アルバムレビュー:University by Throwing Muses

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1995年1月23日

ジャンル:Alternative Rock / Indie Rock

概要

Universityは、Throwing Musesが1995年に発表した6作目のスタジオ・アルバムである。Tanya Donellyが離脱してBellyを結成した後、Kristin Hershを明確な中心人物とする体制で制作された作品で、Bernard Georgesのベース、David Narcizoのドラムとともにトリオとしてのまとまりを深めている。プロデュースはLenny Kayeが担当した。初期から特徴だった変則的なリズムや急激な曲展開を残しながら、90年代半ばのオルタナティヴ・ロックとして非常に力強いギター・サウンドへまとめた一枚である。

前作Red Heavenと比べても曲の輪郭は明快で、Hershの歪んだギターを大きく押し出した曲が多い。ただし、単純にグランジ以降の重いロックへ接近したわけではない。ギターを強く鳴らしている最中にも拍の感覚が揺れたり、歌の旋律が予想外の場所へ飛んだり、静かな部分が突然割り込んだりする。Hershの歌詞も出来事を順番に説明するより、身体感覚、人物、場所、奇妙な比喩を断片的につなげる方法が中心である。即効性のあるロックとThrowing Muses特有の不安定さを、かなり自然に共存させた作品だ。

全曲レビュー

1. 「Bright Yellow Gun」

硬いドラムと歪んだギターがほぼ同時に飛び出し、アルバムは猛烈な勢いで始まる。Hershのボーカルは低く抑える部分と鋭く声を上げる部分を行き来し、楽器もその変化に合わせて密度を変えるため、一直線に走っているようで細かな起伏が多い。題名にある鮮やかな黄色と銃という取り合わせも、楽しげな色彩と危険な物体を意図的に衝突させるようだ。強いフックを持ちながら奇妙さを消していない、アルバムの入口に適した曲である。

2. 「Start」

タイトルとは裏腹に、オープニング曲の勢いをそのまま再スタートさせるのではなく、少し陰った場所へ移る。ギターはコードを厚く塗り続けず、声の周囲に空間を残しながら鳴るため、Hershの独特な旋律の動きが前へ出る。穏やかに聞こえる瞬間にもドラムが細かなアクセントを加え、完全には落ち着かない。大きな音と小さな音を単純に交互に置くのではなく、その中間の緊張を維持するThrowing Musesらしい曲だ。

3. 「Hazing」

低いギターとリズム隊が重く進み、前2曲よりも身体にまとわりつくような感触を作る。Hershはメロディを滑らかにつなげるより、言葉を短く区切ったり急に音程を上げたりすることで、歌そのものを不安定にする。題名の「hazing」は集団への加入時に行われるしごきや通過儀礼を指す言葉だが、歌詞は一つの出来事を明確に説明せず、圧力や違和感を断片的なイメージとして残す。その曖昧さが重い演奏とよく合っている。

4. 「Shimmer」

ギターの音量を抑えた部分ではHershの声が近く聞こえ、そこからバンドが加速すると一気に視界が広がる。題名の「きらめき」から想像するほど明るい曲ではなく、旋律にはどこか影があり、ギターも美しい響きとざらついた歪みを往復する。Georgesのベースが低い位置で旋律を支えるため、ギターが音を減らしても曲の流れが途切れない。大きなサビだけに頼らず、音の質感を変えてドラマを作っている。

5. 「Calm Down, Come Down」

反復するフレーズと切迫した歌唱によって、タイトルの「落ち着け」という言葉とは反対に緊張が増していく。Hershの声は誰かをなだめているようにも、自分自身へ言い聞かせているようにも聞こえ、その対象を固定しにくい。ドラムは派手なフィルで盛り上げるのではなく、一定の拍を強く打つことで逃げ場のない感覚を作る。言葉の意味と実際のサウンドをずらすことで、心理的な不安定さを伝える一曲である。

6. 「Crabtown」

やや軽快なリズムを持ちながら、ギターとボーカルの動きには相変わらず奇妙な角度がある。Hershは日常的な場所や人物を思わせる断片を並べるが、そこから整った物語を作るより、記憶の一場面だけを突然見せるように歌う。バンドは短いフレーズを素早く切り替え、必要以上に展開を引き延ばさない。前半の重い曲が続いたところで、Throwing Musesの風変わりなポップ感覚を前へ出す役割を果たしている。

7. 「No Way in Hell」

タイトルの強さにふさわしく、ギターとドラムを正面から押し出したロック・ナンバーである。ただしHershのギターは整ったリフを繰り返すだけではなく、コードの間にざらついた音や急なアクセントを入れ、演奏の表面を崩していく。ボーカルにも拒絶するような力があり、サビではバンド全体がその感情を押し広げる。中盤で再び音量を上げながら、単純なハードロックにはならないリズム感が残る。

8. 「Surf Cowboy」

タイトルには陽気なサーフ・ロックを連想させる言葉が並ぶが、実際の演奏にはもっと乾いた奇妙さがある。ギターの短い動きとNarcizoの軽快なドラムが曲を転がし、Hershはそこへ少し突き放したような声を乗せる。深刻な感情を大きなサビへ持ち込む周囲の曲とは違い、イメージと言葉の面白さを生かしたコンパクトな作りだ。アルバム後半へ入る前に、重さを一度ほどく効果もある。

9. 「That’s All You Wanted」

ここではメロディの親しみやすさが比較的前へ出ており、Hershの声もギターと争わず自然に流れる。しかし演奏が完全に穏やかになることはなく、ドラムのアクセントやギターの歪みが曲の端をざらつかせている。題名は相手の欲望を見抜いて距離を置くようにも聞こえ、ボーカルにも親密さと冷たさが同居する。ポップな旋律をきれいに磨き上げず、わずかな違和感を残すところがこのバンドらしい。

10. 「Snakeface」

低くうねる演奏とHershの鋭い声によって、不穏さを強く押し出す。題名そのものが人物を人間ではない姿へ変えるような奇妙なイメージを持ち、歌詞も心理を丁寧に説明するより、身体や視覚に訴える言葉から感情を伝える。ギターは広いコードを鳴らす瞬間と短く切る瞬間を行き来し、曲の足場を安定させない。後半の中でも初期Throwing Musesの異形な感覚に近い曲である。

11. 「Flood」

題名通り、音が押し寄せてくるような密度の変化が印象に残る。静かな部分では声とギターの隙間が大きいが、バンドが強く入ると歪みが一気にその空間を埋めるため、実際の音量差以上に巨大な変化として感じられる。Hershの歌唱も同じ流れで強まり、感情とアレンジが別々に動かない。90年代オルタナティヴ・ロックで広く使われた静と動を、Throwing Muses独自の不規則な感覚へ変えた曲だ。

12. 「Fever Few」

前曲の大きな起伏から少し距離を取り、声と楽器の細かな動きを聞かせる。タイトルが示す熱や身体感覚はHershの作詞と相性がよく、明確な説明よりも感覚の断片から心理状態を想像させる。演奏も感情を過度に強調せず、ベースとドラムが一定の緊張を保つ中でギターが揺れる。終盤に向けて音量をただ上げ続けず、もう一度内側へ視線を戻す配置になっている。

13. 「University」

最後のタイトル曲では、アルバムを通して使われてきた歪んだギター、強いリズム、Hershの不安定な旋律が改めて組み合わされる。「University」という言葉から青春や教育を直接説明する歌を期待すると肩透かしを受けるほど、歌詞は断片的で個人的だ。バンドも壮大なフィナーレを作らず、緊張した演奏を最後まで維持する。作品全体に明確な答えを与えるのではなく、このバンド特有の落ち着かなさを残して終わる選択がよく似合う。

総評

Universityの大きな特徴は、Throwing Musesの奇妙さを薄めずに、ロック・アルバムとしての即効性を高めたことである。初期作品では拍子や構成そのものが突然変わり、曲の行方を予測できないことが魅力だった。本作ではそうした仕掛けが以前より整理され、歪んだギターと強いドラムを中心とする分かりやすい骨格が増えている。しかしHershのメロディは依然として予想外の方向へ動き、歌と演奏のアクセントも完全には一致しない。その小さなずれが、一般的な90年代ギター・ロックとは違う緊張を生んでいる。

トリオとしての演奏も作品の強さにつながっている。Hershのギターが音を詰め込まずに済むのは、GeorgesのベースとNarcizoのドラムだけで曲の動きを十分に作れるからだ。特にNarcizoは単純に大きく叩くのではなく、歌の区切りやギターの変化へ細かく反応し、変則的な曲でも流れを止めない。結果として、三人しかいないことが薄さではなく、各楽器の動きを直接感じられる利点になっている。

Hershの歌詞と歌唱も、アルバムを普通のオルタナティヴ・ロックから遠ざける。歌詞は一貫した物語を説明するより、身体、色、場所、奇妙な人物像といった断片を並べ、聞き手にその間を想像させる。そのため解釈しにくい部分はあるが、声の強弱やギターの変化が感情の方向を補っている。言葉の意味を完全に理解してから音楽へ入るのではなく、声の響きと単語のイメージから先に感覚が伝わってくるタイプの作詞である。

90年代半ばという時期には大音量のギターを鳴らすオルタナティヴ・ロックが大量に存在したため、表面だけなら本作もその流れに収まりやすい。しかし、Throwing Musesは流行に合わせて重くなったというより、以前から持っていた不規則な作曲を、より直接的なバンド・サウンドへ移している。初期作品ほど奔放ではない反面、「Bright Yellow Gun」のような即効性の高い曲と、「Snakeface」のような異様な曲を同じ演奏感覚でつなげられるようになった。その均衡こそが、Universityをバンドの中期を代表する充実作にしている。

おすすめアルバム

Red Heaven by Throwing Muses

1992年の前作で、Tanya Donelly離脱後のThrowing Musesがトリオとして進み始めた作品。Universityより荒く重い部分があり、そこから曲の輪郭がどのように整理されたかを比較できる。

Limbo by Throwing Muses

1996年の次作。Universityで強まったギター・ロックとしての直接性を引き継ぎながら、より乾いた音と複雑なメロディへ進む。90年代のバンドの到達点を追ううえで自然につながる一枚だ。

Star by Belly

元Throwing MusesのTanya DonellyがBellyで発表した1993年のデビュー作。Hershより柔らかなポップ感覚を前面に出しており、同じバンドから分かれた二人の作曲がどれほど違う方向へ進んだかが分かる。

Last Splash by The Breeders

1993年発表。大きく歪んだギターと簡潔なポップソングを結びつけながら、奇妙な間や音色を残している。Universityとは作曲法が異なるものの、90年代の女性を中心とするオルタナティヴ・ロックの多様さを比較できる。

Exile in Guyville by Liz Phair

1993年作。乾いたギター・ロックの中で、親密さ、欲望、苛立ちを独自の語り口から描いている。Throwing Musesほどリズムは複雑ではないが、既成のロック的な女性像に収まらない作詞と歌唱という点で興味深く並べて聴ける。

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