Good Feelin’ to Know by Poco(1972)楽曲解説

Spotifyジャケット画像

1. 歌詞の概要

「Good Feelin’ to Know」は、アメリカのカントリー・ロック・バンドPoco(ポコ)が1972年にリリースした同名アルバムのタイトル・トラックであり、故郷、仲間、愛する人の存在がもたらす安心感と高揚感を歌った、希望に満ちたカントリー・ロック・アンセムである。

語り手は旅から帰り、再び愛する誰かと、または大切な仲間と再会する瞬間に満ちる感情を、**「Good feelin’ to know(知っているという気持ちのよさ)」**という言葉で表現する。
この曲が描いているのは、単なる「帰郷」ではない。
むしろそれは、自分の“居場所”を再確認し、愛と信頼のなかに自分を取り戻す瞬間なのだ。

陽光のように明るいコーラスと、軽やかなアコースティック・サウンドが、この再会の喜びをまっすぐに、そして感動的に描き出している

2. 歌詞のバックグラウンド

「Good Feelin’ to Know」は、Pocoの創設メンバーである**Richie Furay(リッチー・フューレイ)**によって書かれた楽曲で、当時のPocoにとっても大きな期待が寄せられたシングルだった。

Furayは、Buffalo Springfield時代に「Kind Woman」などで知られるソングライターとして注目されており、Pocoではよりメロディアスで叙情的な側面を強調していた。
この曲もまた、彼の人間味ある優しさと郷愁が反映された作品である。

商業的にはヒットチャートのトップを飾ることはなかったものの、ファンからはPocoを代表するアンセム的楽曲として長く愛され続けている。ライヴでも必ずといっていいほど演奏される定番ナンバーであり、バンドの“帰るべき場所”としての象徴ともいえる。

3. 歌詞の抜粋と和訳

Oh, it’s a good feelin’ to know
Somebody loves you
Oh, it’s a good feelin’ to know
Somebody cares

ああ、なんていい気分なんだろう
誰かが自分を愛してくれているって
ああ、なんて素敵なことなんだろう
誰かが気にかけてくれているって

And it’s been a long time since I’ve been home
But you know, I keep on coming back

ずいぶん長く家を離れていたけれど
それでも僕は、いつもここに帰ってくるんだ

引用元:Genius 歌詞ページ

この歌詞は、自分が“忘れられていなかった”ことを実感するよろこびを、シンプルな言葉で力強く伝えている。旅の果てに迎えてくれる誰かがいるという事実――それが、人生においてどれだけ大きな意味を持つかが、よく表れている。

4. 歌詞の考察

「Good Feelin’ to Know」は、移動と再会、孤独と愛の交差点に立つ人間の普遍的な感情を描いた楽曲である。

語り手は、長い旅を経て、ようやく帰ってくる。
しかしその“帰る”という行為は、地理的な意味だけでなく、“心の居場所”を再確認することでもある。

特に“Somebody loves you / Somebody cares”というコーラスの反復は、**人間が最も求めている“見捨てられていないという確信”**を力強く言葉にしたものであり、それを聴く者の心にも自然と沁みわたらせていく。

また、Pocoらしいアーシーでオープンなサウンドは、こうした感情を雄大な自然と重ねるように描き出す。
田舎道、青い空、木々の間を抜ける風――そうした**アメリカーナの原風景の中で見つける“帰るべき人の存在”**が、この曲の情景そのものなのである。

まさに、“心が呼吸するような音楽”。派手さはなくとも、真実がある。
だからこそ、「Good Feelin’ to Know」は聴くたびに、聴く人それぞれの“帰る場所”を思い出させてくれるのである。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Take It Easy by Eagles
    自由な旅と居場所の感覚を描く、ウエストコースト・サウンドの金字塔。

  • Return of the Grievous Angel by Gram Parsons
    魂の旅と帰還を描いた、アメリカーナの名曲。

  • Ventura Highway by America
    故郷と旅、青春と自由を音に変えたフォーク・ロックのクラシック。

  • Back Home Again by John Denver
    帰郷のあたたかさをまっすぐに歌った、心が解けるようなバラード。

  • Southern Cross by Crosby, Stills & Nash
    旅の中で見つけた自分、信じるものへの再接続。

6. “帰る場所”があるという、かけがえのない感情

「Good Feelin’ to Know」は、Pocoというバンドが持つ優しさ、温かさ、そして人とのつながりの大切さを最も明確に表現した曲である。

遠くへ行くこと、冒険すること、何かを探すこと――それも人生の一部。
でも、戻れる場所があるという安心感は、それ以上に力強く、やさしい真実なのだ。

この曲を聴くとき、誰もが心のどこかで、“迎えてくれる誰か”を思い出す
それは家族かもしれないし、恋人、友人、あるいはかつての自分自身かもしれない。

“帰る場所がある”ということ――
そのたったひとつの事実が、
どれほど人を支え、どれほど音楽を意味深くするか。

Pocoはそれを、飾り気のない歌と言葉で、そっと教えてくれるのだ。
それがこの曲の持つ、時代を超えるぬくもりと力なのである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました