発売日: 2012年9月17日
ジャンル: オルタナティブ・ロック、ハートランド・ロック、アリーナ・ロック
Battle Bornは、ザ・キラーズがアメリカンロックの伝統に根ざし、より成熟したサウンドとテーマを探求した4作目のスタジオアルバムである。アルバムタイトルの「Battle Born」は、彼らの故郷ネバダ州の州のモットーから引用されており、バンドのルーツやアメリカの大地への深い思いが込められている。前作Day & Ageで見せたポップで華やかなエレクトロサウンドから一転し、本作では壮大でエモーショナルなロックサウンドに重心を置き、ギターやピアノを中心にしたアリーナロックの要素が強調されている。
プロデューサーにはスティーヴ・リリーホワイト、ダニエル・ランワ、ブレンダン・オブライエンなど豪華な顔ぶれが参加し、シネマティックで奥行きのあるサウンドを作り出している。歌詞には、人生の葛藤、愛、孤独、希望といった普遍的なテーマが描かれ、特にブランダン・フラワーズの力強くも感傷的なボーカルがアルバム全体に深みを加えている。Battle Bornは、ザ・キラーズがアリーナロックバンドとしての地位を確立し、より幅広いリスナー層に訴えかける一枚となっている。
トラックごとの解説
1. Flesh and Bone
アルバムのオープニングを飾る壮大なトラックで、シンセサイザーとギターが力強いイントロを作り出す。フラワーズのボーカルが自己探求と挑戦への決意を力強く歌い上げ、アルバムのテーマを象徴する一曲。
2. Runaways
シングルとしてリリースされ、アメリカンロックの影響が色濃く表れたトラック。若い恋人同士が逃避行するストーリーが描かれ、ドラマチックなメロディとギターリフが印象的。ザ・キラーズの代表曲としても知られるアンセム的な存在。
3. The Way It Was
ノスタルジックな歌詞が心に響くミッドテンポのロックバラード。失われた愛への回顧がテーマで、感情を抑えつつも深い情感がにじみ出るフラワーズのボーカルが印象的。
4. Here with Me
切ないピアノの旋律が美しいバラードで、愛する人への切実な想いを歌っている。シンプルなアレンジがフラワーズの歌声を引き立て、感情がストレートに伝わる一曲。
5. A Matter of Time
力強いギターリフと疾走感あるビートが特徴のロックナンバー。再出発や未来への期待がテーマで、ポジティブなメッセージがリスナーにエネルギーを与える。
6. Deadlines and Commitments
重厚なリズムとシンセサウンドが融合したエモーショナルな一曲。人生の選択や責任についての悩みを歌い、自己探求と葛藤が描かれている。
7. Miss Atomic Bomb
「Mr. Brightside」の続編としても知られる物語性のある楽曲で、切ないメロディと高揚感が特徴。青春の恋愛と失恋がテーマで、ノスタルジックなサウンドが心に染みる。
8. The Rising Tide
力強いギターとリズムが響くダークなトラックで、社会の変化や個人の成長をテーマにしている。スリリングな展開とエモーショナルなボーカルが印象的。
9. Heart of a Girl
バラード調の温かいトラックで、愛と家族の絆がテーマ。シンプルで優しいメロディが心地よく、リスナーに安心感をもたらす。
10. From Here on Out
カントリーとロックが融合した軽快なナンバーで、ポップでキャッチーなメロディが特徴。リズミカルなギターリフが心地よく、ライブでも盛り上がること間違いなしの一曲。
11. Be Still
静かなサウンドが印象的な癒しのバラードで、自己安定や自分を信じることの大切さを歌っている。シンプルなアレンジが美しく、感動的なフィナーレにふさわしい。
12. Battle Born
アルバムのタイトル曲で、ネバダ州出身のバンドとしてのアイデンティティと誇りを込めた一曲。シンセとギターが絡み合う壮大なサウンドスケープが広がり、アルバムを締めくくるにふさわしい堂々としたトラック。
アルバム総評
Battle Bornは、ザ・キラーズがアメリカンロックに根ざし、成熟した音楽的視点で人生や愛、自己成長を描いた作品である。壮大なアリーナロックの要素が強調され、心に響くメロディと力強いボーカルがアルバム全体を貫いている。「Runaways」や「Miss Atomic Bomb」などの楽曲は、青春の苦悩や恋愛の切なさをリアルに表現し、聴く者の心に強い印象を残す。バンドとしての成長と、シネマティックなサウンドの追求が詰まったBattle Bornは、ザ・キラーズの新たな挑戦とともに、彼らの故郷やルーツに立ち返る重要な一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Born to Run by Bruce Springsteen
アメリカンロックの名作で、壮大なメロディと青春の葛藤が描かれている。Battle Bornのテーマに共鳴する要素が多く、ザ・キラーズのファンにぴったりの作品。
The Joshua Tree by U2
広がりのあるサウンドと深いメッセージ性が特徴のアルバムで、ザ・キラーズのシネマティックな一面が好きなリスナーにおすすめ。
Wasting Light by Foo Fighters
エネルギッシュで壮大なロックサウンドが楽しめる一枚。Battle Bornと同様に、ライブ映えする力強いサウンドが特徴。
AM by Arctic Monkeys
シンプルでキャッチーなロックサウンドとエモーショナルな歌詞が魅力。ザ・キラーズのドラマティックな曲調が好きなリスナーには最適。
Only by the Night by Kings of Leon
広がりのあるサウンドとメロディアスなギターが印象的で、ザ・キラーズの壮大なスタイルと共通点が多い。感情に訴えかけるロックアルバムとしておすすめ。
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