
1. 歌詞の概要
Every Other Timeは、アメリカのポップ・グループLFOが2001年に発表した楽曲である。
同年リリースのセカンド・アルバムLife Is Goodからのリード・シングルとして、2001年5月29日にアメリカのラジオ向けにリリースされた。作詞作曲はRich Cronin、Kenny Gioia、Shep Goodman。プロデュースはKenny GioiaとShep Goodmanが担当している。楽曲はBillboard Hot 100で44位、Billboard Mainstream Top 40で8位、UKシングル・チャートで24位を記録した。ウィキペディア
この曲の中心にあるのは、別れそうで別れない恋人同士の、騒がしくて面倒で、でもどこか憎めない関係である。
話し合おうとすると、相手は出ていく。
ドアを強く閉める。
怒っている。
でも、主人公はどこかで笑っている。
なぜなら、これは初めてではないからだ。
ふたりはいつもこんなふうに揉めている。
喧嘩して、離れて、また戻る。
泣いたり、叫んだり、笑ったりしながら、同じようなゲームを繰り返している。
タイトルのEvery Other Timeは、直訳すれば、毎回ではないけれど、だいたい一回おきに、あるいは何度も何度も繰り返されるような感覚を持つ言葉である。
この曲では、そのフレーズが恋愛の不安定な周期を表している。
うまくいくときもある。
でも次の瞬間には壊れそうになる。
優しくなったかと思えば、すぐにぶつかる。
別れたと思えば、また戻ってくる。
Every Other Timeは、そんなオン・オフを繰り返す関係の歌なのだ。
ただし、この曲は重い失恋ソングではない。
サウンドは明るく、ギターが軽く鳴り、サビには大きなポップ感がある。
歌詞の中ではかなり面倒な関係が描かれているのに、曲全体は陽気で、少しふざけている。
ここがLFOらしい。
LFOは、Summer Girlsのようなナンセンスな固有名詞と軽いラップで知られるグループだった。Every Other Timeでも、その軽さは残っている。だが、Summer Girlsよりも少しバンド感があり、2001年のポップ・ロック寄りの空気をまとっている。
喧嘩しているのに、なぜか笑える。
恋人に振り回されているのに、どこか楽しんでいる。
苦しい関係のはずなのに、サビでは一緒に歌いたくなる。
Every Other Timeは、その矛盾をポップに鳴らした曲である。
2. 歌詞のバックグラウンド
Every Other Timeが収録されたLife Is Goodは、LFOにとって2枚目にして最後のスタジオ・アルバムである。
アルバムは2001年6月26日にJ Recordsからリリースされ、ジャンルとしてはポップ・ラップ、ポップ・ロック、R&Bを含む作品として紹介されている。Billboard 200では75位を記録したが、前作LFOほどの商業的成功には届かなかった。2001年末までの売上は282,000枚で、1999年のデビュー作の約149万枚を大きく下回ったとされる。ウィキペディア
この背景を知ると、Every Other Timeの響きは少し興味深くなる。
LFOは1999年のSummer Girlsで一気に注目を集めた。
その曲は、Abercrombie & Fitchや中国料理やNew Kids on the Blockなど、脈絡があるようでない言葉が次々に出てくる、非常に時代性の強いポップ・ラップだった。
それに比べると、Every Other Timeはもっとギター・ポップ寄りである。
BillboardのChuck Taylorはこの曲について、従来のラジオ向け楽曲にあった歌うようなギミックを脱しつつ、ライブ・バンド的な要素、ギター、ベース、パーカッションを軸に個性を作っていると好意的に評した。ウィキペディア
つまり、Every Other Timeは、LFOがSummer Girlsのイメージから少し進もうとしていた曲でもある。
もちろん、完全にシリアスなロック・バンドになったわけではない。
LFOらしい軽さや冗談っぽさは残っている。
でも、音の手触りは少し変わった。
打ち込み中心のポップ・ラップだけではなく、ギターが前に出る。
歌メロがより大きくなる。
ティーン・ポップとポップ・ロックの間を歩いている。
2001年という時代を考えると、この変化は自然でもある。
90年代末のボーイバンド・ブームはまだ強かったが、同時にギター・ポップやポップ・ロックの波もチャートに入り込んでいた。Nine Days、BBMak、Lifehouse、Michelle Branch、Smash Mouthなど、ラジオにはメロディの強いギター・ポップが多く流れていた。
Every Other Timeは、その空気にかなり近い。
LFOのポップ・ラップ的なキャラクターを残しながら、よりラジオ向けのポップ・ロックへ寄せている。
そのため、曲は軽快で、耳に残りやすく、同時に少し大人びて聞こえる。
Life Is Goodというアルバム自体は大成功とは言えなかった。
だが、Every Other Timeは、その中で最もLFOの次の可能性を感じさせる曲だった。
3. 歌詞の抜粋と和訳
歌詞の引用は権利に配慮し、短い範囲にとどめる。
I said let’s talk about it
和訳すると、次のような意味になる。
話し合おうって言ったんだ
この一節は、曲のドラマを始める重要な言葉である。
主人公は、関係を終わらせたいわけではない。
むしろ、話し合おうとしている。
問題を解決しようとしている。
しかし、その直後に相手は出ていき、ドアを閉める。
話し合いは成立しない。
冷静な対話にはならない。
感情が先に走ってしまう。
この関係の不安定さが、冒頭からよく表れている。
もうひとつ、曲全体の空気を象徴する短いフレーズがある。
every other time
和訳すると、次のようになる。
いつも決まって、そんなふうに
このフレーズは、単なる回数の説明ではない。
ふたりの関係にはパターンがある。
喧嘩する。
出ていく。
戻る。
また繰り返す。
その周期性が、every other timeという言葉に入っている。
歌詞掲載サイトでも、主人公が話し合おうとしたときに相手が出ていく場面、相手がいつもゲームをしているように振る舞うこと、そしてサビでevery other timeというフレーズが繰り返される流れが確認できる。歌詞翻訳
歌詞全文は各歌詞掲載サービスなどで確認できる。引用元はLFO Every Other Time lyrics掲載情報であり、歌詞の権利はRich Cronin、Kenny Gioia、Shep Goodmanおよび各権利者に帰属する。
4. 歌詞の考察
Every Other Timeの歌詞は、一見すると軽い。
恋人同士が喧嘩している。
相手はドアを閉めて出ていく。
主人公は笑っている。
ふたりはいつも同じようなゲームをしている。
しかし、この軽さの奥には、かなり現実的な関係の疲れがある。
話し合いたいのに、話し合えない。
感情が高ぶると、どちらかが逃げる。
それでも完全には別れない。
むしろ、その不安定さが関係の一部になってしまっている。
これは、恋愛の中でよくある悪循環だ。
本当は向き合いたい。
でも、向き合うと傷つく。
だから冗談にする。
怒りをゲームにする。
深刻な話を笑いに変える。
主人公が笑っているのは、本当に平気だからではないのかもしれない。
笑わないとやっていられない。
何度も同じことが起こるから、もう反応の仕方がわからない。
相手の行動に慣れてしまっている。
そんな感覚もある。
Every Other Timeは、その痛みを深刻なバラードとして描かない。
むしろ、軽快なポップ・ロックとして処理する。
この処理が、LFOらしい。
LFOの音楽には、しばしば感情を正面から深掘りしすぎない軽さがある。
だが、その軽さは必ずしも弱点ではない。
むしろ、若い恋愛の混乱をそのまま表していることがある。
本当に傷ついていても、友達の前では笑ってしまう。
本当は寂しくても、冗談っぽく話す。
本当は別れたくないのに、強がって歩き出す。
Every Other Timeの主人公も、そんな人物に見える。
相手の行動に呆れている。
でも、まだ好きなのだ。
深いところでは相手も自分を愛していると信じている。
だからこそ、終わらない。
この信じている感じが、少し危うい。
相手が自分を愛しているとわかっている。
でも、その愛し方は変わっている。
優しくない。
安定していない。
でも、それがこの人のやり方なのだと受け入れてしまっている。
この歌は、恋愛のかわいさだけでなく、少し不健全な楽しさも描いている。
喧嘩が刺激になる。
出ていくこともゲームになる。
怒りも愛情表現のように見えてしまう。
Every Other Timeのサビが明るいからこそ、その危うさは見えにくい。
でも、歌詞を読むと、ふたりの関係はかなり騒がしく、安定していない。
このズレが面白い。
5. この曲が好きな人におすすめの曲 5曲
- Life Is Good by LFO
同じアルバムLife Is Goodのタイトル曲であり、M.O.P.をフィーチャーした楽曲である。Every Other Timeよりも人生讃歌的なムードが強く、LFOらしいポップ・ラップの軽さと、少しざらついたヒップホップの要素が混ざっている。アルバム全体の雰囲気を知るには欠かせない曲である。
- Summer Girls by LFO
LFO最大の代表曲であり、1999年のポップ・カルチャーを象徴する一曲である。Every Other Timeよりもナンセンスで、固有名詞が次々に飛び出す軽いポップ・ラップだが、LFOの言葉遊びと陽気なキャラクターを知るには必ず聴きたい。
- Girl on TV by LFO
LFOの初期を代表する甘いポップ・ソングである。Every Other Timeのような喧嘩混じりの関係ではなく、もっと憧れや恋の高揚が前面に出ている。LFOがただの冗談っぽいグループではなく、メロディアスなラブソングも歌えたことがわかる。
- Absolutely (Story of a Girl) by Nine Days
2000年前後のアメリカン・ポップ・ロックを代表する曲である。Every Other Timeと同じく、少し不器用な男女関係を明るいギター・ポップに乗せている。泣いている女の子を歌うサビの感じも、ポップなのに少しほろ苦い。
- The Call by Backstreet Boys
2000年代初頭のポップ・グループによる、恋愛のトラブルをドラマティックに描いた曲である。Every Other Timeよりもダンス・ポップ色が強いが、電話、言い訳、関係の混乱というテーマは近い。同じ時代のポップ・グループが、恋愛の揉めごとをどうショーに変えていたかがわかる。
6. Life Is Goodの中での役割
Every Other Timeは、Life Is Goodというアルバムの入口として非常に重要な曲である。
アルバムLife Is Goodは、LFOの2枚目にして最後のアルバムである。前作LFOがSummer Girlsの大ヒットによって大きく売れた一方、Life Is Goodは商業的には大きく伸び悩んだ。それでも、音楽的にはLFOが自分たちのスタイルを広げようとしていた作品である。ウィキペディア
Every Other Timeは、その変化を最もわかりやすく示すシングルだった。
Summer Girlsのような遊び心は残っている。
しかし、サウンドはよりバンド寄り。
ギター、ベース、ドラムの輪郭が前に出ている。
ポップ・ラップというより、ポップ・ロックに近づいている。
この方向性は、2001年のラジオ環境に合わせたものでもあっただろう。
当時、ティーン・ポップはまだ人気だったが、リスナーの耳は少しずつ変わっていた。
完全に作り込まれたボーイバンド・サウンドだけでなく、ギターを持ったポップ・アクト、少しロック寄りの曲も受け入れられていた。
Every Other Timeは、その流れにLFOが乗ろうとした曲である。
アルバムの中では、シングルとしてリスナーを引き込む役割を持つ。
サビはキャッチーで、リズムは軽い。
歌詞も重すぎず、ラジオで流れやすい。
だが、その中に描かれる恋愛は、意外と面倒だ。
この面倒さが、Life Is Goodというアルバムの少し雑多な魅力にもつながっている。
LFOは、完璧に整ったポップ・グループではなかった。
少し変で、少し軽くて、少し不器用だった。
Every Other Timeには、その不器用さがよく出ている。
7. サウンドの聴きどころ
Every Other Timeのサウンドは、LFOの中でも特にポップ・ロック寄りである。
まず、ギターの明るい響きが耳に残る。
それは重いロックのギターではない。
軽く、乾いていて、ラジオ向けの爽やかさがある。
このギターが、曲全体を前へ進めている。
サビでは、ナナナというフレーズも印象的だ。
意味のある言葉ではないが、非常に耳に残る。
LFOらしい、意味よりも音の楽しさを優先するフックである。
このナナナの反復があることで、喧嘩の歌でありながら曲は明るくなる。
歌詞だけを読むと、相手が出ていき、ドアを閉め、ふたりがゲームを続けるような関係が描かれている。
しかし、サウンドはそれを悲劇にしない。
むしろ、青春の騒がしさとして鳴らしている。
ここで重要なのは、曲の軽さである。
Every Other Timeは、深刻な恋愛を分析する曲ではない。
むしろ、喧嘩しても戻ってくる、少しバカバカしい恋愛のテンションをそのまま音にしている。
そのため、ボーカルも重くならない。
LFOの歌い方は、非常に親しみやすい。
完璧に磨かれたソウルフルな歌唱というより、友達が話しかけてくるような軽さがある。
そこに、この曲の魅力がある。
もし同じ歌詞をもっと大げさなバラードとして歌ったら、かなり重く聞こえただろう。
だが、LFOはそれを軽快なポップ・ロックにしている。
だから、関係の面倒さまで含めて、どこか愛おしく聞こえる。
8. ミュージック・ビデオと2001年の空気
Every Other Timeのミュージック・ビデオは、Marcus Raboyが監督した作品である。IMVDb
このビデオは、2001年のポップ・グループの空気をよくまとっている。
ビーチ、青空、明るい光、若者たち、軽いユーモア。
楽曲のギター・ポップ感と、LFOの陽気なキャラクターがよく合っている。
Every Other Timeは、歌詞の中では恋人との喧嘩を描いている。
しかし、ビデオの印象はかなり開放的だ。
これもLFOらしいズレである。
深刻な問題を、深刻に見せすぎない。
明るい風景の中で、恋愛の混乱を軽く笑い飛ばす。
2001年のMTV的なポップの見せ方である。
この時代のミュージック・ビデオは、曲の意味を深く解説するというより、アーティストのキャラクターとライフスタイルを映す役割が大きかった。
Every Other Timeの映像も、LFOを明るく、親しみやすく、少しやんちゃなグループとして見せている。
このビデオによって、曲はさらに軽く、夏っぽく聞こえる。
歌詞の中ではドアが閉まり、喧嘩が起きている。
でも映像では、空は明るい。
この対比が、LFOのポップとしての本質をよく表している。
9. LFOのキャリアにおける位置づけ
Every Other Timeは、LFOのキャリアの中で非常に重要な曲である。
一般的な知名度で言えば、Summer Girlsが圧倒的に大きい。
しかし、Every Other Timeは、LFOが一発屋的なイメージから抜け出そうとした瞬間の曲として大切だ。
Summer Girlsは、あまりにも独特だった。
ナンセンスで、時代の固有名詞に満ちていて、強烈に1999年らしい。
そのぶん、LFOのイメージを固定してしまった面もある。
Every Other Timeは、そのイメージを少し変えようとした。
より楽器感のあるサウンド。
よりメロディアスなサビ。
恋愛のトラブルを歌う、少し普遍的なテーマ。
それでも、LFOらしい軽さは残っている。
このバランスが、曲を魅力的にしている。
また、後から振り返ると、Every Other Timeには少し切ない響きもある。
Life Is GoodはLFOの最後のスタジオ・アルバムになった。
その後、グループは大きく継続することなく、メンバーの人生にも悲しい出来事が重なる。
だから今聴くと、この曲の明るさは少し儚い。
2001年の青空の下で鳴っていた軽いポップ・ロック。
でも、その先に長い未来はなかった。
その儚さも含めて、Every Other TimeはLFOの後期を象徴する曲である。
10. この曲が今も響く理由
Every Other Timeが今も響く理由は、恋愛の面倒くささを明るく歌っているからである。
恋愛は、いつも美しいわけではない。
話し合いがうまくいかない。
相手が怒って出ていく。
自分も意地を張る。
でも、完全には離れられない。
また戻ってきて、また同じことを繰り返す。
この曲は、その面倒なループを、深刻な悲劇ではなく、若い恋の騒がしいゲームとして描く。
そこに、少し危うさもある。
でも同時に、妙なリアルさもある。
誰かと本気で関わると、きれいな言葉だけでは済まない。
ときには馬鹿げた喧嘩をする。
ときには笑ってごまかす。
ときには、本当は傷ついているのに冗談にする。
Every Other Timeは、その感じをよく捉えている。
サウンドには2001年の空気が濃く残っている。
軽いギター。
ポップ・ロック寄りのアレンジ。
ナナナのフック。
少しラップ的な語り口。
MTV時代の明るいビデオ感。
今聴くと、懐かしさがある。
だが、その懐かしさは曲の魅力そのものになっている。
Every Other Timeは、完璧な名曲というより、時代の匂いをそのまま保存したような曲である。
2001年のラジオ。
夏の午後。
少し大きめのTシャツ。
ビーチのミュージック・ビデオ。
そして、うまくいかないのに離れられない恋。
その全部が、曲の中で軽く鳴っている。
LFOは、深刻な詩人ではなかったかもしれない。
でも、軽い言葉と明るいメロディで、当時の若い恋愛の空気を切り取るのがうまかった。
Every Other Timeは、その力がよく出た一曲である。
喧嘩しても、笑う。
出ていかれても、戻ってくる気がしている。
面倒でも、好きでいる。
毎回ではないけれど、いつもそんなふうに。
その不安定なリズムが、この曲の心臓なのだ。

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