アルバムレビュー:Generation Terrorists by Manic Street Preachers

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1992年2月10日

ジャンル:オルタナティヴ・ロック、グラム・パンク、ハードロック、パンク・ロック、ポストパンク、ブリティッシュ・ロック

概要

Manic Street Preachers の Generation Terrorists は、1992年に発表されたデビュー・アルバムであり、英国ロック史において異様なまでに過剰で、挑発的で、野心的な作品である。ウェールズ出身の James Dean Bradfield、Nicky Wire、Richey Edwards、Sean Moore によるManic Street Preachersは、1980年代末から90年代初頭にかけて、インディー・ロック、ポストパンク、パンク、グラム・ロック、政治思想、文学的引用、自己破壊的なイメージを混ぜ合わせた存在として登場した。

Generation Terrorists は、彼らが「一枚のアルバムを出して世界中で何百万枚も売り、その後解散する」といった大言壮語を掲げていた時期の作品である。その発言自体が、パンク的な挑発、ロックンロール神話への憧れ、そして若さゆえの自己演出を含んでいた。実際にはバンドは解散せず、その後も長いキャリアを築くことになるが、本作には「世界を一撃で変える」という若いバンド特有の過剰な信念が強烈に刻まれている。

アルバムは全18曲、約70分を超える大作であり、デビュー作としては極めて異例の長さを持つ。通常であれば削ぎ落とされるべき楽曲やアイデアまでも詰め込まれているが、その過剰さこそが本作の本質である。Manic Street Preachers はここで、洗練された完成度よりも、怒り、引用、スローガン、失望、虚無、ロックへの信仰と嫌悪を一気に噴出させることを選んだ。整ったデビュー作ではなく、巨大なマニフェストとして作られたアルバムである。

音楽的には、パンクの怒り、Guns N’ Roses以後のハードロック的ギター、The Clash 的な政治性、Sex Pistols 的な挑発、Public Enemy やポップ・カルチャーへの意識、グラム・ロックの華やかな退廃が混ざっている。ただし、演奏そのものは後年の作品ほど引き締まっておらず、時に大味で、アメリカン・ハードロック風のリフやスタジアム・ロック的なサビも目立つ。ここに、Manics初期の矛盾がある。彼らは反資本主義や反商業主義を叫びながら、同時に巨大なロック・スターになることを夢見ていた。Generation Terrorists は、その矛盾を隠さず、むしろ燃料にしている。

歌詞面では、Nicky Wire と Richey Edwards の世界観が中心にある。政治、消費社会、資本主義、アメリカ文化、自己嫌悪、身体、性、暴力、革命、メディア、死、退屈、世代の敗北が繰り返し扱われる。彼らの歌詞は、単純な社会批判というよりも、知識と怒りと自己嫌悪が絡み合った断片的な宣言である。若者が世界の醜さを見抜いたつもりでいながら、その世界に完全に巻き込まれていることも自覚している。その屈折が、Manic Street Preachers の初期表現を特別なものにしている。

本作が発売された1992年は、英国ではマッドチェスターの余韻が残りつつ、ブリットポップ前夜の時期でもあった。NirvanaNevermind によってグランジが世界的な衝撃を与え、ロックの価値観が大きく変わりつつあった時期でもある。その中でManic Street Preachersは、グランジの無気力とも、マッドチェスターの享楽とも異なる、極端に言語化された怒りと美学を掲げた。彼らは「何も信じられない時代」において、それでもロックに巨大な意味を持たせようとした。

Generation Terrorists は、後年の The Holy Bible のような極限の暗さや、Everything Must Go のようなメロディアスな完成度には達していない。しかし、Manic Street Preachersというバンドの出発点として、これほど重要な作品はない。未整理で、長すぎて、青臭く、矛盾だらけで、それでも圧倒的な意志を持つ。まさに「世代のテロリスト」というタイトルにふさわしい、若いバンドの過剰な宣戦布告である。

全曲レビュー

1. Slash ’n’ Burn

オープニングの「Slash ’n’ Burn」は、アルバムの姿勢を端的に示す楽曲である。タイトルは「切り裂き、焼き尽くす」という意味を持ち、既存の価値観、消費社会、文化的な停滞を破壊しようとする初期Manicsの攻撃性を象徴している。

サウンドはハードロック寄りで、ギター・リフは大きく、James Dean Bradfield のヴォーカルも力強い。パンクの速度というより、スタジアム・ロック的なスケール感を持ちながら、歌詞は反体制的で攻撃的である。この組み合わせが本作全体の特徴である。

歌詞では、消費社会の腐敗や、空虚な現代文化への怒りが打ち出される。Manics は単に外部の社会を批判しているだけではなく、自分たちもその中にいることを理解している。そのため、破壊の対象は社会であると同時に、自分たち自身でもある。

オープニングとしての「Slash ’n’ Burn」は、アルバム全体を一気に点火する。スマートな導入ではなく、過剰なスローガンと大音量のギターによる突入である。

2. Nat West-Barclays-Midlands-Lloyds

「Nat West-Barclays-Midlands-Lloyds」は、英国の大手銀行名を並べたタイトルを持つ、資本主義批判の楽曲である。タイトルそのものが企業名の羅列であり、金融機関が個人の生活を支配する構造への嫌悪が込められている。

サウンドはパンキッシュで、曲の攻撃性は非常に明確である。歌詞の怒りは、抽象的な反権力ではなく、具体的な銀行名に向けられている点が重要である。Manics の政治性は、しばしばこうした固有名詞の使用によって鋭さを増す。

歌詞では、金銭、借金、信用、階級、金融制度が人間の自由を制限するものとして描かれる。若者が社会に出た瞬間、理想よりも先に銀行口座やローン、雇用、階級構造に縛られる。この曲は、その現実への怒りを直線的に表現している。

初期Manicsの魅力は、資本主義批判を知的な文章としてではなく、ギター・ロックのスローガンとして鳴らした点にある。この曲はその典型である。

3. Born to End

「Born to End」は、タイトルからして強い虚無感を持つ楽曲である。「終わるために生まれた」という言葉は、若者の絶望、未来への不信、人生そのものへの否定的な感覚を示している。初期Manicsの自己破壊的なロマンティシズムが濃く出た曲である。

サウンドは比較的メロディアスだが、歌詞は非常に暗い。James Dean Bradfield の声は力強く、絶望的な言葉を大きなロック・ソングとして歌い上げる。この「暗い内容を大仰なサビで歌う」構造は、後のManicsにも受け継がれる。

歌詞では、誕生と終末が直結している。未来が開かれているのではなく、生まれた瞬間から破滅へ向かっているという感覚である。これは思春期的な絶望としても読めるが、同時に消費社会における人間の使い捨て感覚への批判としても響く。

「Born to End」は、アルバム序盤に早くも本作の虚無主義的な核を提示する。破壊を叫ぶだけでなく、その破壊が自分自身にも向かっていることが分かる楽曲である。

4. Motorcycle Emptiness

「Motorcycle Emptiness」は、Generation Terrorists を代表する名曲であり、初期Manic Street Preachersの美学が最も完成された形で表れた楽曲である。タイトルは「オートバイの空虚」と訳せるが、ここでのオートバイは自由や速度の象徴であると同時に、最終的には何も満たさない消費社会の幻想を表している。

サウンドはアルバムの中でも特に美しく、ギターの旋律は哀愁を帯びている。攻撃的な曲が多い本作の中で、この曲はより広がりのあるメロディとドラマ性を持つ。James のヴォーカルも非常に伸びやかで、若者の空虚を壮大なロック・アンセムへと昇華している。

歌詞では、消費社会の中で与えられる自由の偽物が描かれる。速く走ること、商品を買うこと、イメージをまとうこと。それらは一見自由に見えるが、実際には資本主義の中で用意された空虚な選択肢にすぎない。若者は自由を夢見ながら、あらかじめ設計された欲望の中を走っている。

「Motorcycle Emptiness」は、Manics初期の代表曲であるだけでなく、1990年代英国ロックにおける重要な楽曲でもある。怒り、悲しみ、批評性、メロディの美しさが見事に結びついている。

5. You Love Us

「You Love Us」は、Manic Street Preachers の自己演出とメディア批判が凝縮された楽曲である。タイトルは「あなたたちは私たちを愛している」という挑発的な言葉であり、バンドと聴衆、メディア、批評家との関係を皮肉っている。

サウンドは非常に攻撃的で、パンク的なエネルギーが強い。バンドはここで、愛されることを求めながら、同時にその愛を軽蔑している。ロックスターになりたいが、ロックスターを消費する観客を信用していない。この矛盾が曲の中心にある。

歌詞では、メディアに消費されるバンドの姿、偶像化されることへの嫌悪、そしてそれでも注目を求める自己矛盾が描かれる。Manics はこの時点で、自分たちが商品化されることを理解していた。その理解が、彼らの挑発を単なるポーズ以上のものにしている。

「You Love Us」は、初期Manicsの攻撃性を象徴する曲である。愛されたい、だが愛されることを憎んでいる。このロック・バンド特有の矛盾が、非常に鮮やかに表現されている。

6. Love’s Sweet Exile

「Love’s Sweet Exile」は、愛と追放を結びつけたタイトルを持つ楽曲である。甘美な愛が同時に孤立や疎外を生むという、Manicsらしい屈折したロマンティシズムが感じられる。

サウンドはハードロック色が強く、ギターは大きく鳴る。アルバム全体にあるアメリカン・ロック的な影響が比較的分かりやすい曲でもある。一方で、歌詞は単純なラブソングではなく、愛が救いではなく別の形の苦しみであることを示している。

歌詞では、愛によって社会から外れること、あるいは自己の内側へ追放されることが描かれる。Manics にとって愛は、純粋な幸福ではない。むしろ、自己嫌悪や孤独をより強く意識させるものでもある。

「Love’s Sweet Exile」は、本作の中では比較的ストレートなロック・ソングとして聴けるが、タイトルと歌詞の感覚には初期Manics特有の痛々しい美意識が表れている。

7. Little Baby Nothing

「Little Baby Nothing」は、本作の中でも特に重要な楽曲であり、女性の身体、消費、性的対象化、ポップ・カルチャーにおける搾取をテーマにしている。Traci Lords をゲスト・ヴォーカルに迎えたことも、楽曲の意味を強めている。

サウンドはメロディアスで、デュエット形式を取ることで、曲には一種のポップ・ソングとしての美しさがある。しかし歌詞は非常に苦く、女性が社会やメディアによって商品化され、純粋さや尊厳を奪われる構造を描いている。

歌詞では、女性が「小さな赤ん坊のような無」として扱われる。これは無垢の称賛ではなく、主体性を奪われ、欲望の対象として消費される存在への怒りである。Manics はここで、性的イメージを利用しながら、それ自体を批判するという危うい試みを行っている。

「Little Baby Nothing」は、初期Manicsのフェミニズム的な問題意識と、ポップ・ソングとしての魅力が交差する楽曲である。単純な正しさではなく、搾取的な文化の中で批判することの困難さも含んでいる。

8. Repeat (Stars and Stripes)

「Repeat (Stars and Stripes)」は、アメリカ帝国主義や文化的支配への批判を強く打ち出した楽曲である。タイトルにある「Stars and Stripes」はアメリカ国旗を指し、「Repeat」は繰り返される支配、暴力、メディアの刷り込みを示している。

サウンドは激しく、アルバムの中でもパンク的な怒りが強い曲である。歌詞はスローガン的で、アメリカ文化への嫌悪が直接的に表現される。ただし、Manics 自身がアメリカン・ロックの影響を強く受けている点が、この曲をより矛盾に満ちたものにしている。

歌詞では、アメリカ的な価値観が世界中に反復され、消費され、強制される構造が批判される。軍事、資本、メディア、ポップ・カルチャーが一体となって広がる様子への反感がある。若い英国のバンドが、アメリカに憧れながら同時に憎むという複雑な感情が見える。

「Repeat (Stars and Stripes)」は、本作の政治的攻撃性を代表する曲である。粗削りではあるが、その粗さがかえって初期Manicsの怒りを生々しくしている。

9. Tennessee

「Tennessee」は、アメリカ南部の地名をタイトルにした楽曲であり、アメリカ文化への憧れと幻滅が入り混じる曲である。Tennessee という言葉は、カントリー、ブルース、ロックンロール、南部神話を連想させるが、Manics はそれを単純な憧憬として扱わない。

サウンドはメロディアスで、アルバム中盤にやや開けた感触を与える。ギターは大きく、サビも印象的で、ロック・アンセムとしての性格がある。だが、歌詞には夢の土地としてのアメリカへの冷めた視線がある。

歌詞では、アメリカ的な自由やロックンロール神話が、現実には空虚であることが示される。Tennessee は実在の土地であると同時に、英国の若者がスクリーンやレコードを通じて夢見たアメリカの象徴でもある。その夢は魅力的だが、同時に偽物でもある。

「Tennessee」は、Manicsがアメリカ文化とどう向き合っていたかを示す重要曲である。憧れているからこそ批判する。その複雑な距離感がある。

10. Another Invented Disease

「Another Invented Disease」は、現代社会が作り出す病、メディアや資本が名付けて流通させる不安への批判を含む楽曲である。タイトルは「また別の発明された病」という意味を持ち、病理化される人間、商品化される不安への皮肉がある。

サウンドは比較的ヘヴィで、曲全体に苛立ちがある。Manics の初期作品における身体への関心、自己嫌悪、社会が人間を病んだ存在として作り上げる感覚がここに表れている。

歌詞では、社会が次々と新しい病や不安を作り、それに名前を与え、人々を管理していく構造が批判される。これは医療そのものへの単純な否定ではなく、資本主義社会が人間の不安を消費財に変えることへの怒りである。

「Another Invented Disease」は、後の The Holy Bible でより徹底される身体、病、自己破壊のテーマの前兆として聴くことができる。デビュー作の中でも、かなり暗い思想性を持つ楽曲である。

11. Stay Beautiful

「Stay Beautiful」は、初期Manicsの代表的なアンセムのひとつであり、若さ、美しさ、自己演出、反抗をテーマにした楽曲である。タイトルは「美しくあり続けろ」という意味を持つが、その美しさは整った外見というより、社会に汚されない反抗的な姿勢を指している。

サウンドは明るくキャッチーで、サビには強い高揚感がある。荒削りなアルバムの中でも、非常にシングル向きの曲であり、Manicsのポップ・センスがよく表れている。James のヴォーカルも力強く、スローガンとしてのフレーズを見事に歌い上げる。

歌詞では、社会に順応することへの拒絶、若さを武器にした抵抗が歌われる。だが、この曲の美しさには儚さもある。若さは永遠ではなく、美しさもまた消費される。だからこそ「Stay Beautiful」という命令は、切実である。

「Stay Beautiful」は、初期Manicsのグラム・パンク的な輝きを代表する曲である。怒りだけでなく、ポップな魅力と自己神話化の力がある。

12. So Dead

「So Dead」は、タイトル通り強い死の感覚を持つ楽曲である。初期Manicsの歌詞には死、空虚、無意味さが頻繁に登場するが、この曲ではそれがかなり直接的に表れている。

サウンドは比較的シンプルで、勢いを重視したロック・ソングである。歌詞の暗さに対して、演奏はある種の軽快さを持つ。このギャップが、本作の過剰な魅力の一部になっている。

歌詞では、精神的な死、感情の麻痺、社会の中で生きながら死んでいる感覚が描かれる。Manics にとって「死」は単に肉体の終わりではなく、消費社会の中で感情や思想を奪われた状態でもある。

「So Dead」は、アルバムの中で大きな代表曲ではないが、初期Manicsの虚無主義を支える重要な断片である。短く、荒く、冷めた怒りがある。

13. Repeat (UK)

「Repeat (UK)」は、「Repeat (Stars and Stripes)」の別ヴァージョン的な位置づけを持つ楽曲であり、批判の対象を英国へ向ける。アメリカ帝国主義を批判した後で、英国社会そのものも同じように反復と管理の構造を持っていることを示す。

サウンドは攻撃的で、曲の姿勢は非常にパンク的である。ここでManicsは、外部の大国だけを批判するのではなく、自分たちの国、自分たちの社会にも怒りを向けている。この自己批判の姿勢が重要である。

歌詞では、英国の階級社会、保守性、文化的停滞、メディアの反復が批判される。アメリカを批判しても、英国が純粋な場所になるわけではない。Manics はその逃げ道を許さない。

「Repeat (UK)」は、アルバム全体の政治的視野を補強する曲である。外へ向けた怒りと内へ向けた怒りが同時に存在することを示している。

14. Spectators of Suicide

「Spectators of Suicide」は、非常に重いタイトルを持つ楽曲である。「自殺の観客」という言葉には、他者の破滅を見物する社会、メディア、観客、そして自分自身への批判が込められている。初期Manicsの自己破壊性とメディア批評が交差する曲である。

サウンドは比較的メロディアスで、歌詞の暗さとの対比がある。Manics はここで、自殺や破滅を単に美化しているわけではない。むしろ、それを見世物として消費する文化そのものを問いかけている。

歌詞では、苦しむ人間を救うのではなく眺めるだけの社会が描かれる。メディアは痛みを商品にし、観客は他者の破滅を消費する。この構造は、ロック・スターの自己破壊神話にも当てはまる。

「Spectators of Suicide」は、後のRichey Edwardsの運命を知ると、より重く響く曲である。ただし、作品としてはすでにこの時点で、自己破壊とその観客化の問題を鋭く扱っている。

15. Damn Dog

「Damn Dog」は、アルバムの中でも異色の曲であり、映画 Times Square に関連するカヴァーとして知られる。Manics のオリジナル曲群に比べると、やや荒々しく、ストリート感のあるロックンロールとして機能している。

サウンドはラフで、パンク/グラム的な勢いがある。歌詞の内容も、バンドの政治的スローガンとは少し違い、より生々しい都市のイメージを持つ。アルバム全体の過剰さの中で、この曲はカヴァーでありながら自然に溶け込んでいる。

「Damn Dog」は、本作におけるポップ・カルチャー引用の一例でもある。Manics は文学、映画、政治、音楽史を大量に参照するバンドであり、この曲もその引用体質の一部として機能している。

16. Crucifix Kiss

「Crucifix Kiss」は、宗教的イメージと暴力的な愛を結びつけたタイトルを持つ楽曲である。十字架とキスという組み合わせは、救済、犠牲、罪、欲望を同時に連想させる。初期Manicsの宗教的・性的イメージの使い方がよく表れている。

サウンドは激しく、ギターは重い。歌詞は断片的で、宗教的象徴と身体的な感覚が入り混じる。Manics にとってキリスト教的イメージは、救いというより、罪悪感や抑圧の象徴として機能することが多い。

歌詞では、愛や欲望が純粋なものではなく、罪と犠牲にまみれたものとして描かれる。十字架にキスするという行為は、信仰の身振りであると同時に、苦痛への接近でもある。

「Crucifix Kiss」は、アルバム終盤に暗い宗教的な陰影を加える曲である。後のManics作品にもつながる、罪、身体、救済不能性のテーマが見える。

17. Methadone Pretty

「Methadone Pretty」は、薬物治療薬メサドンと美しさを結びつけたタイトルを持つ、非常にManicsらしい楽曲である。依存、治療、人工的な救済、身体の管理、美の歪みが一つの言葉に詰め込まれている。

サウンドは勢いがあり、アルバム終盤でも攻撃性を保っている。歌詞では、薬物そのものというより、社会が人間の痛みをどのように管理し、見た目の美しさや正常さへと変換しようとするかが問題になっている。

「Methadone Pretty」という言葉には、壊れたものを薬で整え、美しく見せるという不気味さがある。これは消費社会における身体管理の批判としても読めるし、自己破壊的な美学としても響く。

この曲は、初期Manicsの語彙の強さを示す楽曲である。タイトルだけで、痛み、美、治療、依存、社会批判が一気に立ち上がる。

18. Condemned to Rock ’n’ Roll

ラストを飾る「Condemned to Rock ’n’ Roll」は、本作の締めくくりにふさわしい大仰な楽曲である。タイトルは「ロックンロールに処刑された」「ロックンロールへと断罪された」という意味に取れる。ロックを救いとして信じながら、同時に呪いとしても感じているManicsの姿勢が凝縮されている。

サウンドは長く、ドラマティックで、アルバムの終曲らしいスケールを持つ。ここでバンドは、ロックンロールそのものを最終的な審判の場として扱っている。彼らにとってロックは商品であり、裏切りであり、同時に唯一信じたいものでもある。

歌詞では、ロックンロールへの愛と憎しみが混ざり合う。自分たちはこの音楽に救われたが、その音楽に縛られ、消費され、破滅へ向かうかもしれない。初期Manicsの「ロックを信じたいが、ロックもまた腐っている」という矛盾が最後に提示される。

「Condemned to Rock ’n’ Roll」は、アルバム全体の過剰さを締めくくる宣言である。長すぎるデビュー作の最後に、バンドはなおもロックへの呪われた信仰を叫ぶ。これ以上に本作らしい終わり方はない。

総評

Generation Terrorists は、Manic Street Preachers のデビュー作であり、彼らの初期衝動が最も過剰に詰め込まれたアルバムである。完成度という点では、後の The Holy Bible や Everything Must Go、This Is My Truth Tell Me Yours に比べて粗く、長すぎる部分もある。しかし、その未整理な巨大さこそが本作の魅力である。これは整った名刺代わりのデビュー作ではなく、若いバンドが世界に向けて投げつけた政治的・美学的な爆弾である。

本作の中心にあるのは、矛盾である。反資本主義を叫びながら、巨大なロック・スターになることを夢見る。アメリカ文化を批判しながら、アメリカン・ハードロックのサウンドを鳴らす。自己破壊を批判しながら、そのイメージに惹かれている。美しさを讃えながら、美が商品化されることを憎む。Manics はこの矛盾を解決しない。むしろ、矛盾したまま叫ぶことが、初期の彼らの表現だった。

音楽的には、後年の作品に比べるとやや大味な面もある。ギターはハードロック的で、アレンジも時に過剰である。しかし、James Dean Bradfield の歌唱力とギター、Sean Moore のタイトなドラミング、Nicky Wire と Richey Edwards の言葉の強さによって、アルバムは強烈な個性を持つ。特に「Motorcycle Emptiness」「You Love Us」「Stay Beautiful」「Little Baby Nothing」は、初期Manicsの魅力を代表する楽曲である。

歌詞面では、知識と怒りが過密に詰め込まれている。消費社会、金融、アメリカ帝国主義、英国社会、身体、性、死、メディア、宗教、ロックンロール。これらのテーマが整理されすぎずに並ぶことで、アルバムは若者の頭の中にある思想と不安の暴風のように響く。成熟した論文ではないが、だからこそ切実である。

日本のリスナーにとっては、The Clash、Sex Pistols、Guns N’ Roses、The Smiths、Public Enemy、Richey Edwards期のManics、あるいは90年代英国ロックの政治的・文学的側面に関心がある場合、非常に重要な作品である。ブリットポップの明るいイメージとは異なる、ブリットポップ前夜の暗く攻撃的な英国ロックを知るうえでも欠かせない。

Generation Terrorists は、完璧なアルバムではない。しかし、完璧でないことが重要なアルバムである。長すぎて、青臭くて、過剰で、矛盾していて、時に滑稽で、それでも本気で世界を変えようとしている。その痛々しいまでの誠実さが、今なお強い力を持つ。Manic Street Preachers の物語はここから始まった。これは、若さと怒りとロックンロールへの呪われた信仰が刻まれた、危険で美しいデビュー作である。

おすすめアルバム

1. Manic Street Preachers – The Holy Bible

1994年発表の3作目で、Richey Edwards期の頂点とされる作品。身体、戦争、病、自己嫌悪、ファシズム、摂食障害などを極限まで掘り下げた暗黒の名盤である。Generation Terrorists の思想的過剰さが、より鋭く、冷たく、破滅的な形へ発展している。

2. Manic Street Preachers – Gold Against the Soul

2作目にあたり、よりハードロック色が強く、サウンド面では厚みを増した作品。Generation Terrorists の過剰なスローガン性から少し距離を取り、ロック・バンドとしての演奏とメロディを前面に出している。初期Manicsの変化を知るうえで重要である。

3. The Clash – London Calling

政治性、パンク、レゲエ、ロックンロール、ポップ感覚を融合した歴史的名盤。Manic Street Preachers が強く影響を受けたバンドの一つであり、ロックが政治的かつ大衆的でありうることを示した作品である。

4. Sex Pistols – Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols

挑発、階級的怒り、メディア戦略、英国社会への敵意という点で、初期Manicsの重要な参照点となる作品。音楽的にはよりシンプルだが、ロックを文化的事件として成立させた点で大きな影響を持つ。

5. Suede – Suede

同じ1990年代初頭の英国ロックにおいて、グラム的な美学、性的曖昧さ、都市の退廃を打ち出した重要作。Manics とは政治性の方向が異なるが、ブリットポップ前夜の英国ロックが持っていた過剰な美意識を理解するうえで関連性が高い。

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