アルバムレビュー:In the End by The Cranberries

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2019年4月26日

ジャンル:Alternative Rock / Indie Rock

概要

In the Endは、The Cranberriesが2019年に発表した8作目にして最後のスタジオアルバムである。Dolores O’Riordanは2017年のツアー中に、ギタリストのNoel Hoganと新曲の制作を進め、自宅でデモボーカルを録音していた。しかし2018年1月15日にO’Riordanが亡くなったため、残されたNoel Hogan、Mike Hogan、Fergal Lawlerは、彼女のデモをもとにアルバムを完成させることを決めた。プロデューサーには、初期の代表作を手がけたStephen Streetが迎えられている。

特殊な制作事情を持つ作品だが、完成した音は追悼盤らしい重苦しさだけに支配されてはいない。Noel Hoganの細くきらめくギター、Mike Hoganの旋律的なベース、Lawlerの簡潔で力強いドラム、そしてO’Riordanの一度聞けば分かる声という、The Cranberries本来の要素が前面に出ている。ストリングスや厚いギターを使う場面もあるものの、彼女のデモボーカルを無理に巨大なプロダクションで覆わず、歌の周囲にバンドが演奏を組み立てたような自然さがある。

歌詞には別離、後悔、失望、時間の経過などが繰り返し現れる。ただし多くの歌はO’Riordanの死以前に書かれているため、すべてを遺言のように解釈するのは適切ではない。結果を知る聴き手には別れを連想させる言葉が強く響く一方、曲そのものは恋愛や人生の変化について書かれたものとしても成立する。その二重性を保ったまま、バンドが自分たちらしいサウンドでキャリアを閉じた作品である。

全曲レビュー

1. 「All Over Now」

細かなギターの反復と落ち着いたリズムから始まり、The Cranberriesらしい冷たい透明感をすぐに取り戻す。歌詞ではホテルを舞台にした裏切りが描かれ、語り手は関係の終わりを理解しながら相手へ事実を突きつける。O’Riordanの歌唱は怒鳴るより低い温度を保っているため、激情よりも信頼が失われた後の冷たさが残る。大きな事情を背負ったアルバムの冒頭でありながら、まず一つの独立した物語として始めるところが効果的だ。

2. 「Lost」

低く鳴るベースとギターが暗い空間を作り、O’Riordanの声も前曲より内側へ沈む。「失われた」という題名通り、何か確かなものを掴めない感覚が中心にあり、歌詞には迷いや孤立が残される。サビではギターの幅が広がるものの、完全な解放には向かわず、緊張を保ったまま曲が進む。初期The Cranberriesのドリーミーなギターを思わせながら、演奏の重心は低く、アルバム序盤に深い陰影を与えている。

3. 「Wake Me When It’s Over」

重いギターリフと強いドラムによって、アルバムの中でも特にロック色を前へ出す。O’Riordanは抑えたヴァースからサビへ進むにつれて声を強め、「すべてが終わったら起こしてほしい」という言葉に疲労や現実から離れたい感覚をにじませる。柔らかなアルペジオだけでなく、「Zombie」以降のバンドが持っていた硬いギターサウンドも健在だ。静かな曲が続きそうな流れを早い段階で崩し、最終作を追悼的なバラード集にしない役割も大きい。

4. 「A Place I Know」

ギターの明るい響きと滑らかなメロディによって、前曲の重量感から視界を切り替える。タイトルにある「知っている場所」は物理的な場所だけでなく、安心できる状態や記憶の中の居場所としても聞くことができる。O’Riordanの特徴的な声の揺れが穏やかな旋律によく合い、バンドも必要以上に音を詰め込まない。The Cranberriesが初期から得意としてきた、少し寂しさを含んだ明るいギターポップに近い一曲である。

5. 「Catch Me If You Can」

短く反復するギターと引き締まったドラムが曲を前へ押し、アルバム中盤に軽い速度感を与える。タイトルは遊びの言葉のようだが、歌唱には追う側と逃げる側の距離が縮まらない不安も感じられる。O’Riordanは長い高音で劇的に盛り上げるより、言葉のリズムを生かしてメロディを運び、バンドもそのテンポ感を邪魔しない。派手な構成ではないが、4人の演奏の噛み合わせを想像しやすい簡潔なロックナンバーだ。

6. 「Got It」

明るいギターの響きと比較的軽いリズムを使い、アルバムの暗さを一度和らげる。サビではO’Riordanの声が伸びやかに広がり、短い言葉を反復することで覚えやすいフックを作る。複雑な音響や大きな展開ではなく、ギター、ベース、ドラム、歌の基本的な組み合わせだけで成立させているところがポイントだ。後期作品でありながら、1990年代のThe Cranberriesが持っていた簡潔なインディーポップの感触を自然に残している。

7. 「Illusion」

穏やかな導入の中でO’Riordanの声を近くに聞かせ、現実だと思っていたものが幻想だったのではないかという疑いを漂わせる。歌詞の感情を大げさに説明するのではなく、同じ思考から抜け出せないようなメロディの反復によって不安を表す。ギターも前へ押し出すより声の周囲に薄く広がり、曲全体に余白が多い。アルバム中盤までの比較的直接的なロックから、後半の内省的な流れへ移る境目になっている。

8. 「Crazy Heart」

タイトル通り、理性では整理しきれない感情を扱いながら、音楽は意外なほど軽やかに進む。ベースとドラムが安定した足場を作り、その上をギターとO’Riordanのメロディが滑るため、感情的な題材を必要以上に重くしない。彼女の声にある独特のアクセントや音程の揺らし方もよく聞こえ、The Cranberriesではボーカルそのものがアレンジの大きな一部だったことを再確認できる。後半の中では比較的開放的な曲である。

9. 「Summer Song」

夏という題名に似合う柔らかな光を感じさせる一方、単純に陽気なサマーソングにはならない。ギターは角を立てずに広がり、O’Riordanも力を抜いた歌唱でメロディを運ぶため、過ぎ去った時間を振り返っているような感触が生まれる。The Cranberriesには以前から明るい旋律の中へ寂しさを混ぜる曲が多く、その特徴が後期の落ち着いた演奏で現れている。終盤の重い曲へ進む前に、短い安らぎを作る配置もよく機能する。

10. 「The Pressure」

ベースとドラムが作る張り詰めたリズムに、ギターの硬い音を重ね、題名の「圧力」を身体的に感じさせる。O’Riordanの声にも切迫感があり、周囲から加わる負担に耐えながら進もうとする人物像を思わせる。静かな曲の多い後半で再び演奏を強くするため、アルバムが終盤で失速しない。バンドの激しい側面を使いながら、巨大なサビだけに頼らずリズムの持続によって緊張を作っている点も特徴だ。

11. 「In the End」

最後は音数を抑え、O’Riordanの声と穏やかな伴奏を中心に置く。歌詞では、努力したことや築いてきたものを振り返った末に残る失望や諦念が淡々と語られ、感情を無理に解決しようとしない。彼女の死後に聴けば別れの歌として強烈に響くが、その事実だけへ意味を限定せず、人間関係の終着点についての歌として受け取る余地も大きい。壮大なフィナーレを作らず、声そのものを最後まで中心に残したことが、結果としてThe Cranberriesの最終曲にふさわしい静けさを生んでいる。

総評

In the Endを特別な作品にしているのは制作背景だが、アルバムの価値はその事情だけでは説明できない。残されたデモボーカルを記念品として並べるのではなく、Noel Hogan、Mike Hogan、Fergal Lawlerがそこへ演奏を加え、Stephen Streetとともに一枚のThe Cranberries作品として完成させている。声を過剰なアレンジで飾らず、ギター、ベース、ドラムとの関係を優先したことで、特殊な方法で完成したアルバムにもかかわらずバンドらしい自然な一体感が残った。

とりわけNoel Hoganのギターは重要である。細いアルペジオで空間を作る初期からの方法と、歪んだコードで曲を大きくする後年の方法を曲によって使い分けており、アルバムにはThe Cranberriesの複数の時代が無理なく共存している。リズム隊も技巧を前へ出さず、O’Riordanの独特なタイミングに合わせて曲の骨格を作る。その控えめな演奏によって、彼女の声が最後までバンドの中心だったことがよく分かる。

歌詞を聴く際には、完成後の状況と書かれた時点を区別する必要がある。「Lost」「Wake Me When It’s Over」「In the End」のような題名や言葉はO’Riordanの死を知る聴き手には予告のようにも響くが、そこから彼女自身の最期についての意図を読み取ることはできない。むしろ恋愛や人生で経験する失望、疲れ、過去との距離という普遍的な題材が、偶然にも最後のアルバムという文脈で別の重みを持つようになった、と考える方が作品そのものに忠実である。

革新的な新路線を提示したアルバムではなく、曲によっては過去のThe Cranberriesで聞いた方法を思わせる。しかし最終作に必要だったのは、無理に新しいバンドへ変身することではなかった。初期の透明なギターポップから重量のあるオルタナティブロックまで、自分たちが長年使ってきた音を整理しながら、最後に残されたO’Riordanの歌を完成した楽曲へ変える。その仕事を丁寧に果たしたことで、In the Endは単なる未発表音源集ではなく、The Cranberriesのディスコグラフィーを正式に閉じる一枚となった。

おすすめアルバム

Everybody Else Is Doing It, So Why Can’t We?

Stephen Streetと作り上げた1993年のデビュー作。繊細なギター、旋律的なリズム隊、O’Riordanの声というバンドの基本形が最も鮮明で、In the Endに残る初期の透明感がどこから来たのかを確認できる。

No Need to Argue by The Cranberries

静かなドリームポップ的サウンドと「Zombie」のような重量級ロックが同居する2作目。In the Endでも使い分けられているバンドの「静」と「動」が、1990年代半ばにはすでに確立されていたことが分かる。

Bury the Hatchet by The Cranberries

1999年発表の4作目で、鋭いロックと親しみやすいポップソングを幅広く収録する。初期より硬くなったギターとO’Riordanのメロディを両立させる方法は、後年のIn the Endにもつながっている。

Roses by The Cranberries

長い活動休止を経て2012年に発表された再結成後の作品。派手さより4人の自然なアンサンブルを重視した落ち着いたサウンドで、そこから最終作へ続く後期The Cranberriesの成熟した演奏を追うことができる。

To the Faithful Departed by The Cranberries

1996年の3作目で、初期の繊細さからより硬く直接的なロックへ踏み込んだ作品。社会的な題材や死を扱う歌も増え、ギターの圧力とO’Riordanの強烈な歌唱を前面に出す方向が、In the Endの激しい曲にもつながっている。

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