発売日: 2014年10月21日
ジャンル: オルタナティブロック / ノイズロック / インディーロック
The Best Dayは、Sonic Youth解散後、Thurston Mooreが新たなスタートを切った4枚目のソロアルバムである。本作では、彼がこれまでのキャリアで培ってきたノイズロックの要素を維持しつつ、よりメロディックでダイナミックなアプローチを試みている。リズムセクションにはSonic Youthの盟友Steve Shelleyが参加し、ギタリストのJames SedwardsとベーシストのDeb Googe（My Bloody Valentineのメンバー）とともに、強力なバンド編成が音楽に深みと緊張感を加えている。
アルバムの楽曲は長尺のものが多く、リフの反復や徐々に高まるテンションが印象的。サウンドは荒々しさと美しさが同居し、時に激しく、時に叙情的なムードを醸し出している。アルバムタイトルが示すように、これまでの人生の中で得た感謝と再生の感覚が、音楽に込められている。
トラック解説
1. Speak to the Wild
アルバムの冒頭を飾る10分に及ぶ楽曲。穏やかなイントロから始まり、徐々にノイズとギターの層が重なり、壮大なクライマックスに達する。自由と自然への敬意を歌ったリリックが印象的だ。
2. Forevermore
11分を超える長尺のトラックで、反復的なギターリフが楽曲全体を支配する。緩やかにビルドアップする構成が特徴で、聴き手を引き込む深みのあるサウンドスケープを描き出している。
3. Tape
短く静かなインストゥルメンタルトラック。アコースティックギターが中心となり、アルバムの中で一息つけるポイントとなっている。
4. The Best Day
アルバムタイトル曲であり、明るいエネルギーに満ちた楽曲。スムーズなギターワークと前向きな歌詞が特徴で、彼が新たなスタートを切った喜びを感じさせる。
5. Detonation
激しくエネルギッシュなナンバー。パンクの影響を感じさせるシンプルで力強いリズムと、鋭いギターリフが印象的な楽曲だ。
6. Vocabularies
アルバムの中でも実験的な楽曲で、抽象的なリリックと緩やかなテンポが際立つ。浮遊感のあるサウンドスケープが、深い余韻を残す。
7. Grace Lake
インストゥルメンタルトラックで、反復的なリフと静かなビルドアップが特徴的。ノスタルジックで映画的な雰囲気が漂う。
8. Germs Burn
アルバムの締めくくりを飾るトラックで、Thurston Mooreのギターとバンド全体の一体感が感じられるパワフルな楽曲。ダイナミックな展開とエモーショナルなエンディングが印象的だ。
アルバム総評
The Best Dayは、Thurston Mooreがソロアーティストとしての地位を確立し、これまでのキャリアを総括しつつ新しい方向性を模索した作品だ。Sonic Youthでのノイズロックの要素を残しながらも、よりメロディックでポップな感覚を持ち込み、過去と未来をつなぐような音楽を生み出している。
特に「Speak to the Wild」や「Forevermore」のような長尺の楽曲は、彼の音楽的な成熟とバンドメンバーとの強力なケミストリーを示している。本作は、ノイズロックファンだけでなく、メロディアスなロックを好むリスナーにもアピールする力を持つ作品だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Daydream Nation by Sonic Youth
Thurston Mooreが率いるSonic Youthの代表作で、ノイズロックの革新性とメロディの融合が楽しめる。
Loveless by My Bloody Valentine
同じくDeb Googeが参加している作品で、シューゲイズとノイズロックの美しさが感じられる。
The Eternal by Sonic Youth
Sonic Youthの最後のアルバムで、The Best Dayに通じる成熟したサウンドが楽しめる。
To Be Kind by Swans
長尺の楽曲と反復的な構成が特徴で、Thurston Mooreのサウンドに共鳴する部分が多い。
Drift Code by Rustin Man
ノスタルジックで深みのあるサウンドが、The Best Dayの叙情的な側面と響き合う作品。
コメント