アルバムレビュー:Diamond Hoo Ha by Supergrass

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

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発売日: 2008年3月24日
ジャンル: オルタナティヴ・ロック、ブリットポップ、オルタナ・ポップ/ロック


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2. 概要

『Diamond Hoo Ha』は、イギリスのロックバンド Supergrass が2008年に発表した6枚目にして、結果的にラストとなったスタジオ・アルバムである。

前作『Road to Rouen』では、アコースティック寄りで内省的なサウンドに大きく舵を切り、ブリットポップ期のイメージから距離を取ろうとするような、落ち着いたトーンが前面に出ていた。これに対して『Diamond Hoo Ha』では、一気にギターの歪みとテンポの速いロックチューンが戻ってきており、「原点回帰」と評されることも多い。

レコーディングは、ベルリンの名門ハンザ・トンスタジオとロサンゼルスで行われた。ハンザは David Bowie の「ベルリン三部作」でも知られる場所であり、プロデューサーには Nick Cave & The Bad Seeds や Grinderman 作品で知られる Nick Launay が起用されている。ガレージ〜ポストパンク的な荒々しさと、Supergrass らしいポップ感覚をどうブレンドするか、という点がこのアルバムの大きなテーマになっていると言えるだろう。

制作期のバンドは、Gaz Coombes と Danny Goffey によるサイド・プロジェクト「Diamond Hoo Ha Men」でライブを重ね、楽曲をロードテストしていた。先行シングル「Diamond Hoo Ha Man」は、Guilfest 2007 で披露されたライブ版が配信され、その後1500枚限定のアナログ盤としてリリースされるなど、やや変則的なプロモーションが行われている。2枚目のシングル「Bad Blood」は英シングルチャートで73位にとどまり、商業的には控えめな数字に終わったが、バンドのラスト期を象徴する代表曲として定着していく。

サウンド面では、The Who 的なラフなリフ、T. Rex や Iggy Pop を思わせるグラム/ガレージ感、そしてキーボードが彩るブリットポップ直系のメロディが、かなりストレートに提示される。あるレビューでは「Diamond Hoo Ha Man」のリフを “rudimentary Who riffage”、つまり初期 The Who のような粗削りなリフだと評しており、Supergrass が自分たちのルーツをあえて前面に押し出していることがよくわかる。

一方で、アルバム全体の評価は「好意的だがやや控えめ」というバランスに落ち着いている。批評集積サイト Metacritic では、22件のレビューから67点というスコアで、「概ね好意的」と位置づけられている。ブリットポップ期のようなシーン全体を巻き込むインパクトではないが、「ベテラン・バンドがハードにロックする」アルバムとして、一定の評価を獲得した作品なのだ。

そして重要なのは、このアルバムの後に予定されていた『Release The Drones』が完成に至らず、バンドは2010年にいったん解散してしまうという点である。後年のインタビューでは、メンバーが創作上の行き詰まりと精神的な負荷を語っており、『Diamond Hoo Ha』は「最後のスタジオ作品」として、Supergrass のキャリアを締めくくる位置づけになっている。


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3. 全曲レビュー

1曲目:Diamond Hoo Ha Man

アルバムの幕開けを飾るタイトル曲は、歪んだギターとシャウト気味のボーカルが押し寄せる、典型的なロック・オープナーである。The Who 風の豪快なリフに乗せて、“Bite me!” と叫ぶコーラスは、バンド自身が「ロック・バンドであること」を再宣言しているようにも聞こえる。

歌詞自体はかなりナンセンスで、スーツケースだのホブネイルだのといったイメージが飛び交い、具体的なストーリーよりも「キャラクターの勢い」そのものが前に出てくる。Road to Rouen の内省性とは対極の、肉体的な興奮とフィードバックを前面に押し出したナンバーであり、「このアルバムはシリアスになりすぎない」という宣言でもあるのだろう。

2曲目:Bad Blood

「Bad Blood」は、しゃがれたギターリフとタイトなドラムが牽引する、ファンキーなロックチューンである。どこか初期 Stooges のようなスカスカで攻撃的なビート感を持ちながら、サビでは Supergrass らしいポップなメロディがしっかり顔を出す構成になっている。

歌詞では、宗教や信頼のイメージを軽くひっくり返すようなフレーズが散りばめられ、シニカルなユーモアが効いている。社会批評というほど重くはないが、「大人になった Supergrass が見る世界」の少し冷めた視点がにじむ曲でもある。

3曲目:Rebel In You

「Rebel In You」は、アルバムの中でも最も80年代的なポップ感覚が強い楽曲である。ピアノとギターが並走しながら徐々に盛り上がる構成は、レビューで “80s Bowie 的” と評されたのも頷けるところで、グラム〜ニューウェーブの影響が自然に溶け込んでいる。

歌詞はタイトル通り、「君の中にまだ残っている反逆性」を肯定する内容で、人生の中盤を迎えた世代が青年期の衝動をどう抱え続けるか、というテーマにも読める。過去の自分と折り合いをつけつつも、完全には手放さない――そんな感覚をロック・アンセムとして鳴らす1曲だ。

4曲目:When I Needed You

テンポを落とし、ピアノとギターが静かに寄り添うバラードが「When I Needed You」である。外向きのロックが続いた前半の中で、ここだけ急に英国ポップの哀愁が立ち上がる。あるレビューでは、この曲をアルバムで最も満足度の高い楽曲と評価しており、メロディとアレンジのバランスの良さが指摘されている。

歌詞は、支えを必要としていた瞬間にそばにいてくれなかった相手への静かな痛みと、それでも断ち切れない感情を描いている。言葉数は多くないが、その分だけフレーズの重さが増し、サビの高まりにきれいに集約される構成になっている。

5曲目:345

「345」は、アルバムの中で最もストレートに「大人の混乱」を歌うロック・ナンバーと言える。歌詞には “I always try to walk the line, but I couldn’t see it” という一節があり、境界線を保とうとしても見失ってしまう、という中年期の揺らぎが描かれている。

リズム面では、軽くスウィングするようなビートに乗せてギターが刻まれ、サビで一気に開けていく構造が気持ちよい。タイトルの「345」は拍子やコード進行を連想させつつ、明確な意味を持たない記号としても機能しており、曲全体の「どこか落ち着ききらない感じ」とリンクしているように思える。

6曲目:The Return Of…

「The Return Of…」は、ストロークの鋭いギターと、ややストローク系インディーを思わせるビート感を持つ楽曲である。イントロは The Strokes 風とも評されるように、2000年代UKロックとUSガレージ・リバイバルの感覚をつなぐようなアレンジになっている。

ただし、曲の中盤でテンポ感がやや変化し、勢いよりもグルーヴ重視になっていくため、一気に駆け抜けるというよりは、途中で視点を少し変えるような構成になっている。アルバムの流れの中では、「前半のハイテンション」から「後半の陰り」への橋渡しをするポジションの1曲と考えると理解しやすい。

7曲目:Rough Knuckles

「Rough Knuckles」は、ファンキーなベースラインとシンセのリフが絡む、ディスコ〜ファンク寄りのロック・チューンである。あるレビューでは “peppy funk” と表現されており、Supergrass 流のダンスロック解釈として聴ける。

歌詞では「出口を探しているうちに視界を失った」というようなラインが登場し、アルバム全体に流れる「迷い」や「混乱」のモチーフが繰り返される。サウンドは楽しげだが、その内側には、年齢を重ねたからこその疲労感や、道を見失う感覚が静かに潜んでいる。

8曲目:Ghost of a Friend

「Ghost of a Friend」は、フォークロックとファンクの要素が混ざり合ったような不思議な質感を持つ楽曲である。ギターのアルペジオと、わずかにスウィングするリズム、そしてコーラスワークが、どこか霧のような浮遊感を生み出している。

歌詞のテーマは「かつての友人の亡霊」、あるいは「自分の中にまだ残っている誰かの影」とも解釈できる。誰かがいなくなった後も、会話や習慣の痕跡が頭の中に居座り続ける――そんな感覚を、直接的な悲しみではなく、淡い寂しさの形で描いている点が印象的である。

9曲目:Whiskey & Green Tea

タイトルからして奇妙な「Whiskey & Green Tea」は、その名の通り異質な要素を混ぜ合わせたような曲だ。ブラスやサックスが入り、バックボーカルも加わるなど、アルバムの中でもアレンジの厚さが際立っている。

インタビューで Gaz Coombes は、この曲を含むいくつかの楽曲を「コントロールを失うことのハイとロー」についての歌だと語っており、アルコールとカフェインという組み合わせは、その象徴として機能している。批評の中には、この曲を「奇妙な実験」として半ば問題作扱いするものもあるが、アルバムの中で「混ざりきらない違和感」をあえて担わせたトラックと見ることもできるだろう。

10曲目:Outside

「Outside」は、70年代ロックの過剰さを意識的に引用したようなトラックである。ギターとシンセが大きなスケールで鳴り、ややシアトリカルなヴォーカルが乗ることで、クラシックロック的な「外側に向けて拡張していく」感覚が強く出ている。

歌詞は、タイトルが示す通り「外側に出る/外側にいる」ことを巡るメタファーに満ちている。自分たちが既にシーンの中心から少し外れた位置にいることを自覚しつつ、それでもまだ外側から世界をかき回そうとする、ベテラン・バンドの立場を暗示しているようにも思える。

11曲目:Butterfly

アルバムを締めくくる「Butterfly」は、変奏の多い展開と長めの尺を持つ、ややプログレッシヴな色合いのある楽曲だ。静かな導入から始まり、徐々にギターとリズムが膨らみ、最後には厚いサウンドスケープへと到達する。

モチーフとなる「蝶」は、変化や変身の象徴として読み取れる。バンド自身が変わり続けながらも、ここで一度「最終形態」を提示し、その後の行方は聴き手に委ねる――そんな、キャリア終盤らしい余韻を残すクロージングと言えるのではないだろうか。


4. 総評

『Diamond Hoo Ha』は、Supergrass のキャリアにおいて「終章」であると同時に、「原点への回帰」を掲げた作品である。Road to Rouen で内向きに振れた振り子を、あえて外向きのロック・アルバムへと振り戻すことで、バンドは自分たちの強み――スピード感、グルーヴ、ポップなメロディ――を再確認している。

サウンド面では、Nick Launay のプロダクションが大きな役割を果たしている。彼は Nick Cave & The Bad Seeds や Grinderman など、ラフで即物的なロック・サウンドを得意とするプロデューサーであり、その感覚が『Diamond Hoo Ha』にも色濃く反映されている。ドラムとベースは乾いた質感で前に出され、ギターはディストーションを強めつつも、ミックス全体が飽和しないよう余白を残している。

こうした音響設計は、90年代ブリットポップ以降のイギリスのギターロックが直面していた「どうやって中年期を生きるか」という課題に対する、ひとつの回答でもある。Radiohead がエレクトロニカと実験性へ舵を切り、Blur の Damon Albarn がワールドミュージックやプロジェクト単位の拡散によってキャリアを更新していったのに対し、Supergrass は「ロックバンドとしてのまま、音のラフさを増す」方向を選んだように見える。

その結果として生まれた『Diamond Hoo Ha』は、批評的には「良作だが決定的ではない」と位置づけられている。Metacritic の67点というスコアは、肯定と留保のちょうど中間点のような数字だ。Uncut など一部メディアは、本作を『Life on Other Planets』に匹敵する高水準のアルバムとして称えた一方で、Village Voice や Hot Press は「最終的にはカタログの中で小品と見なされるだろう」と評している。

ただ、この「小品」という評価には、やや別の見方もできる。『Diamond Hoo Ha』は、たしかに『I Should Coco』や『In It for the Money』のような世代決定的なインパクトは持っていない。しかし、30代後半に差し掛かったロックバンドが、自分たちのルーツと現在地の両方を意識しながら、もう一度「バカバカしいほどロックする」ことに挑んだ記録として聴くと、その価値はかなり違って見えてくる。

「Diamond Hoo Ha Man」や「Bad Blood」のような楽曲に見られる、セクシーでグラマラスなロック像は、Lenny Kravitz 風のアーカイヴ主義と評される一方で、Supergrass 特有の軽さとユーモアによって、過度な過去の模倣に陥ることをギリギリで回避している。

一方で、「Whiskey & Green Tea」や「Outside」など、終盤の数曲は評価が割れやすい。アレンジ面の凝り方が、かえって楽曲の強度を弱めているという指摘もあれば、アルバム後半に意図的な「過剰さ」と「奇妙さ」を配置することで、作品全体にインパクトを与えていると見ることもできる。ここには、00年代以降のUKロックが「スタジアム級のスケール感」と「インディ的な実験精神」の間で揺れ続けてきた歴史も反映されているように思える。

制作・リリースののち、バンドは未完成の『Release The Drones』制作過程で行き詰まり、ついに2010年に活動を停止する。後年のインタビューでは、セッションの空気が重くなり、Gaz Coombes 自身がスタジオに行くことを苦痛に感じ始めていたことが語られている。そうした文脈を踏まえると、『Diamond Hoo Ha』に充満するテンションの高さや、どこか「無理にでも加速しようとする」力感は、バンド内部の危うさと表裏一体だったのかもしれない。

それでも、このアルバムが現在も一定の支持を集めるのは、Supergrass というバンドが持っていた「根源的な楽しさ」が、まだはっきりと残されているからだろう。キャリアの晩年に差し掛かりながら、彼らは自分たちの最も得意なフォーマット――俊敏で、フックに満ち、ほどよくバカバカしいロック――をもう一度全力で鳴らした。その結果として生まれた『Diamond Hoo Ha』は、「決定的名盤」ではないかもしれないが、「好きなバンドが最後に見せた、全力のロック・ポーズ」として、極めて愛すべき作品なのである。


5. おすすめアルバム(5枚)

  1. Life on Other Planets / Supergrass
    『Diamond Hoo Ha』とも近い時期に録音された、ポップ寄りのギターロックが詰まった一枚。Supergrass のメロディセンスと遊び心をより軽やかに楽しめる作品。
  2. Road to Rouen / Supergrass
    本作の直前作。アコースティックで内省的なサウンドに振れた転換点であり、『Diamond Hoo Ha』を「原点回帰」と感じさせる前提となるアルバム。
  3. Grinderman / Grinderman
    Nick Launay がプロデュースした、Nick Cave らによるガレージロック・プロジェクト。ラフで衝動的な音像は、『Diamond Hoo Ha』の質感とも通じる部分が多い。
  4. Dig, Lazarus, Dig!!! / Nick Cave & The Bad Seeds
    同じく Nick Launay プロデュースで、ガレージ〜ポストパンク的なサウンドに振り切った作品。「ベテランがロックの荒々しさを取り戻す」という意味で、共振する部分が多い。
  5. Favourite Worst Nightmare / Arctic Monkeys
    2000年代後半UKロックにおける、スピード感とダークさを併せ持つ代表作のひとつ。ギターリフとリズムの鋭さ、そして大人びた視点を持つ歌詞という点で、『Diamond Hoo Ha』と並べて聴くと面白い。

8. ファンや評論家の反応

リリース当時、『Diamond Hoo Ha』への反応はおおむね好意的ではあったものの、「傑作」というより「堅実なロックアルバム」として受け止められていた。Metacritic での平均スコアは67点で、22本のレビューのうち半数が好意的、残り半数がミックスというバランスに落ち着いている。

高評価側のレビューでは、Uncut が「過去作『Life on Other Planets』をも上回る」と評し、キャリア最良のパフォーマンスとメガワット級の曲をたたえた。一方で、Hot Press や musicOMH は「ハイライトはあるが、カタログ全体の中ではインパクトに欠ける」と述べ、Village Voice はバンドが「停滞状態」にあるとまで言及している。

個別曲では、「Diamond Hoo Ha Man」と「Bad Blood」が、ポテンシャルの高いロック・チューンとして多くの批評家から支持された。PopMatters は前者を “rudimentary Who riffage and oversexed kink” と形容し、後者についても「ポテンロックを定義するようなラッシュ」として評価している。

一方で、「Whiskey & Green Tea」や「Outside」といった後半のトラックについては、「奇妙な実験」として疑問視する声もあった。ガーディアン紙は、前者を「パラノイドな悪夢」と表現し、その過剰さがアルバムの勢いを削いでいると指摘している。

ファンの間では、当初こそ「初期3作ほどの魔法はない」という慎重な評価が多かったが、のちのバンド一時解散を経て、「最後のスタジオ作」として再評価される動きも見られる。SNS やフォーラムでは、アルバム全体ではなく「Bad Blood」「Rebel In You」「When I Needed You」など、特定曲への愛着を語る声が目立ち、プレイリスト時代の「摘み聴き」にも相性の良い作品として生き残っている印象だ。

加えて、近年になって『Release The Drones』という幻のアルバム制作過程が明らかになり、そこからの行き詰まりがバンドの一時解散につながったという証言が報じられることで、『Diamond Hoo Ha』は「バンドがまだ楽しそうにロックしていた最後の瞬間」として、ノスタルジックな価値を帯びつつある。Supergrass 再結成後のツアーでも、『I Should Coco』のアニバーサリーに絡めて、このアルバム期の楽曲がセットリストに混ざることで、ファンの間での温度感はじわじわと上がり続けているのだ。

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