アルバムレビュー:Baby’s Got a Gun by The Only Ones

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1980年3月 ジャンル:New Wave / Power Pop / Punk Rock

概要

Baby’s Got a Gunは、The Only Onesが1980年に発表した3作目のスタジオ・アルバムであり、最初の活動期における最後のアルバムである。Peter Perrettの細く気だるい歌声とソングライティングを中心に、John Perryの流麗なギター、Alan Mairのベース、Mike Kellieのドラムという編成で制作された。パンクと同時期に登場したバンドだが、演奏のルーツには1960年代のロック、パワー・ポップ、ガレージ・ロックなどがあり、速さや攻撃性だけでは括れない存在だった。

前2作に比べると、本作ではギターの音が厚くなり、楽曲にも重さと陰りが増している。プロデュースを担当したColin Thurstonは、後にニュー・ウェイヴやニューロマンティックの作品を手がける人物だが、ここではバンドの生演奏を過度に磨き上げず、John Perryのギターを広い音像の中で生かしている。軽快なロックンロールから長いギター・ソロを持つ曲まで振れ幅があり、簡潔なパンク・アルバムとはかなり異なる。

Peter Perrettの歌詞では、恋愛と欲望がしばしば依存、自己破壊、嫉妬、不信と結びつく。ロマンティックな言葉を使っていても、語り手が健全な関係を築いているとは限らず、自分自身の弱さや執着を隠そうともしない。その危うい歌詞を、投げやりにも聞こえる声とJohn Perryの精密なギターが支えることで、The Only Ones特有の「美しいメロディなのに安心できない」感覚が作られている。

全曲レビュー

1. 「The Happy Pilgrim」

乾いたギターと軽快なリズムで始まり、アルバム冒頭としては意外なほど身軽に進む。タイトルには幸福な巡礼者という肯定的な言葉が置かれているものの、Perrettの歌声には晴れやかな確信より皮肉や疲労が混じり、言葉をそのまま受け取らせない。John Perryは歌の隙間へ短いフレーズを入れ、単純なコード進行にも細かな動きを作る。ポップな表面と不安定な内面という本作の特徴を、簡潔なロックンロールで示す導入である。

2. 「Why Don’t You Kill Yourself?」

挑発的なタイトルを掲げ、演奏にも苛立ちと攻撃性が表れる。ただし単純なパンクの直進ではなく、ギターはコードの合間を細かなフレーズで動き、リズム隊も曲にしなやかさを残している。歌詞の強烈な言葉も無条件の暴力性としてではなく、壊れかけた人間関係の中で吐き出される敵意や自己嫌悪を思わせる。Perrettの冷めた歌い方によって、怒鳴るよりもかえって危険な温度が生まれている。

3. 「Me and My Shadow」

タイトルにある「影」は、自分から切り離せないもう一つの存在を思わせる。Perrettは孤独や自己との付き合いを扱うような言葉を、感情を過度に膨らませず淡々と歌い、演奏もそれに合わせて比較的余白を残す。John Perryのギターは音数で圧倒するのではなく、声の周囲へ旋律を描いていく。前曲の攻撃的な感触から内側へ視線を移すことで、アルバムが単純な勢いだけで進まないことを早い段階で示している。

4. 「Deadly Nightshade」

毒を持つ植物を意味するタイトルが示すように、魅力と危険が同時に存在するイメージを中心にした曲である。ギターには鋭さがある一方、メロディは滑らかで、危険な対象へ引き寄せられる感覚を音でも作っている。Perrettの歌詞では恋愛や欲望がしばしば自己破壊と隣り合わせになるが、ここでも対象を避けるより、その危うさごと受け入れてしまう人物像が浮かぶ。甘さと毒気を同じ旋律に収める彼の作風がよく出ている。

5. 「Strange Mouth」

リズム隊が前へ出たタイトな演奏に、John Perryのギターが細かな装飾を加える。タイトルから身体的で少し不気味なイメージを作り、Perrettは親密さと違和感が入り交じる関係を思わせる言葉を並べていく。ボーカルは感情を大きく演じるより、少し距離を置いた調子を保つため、歌詞の奇妙さがかえって目立つ。短い曲の中で、The Only Onesのロックンロール的な即効性と文学的なひねりを両立させている。

6. 「The Big Sleep」

題名には眠りと死の両方を連想させる響きがあり、アルバム前半の中でも暗い空気を持つ。演奏は速さより重量を優先し、ギターの持続音と安定したリズムによって、逃げ場の少ない空間を作っている。Perrettの気だるい声はこうした曲調と相性がよく、絶望を叫ぶのではなく、すでにそれに慣れてしまった人物のように聞こえる。前半に散らばっていた自己破壊的な感覚が、より濃い形で現れる曲だ。

7. 「Oh Lucinda (Love Becomes a Habit)」

Lucindaという相手への呼びかけを中心に、愛情がいつしか「habit=習慣」へ変わっていく状態を扱う。習慣という言葉には親密さと依存の両方があり、相手を必要とすることが愛なのか、単に離れられないだけなのかという曖昧さが残る。演奏は比較的明るく、親しみやすいメロディが前へ出るため、歌詞の危うさとの対照が大きい。Perrettが得意とする恋愛と依存の境界を、特に分かりやすく捉えた一曲である。

8. 「Re-Union」

再会を意味するタイトルを持つが、無条件に幸福な再出発を祝う曲にはならない。ギターとリズム隊は力強く進む一方、Perrettの歌には過去の関係を再び始めることへの期待と警戒が同居しているように聞こえる。John Perryは歌の後ろで細かな旋律を動かし、言葉だけでは説明されない感情を補っている。The Only Onesでは、恋愛の始まりより、一度壊れた関係をどう扱うかという局面の方が似合うことを感じさせる曲である。

9. 「Trouble in the World」

視線を二人だけの関係から外側へ広げ、タイトル通り世界に存在する問題を見渡すような曲である。しかしPerrettは社会問題を整理して説明するのではなく、外部の混乱と個人的な不安を同じ感覚の中へ置く。ギターは力強いコードと細かなフレーズを行き来し、バンド全体も終盤へ向けて音の密度を上げる。私生活の混乱と世界の混乱が簡単には切り離せないという感触が、本作の閉塞感を広い場所へ移している。

10. 「Castle Built on Sand」

「砂の上に建てた城」という崩れやすさを示す比喩を中心に、安定していると思っていた関係や生活の危うさを描く。Perrettの歌には悲劇を大きく演出するところがなく、壊れる可能性を最初から知っていたような諦めがある。その一方でJohn Perryのギターは旋律的に広がり、歌の乾いた感触へ感情的な色を加えていく。アルバム後半で、恋愛と自己破壊というテーマを比較的明瞭なイメージにまとめた曲である。

11. 「Fools」

タイトルの「愚か者たち」という言葉には他者への軽蔑だけでなく、語り手自身もそこから逃れられないような皮肉がある。バンドは簡潔なロックの形を保ちつつ、ギターの細かな動きによって曲を単調にしない。Perrettの歌唱には怒りと疲労が混ざり、誰かを一方的に裁いているというより、人間の同じ失敗が繰り返されることを眺めているようにも聞こえる。終盤の重さを保ちながら、最終曲へ向けて緊張を高めていく。

12. 「My Way Out of Here」

最初の活動期におけるThe Only Ones最後のスタジオ・アルバムを締めくくる曲として、題名の「ここから出ていく方法」という言葉は結果的に強い余韻を持つ。ただし、後のバンド史をそのまま歌詞へ重ねるより、閉塞した状況から逃れようとする語り手の歌として聴く方が自然である。演奏は出口へ一直線に走るというより、ギターを十分に響かせながらゆっくりと終点へ向かう。アルバムに繰り返し現れた依存や孤立から完全に解放されたとは言い切らず、「出たい」という意志を残して作品を閉じる。

総評

Baby’s Got a Gunでは、The Only Onesがパンクと同時代のバンドでありながら、その枠に収まらなかった理由がよく分かる。曲にはパンク由来の簡潔さや荒さがあるが、John Perryのギターはブルースや1960年代ロックから続く旋律的な演奏を多く使い、Alan MairとMike Kellieのリズム隊も単純な高速ビートに限定されない。そこへPeter Perrettのポップな旋律が乗るため、音は荒くても曲そのものには古典的なロック・ソングとしての強さがある。

特に重要なのが、PerrettとPerryの対照である。Perrettの声は細く、疲れていて、ときには演奏から少し離れた場所にいるように聞こえる。それに対してPerryのギターは音程も輪郭も明確で、歌の周囲を活発に動きながら感情的な高まりを補う。ボーカルが叫ばなくても演奏側が曲を大きくできるため、The Only Onesは自己破壊的な歌詞を単調な陰鬱さに落とさず、ロックンロールとしての快楽を保つことができた。

歌詞では恋愛が救済として描かれることは少ない。誰かを必要とする感情は依存へ変わり、親密さには嫉妬や疑念が入り込み、語り手自身も問題の原因から自由ではない。重要なのは、それを道徳的な教訓へ整理しないことである。Perrettは危険な人物や壊れた関係を外側から観察するのではなく、そこへ引き寄せられてしまう人物の視点を残す。そのため、きれいなメロディと荒れた心理状態が同時に存在し続ける。

デビュー作The Only Onesの鮮烈さや「Another Girl, Another Planet」のような決定的な一曲と比べると、本作はすぐに全体像をつかめる作品ではない。音が重くなったぶん軽快さが後退する場面もあり、暗い題材も多い。しかし、パンク以後のギター・バンドという立場から、より古いロックの演奏力と新しい時代の乾いた感覚を結びつけた点には独自性がある。最初の活動期の終点にあって、The Only Onesのロマンティックな部分と自己破壊的な部分が最も濃く混ざり合ったアルバムである。

おすすめアルバム

The Only Ones by The Only Ones

1978年のデビュー作。荒いギターとPerrettの気だるい歌声を、より軽快で即効性の高い曲へまとめている。Baby’s Got a Gunで音が重くなる以前のバンドの基本形と、Perryのギターの強みを確認できる。

Even Serpents Shine by The Only Ones

1979年の第2作で、デビュー作の勢いを残しながら、歌詞とアレンジの陰影を深めた作品である。1作目とBaby’s Got a Gunの中間に位置し、バンドが暗く複雑な方向へ進んだ過程が分かりやすい。

Marquee Moon by Television

パンクと同時代にありながら、二本のギターによる長く旋律的な演奏を重視した1977年作。The Only Onesとは曲の構造が異なるものの、パンクの簡潔なイメージに収まらないギター表現という点で強く響き合う。

L.A.M.F.

荒々しいロックンロールと、欲望や破滅を身近なものとして扱う感覚を持つ1977年作。The Only Onesより演奏は直接的だが、パンクを1960年代以来のロックンロールの延長として鳴らす姿勢を比較できる。

The Velvet Underground by The Velvet Underground

静かなメロディと、依存や不安定な人間関係を扱う歌を同じ場所へ置いた1969年作。音の荒さより歌の親密さが前へ出ており、Perrettの甘い旋律と危うい語り手という組み合わせのルーツを考えるうえで関連性が高い。

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