
発売日:1977年11月13日
ジャンル:シンガーソングライター、アート・ポップ、チェンバー・ポップ、フォーク・ロック、バロック・ポップ、ウォール・オブ・サウンド
概要
Leonard Cohenの『Death of a Ladies’ Man』は、彼のディスコグラフィの中でも最も異様で、評価が分かれ続けてきた作品である。1960年代末から1970年代前半にかけてのCohenは、『Songs of Leonard Cohen』『Songs from a Room』『Songs of Love and Hate』『New Skin for the Old Ceremony』といった作品で、最小限の伴奏、低く静かな声、詩的で宗教的なイメージ、性愛と罪、孤独と救済をめぐる言葉によって、非常に内省的なシンガーソングライター像を確立していた。その彼が、1977年にPhil Spectorと組んで制作した本作は、従来のCohen像を大きく揺さぶるものだった。
Phil Spectorは、The Ronettes、The Crystals、The Righteous Brothers、Ike & Tina Turner、そしてThe BeatlesやJohn Lennon、George Harrison関連の作品で知られる伝説的プロデューサーであり、「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれる厚く巨大な録音美学を確立した人物である。彼の音作りは、複数の楽器を重ね、エコーを深くかけ、オーケストラ、ピアノ、パーカッション、コーラスを巨大な音の塊として響かせる。静けさと余白を重んじてきたCohenとは、表面的には正反対の美学である。
『Death of a Ladies’ Man』は、その正反対の二人が衝突した結果として生まれた作品である。Cohenの言葉は相変わらず、愛、欲望、老い、屈辱、神、女性、自己破壊、冗談と絶望の間を漂っている。しかし、それが従来のような静かなギターや慎ましいアレンジではなく、Spectorによる過剰なストリングス、サックス、合唱、ピアノ、ドラム、音響の奔流の中に投げ込まれている。結果として、本作は繊細な詩人の歌というより、酔った夜の大劇場で鳴り響く、破滅的なロマンティシズムのショーのように聴こえる。
このアルバムの制作過程は、混乱に満ちていたことで知られる。Cohen自身も後年、この作品について複雑な感情を語っている。Spectorの強烈な個性と制作手法により、Cohenが完成形を十分にコントロールできなかったとされることも多い。そのため、本作はしばしば「Leonard Cohenの失敗作」あるいは「Phil Spectorに乗っ取られたアルバム」として語られてきた。しかし、現在の耳で聴くと、この作品は単なる失敗ではなく、Cohenの音楽が一度過剰な演劇性とポップの暴力的な装飾に飲み込まれた、非常に興味深い例として聴くことができる。
タイトルの『Death of a Ladies’ Man』も重要である。「Ladies’ Man」とは、女性にもてる男、色男、女たらしといった意味を持つ。Cohenは生涯にわたって、女性、愛、欲望、別れ、身体、神秘化された恋愛を歌い続けた作家だった。しかし本作では、その「色男」のイメージが死に向かっている。若さ、誘惑、ロマンティックな自己像、性的な自信が崩れ、滑稽で、老いを帯び、痛々しいものになっていく。その意味で本作は、Cohen自身のペルソナを過剰な音響の中で解体する作品でもある。
音楽的には、従来のフォーク的なCohenを期待すると戸惑う作品である。曲は厚く、時に騒がしく、Cohenの声は巨大なアレンジの奥に埋もれることもある。だが、その埋もれ方が本作の奇妙な魅力でもある。孤独な詩人の声が、Spectorの大仰な音の宮殿の中でかすかに響く。その不釣り合いが、愛と欲望の滑稽さ、ロマンティックな幻想の崩壊、男性的な自己演出の空虚さを逆説的に浮かび上がらせる。
日本のリスナーにとって『Death of a Ladies’ Man』は、Leonard Cohen入門として最初に聴くべき作品ではないかもしれない。しかし、Cohenの表現がどれほど柔軟で、時に危険な方向へ振れることがあったのかを理解するには欠かせない。静謐な吟遊詩人としてのCohenではなく、過剰な音響に巻き込まれ、滑稽で痛々しく、それでも言葉の力を失わないCohenがここにいる。
全曲レビュー
1. True Love Leaves No Traces
「True Love Leaves No Traces」は、アルバムの冒頭に置かれた楽曲であり、本作の奇妙な二重性を最初から示している。タイトルは「真実の愛は痕跡を残さない」という意味を持つ。これは非常にCohenらしい言葉である。愛は深いものであるはずなのに、過ぎ去った後には何も残らない。あるいは、真に純粋な愛は所有や傷跡を残さない。その解釈の揺れが、曲全体に静かな不穏さを与える。
音楽的には、Spectorらしい厚いアレンジが比較的抑制された形で用いられている。ストリングスやコーラスは甘く、曲は一見ロマンティックに響く。しかし、Cohenの声はその甘さに完全には溶け込まない。彼の低い声は、あくまで距離を置き、愛の美しさと同時にその消失を見つめている。
歌詞では、愛の痕跡のなさが中心となる。通常、愛は記憶や傷、写真、手紙、身体の感覚として残る。しかしCohenはここで、真の愛は何も残さないのだと歌う。その言葉には、美しい諦念と冷たい虚無が同居している。これは、愛を永遠の記念碑としてではなく、消えていく現象として捉えるCohenらしい視点である。
この曲は、アルバムの中では比較的穏やかで、従来のCohenの繊細さに近い。しかしすでに、音の過剰さと歌詞の静かな虚無との緊張が存在している。『Death of a Ladies’ Man』の入口として、非常に効果的な楽曲である。
2. Iodine
「Iodine」は、本作の中でも特に奇妙な官能性を持つ楽曲である。タイトルの「ヨウ素」は、消毒薬や化学物質を連想させる。恋愛や身体を歌うCohenの世界に、医療的で化学的な言葉が入り込むことで、愛は甘いものではなく、傷、治療、染みる痛みと結びつく。
音楽的には、Spectorの濃厚なプロダクションが目立つ。ピアノ、コーラス、厚いリズム、管楽器的な響きが曲を包み、Cohenの声はその中心で低く響く。音は豪華だが、どこか不穏で、愛の歌というより、酩酊した儀式のような空気を持つ。
歌詞では、女性の身体、傷、治療、欲望が重なり合う。ヨウ素は傷口に塗るものだが、同時にその刺激は痛みを伴う。Cohenにおいて愛は、癒やしであると同時に、傷を深めるものでもある。この曲では、その両義性が非常に露骨なイメージで表現されている。
「Iodine」は、Cohenの官能性がSpectorの過剰な音響によって濃く増幅された曲である。繊細なフォーク・ソングとしてではなく、暗い舞台上の奇妙なラヴ・ソングとして響く。本作の異様さを象徴する一曲である。
3. Paper Thin Hotel
「Paper Thin Hotel」は、Cohenの作品の中でも特に痛烈で、嫉妬と性的屈辱を描いた楽曲である。タイトルの「紙のように薄いホテル」は、壁の薄い部屋を意味し、隣室の音が聞こえてしまう状況を連想させる。ここで描かれるのは、愛する相手が別の男と過ごしている音を聞かされる男の屈辱である。
音楽的には、比較的ゆったりとしたテンポで、Cohenの歌詞が前に出る。Spectorのアレンジは甘美でありながら、その甘さがかえって状況の惨めさを強調する。美しい音楽の中で、主人公は最も聞きたくない音を聞いている。この対比が曲の残酷さを高めている。
歌詞では、嫉妬、無力感、性的な敗北、そして奇妙な受容が描かれる。Cohenは、相手の裏切りを怒鳴って責めるのではなく、その音を聞くことで、自分の愛や所有欲の限界を知る。彼は傷つきながらも、どこかでその状況を詩に変えてしまう。その冷静さが、さらに痛々しい。
「Paper Thin Hotel」は、Cohenが性愛の美しさだけでなく、その滑稽さと屈辱を見つめる作家であることを示す重要曲である。本作のタイトルにある「Ladies’ Man」の死は、このような場面で具体的に起きている。色男の幻想は、紙のように薄い壁の向こうで崩れていく。
4. Memories
「Memories」は、本作の中でも特にPhil Spector色が強く出た楽曲であり、1950年代から1960年代初頭のロックンロール、ドゥーワップ、青春ポップへの倒錯したオマージュのように響く。タイトルは「思い出」を意味するが、ここでの思い出は純粋な郷愁ではなく、性的な記憶、若さへの執着、過去の自己像への滑稽な回帰として描かれる。
音楽的には、明るく大仰で、コーラスやサックスが派手に鳴る。Cohenの低く乾いた声が、この華やかなサウンドに乗ること自体が異様である。彼は若々しいロックンロール・シンガーのようには歌えない。しかし、その歌えなさが曲の主題と一致している。これは青春の再演でありながら、すでに青春から遠く離れた男による再演である。
歌詞では、制服、ダンス、若い欲望、思い出の中の女性が描かれる。だが、Cohenの語り口には、青春の美化だけでなく、老いた男が過去の性的記憶にしがみつく滑稽さがある。曲は明るいが、聴き手はその明るさの中に痛みと恥ずかしさを感じる。
「Memories」は、本作の最も奇妙で演劇的な瞬間のひとつである。Spectorのノスタルジックなポップ美学と、Cohenの老成した詩的自意識が衝突し、単なる懐古ではない、歪んだ青春劇が生まれている。
5. I Left a Woman Waiting
「I Left a Woman Waiting」は、後悔、放置、責任の回避を扱った楽曲である。タイトルは「私は一人の女を待たせた」という意味で、Cohenの作品に頻繁に現れる、愛することと傷つけることの不可分性がここでも中心にある。
音楽的には、比較的落ち着いた曲調で、Cohenの語りがよく聴こえる。Spectorのアレンジは厚いが、曲の感情は内省的である。大仰な音の中に、個人的な罪悪感が沈んでいる。これは本作らしい構図である。
歌詞では、待たせた女性への後悔が語られる。しかし、Cohenの後悔は単純な謝罪ではない。彼は自分の弱さ、逃避、愛に対する不誠実さを理解しているが、それを完全に償うことはできない。Cohenの主人公はしばしば、罪を認識しながら、その罪から逃れられない人物として描かれる。
この曲は、アルバム全体の中で「Ladies’ Man」の死をより内面的に描く。女性を魅了する男ではなく、女性を待たせ、傷つけ、後からそのことを歌う男。その姿は魅力的であると同時に、深く情けない。Cohenはその情けなさを隠さずに歌っている。
6. Don’t Go Home with Your Hard-On
「Don’t Go Home with Your Hard-On」は、Cohenの作品の中でも最も露骨で、滑稽で、挑発的な楽曲のひとつである。タイトルからして、従来の静謐な詩人Leonard Cohen像を完全に破壊する。これは欲望、未解消の性衝動、男の愚かさを、ほとんど戯画的に描いた曲である。
音楽的には、騒々しく、ロックンロール的で、コーラスも派手である。Bob DylanやAllen Ginsbergがバック・ヴォーカルに参加していることでも知られ、まるで文学的・音楽的カウンターカルチャーの人物たちが、酔った悪ふざけの場に集まったような空気がある。Spectorのプロダクションも、ここでは過剰な祝祭性を強めている。
歌詞は、性的欲望を抱えたまま帰るな、という非常に直接的な内容である。しかし、その露骨さは単なる下品さだけではない。Cohenはここで、男性的欲望の滑稽さ、満たされなさ、身体の支配力をあえて低俗な言葉で描いている。高尚な愛の詩ではなく、身体の愚かさを歌うことで、「Ladies’ Man」のロマンティックな仮面を剥がしている。
この曲は賛否が分かれるが、本作のコンセプトを考えると非常に重要である。愛の詩人としてのCohenを期待する聴き手に対し、彼はここで、愛の裏側にある欲望の滑稽な物質性を突きつける。『Death of a Ladies’ Man』というアルバムの破壊的なユーモアが最も露骨に表れた楽曲である。
7. Fingerprints
「Fingerprints」は、比較的カントリー調の軽快な楽曲であり、アルバムの中では異色の抜けを作る曲である。タイトルは「指紋」を意味し、個人の痕跡、犯罪の証拠、触れたものに残る印を連想させる。Cohenの愛の歌において、痕跡というテーマは重要である。冒頭曲「True Love Leaves No Traces」が「真実の愛は痕跡を残さない」と歌ったのに対し、この曲では「指紋」という具体的な痕跡が登場する。
音楽的には、軽いカントリー・ロック風のリズムが印象的である。Spectorの濃厚な音作りの中でも、この曲は比較的シンプルで、コミカルな雰囲気を持つ。Cohenの低い声とカントリー調の軽快さの組み合わせには、独特のとぼけた味わいがある。
歌詞では、関係の中に残る証拠、触れたことの痕跡、罪と記憶が扱われる。指紋は、愛の証であると同時に、犯罪の証拠でもある。Cohenはしばしば、愛と罪を切り離せないものとして描くが、この曲でもその感覚が軽妙に表現されている。
「Fingerprints」は、アルバムの重さや過剰さの中で、やや軽いユーモアを担う楽曲である。ただし、軽快な表面の下には、やはり愛の痕跡と責任をめぐるCohenらしい主題がある。
8. Death of a Ladies’ Man
タイトル曲「Death of a Ladies’ Man」は、アルバムの最後を飾る大作であり、本作全体の主題を最も壮大に、そして最も破滅的に示す楽曲である。9分を超える長尺の中で、Cohenの語り、Spectorの大仰な音響、混沌としたイメージが絡み合い、アルバムは巨大な崩壊劇として幕を閉じる。
音楽的には、バラード、ワルツ、チェンバー・ポップ、ウォール・オブ・サウンドが混ざったような異様な構成である。ストリングス、コーラス、ピアノ、管楽器が厚く重なり、Cohenの声はその中でほとんど沈みかけながらも、低く語り続ける。これは美しい曲というより、崩れかけた宮殿の中で鳴る葬送曲のようである。
歌詞では、色男の死、女性との関係、栄光の終わり、性的な自己像の崩壊、老い、滑稽さが入り混じる。Cohenは、自分自身のロマンティックなペルソナを半ば演じ、半ば破壊している。Ladies’ Manは死ぬが、その死は悲劇的であると同時に、どこか喜劇的でもある。自分を魅力的な男として見せてきた人物が、そのイメージの重さに耐えられなくなり、音の過剰さの中で崩れていく。
この曲の長さと過剰さは、本作の結論として非常に重要である。Cohenの従来の抑制美とは対照的に、ここではすべてが多すぎる。音も、言葉も、感情も、自己演出も多すぎる。その過剰さの果てに、Ladies’ Manは死ぬ。タイトル曲は、本作の混乱と魅力を凝縮した終曲である。
総評
『Death of a Ladies’ Man』は、Leonard Cohenの作品の中で最も扱いにくいアルバムのひとつである。静かな詩人、低声の吟遊詩人、宗教的な孤独の歌い手としてのCohenを求めるなら、本作は過剰で、騒がしく、時に悪趣味にすら感じられる。しかし、その違和感こそが本作の価値である。これはCohenの美学がPhil Spectorの音響世界に飲み込まれ、歪み、膨張し、崩壊していく記録である。
本作の最大の特徴は、Cohenの言葉とSpectorの音の不一致である。Cohenの歌詞は、孤独、性愛、屈辱、後悔、老い、神秘、自己破壊を扱う。一方、Spectorの音作りは、壮大で、過剰で、ロマンティックで、時に映画的である。この二つは必ずしも自然には調和しない。むしろ、衝突している。その衝突が、本作を奇妙な作品にしている。
しかし、Cohenの主題を考えると、この衝突は意外にも意味を持つ。『Death of a Ladies’ Man』は、ロマンティックな男性像の崩壊を描くアルバムである。女性を愛し、誘惑し、傷つけ、待たせ、欲望に支配され、思い出にしがみつく男。その男の自己像が、Spectorの過剰な音響によって肥大化し、滑稽なほど大きくなり、最後には壊れていく。つまり、このアルバムの悪趣味さや大仰さは、「Ladies’ Man」というペルソナの虚飾と対応しているともいえる。
Cohenの歌詞は、本作でも非常に鋭い。特に「Paper Thin Hotel」やタイトル曲では、性愛における屈辱や自己認識が痛烈に描かれる。彼は愛を美しい救済としてだけではなく、嫉妬、恥、身体の愚かさ、所有欲、傷として描く。「Don’t Go Home with Your Hard-On」のような曲では、あえて品位を崩すことで、男の欲望の滑稽さを露出させる。これは、Cohenの高尚な詩人イメージを壊す危険な試みでもある。
一方で、音楽的な統一感には問題もある。Spectorのプロダクションは時にCohenの声を覆い隠し、歌詞の微妙なニュアンスを過剰な音の中に埋めてしまう。Cohenの魅力は、しばしば沈黙や余白に宿るが、本作ではその余白がほとんどない。結果として、聴き手はCohenの言葉に耳を澄ませるより、巨大な音の塊に圧倒されることになる。この点は、本作が評価を分ける大きな理由である。
それでも、『Death of a Ladies’ Man』は失敗作という一言では片づけられない。むしろ、失敗の可能性を抱えたまま成立している作品である。Cohenのキャリアには、『Songs of Love and Hate』のような暗く完成された名作、『I’m Your Man』のようなシンセサイザー時代の再発明、『You Want It Darker』のような晩年の深い宗教的作品がある。その中で本作は、最も不安定で、最も奇妙で、最も制御不能なアルバムとして存在している。
日本のリスナーにとって本作は、Leonard Cohenの代表作を一通り聴いた後に向き合うべき作品である。最初に聴くと、その過剰な音作りに戸惑う可能性が高い。しかし、Cohenが長年歌ってきた愛と欲望の問題を、あえて醜く、滑稽に、過剰に拡大した作品として聴くと、本作の意味は見えてくる。これは美しいCohenではなく、壊れたCohen、あるいは壊されるCohenのアルバムである。
総じて『Death of a Ladies’ Man』は、Leonard CohenとPhil Spectorという二つの強烈な個性が衝突した、異形のロマンティック・アルバムである。静謐な名盤ではない。完璧な作品でもない。しかし、愛の幻想、男性的な自己演出、性的な屈辱、老い、過剰なポップ美学が絡み合う、唯一無二の作品である。Cohenのディスコグラフィにおいて、最も問題含みでありながら、最も忘れがたい一枚といえる。
おすすめアルバム
1. Leonard Cohen『Songs of Love and Hate』(1971年)
Cohenの暗く内省的な作風を代表する名盤。最小限のアレンジと鋭い歌詞によって、愛、孤独、暴力、信仰が深く描かれている。『Death of a Ladies’ Man』の過剰さとは対照的に、Cohen本来の静かな強度を理解できる。
2. Leonard Cohen『New Skin for the Old Ceremony』(1974年)
『Death of a Ladies’ Man』直前の作品であり、性愛、宗教、皮肉、自己認識がより抑制されたアレンジの中で展開される。Cohenの1970年代中期の成熟した歌詞世界を知るうえで重要である。
3. Leonard Cohen『I’m Your Man』(1988年)
Cohenがシンセサイザーと低音ヴォーカルを武器に、1980年代的な音へ大胆に変化した作品。『Death of a Ladies’ Man』とは異なる形で、Cohenが自身のペルソナを再構築した重要作である。
4. Phil Spector『Back to Mono (1958–1969)』
Phil Spectorの「ウォール・オブ・サウンド」を理解するための重要なコンピレーション。The RonettesやThe Crystalsなどの名曲を通じて、『Death of a Ladies’ Man』の過剰な音響の背景を知ることができる。
5. Bob Dylan『Street-Legal』(1978年)
1970年代後半のDylanが、厚いバンド・サウンドと女性コーラスを導入し、宗教的・恋愛的な混乱を歌った作品。『Death of a Ladies’ Man』と同様、シンガーソングライターの言葉が大仰なアレンジの中で揺れる作品として関連性が高い。

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