アルバムレビュー:In City Dreams by Robin Trower

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1977年8月
ジャンル: ブルース・ロック、ソウル、ハードロック


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概要

『In City Dreams』は、Robin Trowerが1977年に発表した5作目のスタジオ・アルバムであり、ブルース・ロックに加えて、ソウルやR&Bの要素を積極的に導入した新機軸の作品である。
本作では、長年ヴォーカルを務めてきたジェイムズ・デューイが脱退し、新たに元スライ&ザ・ファミリー・ストーンのベーシスト、Rustee Allenが参加。ヴォーカルはトロワー自身とジャック・ブルースとの共作歴もあるJames Dewarが引き続き担当するが、ベースはRustee Allenが担う形で分業化が進んだ。

都市の夜、欲望、愛の葛藤――そういったテーマを柔らかく、時に切実に描いたこのアルバムは、ギターによる強い叙情性を保ちながらも、リズムやヴォーカル表現に“黒さ”と“しなやかさ”が加わっている。
まさに“都会の夢”というタイトルが象徴するような、洗練と憂いを含んだモダンな音像が特徴である。


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全曲レビュー

1. Somebody Calling

静かなイントロから徐々に盛り上がる、スロー・ビルド型のオープニング。
「誰かが呼んでいる」という繰り返しのフレーズが、霧の中に響く声のように幻想的。
トロワーのギターは最小限の音で最大限の感情を伝える。

2. Sweet Wine of Love

ロマンティックな歌詞とソウルフルなメロディが魅力のナンバー。
“愛という甘美な酔い”をテーマに、柔らかくも確かなグルーヴに支えられて展開する。
トロワーのトーンはここでも深く、情熱と節度を両立している。

3. Bluebird

アルバムの中でも最も穏やかで牧歌的な一曲。
“青い鳥”をモチーフにした楽曲は、幸福や自由といった象徴が込められており、スライド・ギターのような浮遊感ある演奏が印象的。
都会の喧騒の中にある静かな希望。

4. Falling Star

タイトル通り“流れ星”のような儚さを持つスロー・バラード。
Dewarの哀感あるヴォーカルと、トロワーのセンチメンタルなギターが呼応する。
夜空に消えていく想いの軌跡を描いたような、余韻深い楽曲。

5. Farther On Up the Road

ボビー・ブランドのブルース・クラシックをカバー。
トロワー流の解釈により、より濃厚でスモーキーな雰囲気に仕上がっている。
グルーヴとギターの抑制されたテンションが光る、隠れた名演。

6. Smile

都会的なミディアム・テンポのロック・ナンバー。
「微笑みをくれ」というシンプルなメッセージが、どこか疲れた現代人の心に響く。
ベースのラインとトロワーのギターが美しく絡み、ソウルの香りが漂う。

7. Little Girl

タイトル通り、少女や若き日へのノスタルジーを感じさせるナンバー。
回想的なリリックと優しいコード進行が合わさり、アルバム中でも特に親密で繊細な曲となっている。
ギターは語りかけるように優しく、言葉以上の情感を紡ぐ。

8. Love’s Gonna Bring You Round

ファンキーで力強いリズムが印象的なアップテンポ曲。
“愛が君を連れ戻す”という歌詞は、希望と再生を描いており、アルバムの中で最も明るくポジティブなエネルギーを放つ。
Rustee Allenのベースもここでは特に生き生きと響く。

9. In City Dreams

アルバムのラストを飾る表題曲。
都会の夢、あるいは“夢のような都会”を描くような曖昧でモノクロームな音風景。
トロワーのギターはここではほとんど“つぶやき”のように空間を漂い、まるで夜明け前の街に寄り添うように音が消えていく。
静かで美しく、そして切ない終章。


総評

『In City Dreams』は、Robin Trowerが“内なるブルース”から“都市的ソウル”へと歩みを進めた、洗練と深化のアルバムである。
ギターはより控えめに、だが一層感情に寄り添う形で鳴り、James Dewarのボーカルはこの上なく柔らかく、時に痛々しいほどに真実を歌い上げる。
その中でRustee Allenのベースがしなやかに全体を支え、ソウルやファンクのテイストが自然に溶け込んでいる。

“都会的な夢想”という曖昧で退廃的なテーマを、音数の少なさと音の選び方で繊細に描写しており、まさに70年代末の“感情の静かな波”のようなアルバムだと言えるだろう。
派手なギターソロや即興的な展開は少ないが、そこには“残響の芸術”とも言える深い叙情が広がっている。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Boz ScaggsSilk Degrees (1976)
     洗練されたソウル/AOR路線。『In City Dreams』と通じる都会的叙情。
  2. Eric ClaptonSlowhand (1977)
     抑制されたブルース表現とメロウさの融合。トロワーとの精神性の共通項あり。
  3. Bill Withers – Menagerie (1977)
     温かみのあるソウル・バラードの名作。情感の自然さが響き合う。
  4. J.J. Cale – Shades (1981)
     ブルースと都会の夜を結びつける、スローで洗練された一枚。
  5. Sade – Diamond Life (1984)
     やや後年だが、“静かな都会性”を体現した作品。共通する空気感を感じさせる。

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