発売日: 2018年11月16日
ジャンル: フォークロック、インディーフォーク、エクスペリメンタル・ポップ
Mumford & Sonsの4作目のスタジオアルバム『Delta』は、これまでのキャリアを統合しつつ、新たな実験的要素を加えた作品だ。本作では、伝統的なフォークロックの要素と、エレクトロニックやアンビエントの影響を受けたサウンドが融合している。アルバム全体を通して、愛、喪失、希望、自己探求といった普遍的なテーマが詩的に描かれ、感情的な深みと音楽的多様性が特徴的だ。
プロデューサーにはポール・エプワース(Adele、Florence + The Machine)を迎え、広がりのあるサウンドスケープを実現。エレクトロニックなテクスチャとアコースティックな温かみが見事に調和しており、バンドの新しい方向性を示すアルバムとなっている。
以下、各トラックの詳細を解説する。
1. 42
静かに始まり、徐々に壮大な展開を見せるオープニングトラック。存在や時間についての深い問いを歌い、エレクトロニックなリズムと叙情的なボーカルが融合している。
2. Guiding Light
アルバムのリードシングルで、フォーク的な親しみやすさを持つ楽曲。希望と愛をテーマにした歌詞と、美しいハーモニーが心に響く。
3. Woman
エレクトロニックなビートと繊細なギターラインが特徴のトラックで、愛の神秘と美しさを描いている。モダンで洗練されたアプローチが光る。
4. Beloved
感情的なボーカルとアップビートなアレンジが印象的な楽曲。愛する人との別れをテーマにしており、切なさと温かさが同居する。
5. The Wild
静けさとダイナミズムが共存するトラックで、自然や生きることの神秘をテーマにしている。壮大なアレンジと詩的な歌詞がアルバム全体のトーンを深めている。
6. October Skies
アコースティックギターを中心にした穏やかな楽曲で、ノスタルジックな雰囲気が漂う。失われた時間や記憶への郷愁が歌われている。
7. Slip Away
繊細なイントロからエネルギッシュなクライマックスへと展開するドラマチックな一曲。喪失とそれに対する希望を描いている。
8. Rose of Sharon
ポップな要素が際立つトラックで、愛と希望を明るく表現。キャッチーなメロディが印象に残る。
9. Picture You
アンビエントなテクスチャと広がりのあるサウンドスケープが特徴。愛と自己反省をテーマにした叙情的な歌詞が心に響く。
10. Darkness Visible
ポエトリーリーディングを取り入れた実験的なトラックで、暗闇と光のコントラストを描いている。アルバム全体の中で特に異彩を放つ一曲。
11. If I Say
壮大なストリングスアレンジが印象的なバラード。感情的なボーカルとクラシック音楽的なアプローチが融合している。
12. Wild Heart
シンプルで美しいメロディが際立つ穏やかなトラック。希望と優しさをテーマにした歌詞が心に響く。
13. Forever
リズミカルなギターとエレクトロニックなビートが特徴的な楽曲。愛の永続性をテーマにし、シンプルながらも力強いメッセージが込められている。
14. Delta
アルバムのタイトル曲であり、エンディングにふさわしい壮大なトラック。人生の旅路をテーマにした歌詞と、広がりのあるサウンドがアルバム全体を締めくくる。
アルバム総評
『Delta』は、Mumford & Sonsがフォークロックの枠を超え、より実験的で広がりのあるサウンドを追求したアルバムだ。これまでのバンドの特徴である温かみのあるハーモニーやアコースティック楽器の響きは残しつつ、エレクトロニックやアンビエント、ポップの要素を大胆に取り入れている。
「Guiding Light」や「Beloved」のような親しみやすい楽曲から、「Darkness Visible」のような挑戦的なトラックまで、多彩な楽曲が収録されており、バンドの進化と挑戦を感じさせる一枚となっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Bon Iver – 22, A Million
フォークとエレクトロニックの融合が、『Delta』の実験的なサウンドと共通する。
The National – Sleep Well Beast
叙情的な歌詞とエレクトロニックな要素が、『Delta』の内省的な一面に響く。
Fleet Foxes – Crack-Up
複雑で広がりのあるアレンジと詩的な歌詞が共通点として挙げられる。
Radiohead – A Moon Shaped Pool
感情的で美しいストリングスアレンジと実験的なアプローチが、『Delta』に通じる。
First Aid Kit – Ruins
フォークロックの魅力を現代的に表現したアルバムで、『Delta』の伝統と革新のバランスを感じさせる。
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