アルバムレビュー:In City Dreams by Robin Trower

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1977年7月15日

ジャンル:Blues Rock / Hard Rock / Funk Rock

概要

In City Dreamsは、Robin Trowerが1977年に発表した5作目のソロ・スタジオアルバムである。Procol Harumを離れてからのTrowerは、James Dewarのボーカル/ベースとReg Isidoreのドラムを軸に、ブルース由来のギターを大音量のトリオ演奏へ発展させ、Bridge of Sighsなどで独自のスタイルを確立した。本作ではドラムがBill Lordanに交代し、従来の重いブルースロックを保ちながら、ファンクやソウルのリズムをより積極的に取り入れている。

最大の変化は、Trowerのギターが常に演奏の中心を独占しなくなったことだ。もちろん深い歪み、ワウ、音を揺らすヴィブラートなど彼らしい表現は健在だが、長いソロで押し切るより、短いフレーズをベースとドラムへ噛み合わせる場面が増えている。特にDewarのベースは単なる低音の土台ではなく、曲のグルーヴを決める重要な存在で、Lordanの太く安定したドラムとの組み合わせが本作の柔らかな推進力を生んでいる。

タイトルが示す都市的なイメージもサウンドによく合う。初期ソロ作の霧がかった暗いブルースに比べると音には光沢があり、夜の街を思わせる滑らかさや官能性が増した。ギターヒーローとしてのTrowerを期待すれば比較的抑制された作品だが、ギター、歌、リズムの関係に注目すると、1970年代後半に彼がブルースロックの基本形をどう更新しようとしていたのかがよく見える。

全曲レビュー

1. 「Somebody Calling」

低く反復するベースとドラムの上へ、ワウを効かせたギターが短く切り込む。従来のTrowerなら巨大なギターリフが曲を引っ張るところだが、ここでは三つの楽器が作る隙間そのものがグルーヴになっている。Dewarの柔らかくソウルフルな声もその空間へ自然に収まり、呼びかけるような歌詞に少し不穏な気配を加える。ブルースロックからファンクへ重心を移した本作の変化を、最初の数分で明確に聞かせる曲である。

2. 「Sweet Wine of Love」

題名通り、恋愛をワインの甘さや酔いと重ねる官能的な曲である。ギターは鋭く攻撃するより、音を長く伸ばしながら大きく揺らし、Dewarの温かいボーカルへ応答する。リズムも急がず、ベースの丸い低音とLordanの落ち着いたドラムによってゆったりした揺れを作るため、ハードロックというよりソウルに近い感触が強い。Trowerの演奏技術を速さではなく、一音の太さや持続のさせ方から味わえる一曲だ。

3. 「Bluebird」

明るさを感じさせるタイトルとは対照的に、演奏にはブルース特有の陰りがある。Dewarが低い声で旋律を丁寧に運び、その隙間へTrowerが短いギターフレーズを差し込むため、ボーカルとギターが会話しているように進む。ソロでも大量の音符を詰め込まず、音を伸ばした後の沈黙までフレーズの一部として使う。この余白によってギターの一音一音が大きく聞こえ、アルバム序盤のファンク志向とは違う、Trower本来のブルース感覚が前へ出ている。

4. 「Falling Star」

落ちていく星というイメージに似合う、少し夢見心地のギターサウンドが特徴である。Trowerはエフェクトを使って音の輪郭を柔らかくし、コードの上を漂うようなリードを重ねる。Dewarの歌唱も力で押さず、旋律を滑らかにつなぐため、トリオ編成とは思えないほど広い空間が生まれる。初期作品のサイケデリックな感触を残しつつ、本作ではリズム隊が軽く動くことで重苦しさを避けており、前半の中でも特に浮遊感の強い曲になっている。

5. 「Farther on up the Road」

ブルースの伝統に根差した題名を持つが、演奏は古典的な12小節ブルースの再現だけには収まらない。ベースとドラムがファンク寄りの細かなアクセントを加え、その上でTrowerがブルースのフレーズを伸縮させるため、古い語彙と1970年代的なリズムが同時に聞こえる。Dewarも荒々しく叫ぶよりソウルシンガーのような滑らかさを保つ。アルバムの二つの柱であるブルースとファンクが、最も自然に接続された曲の一つだ。

6. 「Smile」

中盤では音量を抑え、Dewarの歌を中心とした柔らかな表情へ切り替える。タイトルは単純な幸福を思わせるが、歌唱にはどこか寂しさがあり、笑顔を求める言葉にも距離や不安がにじむ。Trowerはボーカルの後ろでコードを薄く鳴らし、必要な場所だけに短いリードを入れるため、ギターの存在感は強くても歌を覆わない。派手なソロを期待させる編成で、あえて抑制を選ぶ本作の美点がよく表れている。

7. 「Little Girl」

ベースの動きが前面に出た軽快なグルーヴによって、前曲の静けさから再び身体的なリズムへ戻る。ギターは低いリフを繰り返すだけでなく、コードを短く切ってリズム隊へ応答し、ファンク的な細かい隙間を作る。DewarのボーカルにはブルースやR&Bから来た自然な粘りがあり、Trowerのギターと競うのではなく同じ流れの中を進む。ハードロックのパワーを保ちながら、演奏を軽く弾ませるという本作の方向性が分かりやすい。

8. 「Love’s Gonna Bring You Round」

ここではタイトル通り、恋愛への肯定を比較的明るいメロディで聞かせる。Dewarの声が曲の中心を担い、Trowerはサビの後ろで音を広げながら、ボーカルの感情を補うようにギターを使う。ドラムは大きく叩いていても細かなフィルを詰め込まず、ベースとの安定した反復によって歌を前へ運ぶ。アルバム後半で暗いブルースへ戻るのではなく、ソウル的な温かさを維持することで、本作独自の明るい色合いを強めている。

9. 「In City Dreams」

タイトル曲では、アルバム全体に漂っていた都会的で夜間的な感覚が最もはっきり形になる。ギターには深い残響と揺れが加えられ、Dewarのボーカルも少し遠くへ置かれているため、現実の街というより記憶や夢の中の都市を歩くような音像だ。リズム隊は必要以上に前へ出ず、一定の脈を保つことで幻想的な上物を支える。速い演奏ではなく、音色と空間の作り方によってTrowerの個性を示した、アルバムの中心的な一曲である。

10. 「Somebody Calling (Part II)」

最後は冒頭曲の素材へ戻り、アルバムを円環状に閉じる。最初に提示されたリズムや音色を再び聞かせることで、個々の曲を並べただけではなく、一つの音響的な流れとして作品をまとめている。ここでもギターだけが主役になるのではなく、ベースとドラムが作る反復の中へTrowerのフレーズが現れては消える。オープニングの問いかけに明確な答えを与えるより、同じ感覚を残したまま終えることで、タイトル通り夢から完全には覚めないような余韻を作る。

総評

In City Dreamsのポイントは、Robin Trowerがギターを弱めたことではなく、ギターの役割を変えたことにある。Bridge of Sighsなどでは巨大な音色とブルースフレーズそのものが曲のドラマを作っていたが、本作ではベースとドラムが生むグルーヴへギターを組み込む場面が多い。コードを短く切る、ワウでリズムにアクセントを付ける、一音を長く伸ばして余白を残すといった方法によって、速さとは別の技巧を聞かせている。

この変化を支えているJames Dewarの存在も大きい。ベースでは曲の低音を太く保ちながらファンク的な動きを加え、ボーカルではTrowerの歪んだギターと対照的な柔らかさを作る。彼の声にはブルースの重さとソウルの滑らかさがあり、本作の都会的な音には特によく合っている。Bill Lordanのドラムも強いアタックを持ちながら演奏を詰め込まず、三人が互いに入り込める空間を確保している。

そのため、派手なギターリフや長いソロを求めると、Trowerの代表作ほど即効性は強くない。曲同士も似たテンポと暗めの音色を共有しており、前半から後半まで劇的に景色が変わる作品ではない。しかし、その統一感によって夜の都市を思わせる独特のムードが生まれ、ファンク、ソウル、ブルースを別々のジャンルとして切り替えるのではなく、一つの演奏スタイルへ溶かすことに成功している。

1970年代後半、ブルースロックはパンクやディスコ、ファンクなど異なるリズム感を持つ音楽と並んで存在していた。In City Dreamsは流行へ直接合わせた作品ではないが、Trowerが自分のブルース語法を固定せず、リズムの面から更新した記録として興味深い。ギターの大きさではなく、三人の間に生まれる隙間と揺れを聴かせることで、初期ソロ作とは異なる成熟した魅力を作ったアルバムである。

おすすめアルバム

Bridge of Sighs by Robin Trower

1974年の代表作。巨大に歪んだギター、James Dewarのソウルフルな声、重いトリオ演奏が完成している。In City Dreamsと比べれば、Trowerが後にリフ中心のブルースロックからどれほどリズム重視へ動いたかが分かる。

Long Misty Days by Robin Trower

本作直前の1976年作。初期の重いブルースロックを残しながら、より滑らかなメロディやソウル的な感触が増えている。In City Dreamsの柔軟なグルーヴへ向かう変化を追うのに適した一枚だ。

Caravan to Midnight by Robin Trower

翌1978年作で、本作に現れたファンクやソウルへの関心をさらに押し進めている。ギターヒーロー的な演奏よりアンサンブルと雰囲気を重視しており、1970年代後半のTrowerの方向性を続けて確認できる。

Blow by Blow by Jeff Beck

ブルース出身の英国人ギタリストが、ファンクやジャズのリズムへ自分の演奏を適応させた1975年作。インスト中心という違いはあるが、ギターの速さだけでなく音色とグルーヴから個性を作る点で本作と響き合う。

There’s One in Every Crowd by Eric Clapton

ブルースロックの大音量から距離を取り、レゲエ、R&B、ゆったりしたブルースを混ぜた1975年作。In City Dreamsとはサウンドが異なるが、ブルースを土台とするギタリストがリズムと歌を優先して演奏を抑える方向を比較できる。

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