さる。

8. I Believe

疾走感あふれるリズムと、タイトル通りの“信念”が詰まった一曲。
“君は信じるか?”という問いを、ロックンロールの叫びで形にした、理想主義的アンセム。

9. What If We Give It Away?

軽快なリズムと明るいコード進行が特徴。
「もし、すべてを与えたら?」という投げかけが、物質主義や自己中心性への問いかけに聞こえる。

10. Just a Touch

パンク・スピリットが炸裂する最もハイテンションなトラック。
テンポ感、シャウト、ピアノの暴走が、初期R.E.M.のエネルギーを爆発させている。

11. Swan Swan H

アメリカ南北戦争時代のモチーフを歌い込んだ、フォーク色の強い静謐なバラード。
古い言葉遣いや断片的な映像が重なり合い、“歴史の記憶”を詩的に呼び起こす。

12. Superman(ボーナストラック)

The Cliqueによる1969年の楽曲カバー。
マイク・ミルズがボーカルを担当し、コミカルかつ愛らしいポップセンスが光る。
アルバムのラストに“外し”として機能し、リスナーの肩の力をふっと抜く。


総評

『Lifes Rich Pageant』は、R.E.M.が“詩的な霧”の中から抜け出し、“時代に対して語りかけるバンド”へと成長したマイルストーンである。
環境問題、政治、アメリカの歴史、個人の信念──そのすべてを音楽として昇華し、知性と感情のバランスを絶妙に保っている

それまでのR.E.M.が“耳を澄ませる音楽”だったとすれば、本作は“声を届けようとする音楽”であり、
その変化はオルタナティヴロックの可能性を広げるきっかけとなった。

同時に、楽曲の粒立ちや演奏の洗練度も大幅に向上しており、
“インディからメインストリームへ向かう直前”の最も鮮やかな瞬間が、このアルバムに封じ込められている。


おすすめアルバム(5枚)

  • R.E.M. / Document
     次作にして社会的発言がさらに強化された“初の商業的大成功作”。

  • The Smiths / Meat Is Murder
     政治的・倫理的主張とインディギターロックの融合という意味で、精神的共鳴がある。

  • Talking Heads / Speaking in Tongues
     知性とダンス性を併せ持つアメリカン・ニューウェーブの代表作。

  • U2 / The Unforgettable Fire
     80年代中盤のポリティカルロックの先駆け。スケール感と誠実さがR.E.M.と重なる。

  • The Feelies / The Good Earth
     自然志向のアメリカン・オルタナ。リズムと瞑想性が同調する音楽性を持つ。


制作の裏側

本作の録音は、スタジオ“サマー・ロック・ファーム”という納屋を改造した空間で行われた。
ミッドウエストの空気感がそのまま作品に反映され、乾いた音像と空間的な広がりが特徴となっている。

また、プロデューサーのドン・ゲーマンは、R.E.M.に“もっと明瞭に”“もっとロックに”歌い、演奏するよう促したと言われており、
スタイプが初めて**“リリックが聴き取れるように”ボーカルをミックスしたアルバム**でもある。

その結果、『Lifes Rich Pageant』は、R.E.M.の声が初めて社会に届いた瞬間となったのだ。

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