- 発売日: 2021年6月4日
- ジャンル: インディーポップ、シンセポップ、オルタナティブロック
Jubileeは、Japanese Breakfastのミシェル・ザウナーによる3作目のアルバムで、前作までとは異なる、新たな喜びと希望に満ちた視点から描かれている。これまでの作品では喪失や悲しみ、癒しをテーマにしていたが、Jubileeではタイトルが示す通り「祝祭」にふさわしいポジティブなエネルギーが溢れている。ザウナーはこの作品で、シンセやストリングス、ブラスを大胆に取り入れ、華やかでリッチなサウンドを作り上げた。
このアルバムは、個人的な苦悩を越え、喜びと新たな始まりを称える旅を描いている。JubileeはJapanese Breakfastのサウンドの幅広さと、ザウナーの作詞作曲の才能が結集された作品であり、アルバム全体を通してエモーショナルで充実した音の世界が広がっている。
トラック解説
1. Paprika
アルバムのオープニングを飾る壮大なトラックで、ブラスセクションが力強く響き渡る。成功と自己実現の喜びを歌っており、ザウナーの高揚感あふれるボーカルがアルバム全体のポジティブな雰囲気を象徴している。エネルギッシュで華やかな一曲で、アルバムのテーマ「祝祭」を象徴する。
2. Be Sweet
80年代風のシンセポップが印象的なシングルで、軽快でキャッチーなメロディが特徴。愛と信頼をテーマにした歌詞が、ダンサブルなビートと相まって明るい雰囲気を作り出している。リスナーを思わず踊らせるようなポップアンセムで、Japanese Breakfastの新たなサウンドが楽しめる。
3. Kokomo, IN
ミディアムテンポのバラードで、懐かしい故郷や過去の愛に思いを馳せる内容。穏やかでメロディアスなサウンドが、ノスタルジックで温かい雰囲気を作り出している。ザウナーの歌詞には優しさと憂いが漂い、親しみやすさが感じられるトラックである。
4. Slide Tackle
ファンキーなベースラインが際立つトラックで、ザウナーのエネルギッシュなボーカルが楽曲を引き立てている。ポジティブに生きることの難しさをテーマにしつつも、希望を忘れない気持ちが歌われている。軽快なリズムが心地よく、アルバムの中でも特に印象に残る一曲。
5. Posing in Bondage
アンビエントなシンセサウンドが漂う、静かで内省的なバラード。孤独や愛の深みを描き、ザウナーの繊細なボーカルが心に響く。冷たくも美しい雰囲気が特徴的で、アルバムの中で異色の存在感を放っている。
6. Sit
エレキギターが力強く響くオルタナティブロック風のトラック。対人関係や自己表現の葛藤を歌い、ザウナーのエモーショナルな歌声が楽曲に緊張感を加えている。エネルギーとダイナミズムが溢れる、聴き応えのある一曲である。
7. Savage Good Boy
アートポップ的な要素が強く、歌詞には風刺的なメッセージが込められている。裕福な男性視点から資本主義を皮肉った内容で、軽快なリズムとザウナーのボーカルが皮肉とユーモアを感じさせる。独特のリズムとメロディがクセになる楽曲。
8. In Hell
喪失と悲しみをテーマにしたトラックで、ザウナーが亡き母を悼む気持ちが歌われている。感情的でダークな雰囲気が漂い、シンプルなギターメロディが切なさを引き立てる。アルバムの中でも特に個人的な意味が込められた一曲。
9. Tactics
しっとりとしたバラードで、恋愛や人間関係における駆け引きがテーマ。ザウナーのボーカルが柔らかくも力強く、静かなピアノのメロディと美しく調和している。感傷的で優雅な一曲で、彼女のソングライティングの深さが光る。
10. Posing for Cars
アルバムを締めくくる壮大なフィナーレで、ザウナーのギタープレイが光るトラック。約6分の長尺で、曲の後半には印象的なギターソロが展開され、アルバム全体の感情的な締めくくりにふさわしい。自己発見と内面的な変化を描き、聴き手に余韻を残すフィナーレに仕上がっている。
アルバム総評
Jubileeは、Japanese Breakfastが前向きなテーマとリッチなサウンドに挑戦した意欲作であり、アルバム全体に明るさと力強さが感じられる。ザウナーは、過去の悲しみや喪失を越えて、自らの成功と喜びを祝う作品を作り上げた。シンセやストリングス、ブラスといった多彩な楽器を使ったサウンドスケープが、彼女の個性的なボーカルと見事に調和しており、ポップでありながらも深い感情が込められている。
「Paprika」や「Be Sweet」のような華やかなポップトラックから、「In Hell」や「Posing for Cars」のような感情的でパーソナルな曲まで、JubileeはJapanese Breakfastの音楽的な幅広さを証明している。希望と喜びをテーマにしたこのアルバムは、ザウナーの新しいフェーズを象徴する作品であり、リスナーにとってもエネルギーとインスピレーションを与える一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Color Theory by Soccer Mommy
エモーショナルでカラフルなサウンドが特徴のアルバムで、感情の起伏が描かれている。Jubileeのポップでありながらも奥深いサウンドと響き合う。 - Women in Music Pt. III by Haim
ポップでエネルギッシュな楽曲と、内面を描いた歌詞が特徴。多彩なジャンルを取り入れたサウンドがJubileeファンにおすすめ。 - Titanic Rising by Weyes Blood
シンセサウンドやクラシックなポップメロディが美しい作品で、ザウナーの豊かなサウンドスケープに共鳴する。 - Future Nostalgia by Dua Lipa
80年代の影響を受けたシンセポップのアルバムで、キャッチーでダンサブルなトラックが詰まっている。Be Sweetが好きなリスナーにぴったり。 - All Mirrors by Angel Olsen
壮大で感情的なサウンドが楽しめるアルバムで、ストリングスやシンセを大胆に取り入れた作品。Jubileeのドラマチックな雰囲気に共鳴する。
コメント