発売日: 2001年6月18日
ジャンル: オルタナティブ・ロック、スペースロック、プログレッシブ・ロック
Museのセカンドアルバム『Origin of Symmetry』は、バンドがその音楽的アイデンティティを確立し、オルタナティブ・ロックの枠を超えた壮大で革新的な作品として評価される名盤だ。前作『Showbiz』で見せたエネルギーをさらに推し進め、より複雑でダイナミックな楽曲構成と、マシュー・ベラミーのエモーショナルなボーカルが全面に押し出された一枚である。
このアルバムでは、ヘヴィなギタートーン、クラシック音楽の影響を受けたピアノアレンジ、実験的なエレクトロニックサウンドが融合し、圧倒的なスケール感を生み出している。また、歌詞には宗教、科学、宇宙、精神的な探求といったテーマが散りばめられ、音楽とコンセプトが高い次元で融合している。
以下、各トラックの詳細を解説する。
1. New Born
ピアノの不気味なイントロから始まり、ヘヴィなギターパートへと展開する壮大なオープニングトラック。歌詞には技術革新と人間性の喪失に対する警鐘が込められ、ベラミーの圧倒的なボーカルが楽曲をさらにドラマチックにしている。
2. Bliss
シンセサイザーの輝かしいイントロが印象的な一曲で、幸福感と宇宙的な広がりを感じさせる。ポップなメロディと壮大なアレンジが絶妙に融合し、アルバムの中でも特に心を揺さぶるトラックだ。
3. Space Dementia
クラシック音楽から影響を受けたピアノアレンジが際立つ、プログレッシブな楽曲。激しさと静けさが入り混じるダイナミックな展開で、精神的な不安や孤立感をテーマにしている。
4. Hyper Music
歪んだギターと激しいボーカルが特徴のヘヴィなロックナンバー。愛や怒りといった生々しい感情が爆発的に表現されている。
5. Plug In Baby
アルバムを代表する楽曲で、キャッチーなギターリフが耳に残る。テクノロジーと人間性の関係性をテーマにした歌詞と、エネルギッシュな演奏が融合した傑作だ。
6. Citizen Erased
7分以上にわたる大作で、アルバムのハイライトとも言える楽曲。複雑な構成と重厚なギターサウンド、そしてベラミーの感情的なボーカルが圧倒的な迫力を生む。個人の自由と社会の抑圧をテーマにした歌詞が印象的。
7. Micro Cuts
ファルセットを駆使したボーカルと、ヘヴィなリフが異様な緊張感を生み出す。クラシック音楽とメタルの要素が融合した実験的な楽曲で、神秘的な雰囲気が漂う。
8. Screenager
アコースティックギターを基調とした静謐なトラック。人間の脆さや不安をテーマにした歌詞が、シンプルながらも深く心に響く。
9. Darkshines
ジャズやラテンの要素を取り入れたリズミカルな楽曲で、アルバムに新鮮なアクセントを加えている。エレガントでミステリアスな雰囲気が漂う。
10. Feeling Good
ニーナ・シモンの名曲をカバーした一曲で、ベラミーのボーカルが原曲に新たな命を吹き込んでいる。ホーンセクションやエフェクトを駆使したアレンジが印象的。
11. Megalomania
オルガンを取り入れた壮大なトラックで、アルバムを締めくくるにふさわしい楽曲。宗教や権力に対する批判的なテーマが込められており、荘厳なサウンドが圧倒的な余韻を残す。
アルバム総評
『Origin of Symmetry』は、Museが持つ壮大なビジョンと革新的な音楽性が完璧に融合したアルバムだ。ロック、クラシック、エレクトロニック、メタルなど多様なジャンルを取り入れながらも、全編を通して統一感が保たれている。ヘヴィでダイナミックなサウンドと、哲学的な歌詞が融合し、リスナーを圧倒するエネルギーに満ちた一枚である。
特に「Plug In Baby」や「Citizen Erased」などは、バンドの代表曲として現在も高い評価を受けており、このアルバムを通じてMuseは世界的な注目を集めることとなった。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Radiohead – OK Computer
革新的なサウンドと深いテーマ性が『Origin of Symmetry』と共通する名盤。
Smashing Pumpkins – Mellon Collie and the Infinite Sadness
壮大なスケールとジャンルを超えた多様性が特徴のアルバムで、Museのファンに響くだろう。
Queen – A Night at the Opera
ドラマチックな構成と高い演奏力が、『Origin of Symmetry』のオペラ的な要素と共鳴する。
Tool – Lateralus
複雑な楽曲構成と深遠なテーマが、Museのプログレッシブな一面を愛するリスナーにおすすめ。
Jeff Buckley – Grace
ベラミーが影響を受けたアーティストの名盤で、エモーショナルなボーカルと独自の音楽性が魅力。
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