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1. 歌詞の概要
“Away” は、アメリカのインディーロック/ポストパンクバンド The Feelies(ザ・フィーリーズ)が1988年にリリースしたアルバム Only Life に収録されている楽曲です。この曲は、彼らの特徴である ジャングリーなギターサウンド、ミニマルなリズム、そして穏やかでありながらも躍動感のあるアンサンブル を象徴する作品のひとつです。
歌詞の内容はシンプルで、「どこか遠くへ行きたい」「何かから解放されたい」という漠然とした逃避願望 を表現していると解釈できます。具体的な物語を描くというよりは、雰囲気や感情を伝えるスタイルになっており、聴く人によってさまざまなイメージが膨らむ楽曲です。
2. 歌詞のバックグラウンド
ザ・フィーリーズは1976年にニュージャージー州で結成され、The Velvet Underground、Television、Talking Heads などの影響を受けながら、独自のミニマルかつリズミカルなギターロックスタイルを確立しました。
1980年にデビューアルバム Crazy Rhythms をリリースした後、バンドは活動休止期間を経て、1986年に復活。そして1988年に発表された Only Life は、よりメロディアスで洗練されたサウンドが特徴となり、バンドの評価をさらに高める作品となりました。
“Away” は、そんな Only Life を象徴する楽曲であり、アルバムの中でも特に親しみやすく、明るい雰囲気を持った曲です。ザ・フィーリーズの持つ繊細さと躍動感のバランスが絶妙に表現された一曲 であり、バンドの音楽性を知る上で欠かせない楽曲です。
3. 歌詞の考察と和訳
“Away” の歌詞は非常にシンプルですが、反復するフレーズが印象的で、「遠くへ行く」ことへの願望が込められています。以下、一部の歌詞の意訳を紹介します。
「When you get there, then you’ll see」
(そこへ行けば、きっとわかるさ)
→ 目的地がどこかはわからないが、「行く」こと自体が重要であることを示唆。
「You’ll be taking turns, looking back to see the past」
(君は振り返って過去を見ることになるだろう)
→ 未来に向かって進みながらも、過去を振り返る感覚を描いている。
「It’s a long way, it’s a long way away」
(それは遠い場所、ずっと遠いところ)
→ どこか遠くへ行くことへの憧れ、あるいは現実からの逃避願望を象徴するフレーズ。
この楽曲の歌詞は、具体的なストーリーを描くものではなく、聴き手の感情や経験によって異なる解釈が可能なオープンな表現となっています。
4. この曲が好きな人におすすめの曲
- “Run” by New Order
軽快なギターとシンプルなメロディが、“Away” の雰囲気と似ている。 - “The Passenger” by Iggy Pop
旅や移動をテーマにした歌詞が共通し、ドライブ感のあるリズムが心地よい。 - “A Forest” by The Cure
ミニマルな構成と反復するリズムが、ザ・フィーリーズのサウンドと共鳴する。 - “Age of Consent” by New Order
ジャングリーなギターと疾走感のあるリズムが、“Away” の持つ爽快さとリンクする。 - “Dear Prudence” by The Beatles
穏やかでありながらも、どこか旅情を感じさせる楽曲で、“Away” の雰囲気と通じる部分がある。
5. “Away” の影響と評価
“Away” は、ザ・フィーリーズのカタログの中でも特に親しみやすく、リラックスした雰囲気を持つ楽曲です。そのため、彼らのライブでもよく演奏される定番曲となっており、多くのファンに愛され続けています。
この楽曲が収録された Only Life は、ザ・フィーリーズがカルト的な人気を超えて、より幅広いリスナーに知られるきっかけとなった作品であり、後のインディーロック/オルタナティブ・ロックシーンにも大きな影響を与えました。
特に、R.E.M.、Yo La Tengo、The Shins などのバンドは、ザ・フィーリーズのギタースタイルやリズムアレンジから多大な影響を受けたと語っており、“Away” のような楽曲の持つシンプルな美しさは、後のインディーミュージックの基盤を作ったとも言えます。
6. まとめ
“Away” は、ザ・フィーリーズの持つ ミニマルなギターワークと繊細なアンサンブルが際立つ楽曲 であり、彼らの音楽性を象徴する一曲です。そのシンプルながらも奥深いサウンドは、聴く者の感情や状況によってさまざまな解釈が可能であり、「どこか遠くへ行きたい」という普遍的なテーマを優しく包み込むような雰囲気を持っています。
1980年代のインディーロックの中でも特に影響力のある楽曲のひとつであり、時代を超えて今なお多くのリスナーに愛され続けている名曲です。
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