アルバムレビュー:Slowdive by Slowdive

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2017年5月5日

ジャンル:Shoegaze / Dream Pop

概要

Slowdiveは、英国レディング出身のSlowdiveが2017年に発表した4作目のスタジオ・アルバムである。1995年のPygmalion以来約22年ぶりとなるアルバムで、Neil Halstead、Rachel Goswell、Christian Savill、Nick Chaplin、Simon Scottという1990年代の主要メンバーが参加した。バンドは1995年に活動を停止した後、Halstead、Goswell、Ian McCutcheonがMojave 3を結成。Slowdiveとしては2014年に再結成し、ライヴ活動を経て新作制作へ進んだ。

1990年代のSlowdiveは、ギターを何層にも重ねたシューゲイズと、声や残響を溶け合わせるドリーム・ポップを代表する存在だった。本作はその特徴を復元しながら、単なる過去の再現にはしていない。ギターの残響は大きいものの各パートには以前より空間があり、電子音やドラムも明瞭に聞こえる。Souvlakiの歌心とPygmalionの抽象的な音響を一枚の中で接続し、再結成後のバンドが何を残し、何を更新するのかを整理した作品になっている。

また、1990年代には一時的な流行として扱われたシューゲイズが、その後のインディー・ロックやドリーム・ポップへ広く浸透した後に登場した作品でもある。そのためSlowdiveは、自分たちがかつて作った様式へ戻ると同時に、それが若い世代によって再解釈された時代から新たな影響を受け取る立場にもなった。過去への郷愁より、長い空白を経ても成立するバンドの音を探したことが、本作の落ち着いた強さにつながっている。

全曲レビュー

1. 「Slomo」

約7分の長さを使い、シンセサイザーのように伸びるギターと一定のリズムを少しずつ重ねていく。Neil HalsteadとRachel Goswellの声は前へ突出せず、楽器と同じ空間に浮かぶため、歌を追うというより音全体へ沈み込む感覚が強い。大きなサビで一気に解放するのではなく、同じ速度を保ちながら音の層だけを増減させる構成も特徴である。22年の空白を力強いロックで打ち破るのではなく、時間感覚をゆっくり変えることでSlowdiveの世界へ戻すオープニングだ。

2. 「Star Roving」

前曲とは対照的に、ドラムとベースが強く前進し、その周囲を歪んだギターが大きく旋回する。シューゲイズらしい厚い音像を持ちながら、各楽器が完全には埋もれていないため、Simon Scottのドラムが作る推進力もはっきり聞こえる。Halsteadのヴォーカルは激しい演奏に対抗して叫ばず、低い位置を保つことで音の大きさとの対比を作る。1990年代のSlowdiveらしいギターの高揚を、新しい録音の明瞭さで鳴らした曲である。

3. 「Don’t Know Why」

反復するギターと柔らかなリズムの上で、Goswellの声が霞のように重なる。旋律にはポップな分かりやすさがあるが、ヴォーカルとギターには深い残響がかけられているため、輪郭は意図的にぼかされている。タイトルにある「分からない」という状態は、理由を説明できないまま感情だけが残る歌詞とも重なり、断定を避けた歌唱によく合う。大きな展開を作るより、一つの感情を反復しながら持続させることで、前曲の速度から静かな内側へ移動する。

4. 「Sugar for the Pill」

ベースの簡潔なフレーズと乾いたドラムを土台にし、ギターの残響を必要な場所だけに置いた、本作でも特に抑制の効いた曲である。Halsteadのヴォーカルが普段より前に出ているため、別れや喪失を思わせる歌詞も聞き取りやすい。「苦い薬を飲みやすくする砂糖」というタイトルは、痛みを和らげるものが必要な状況の比喩として読める。シューゲイズ特有の音の壁に頼らず、メロディと空白によって感情を作れる現在のSlowdiveを示す重要な一曲だ。

5. 「Everyone Knows」

細かなギターの反復にドラムが加わり、徐々に音の密度を上げていく。ヴォーカルは楽器の中へ深く埋め込まれ、個々の言葉より声の響きそのものがアレンジの一部として働いている。ギターも一つの巨大なコードを鳴らし続けるのではなく、異なる音域のフレーズを重ねることで厚みを作るため、注意して聴くと内部ではかなり細かな動きがある。「Sugar for the Pill」の明瞭な歌から再び抽象的な音響へ戻し、アルバム後半への橋渡しをする。

6. 「No Longer Making Time」

ゆったりしたヴァースからサビへ向かってギターとドラムが広がり、静けさと音圧の差をはっきり使った曲である。タイトルには時間を割かなくなったこと、あるいは時間そのものを作れなくなったことへの諦めが感じられ、長い年月や変化を意識させる。Halsteadは感情を誇張せずに歌うが、サビで周囲の音が大きくなることで声の抑制がかえって切実に響く。再結成作品という背景を直接説明する歌ではないものの、失われた時間を思わせる感触が自然に残る。

7. 「Go Get It」

低く反復するリズムとギターを中心に、これまでより暗く重い空間を作る。HalsteadとGoswellの声が互いに距離を保ちながら現れ、明確な主人公を一人に定めないため、曲には夢の中の会話のような曖昧さがある。中盤以降はギターの層が増え、音量よりも低音域の厚みによって圧力を高めていく。アルバム前半の明るく開けたギターとは異なる方向から、Slowdiveが持つサイケデリックな反復性を強調した曲である。

8. 「Falling Ashes」

最終曲は反復するピアノを中心にした約8分の長尺曲で、ギターの大きな波によるフィナーレを意図的に避けている。短いピアノ・パターンがほとんど変わらず続く一方、その周囲では電子音、ギター、声がゆっくり位置を変え、同じ場所を回りながら景色だけが変化するように聞こえる。Halsteadが繰り返す言葉も明確な結論を提示せず、記憶や感情が消えずに残り続ける感覚を強める。Pygmalionで追求したミニマルな音響にもつながり、過去の代表的なシューゲイズ・サウンドへ戻らずにアルバムを閉じる選択が印象深い。

総評

再結成アルバムでは、全盛期のサウンドをどこまで再現するかが大きな問題になりやすい。Slowdiveが優れているのは、1990年代の特徴を捨てることも、そのまま複製することもしていない点である。深いリヴァーブ、重なるギター、HalsteadとGoswellの静かな声は明らかにSlowdiveの音だが、録音は過去の作品より整理されており、ベースやドラムにも十分な輪郭が与えられている。音を増やすだけではなく、どこに空白を置くかが以前以上に重要になっている。

8曲という簡潔な構成にも意味がある。「Star Roving」のような大きなギター・ロックから「Sugar for the Pill」の抑制されたポップ、「Falling Ashes」のミニマルな反復まで、曲ごとの方法にはかなり差がある。それでも残響の深さやヴォーカルの距離感を統一することで、一枚のアルバムとしてばらつかない。Souvlaki的なメロディとPygmalion的な空間処理を別々に復活させるのではなく、両方を現在の演奏へ自然に溶かしている。

歌詞についても、若い頃の恋愛感情をそのまま再演するのではなく、喪失、距離、時間といった題材が目立つ。ただし、22年間の活動休止を説明する自伝的作品と断定できるような作りではない。具体的な出来事を削り、短い言葉と反復を使うことで、個人の経験を特定しない余白を残している。この曖昧さは、ヴォーカルを楽器と同じように音響へ溶かすSlowdiveの方法とよく一致する。

本作はシューゲイズ復興を証明するための作品でも、1990年代への懐古だけを提供する作品でもない。むしろ、かつて自分たちが開拓した語法を成熟した演奏と録音で再検討し、現在でも使える音楽として組み直したところに価値がある。若さゆえの不安定な美しさを持つ初期作品とは違い、ここでは音を鳴らさない瞬間まで含めて制御する落ち着きがある。長い空白を経た再結成作でありながら、過去の注釈ではなくSlowdiveのディスコグラフィーに独立して置けるアルバムである。

おすすめアルバム

Souvlaki by Slowdive

1993年の代表作。厚いギターの残響とHalstead、Goswellのヴォーカルを、強いメロディへ結びつけている。2017年作の「Star Roving」などに残るシューゲイズ的な核を最も直接的に確認できる。

Pygmalion by Slowdive

活動休止前の1995年作。ギターの壁から離れ、反復、電子音、沈黙を使った抽象的な音響へ進んだ。「Falling Ashes」など、本作の静かでミニマルな側面につながる重要な前作である。

Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space by Spiritualized

残響の深いギター、反復するコード、ゴスペルやサイケデリアを使って巨大な音響を作った1997年作。Slowdiveとは構成法が異なるが、空間そのものを楽曲の一部にする発想で共通する。

Teen Dream by Beach House

シンプルなリズム、霞んだギターとキーボード、抑制された歌によってドリーム・ポップを更新した2010年作。Slowdive以降の世代が、音の余白と反復をどう発展させたかを比較できる。

Depression Cherry by Beach House

2015年発表。残響の深いギターとキーボードを重ねながら、演奏を過密にせずメロディを浮かび上がらせている。Slowdive直前のドリーム・ポップを代表する作品の一つで、2017年作と並べると世代を越えた共通点が聞こえる。

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