All the Way by Timeflies(2014)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

『All the Way』は、Timefliesが2014年にリリースしたフルアルバム『After Hours』に収録されているシングルであり、彼らのキャリアの中でも特に「自信」と「自由」、「夢を追いかける意志」をまっすぐに描いたアンセミックな楽曲である。躍動感あふれるEDMライクなビートと、Cal Shapiroのラップと歌を自在に行き来するスタイルが融合し、青春や自己実現への衝動を高らかに歌い上げている。

歌詞は、他人の期待や制限に縛られず、自分のペースで、自分の信じる道を“とことん”突き進もうという強いメッセージに貫かれている。“All the way(とことん、最後まで)”というタイトルは、何かに本気で向き合うときの覚悟そのものであり、同時にそれを楽しむ余裕や遊び心も感じさせるフレーズだ。

この曲は、Timefliesが得意とする“パーティーチューン”の要素を備えつつ、ただの軽薄な楽しさでは終わらない。「自分の道を信じて進め」というポジティブな自己肯定感が、聴く者の背中を押してくれる。

2. 歌詞のバックグラウンド

Timefliesは、アメリカのボストンで出会ったCal Shapiro(ボーカル)とRob Resnick(プロデューサー)によって結成されたエレクトロポップ・デュオで、YouTubeやミックステープを通じて爆発的な人気を集めた。彼らは「Timeflies Tuesday」と題した定期的な音楽コンテンツを発信し、ファンとの強いコミュニケーションを築き上げていった。

『All the Way』は、そんな彼らが初期の勢いを経てメジャーシーンに踏み出す時期に発表された作品であり、音楽性もポップス、ヒップホップ、EDMの要素を高密度に融合させた意欲作である。

歌詞には、自分たちの成長、メディアや社会からの評価、そして自分自身を信じることの大切さが織り込まれており、彼ら自身のストーリーでもあると同時に、リスナーそれぞれの物語にも寄り添える内容になっている。

3. 歌詞の抜粋と和訳

We could go all the way
最後まで行けるさ

You and me, there’s no mistake
君と僕なら、間違いなんてない

We can ride this wave
この波に乗っていこう

このサビのフレーズは、成功や恋愛、人生全般に通じる“肯定と冒険”の精神を象徴している。全力で挑むことへのポジティブな姿勢が伝わる。

I’m not scared to fall
落ちることなんて怖くない

‘Cause I know I’ll get back up
また立ち上がれると分かってるからさ

ここでは失敗への恐れを乗り越える勇気が描かれている。挑戦することにこそ意味があるというメッセージが、軽快なビートに乗って届く。

They try to tell me no
やめろって言うやつもいる

But I won’t listen
でも、俺は聞く耳を持たない

‘Cause I’m already on a mission
もう自分の使命に向かってるからな

この部分は、社会的な圧力や批判に屈せずに自分の道を貫く姿勢を表している。自分のビジョンを持って行動するTimefliesの精神がそのまま反映されている。

引用元:Genius – Timeflies “All the Way” Lyrics

4. 歌詞の考察

『All the Way』は、単なるポップ・チューンのように見えて、実は自己信念と自由を真摯に扱った内容の深い楽曲である。歌詞に登場する主人公は、自分の可能性と世界へのアクセスを信じている。たとえ周囲が「無理だ」「やめろ」と言っても、自分の「やってみたい」「進みたい」という気持ちに忠実であることを選ぶ。その姿は、Timeflies自身のアーティストとしての軌跡とも重なる。

特筆すべきは、リスクを前向きに受け入れるスタンスである。歌詞中の「I’m not scared to fall」という一節は、転落を避けるのではなく、むしろ受け入れて乗り越えることを前提としている。これは“恐れの否定”ではなく、“恐れとの共存”を描いていると言える。

また、「we(僕ら)」という主語が多用されていることから、この楽曲は個人的な体験だけでなく、リスナーに向けた“共闘の歌”でもある。夢を持つすべての人に、「一緒に進もう」「君も行けるよ」と優しく、そして力強く語りかけてくる。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • On Top of the World by Imagine Dragons
    自己肯定と達成感を高らかに歌い上げるアップリフティングなアンセム。『All the Way』と同様、前向きなエネルギーに満ちている。

  • Hall of Fame by The Script feat. will.i.am
    夢を追いかけるすべての人に向けた応援歌。勇気と行動の大切さをメッセージにしている。
  • Good Time by Owl City & Carly Rae Jepsen
    気分を明るくしてくれるポップチューンで、「今を楽しもう」という姿勢が『All the Way』と重なる。

  • My Songs Know What You Did in the Dark by Fall Out Boy
    エネルギッシュで、社会に対する挑戦的な視線を持つロック・ポップ曲。Timefliesの攻めの姿勢と共通点あり。

6. “やりきる力”を軽やかに歌った現代の応援歌

『All the Way』は、Timefliesらしいスタイル——ダンサブルで軽快、そして正直で率直なリリック——を通して、人生の中で何かを“全力でやる”ことの価値を改めて教えてくれる楽曲である。

ただ楽しませるだけのパーティーソングではなく、その内側には「やりたいことをやる」「自分のペースで進む」「周囲の声に流されない」という芯のあるメッセージが込められている。若いリスナーには夢への情熱を、迷う人には背中を押す勇気を、そして全力で生きる人には共感とエネルギーを与えてくれる。

まさに「一歩を踏み出す瞬間」のサウンドトラックにふさわしい、力強く、軽やかな“人生応援歌”である。


歌詞引用元:Genius – Timeflies “All the Way” Lyrics

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