
発売日:1979年8月17日
ジャンル:ニューウェイヴ/ポストパンク/アート・ロック/パワー・ポップ
概要
XTCの3作目のスタジオ・アルバム『Drums and Wires』は、バンドが初期のニューウェイヴ的な奇矯さから脱し、ギター中心の鋭いポストパンク/アート・ロックへと大きく進化した転換作である。同時に「Making Plans for Nigel」という代表曲を生み、XTCが英国ニューウェイヴの一バンドから、独自のソングライティングを持つ存在として本格的に確立された作品でもある。
XTCはイングランド南西部のスウィンドンで結成された。Andy PartridgeとColin Mouldingという二人のソングライターを中心に、初期にはBarry Andrewsのキーボードと、奇妙にねじれたポップ・センスを前面に出した音楽を演奏していた。1978年の『White Music』と『Go 2』には、パンク以後の速度感、ニューウェイヴ特有の神経質なリズム、Captain BeefheartやDevoにも通じる断片的な発想が強く表れている。
しかし『Drums and Wires』制作前にBarry Andrewsが脱退し、代わってDave Gregoryがギタリストとして加入する。
このメンバー交代が、XTCのサウンドを決定的に変えた。
キーボードを中心とした初期の編成から、Andy PartridgeとDave Gregoryによる二本のギターを軸とした音楽へ移行したのである。アルバム・タイトルの「Drums and Wires」は、その変化を象徴する。「Drums」はTerry Chambersの力強く独特なドラム、「Wires」はギターの弦や電気的な配線を連想させ、作品の音響構造をそのままタイトル化したような言葉になっている。
プロデューサーはSteve Lillywhite、エンジニアにはHugh Padghamが参加した。後にPeter GabrielやPhil Collins、U2、The Policeなどに関わることになる制作陣であり、本作でもドラムを強く立たせ、ギター、ベース、ヴォーカルを明瞭に分離した立体的な音像が作られている。
特にTerry Chambersのドラムは、本作の中心的な楽器といっていい。
通常のロック・ドラムのように単純に拍を支えるだけではなく、タムやスネアを使ってフレーズそのものを作り出す。Colin Mouldingのベースもメロディックに動き、ギターと独立した線を描く。その結果、XTCのアンサンブルは一見すると簡潔でありながら、各楽器が互いに違うリズムを演奏する非常に複雑な構造を持つ。
この点でXTCは、同時期のTalking Heads、Wire、Gang of Four、Magazineなどと共通するポストパンク的な発想を持っていた。
しかしXTCの特徴は、実験性をポップ・ソングの形から完全には切り離さなかったことである。
変則的なリズムや不協和音、奇妙な歌詞を使用しながら、必ず覚えやすいフックやメロディを残す。この「複雑なのにポップ」という矛盾した性格が、『Drums and Wires』で初めて本格的に完成する。
歌詞の面でも重要な変化がある。
初期作品には言葉遊びや抽象性が多かったが、本作では労働、家族、都市生活、広告、メディア、消費社会、人間関係など、英国の日常生活へ視線が向けられる。
代表曲「Making Plans for Nigel」はその象徴だ。
親が子供の将来を勝手に決め、その人生を「安定」や「幸福」という言葉で正当化する。この曲は単純な反抗歌ではなく、英国社会における仕事、階級、家族の期待を皮肉に観察している。
この社会観察とねじれたポップ・センスの融合が、その後のXTCの最大の武器となった。
『Drums and Wires』は、後の『Black Sea』『English Settlement』へ続く黄金期の入口であり、さらにBlur、Franz Ferdinand、They Might Be Giants、Field Musicなど、知的でリズミックなギター・ポップを作る後続バンドにも大きな影響を与えた作品である。
全曲レビュー
1. Making Plans for Nigel
『Drums and Wires』を代表するだけでなく、XTCのキャリア全体を象徴する一曲である。
Colin Moulding作曲のこの楽曲は、Terry Chambersによる独特のドラム・パターンから始まる。単純な4つ打ちではなく、タムやスネアの配置によって機械的かつ人間的なグルーヴが作られている。
ギターも通常のコード・ストロークではなく、短く切られた音がリズムの隙間へ配置される。
歌詞では、Nigelという若者の将来について親が語る。
重要なのは、Nigel本人の声がほとんど聞こえないことである。
周囲の大人たちは彼のために計画を立て、安定した仕事を用意し、それが彼の幸福だと信じている。しかし、その幸福が本人の希望と一致しているかどうかは明らかではない。
British Steelへの言及も含め、1970年代英国の産業社会、安定した雇用、親世代の価値観が皮肉に描かれる。
曲調は軽快でキャッチーだが、歌詞の内容は息苦しい。
この「明るいポップと社会的閉塞感の対比」がXTCの代表的な作風となった。
2. Helicopter
Andy Partridge作の「Helicopter」は、XTCの神経質で機械的な側面が強く表れた楽曲である。
タイトル通り、ギターやリズムがヘリコプターのローターのように反復する。
細かく刻まれるギター、急角度で動くベース、硬質なドラムによって、曲全体がひとつの機械のように動く。
歌詞では、上空から人々の生活を観察する視線が描かれる。
ヘリコプターは単なる乗り物ではなく、監視や覗き見の象徴としても機能する。
都市の人間たちを上から眺めることで、日常生活が奇妙なパターンの集合のように見えてくる。
Partridgeのヴォーカルも、通常のロック歌唱より言葉を強く切り、リズムの一部として機能する。
Talking HeadsやDevoにも通じるニューウェイヴ的な身体感覚を持ちながら、XTC独自の英国的なユーモアが加えられた一曲である。
3. Day In Day Out
Colin Mouldingによる「Day In Day Out」は、繰り返される日常生活をテーマとする。
タイトルそのものが「毎日毎日」という意味であり、生活が同じサイクルを延々と反復する感覚が中心になっている。
音楽もその主題に合わせ、一定のリズムを強く反復する。
しかし、完全に無機質ではない。
ベースが細かく動き、ギターがその周囲へ異なるアクセントを加えることで、「同じ毎日」の中にも微妙な変化が存在する。
歌詞では労働や家庭生活のルーティンが描かれ、人物がその中に組み込まれていく感覚がある。
「Making Plans for Nigel」と同様、本作における労働というテーマの重要性を示す曲である。
XTCは労働者階級の日常を英雄的に描くのではなく、その規則性や息苦しさを少し距離を置いて観察する。
この社会観察の冷静さが、本作の知的な性格を形成している。
4. When You’re Near Me I Have Difficulty
タイトルからしてXTCらしい、少し不器用で奇妙なラヴ・ソングである。
通常なら「あなたのそばにいると幸せ」と歌うところを、「あなたが近くにいると自分は困難を感じる」と表現する。
恋愛の高揚を、精神的・身体的な混乱として描く発想が特徴的だ。
音楽もその不安定さを反映している。
ギターは滑らかなロマンティック・サウンドではなく、短いフレーズが互いにぶつかる。
リズムも完全に安心できる場所へ落ち着かず、曲全体に微妙な緊張がある。
Partridgeの歌詞では、恋愛がしばしば理想化されない。
誰かを好きになることは幸福であると同時に、理性を失ったり、普段通りに行動できなくなったりする厄介な状態でもある。
その「恋愛の不格好さ」をポップ・ソングへ変換した一曲である。
5. Ten Feet Tall
Colin Mouldingによる「Ten Feet Tall」は、本作の中でも特にメロディックで、後のXTCのパワー・ポップ的な方向を予告する楽曲である。
タイトルの「10フィートの高さ」は、誰かから愛されたり認められたりすることで、自分が実際以上に大きく感じる心理の比喩として機能する。
歌詞は比較的ストレートなラヴ・ソングだが、過剰なロマンティシズムではなく、少し照れを含んだ語り口になっている。
ギターは明るく、コーラスも親しみやすい。
それまでの神経質な曲と比較すると、音響に開放感がある。
MouldingはPartridgeよりも伝統的なポップ・メロディを書く傾向があり、この曲ではその違いがよく表れている。
後の「Generals and Majors」や「Ball and Chain」などへつながる、Moulding独自のポップ感覚を示す重要曲である。
6. Roads Girdle the Globe
「Roads Girdle the Globe」は、本作の中でも特にアート・ロック的で、不穏なスケールを持つ楽曲である。
タイトルは「道路が地球を取り囲む」といった意味を持つ。
道路は通常、移動や発展、近代化の象徴である。
しかしPartridgeは、それを自然を縛り上げる巨大な人工物として捉える。
文明の発達によって世界が便利になる一方、地球全体が道路や都市によって覆われていく。
そこには環境意識や近代社会への警戒が含まれている。
音楽は重く、反復するリズムによって巨大な道路網が延々と伸びていくような感覚を作り出す。
ギターは美しいメロディを演奏するより、硬質な音のブロックとして配置される。
XTCが単なるポップ・バンドではなく、社会や文明そのものを題材にできるアート・ロック・バンドだったことを示す一曲である。
7. Real by Reel
「Real by Reel」は、タイトル自体が言葉遊びになっている。
「real」と「reel」の同音性を利用し、「現実」と「フィルムのリール」を重ねることで、メディアによって現実が加工される問題を扱っている。
1970年代末はテレビが日常生活へ完全に浸透し、ニュース、広告、娯楽が人々の現実認識を形成する時代だった。
この曲では、何が本当の現実で、何が映像として作られたものなのかという境界が曖昧になる。
サウンドは非常にタイトで、ギターとリズム隊が短いフレーズを交換する。
メディアの断片的な情報が次々と切り替わるような感覚もある。
後年XTCが広告や情報社会を繰り返し批判していくことを考えると、その問題意識の初期形としても重要である。
8. Millions
「Millions」は、大量の人間、大量の商品、大量の情報という現代社会のスケール感を扱った楽曲として聞くことができる。
タイトルには「何百万」という巨大な数字が使われるが、その中で個人は極めて小さな存在になる。
音楽的には短く鋭いフレーズが反復され、楽曲そのものにも群衆的な圧迫感がある。
Partridgeの作曲には、ときにメロディよりリズムや音の配置を優先する瞬間がある。
「Millions」はその代表例で、ギター、ドラム、声がそれぞれ独立したパターンを持ち、それらが組み合わさることで全体が成立する。
この「複数の小さな単位から巨大な構造が生まれる」という音楽的構造は、タイトルの意味とも対応している。
9. That Is the Way
Colin Moulding作の「That Is the Way」は、日常生活に存在する規範や常識を皮肉に観察する楽曲である。
「それがやり方だ」「そういうものなのだ」という言葉は、しばしば説明を停止させるために使われる。
なぜそうするのかと問われても、「昔からそうだから」「普通はそうだから」と答える。
この曲では、その無意識の社会規範に疑問を向けている。
サウンドは本作の中では比較的軽快で、メロディにも親しみやすさがある。
そのため歌詞の批評性が直接的に重くなりすぎない。
XTCは説教的なプロテスト・ソングを書くより、日常会話に潜む奇妙な論理を取り出し、それをポップ・ソングにするのが得意だった。
この曲はその典型である。
10. Outside World
「Outside World」は、外の世界と自分との距離を扱う。
ニューウェイヴやポストパンクには、都市社会の中で感じる疎外を描いた曲が多い。
XTCの場合、その疎外は暗くロマンティックに描かれるより、少し神経症的でコミカルな形になることが多い。
ここでも「外の世界」は魅力的でありながら、同時に不安の源でもある。
外へ出れば人間関係、社会規範、仕事、情報などと向き合わなければならない。
一方、内側に閉じこもれば安全だが、世界との接触を失う。
この二律背反が楽曲の中心にある。
音楽的にはギターの切れ味が強く、初期XTCのスピード感を残しながら、本作のより整理されたサウンドへ接続している。
11. Scissor Man
「Scissor Man」は、『Drums and Wires』の中でも特に不気味で童話的な楽曲である。
タイトルの「はさみ男」は、子供を脅す怪談や教訓話に登場するような人物を連想させる。
悪いことをすれば罰を受ける。
社会のルールに従わなければ恐ろしい存在がやってくる。
そのような道徳教育の恐怖を、Partridgeはグロテスクなポップ・ソングへ変換する。
音楽にはCaptain Beefheartからの影響も感じられ、ギターやリズムがわざと不自然に噛み合う。
それでも曲として崩壊しないのは、XTCのアンサンブル能力が高いからである。
不協和音や奇妙なリズムを使用しながら、最終的には耳に残るフックを作る。
本作の実験性を代表する一曲である。
12. Complicated Game
アルバムを締めくくる「Complicated Game」は、本作の中でも最も緊張感が高く、XTC初期の狂気と後の知的なソングライティングが衝突したような楽曲である。
タイトルは「複雑なゲーム」。
人生、社会、人間関係そのものを、ルールが完全には理解できないゲームとして捉える。
人はさまざまな選択をする。
しかし、その選択が本当に自由なのか、社会や環境によって決められているのかは分からない。
歌詞では、個人の自由意志に対する疑問が徐々に大きくなる。
音楽も異様な緊張を持つ。
序盤では抑制されていたヴォーカルが徐々に激しさを増し、Partridgeの声は最終的にほとんど叫びへ近づく。
ギターとリズムも単純なロックのクライマックスではなく、不安が拡大していくように配置される。
「Making Plans for Nigel」で他人によって人生を計画される人物から始まったアルバムが、「人生は複雑なゲームであり、自分が本当にルールを理解しているか分からない」という地点で終わる。
その意味で、本作全体を締めくくる非常に適切な曲である。
総評
『Drums and Wires』は、XTCが「ニューウェイヴの変わったバンド」から、「英国ポップ史に残るソングライティング・グループ」へ進む最初の決定的な一歩である。
最大の変化は、Dave Gregoryの加入によるギター中心の編成への移行だった。
初期のBarry Andrews在籍期では、キーボードの断続的な音とAndy Partridgeのギターが衝突し、非常に奇妙で神経質な音楽を作っていた。
『Drums and Wires』では、その奇妙さを維持しながら、音の役割が整理される。
Dave Gregoryは、Partridgeとは異なるタイプのギタリストだった。
Partridgeがリズムやノイズ、奇妙なコードを重視するのに対し、Gregoryはより正確で、音色やハーモニーに対する意識が強い。
二人のギターが異なる役割を担うことで、XTCの音楽は急激に立体的になった。
そしてタイトル通り、「Drums」も重要である。
Terry ChambersはXTCの初期黄金期を支えた極めて特徴的なドラマーだった。
彼の演奏は重く、同時に非常に機敏である。
「Making Plans for Nigel」のように、ドラムのパターンそのものが曲のフックになる。
これは1970年代末のポストパンクにおける重要な変化とも一致している。
パンクではギターのコードとヴォーカルが中心だった。
ポストパンクではベースとドラムが前へ出て、ファンク、ダブ、アフリカ音楽などの影響を受けた複雑なリズムが使われるようになる。
Gang of Four、Talking Heads、Public Image Ltdなどと同様、XTCもリズム隊を単なる伴奏から解放した。
ただしXTCには、彼らとは異なる要素がある。
それが英国ポップへの強い執着である。
Andy PartridgeもColin Mouldingも、実験的な音楽を好みながら、根本的にはThe Beatles、The Kinks、Small Facesなどに続く英国ポップのソングライターだった。
だから曲がどれほど奇妙になっても、メロディを完全には捨てない。
『Drums and Wires』の最大の魅力は、この「実験性とポップ性の綱引き」にある。
「Helicopter」「Millions」「Scissor Man」ではリズムや音響がかなり実験的である。
一方、「Making Plans for Nigel」「Ten Feet Tall」には明確なポップ・フックがある。
そして「Complicated Game」では、その二つが同時に存在する。
もうひとつ重要なのが、Andy PartridgeとColin Mouldingという二人の作曲家の違いである。
Partridgeは、社会や人間を少し斜めから観察し、奇妙な比喩、複雑なコード、変則的なリズムを好む。
Mouldingはより旋律的で、日常的なテーマを簡潔なポップ・ソングへ落とし込む。
「Making Plans for Nigel」はMoulding作だが、その社会観察の鋭さはPartridgeにも匹敵する。
この二人が同じアルバムに楽曲を提供することで、XTCは単一の作家性に閉じない。
『Drums and Wires』では特にそのバランスが良い。
歌詞全体を見ると、本作には「社会によって個人がどのように形作られるか」というテーマが繰り返し登場する。
「Making Plans for Nigel」では家族と労働。
「Day In Day Out」ではルーティン。
「That Is the Way」では社会規範。
「Real by Reel」ではメディア。
「Roads Girdle the Globe」では文明。
「Complicated Game」では自由意志そのもの。
つまり本作は、個人が巨大な社会システムの中でどの程度自由なのかを、さまざまな角度から観察した作品でもある。
それを政治的スローガンではなく、ユーモアや言葉遊びを通して描くところがXTCらしい。
1979年という発売時期も重要である。
パンクの爆発から数年が経ち、英国では「パンクの次に何をするか」という問いが生まれていた。
Joy Divisionは暗くミニマルな方向へ進み、Gang of Fourはファンクと政治性を結びつけ、The Policeはレゲエとポップを融合し、Talking Headsはアメリカでアート・スクール的なニューウェイヴを発展させていた。
XTCはその中で、ポップ・ソングそのものを解体して再構築する道を選んだ。
伝統的なヴァースとサビを残しながら、その内部のリズム、ギター、ベース、言葉を不自然にずらす。
この発想は後の『Black Sea』でさらにロック的な力強さを獲得し、『English Settlement』ではフォーク、アコースティック、複雑なポップへ拡大する。
さらに1980年代後半には『Skylarking』でスタジオ・ポップとして極めて洗練された地点へ到達する。
その長い発展の出発点が『Drums and Wires』なのである。
後続への影響も大きい。
Blurの初期から中期に見られる英国社会への観察、Franz Ferdinandの鋭角的なギターとダンス・リズム、They Might Be Giantsの知的なポップ、Field Musicの複雑なギター・アンサンブルなどには、XTCが作った方法論との共通点を見いだせる。
とりわけ「複雑なことをしているのに、最終的にはポップに聞こえる」という発想において、XTCの影響は非常に広い。
『Drums and Wires』は、一聴しただけでは「Making Plans for Nigel」のアルバムとして記憶されやすい。
しかし全曲を通して聞くと、そのヒット曲はむしろ作品全体の一部にすぎないことが分かる。
ここには1979年の英国社会、労働、都市、メディア、道路、恋愛、恐怖、自由意志が、ギターとドラムの細かなパターンによって描かれている。
タイトル通り、XTCは「ドラムとワイヤー」だけで現代社会そのものを組み立てた。
そして、その機械的な構造の内部に、極めて人間的で不安定なポップ・メロディを入れた。
その矛盾こそが、『Drums and Wires』をニューウェイヴ/ポストパンク期の重要作にしている。
おすすめアルバム
1. XTC – Black Sea(1980)
『Drums and Wires』の直接的な次作で、Dave Gregory加入後のギター中心の編成をさらに力強く発展させた作品。「Generals and Majors」「Respectable Street」「Towers of London」などを収録し、XTCの社会観察とポップ・ソングがより大規模なロック・サウンドへ成長している。
2. XTC – English Settlement(1982)
『Drums and Wires』で確立した複雑なリズムと英国的なソングライティングを、フォーク、アコースティック楽器、より広い音響へ拡張した代表作。「Senses Working Overtime」を収録し、初期XTCの到達点のひとつとなった。
3. Gang of Four – Entertainment!(1979)
同年に発表されたポストパンクの重要作。鋭角的なギター、ファンク由来のベース、独立して動くドラムを用い、ロックをリズム中心に再設計した。XTCとは政治性や歌詞の語り口が異なるものの、『Drums and Wires』のギター/リズム構造を同時代的に理解するうえで欠かせない。
4. Talking Heads – Fear of Music(1979)
こちらも1979年を代表するニューウェイヴ/ポストパンク作品。都市生活、恐怖、情報社会を、ファンク、アート・ロック、実験的なリズムによって描いている。日常的な不安を知的で奇妙なポップへ変換する点で、XTCとの共通性が非常に強い。
5. Wire – 154(1979)
パンクの簡潔さから出発しながら、電子音響、アート・ロック、抽象的な歌詞へ大きく進化したWireの3作目。『Drums and Wires』と同じく、「パンク以後にギター・バンドがどこまで構造を拡張できるか」という1979年の問いに対する重要な回答であり、XTCより抽象的で冷たい方向からポストパンクの可能性を示した作品である。

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