アルバムレビュー:Journeys to Glory by Spandau Ballet

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1981年3月6日
ジャンル: ニュー・ロマンティック、シンセポップ、ポストパンク、ファンク・ポップ

概要

『Journeys to Glory』は、ロンドン出身のバンド、Spandau Ballet(スパンダー・バレエ)が1981年に発表したデビュー・アルバムであり、ニュー・ロマンティック・ムーブメントを象徴するエレガントでアヴァンギャルドな美学の原点として位置づけられる作品である。
同時代のDuran DuranやVisage、Japanと並び称されることが多いが、本作におけるSpandau Balletは、むしろクラブ・カルチャーに根ざした硬質で実験的なダンス・ミュージック志向が強く、ポップというよりは“アートとしての音楽”に近い印象を与える。

プロデューサーには同時代のエレクトロ/ポストパンクの潮流に精通したRichard James Burgessを迎え、プログラミング的精度の高いビートと、クラヴィアやシンセベースのファンクネス、冷たくも官能的なヴォーカルが融合。
これまでのロック的文脈とは明らかに異なるアプローチを見せ、サブカル的洗練と街的リアルが交差するロンドンらしさを体現したアルバムとなっている。

ファッション性、グラフィックデザインとの結びつきも強く、楽曲そのものが“音楽+イメージ”の複合芸術として構想されており、後のMTV時代の幕開けを予兆するような美意識が貫かれている。

全曲レビュー

1. To Cut a Long Story Short

Spandau Balletのデビュー・シングルにして、UKチャートで5位を記録した代表曲。
「話せば長くなるが…」というフレーズを皮肉に繰り返しながら、恋愛や自己表現の矛盾を暗示する。
緻密なエレクトロ・ビートと鋭利なシンセが象徴的で、ニュー・ロマンティックのマニフェスト的トラック

2. Reformation

宗教改革やアイデンティティの再構築といった大仰なタイトルにふさわしく、リズムも構成も実験的。
シンセベースとギターがポリリズミックに交錯し、ダンス・フロアのための抽象音楽とも言える仕上がり。
ヴォーカルのトーンもやや説教的で、ポストパンク的重みを感じさせる。

3. Mandolin

ラテン風のリズムとメランコリックなメロディが交錯する、エレガントな異色作。
「マンドリン」というタイトルが示すように、ヨーロピアンな哀愁が漂う。
ニュー・ロマンティック特有の“異国趣味と都市性”の混在が魅力。

4. Musclebound

ややレゲエ的なスウィングを持つリズムに乗せ、強靭な肉体と社会的役割の象徴を重ねた歌詞。
タイトル通り“筋肉で縛られた”アイデンティティというテーマは、男性性への問いかけとしても解釈できる。
映像的イメージに富んだサウンドと、ファンク的アプローチが特徴。

5. Age of Blows

インダストリアル色の強いナンバーで、ビートは攻撃的、構成は非メロディック。
社会批判や暴力の時代を暗示する“打撃の時代”というタイトルにふさわしく、荒廃した未来都市のサウンドスケープを想起させる。
Spandau Balletの中でも最もポストパンク色の濃い一曲。

6. The Freeze

アルバムからの2ndシングル。
冷淡さを美徳とするようなサウンドが特徴で、「凍った心」「冷えた関係性」といったテーマが反復される。
機械的なシンセの波とリズムの抑制が、感情の欠如すらファッションとして昇華するニュー・ロマンティック的象徴。

7. Confused

リズムはジャジーで緩やかだが、コード進行は不穏。
歌詞は「混乱」をテーマに、自己と他者、現実と虚構のズレを描く。
ヴォーカルは語りに近く、マーク・ホランダ―的な詩の朗読と音楽の中間といった印象すらある。

8. Toys

アルバムのラストを飾るナンバーにして、最も内省的で哀感に満ちたトラック。
“おもちゃ”は子ども時代の象徴であり、同時に消費社会における“無力な快楽”をも意味する。
繊細なピアノと、抑制されたエレクトロビートが、失われた純粋さと現代の無常観を浮かび上がらせる。

総評

『Journeys to Glory』は、Spandau Balletのポップスターとしてのイメージが確立される以前、音楽とファッション、思想とビートが密接に結びついていた初期ニュー・ロマンティックの硬質なドキュメントである。
洗練されてはいるが、決して媚びない。
美しく構築されながら、どこかで破綻を含む。
このアンビバレントな感覚こそが、初期Spandau Balletの最大の魅力だ。

ここにあるのは“グローリー(栄光)”ではなく、その栄光へ至るまでの都市の夜と自己認識の旅路である。
ファッション的な美意識と、音楽的なポストパンクの断片が共存する本作は、80年代の幕開けを象徴するアルバムとして、今なお聴き応えのある異色作といえる。

おすすめアルバム(5枚)

  • Visage / Visage
     ニュー・ロマンティックの精神を形にした、シンセポップの先駆的名盤。

  • Japan / Gentlemen Take Polaroids
     東洋趣味と内省的な耽美主義が結実した芸術的ポップ作品。

  • Ultravox / Vienna
     ドラマティックな電子音楽と映像的サウンドが交錯するクラシック。

  • Heaven 17 / Penthouse and Pavement
     社会風刺とファンクネスが融合したニューウェイヴ・ファンクの代表作。

  • ABC / The Lexicon of Love
     美学と感情の過剰なまでのドラマ性が光る、ニューウェイヴ時代のロマン主義。

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