発売日: 1986年9月29日
ジャンル: シンセポップ、ニューウェーブ、ポストパンク
Brotherhoodは、New Orderがポストパンクの暗さとエレクトロポップのダンサブルなサウンドを一層深化させた4作目のスタジオアルバムで、バンドの特徴的な2つのサウンドが明確に分かれて表現されている作品である。アルバムの前半にはギターを基調としたロック色の強い曲が、後半にはシンセサウンドを活かしたエレクトロポップの曲が収録されており、バンドの多面性と実験的なアプローチが光っている。代表曲「Bizarre Love Triangle」は、キャッチーでダンサブルなビートとメランコリックなメロディが融合し、New Orderの代表作として後世に語り継がれている。
アルバム制作には、バンド自身がプロデューサーとして関わっており、Peter Hookの特徴的なメロディックなベースラインや、Stephen Morrisのリズムマシンと生ドラムの組み合わせが、新しいエレクトロニックサウンドのスタイルを確立している。ギターとシンセサイザーが交差し、リズムが支配的なトラックが印象的で、冷たくもエネルギッシュなサウンドが展開されている。このアルバムは、バンドの音楽的成熟を感じさせ、ポストパンクとエレクトロポップの見事な融合が楽しめる。
トラックごとの解説
1. Paradise
アルバムのオープニングを飾るギターを主体としたナンバーで、軽快で爽やかなサウンドが印象的。シンセサウンドは控えめで、バンドのロック的な一面を感じさせる楽曲。
2. Weirdo
ポップでキャッチーな曲調に、明るくもどこかメランコリックな要素が漂う一曲。ギターとベースが絡み合い、Bernard Sumnerのリードボーカルが軽快に響く。
3. As It Is When It Was
叙情的で、静かに始まるメロディが心に残るトラック。メロディックなベースラインが楽曲をリードし、ポストパンク時代のNew Orderを思い起こさせる要素がある。
4. Broken Promise
リズムが重厚でギターが際立つ一曲。バンドの持つエネルギッシュで攻撃的な一面が表れており、ダークな雰囲気が漂う。
5. Way of Life
アップテンポでポップなサウンドが印象的な楽曲で、キャッチーなメロディが耳に残る。軽快で明るいサウンドが、アルバム全体にバランスを加えている。
6. Bizarre Love Triangle
アルバムのハイライトであり、バンドの代表曲の一つ。シンセサウンドが主導するダンサブルなビートと、メランコリックなメロディが融合し、New Orderらしさが際立つ名曲。
7. All Day Long
冷たくミステリアスなシンセが際立つトラックで、エレクトロニックな雰囲気が強い。メランコリックで内向的なムードが漂う、アルバムの中でも独特の存在感を放つ。
8. Angel Dust
テンポが速くエネルギッシュなエレクトロサウンドで、インダストリアルな要素を感じさせる楽曲。リズムマシンが支配的で、冷たさと力強さが融合した一曲。
9. Every Little Counts
ポップで遊び心が感じられるトラックで、軽快なメロディが印象的。歌詞には皮肉とユーモアが込められ、アルバム全体を締めくくるにふさわしい楽しいエンディングとなっている。
アルバム総評
Brotherhoodは、New Orderがバンドの特徴であるロックとエレクトロサウンドを見事に両立させたアルバムで、前半のギター主導の曲と後半のシンセ主導の曲が、彼らの音楽的な幅広さを示している。特に「Bizarre Love Triangle」は、エレクトロポップの名曲として広く認知され、バンドの代表作として今もなお多くのリスナーに愛されている。本作は、ポストパンクの影響が残りつつも、エレクトロポップへと踏み出したNew Orderの進化を体現しており、シンセポップやニューウェーブのファンにとっても必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Speak & Spell by Depeche Mode
シンセポップとニューウェーブの要素が楽しめるアルバムで、エレクトロサウンドとポップなメロディが共通している。
Please by Pet Shop Boys
エレクトロポップとダンサブルなサウンドが魅力のアルバムで、Brotherhoodのエレクトロサウンドに共鳴する作品。
Songs from the Big Chair by Tears for Fears
エモーショナルでメランコリックな要素があり、Brotherhoodの感情的なトーンに共感するリスナーにおすすめ。
Cupid & Psyche 85 by Scritti Politti
ファンクとエレクトロポップの融合が光る作品で、New Orderのポップな一面を楽しめる。
Black Celebration by Depeche Mode
ダークなシンセサウンドとニューウェーブが融合したアルバムで、Brotherhoodの持つ陰影に共鳴する一枚。
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