発売日: 2004年2月10日
ジャンル: ジャズ、カントリー、フォーク、ポップ
ノラ・ジョーンズのセカンドアルバムFeels Like Homeは、前作Come Away with Meの成功を受けてリリースされたが、ジャズの影響が色濃かったデビュー作とは異なり、今回はカントリーやフォークのテイストが強く感じられる作品に仕上がっている。このアルバムでは、ノラの持つ温かく柔らかなボーカルに、カントリーやブルーグラスのエッセンスが加わり、まるで自然豊かなアメリカ南部の風景が広がるような素朴で心地よい雰囲気が漂う。前作と同様に、彼女のバンドメンバーやプロデューサーのアリフ・マーディンが再び集結し、シンプルでナチュラルなアレンジが楽曲全体に広がっている。ノラ・ジョーンズの成熟した音楽性とともに、彼女自身のルーツに近づいたこの作品は、リスナーに“心地よい家”のような温かさをもたらしてくれる。
各曲解説
- Sunrise
アルバムの冒頭を飾るこの曲は、軽やかなギターと柔らかなボーカルが朝の光を感じさせる。メロディはシンプルながらも心に残り、ノラの繊細な表現が曲全体に穏やかで優しい雰囲気を与えている。 - What Am I to You?
カントリーの要素が強いこの曲では、ノラの声がより力強く響く。恋愛に対する不安と戸惑いが歌詞に込められ、感情豊かなボーカルがそれを引き立てている。 - Those Sweet Words
甘く切ないラブソングで、シンプルなピアノとギターがボーカルを美しく支える。恋に落ちたときの高揚感や純粋な気持ちが歌詞に込められ、ノラの優しい歌声がぴったりとマッチしている。 - Carnival Town
静かなピアノの旋律が印象的な曲で、孤独感とノスタルジアが漂う。歌詞は町の喧騒から離れて、一人で物思いにふけるような情景が浮かび、ノラの哀愁のあるボーカルが心に染みる。 - In the Morning
柔らかくグルーヴィーなサウンドが特徴で、ノラの歌声が朝の静けさを感じさせる。穏やかなギターリフとリズムが、まるで夜明けの空気を映し出すようだ。 - Be Here to Love Me
タウンズ・ヴァン・ザントのカバーで、愛と寂しさが混じり合った深い情感が特徴的。ノラの落ち着いたボーカルが、曲の持つ寂しさと美しさを巧みに表現している。 - Creepin’ In (feat. Dolly Parton)
カントリーの女王ドリー・パートンをフィーチャーした明るいデュエット曲で、アップテンポなカントリーテイストが楽しめる。二人の声が絶妙に絡み合い、楽しくリズミカルな雰囲気が広がる一曲だ。 - Toes
ジャズとフォークが混ざり合うユニークな曲で、リズミカルなベースラインが心地よい。軽やかな歌詞とノラの柔らかい声が、リスナーにリラックスした気分をもたらす。 - Humble Me
ノラの静かなボーカルが際立つバラードで、失恋の痛みと自己反省がテーマ。シンプルなギターとピアノのアレンジが、彼女の感情を素直に引き出している。 - Above Ground
ゆったりとしたテンポと、幻想的な雰囲気が漂う曲。ノラの声がメロディとともに浮遊感を生み出し、リスナーに夢見るような感覚をもたらす。 - The Long Way Home
トム・ウェイツのカバー曲で、ノラの柔らかな声が道中の孤独と自由を表現する。アコースティックギターと穏やかなリズムが、旅の情景を自然と想起させる。 - The Prettiest Thing
繊細なギターとノラの柔らかな歌声が、日常の美しさと儚さを描いている。歌詞には、些細なことにも目を向ける美しい視点が込められている。 - Don’t Miss You at All
デューク・エリントンの「Melancholia」に新たな歌詞をつけた作品で、別れた後の寂しさと解放感を表現。ピアノの旋律がメランコリックに響き、ノラのボーカルが深い余韻を残す。
アルバム総評
Feels Like Homeは、ノラ・ジョーンズがジャズシンガーとしてのルーツを保ちながら、カントリーやフォークに深く足を踏み入れたアルバムだ。彼女の温かいボーカルは、まるで古い友人と再会したときのような安心感をもたらし、リスナーを“家”のような心地よさで包み込む。本作では、ドリー・パートンやタウンズ・ヴァン・ザントなどとのコラボレーションもあり、アルバム全体にアメリカーナの豊かな雰囲気が漂っている。ジャズだけでなく多様な音楽スタイルを取り入れたことで、ノラ・ジョーンズのアーティストとしての幅広い音楽性がさらに深まった作品といえる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Dolly Parton – Little Sparrow
カントリー界のレジェンド、ドリー・パートンがフォークやブルーグラスの影響を受けて制作したアルバム。ノラ・ジョーンズの温かみと似た、深い人間味が感じられる。
Ray LaMontagne – Trouble
レイ・ラモンターニュのデビューアルバムで、シンプルなアレンジとソウルフルなボーカルが特徴。ノラのアコースティックサウンドが好きなリスナーにおすすめ。
Alison Krauss – Forget About It
ブルーグラスとカントリーのクロスオーバーで、アリソン・クラウスの透明感のあるボーカルが美しい。ノラのカントリーテイストが好きなリスナーにぴったり。
Eva Cassidy – Songbird
エヴァ・キャシディの温かく包み込むような歌声が魅力のアルバム。シンプルでありながらも感情豊かなスタイルが、ノラ・ジョーンズのファンにも響くだろう。
Norah Jones – Not Too Late
ノラ・ジョーンズの3枚目のアルバムで、よりダークで内省的なトーンが漂う作品。Feels Like Homeのファンにとって次に聴くべきアルバムといえる。
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