発売日: 2018年8月31日
ジャンル: ドリームポップ、ニューウェーブ、シンセポップ
Indigoは、Wild Nothingがこれまでに築いてきたドリームポップの美学をさらに深め、1980年代のニューウェーブやシンセポップに焦点を当てた4作目のスタジオアルバムだ。ジャック・テイタムは、シンセサイザーを中心に据えたリッチなアレンジと、スタジオ録音ならではの洗練されたサウンドを追求しながらも、特有のノスタルジックなトーンを失うことなく新たな魅力を生み出している。
このアルバムは、テイタムが「完璧なポップソング」を作ることを目指して取り組んだと語る通り、緻密に作り込まれたメロディとエモーショナルな歌詞が見事に調和している。結果として、80年代のエッセンスを受け継ぎながらも現代的なサウンドに仕上がった傑作である。
トラック解説
1. Letting Go
アルバムの幕開けを飾るトラックで、リリース前のシングルとして話題を集めた。軽やかなギターリフとシンセのハーモニーが絡み合い、愛と解放をテーマにした歌詞が響く。
2. Oscillation
リズミカルなシンセラインが楽曲を牽引する。タイトル通り、揺れる感情や変化を表現した歌詞と、揺れ動くメロディが印象的だ。
3. Partners in Motion
ダンサブルなリズムと浮遊感のあるサウンドが特徴のトラック。歌詞には繊細な関係性の機微が描かれ、楽曲全体にノスタルジックなムードが漂う。
4. Wheel of Misfortune
80年代のニューウェーブを思わせるメランコリックな楽曲。シンセサウンドと控えめなギターが調和し、失われた希望や後悔を描いた歌詞が深い感情を呼び起こす。
5. Shallow Water
軽快なテンポと穏やかなメロディが心地よい一曲。歌詞には、穏やかで安定した関係性を求めるテーマが込められている。
6. Through Windows
アルバムの中でも特にシンセが際立つトラック。都会的で洗練された雰囲気を持ち、透明感のあるサウンドが魅力的だ。
7. The Closest Thing to Living
夢のように浮遊感のある楽曲で、深く内省的な歌詞が特徴。ギターとシンセのバランスが絶妙で、テイタムの作曲能力が光る。
8. Dollhouse
メロディックなギターとリズムセクションが印象的な楽曲。タイトル通り、脆くも美しい感情を繊細に表現している。
9. Canyon on Fire
ドラマチックな構成を持つ楽曲で、歌詞には情熱的なイメージが描かれている。クライマックスでのギターとシンセの盛り上がりが圧巻。
10. Flawed Translation
柔らかいシンセサウンドと控えめなビートが特徴の楽曲。誤解や感情のすれ違いをテーマにした歌詞が心に残る。
11. Bend
アルバムを締めくくる壮大なトラック。緩やかに進行するメロディと感動的な歌詞が、アルバム全体の余韻を美しくまとめている。
アルバム総評
Indigoは、Wild Nothingがその音楽性をさらに洗練させ、ニューウェーブやシンセポップの影響を現代的なアプローチで再解釈した作品だ。「Letting Go」や「Partners in Motion」のような楽曲ではキャッチーなメロディが際立ち、一方で「The Closest Thing to Living」や「Flawed Translation」では深い感情的な響きが加わる。
ジャック・テイタムのソングライティングとプロダクションの成熟を感じさせるアルバムであり、80年代の影響を受けたポップサウンドとWild Nothing特有のノスタルジアが見事に融合している。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
M83 – Hurry Up, We’re Dreaming
シンセサウンドとドラマチックなメロディがIndigoのファンに響く作品。
Beach House – 7
夢幻的なサウンドスケープとエモーショナルなトーンが共通する。
The War on Drugs – A Deeper Understanding
洗練されたプロダクションと感情的な深みがIndigoとリンクする。
Chromatics – Kill for Love
80年代ニューウェーブの影響を受けたサウンドと現代的な感覚が融合した一枚。
Tame Impala – The Slow Rush
ノスタルジックでありながら新鮮なポップサウンドがIndigoの世界観と重なる。
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