発売日: 1979年5月18日
ジャンル: パブロック、ニューウェーブ、ファンク
Do It Yourselfは、イアン・デューリー＆ザ・ブロックヘッズのセカンドアルバムであり、ファンキーでグルーヴィーなサウンドとウィットに富んだ歌詞が特徴的な作品だ。前作New Boots and Panties!!で示した風刺的な視点とユーモアはそのままに、より洗練された音楽的アプローチが光る。パンクの直情的なエネルギーから一歩進み、ファンクやソウルの要素を取り入れたことで、デューリーの多才な音楽性が存分に発揮されている。特に、ザ・ブロックヘッズの演奏力が際立ち、タイトなリズムセクションとデューリーの個性的なボーカルが絶妙に絡み合っている。
各曲ごとの解説:
- Inbetweenies
アルバムのオープニングトラックは、ファンキーなベースラインと軽快なリズムが特徴的な曲。デューリーの歌詞は、人間関係の曖昧さや、中途半端な立場に置かれた人々について描かれており、彼特有のシニカルなユーモアが光る。 - Quiet
タイトルとは裏腹に、活気あるリズムとキャッチーなギターリフが展開する楽曲。デューリーは日常の喧騒やストレスに対する皮肉を込めており、ザ・ブロックヘッズの演奏が軽快に響く。 - Don’t Ask Me
シンプルでリズミカルな楽曲で、デューリーが歌うのは、他人からの期待やアドバイスに対する反発だ。ストレートなメッセージとファンキーなグルーヴが調和し、デューリーの個性が際立っている。 - Sink My Boats
アップテンポでソウルフルな楽曲。タイトルは「ボートを沈める」という比喩表現を用いており、自己破壊的な行動について歌っている。サックスとギターの掛け合いが、曲にダイナミックなエネルギーを加えている。 - Waiting for Your Taxi
リズム主導の曲で、ギターのカッティングとファンキーなベースラインが印象的。デューリーの歌詞は、都会の孤独や焦燥感を描いており、彼の観察力が光る一曲だ。 - This Is What We Find
生活のさまざまな側面を冷静に描写するデューリーのウィットに富んだ歌詞が印象的なトラック。リズムとメロディのバランスがよく、ザ・ブロックヘッズの演奏力が光る楽曲である。 - Uneasy Sunny Day Hotsy Totsy
複雑な感情を持つ楽曲で、リズムの変化が多く、楽器のアンサンブルが楽しめる。タイトルからもわかるように、デューリーの遊び心とウィットが全開で、軽快なメロディと相まって不思議な魅力を放つ。 - Mischief
エネルギッシュなトラックで、いたずらや騒動をテーマにした歌詞が特徴。ファンキーなベースとテンポの速いリズムが、楽曲に活力を与えている。 - Dance of the Screamers
不気味な雰囲気を持つトラックで、ミニマルなリズムと効果音が織り交ぜられている。タイトル通り、叫び声やカオス的な要素が入ったエキセントリックな曲で、デューリーの実験的な一面が感じられる。 - Lullaby for Francies
アルバムを締めくくるこの曲は、リラックスしたテンポで、ソウルフルな雰囲気を持つ楽曲。穏やかなメロディと心地よいリズムが、アルバム全体を落ち着いた雰囲気で締めくくる。
アルバム総評:
Do It Yourselfは、イアン・デューリーが持つ多面的な音楽性を存分に発揮した作品であり、ザ・ブロックヘッズの演奏力とファンキーなリズムセクションがアルバム全体にダイナミズムを加えている。前作のパンクロック的なエネルギーを残しつつも、より成熟したサウンドを追求し、ファンクやソウルの要素を取り入れたことで、幅広い音楽的影響が感じられる。デューリーの風刺的でウィットに富んだ歌詞は健在で、彼のユニークな視点が全曲にわたって表現されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- New Boots and Panties!! by Ian Dury
デューリーのデビューアルバムであり、彼の独特の語り口と風刺的な歌詞が詰まった作品。Do It Yourselfの前作として、デューリーのスタイルのルーツを楽しめる。 - London Calling by The Clash
ファンクやレゲエなど、様々な音楽スタイルを融合させたパンクロックの名盤。デューリーの多様な音楽性に共感するリスナーにおすすめ。 - My Aim is True by Elvis Costello
パブロックからパンクへの移行期にリリースされたエルヴィス・コステロのデビューアルバム。ウィットに富んだ歌詞と鋭い視点がデューリーと共通している。 - Setting Sons by The Jam
ポストパンクの名盤で、労働者階級の生活や政治的テーマを扱った歌詞が印象的。デューリーの社会風刺的な視点に共感するリスナーにおすすめ。 - Fear of Music by Talking Heads
実験的なサウンドと鋭い社会批判が特徴のアルバム。デューリーの風刺的な歌詞やユニークな音楽性を好むリスナーには、この作品も魅力的に映るだろう。
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