Candleboxは、アメリカ・ワシントン州シアトルで結成されたロック・バンドである。1993年のデビューアルバムCandleboxと、代表曲“Far Behind”によって一気に知られるようになった。シアトル出身ということで、Nirvana、Pearl Jam、Soundgarden、Alice in Chainsと同じ“グランジ”文脈で語られることが多いが、Candleboxの音楽は少し違う。
彼らの音楽を一言で表すなら、“グランジ以後の重さに、70年代ロックの歌心を加えたポスト・グランジ”である。ギターは厚く、ボーカルは感情的で、サウンドには当時のオルタナティブ・ロックらしい陰影がある。しかし、CandleboxはNirvanaのような破壊衝動よりも、もっと大きなサビ、ブルージーな歌、クラシックロック的なスケール感を持っていた。
デビューアルバムCandleboxは1993年7月20日にリリースされ、後にアメリカで4×プラチナ認定を受けた作品として知られる。代表曲“Far Behind”はBillboard Hot 100で18位、Album Rock Tracksで4位、Modern Rock Tracksで7位を記録し、バンド最大のヒット曲となった。
そして2023年、Candleboxは最終スタジオ・アルバムとされるThe Long Goodbyeをリリースし、フェアウェル・ツアーを行った。公式サイトでも同作は「final Candlebox studio album」として告知されている。Candlebox
“Punks”は、2023年の最終アルバムThe Long Goodbyeからのシングルである。同作は2023年8月25日にRound Hill RecordsからリリースされたCandleboxの8作目のスタジオ・アルバムで、フェアウェル・ツアーとともに展開された。ウィキペディア
この曲は、若いバンドに向けた音楽業界への警告のような曲とされる。Kevin Martinは長いキャリアの中で、栄光も苦労も見てきた。“Punks”には、そんなベテランが若い世代へ向ける、少し苦い視線がある。
2008年のInto the Sunは、Candleboxが約10年ぶりに発表したアルバムである。当時のレビューでは、初期の魔法を完全に取り戻したとは言いがたいという厳しい見方もあった。Vanity Fairは同作について、1993年の“Far Behind”の時代は遠く、初期の魅力に近づく瞬間はあるが持続しないと評している。Vanity Fair
ただし、復活作には復活作の意味がある。長い空白の後に、バンドが再び音を鳴らす。それ自体が一つの意思表示である。Candleboxはここから、90年代の記憶だけではなく、現在も活動するロックバンドとして再び歩き出した。
Love Stories & Other Musings:過去と現在をつなぐ作品
2012年のLove Stories & Other Musingsは、新曲と過去曲の再録を含む作品である。Candleboxにとって、過去の代表曲と向き合い直すようなアルバムだった。
この時期のバンドは、90年代の遺産を背負いながら、ライブを続け、新しいファンにも届く形を探していた。再録という行為は、単なる懐古ではない。過去の曲を今の声と演奏で鳴らすことで、バンドの歴史を更新する行為でもある。
Disappearing in Airports:現代的なロックへの接近
2016年のDisappearing in Airportsでは、Candleboxはより現代的なロック・サウンドへ接近する。90年代の重さを残しつつ、音作りはやや洗練され、曲の表情も広がっている。
このアルバムは、バンドが過去に閉じこもるのではなく、新しい時代のロックとして鳴ろうとしていたことを示している。Candleboxの強みは、やはりKevin Martinの声にある。その声が残っている限り、サウンドが変わってもCandleboxらしさは保たれる。
2023年のThe Long Goodbyeは、Candleboxの最終スタジオ・アルバムとされる作品である。リリースは2023年8月25日。プロデューサーはDon Miggsで、Kevin Martinはこの作品について、これまでと違うものにしたかったと語っている。ウィキペディア
このアルバムは、30年のキャリアを締めくくる作品として位置づけられた。Blabbermouthは2023年に、Candleboxが30周年記念とフェアウェル・ツアーThe Long Goodbye Tourを発表したと報じている。BLABBERMOUTH.NET
さらに2024年には、ストリーミングでA Little Longer Goodbyeというツアー・エディションも展開され、ボーナストラックやライブ音源が追加されたとされる。ウィキペディア
タイトルのThe Long Goodbyeは、非常にCandleboxらしい。派手に消えるのではなく、長く別れを告げる。30年分の歌、ツアー、葛藤、ファンとの関係を抱えて、ゆっくり幕を下ろすアルバムである。
Candleboxは、“Far Behind”で知られるシアトル発のロックバンドである。しかし、彼らの魅力はその一曲だけではない。
Candleboxは、4×プラチナを記録した90年代ポスト・グランジの代表作である。
Lucyは、成功後の重さと葛藤を刻んだセカンドアルバムである。
Happy Pillsは、90年代後半の変化の中で生まれた初期活動期の終章である。
Into the Sunは、長い空白を経た復活作である。
Wolvesは、後期Candleboxの力強さを示した作品である。
The Long Goodbyeは、30年のキャリアに別れを告げる最終章である。
Candleboxの音楽は、革新的なノイズではない。
しかし、感情を大きく歌う力がある。
喪失、後悔、怒り、救いを、分厚いギターと伸びやかな声で届ける力がある。
彼らは、グランジの暗い炎を、より大きなロック・ステージへ運んだバンドである。
そして“Far Behind”は、その炎が最も美しく燃え上がった瞬間なのだ。
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